はじめに
こんにちは。Hareruya Prosの平山(@sannbaix3)です。
今回は私が5月9日-10日に開催された『チャンピオンズカップファイナル シーズン4サイクル3』で使用した、「イゼットスペレメンタル」のデッキガイドになります。
イゼットスペレメンタルとは
「イゼットスペレメンタル」は、《かまどの精》《渦泥の蟹》にフィーチャーしたクロックパーミッションデッキです。
これらのエレメンタル・クリーチャーは1~2マナで唱えられるにもかかわらず、《刻み群れ》のコストを大きく軽減できます。2マナ・5/5・飛行で、戦場に出たときに相手の盤面だけ吹き飛ばす必殺技がこのデッキの魅力です。
デッキ名になっている「スペレメンタル」(Spellementals)は、《渦泥の蟹》のコスト軽減のために入っている呪文(Spell)と、エレメンタル(Elemental)をつなげた造語です。
デッキの動きとしては、基本的に軽いインスタント・ソーサリーを唱えて墓地を肥やし、《かまどの精》《渦泥の蟹》《刻み群れ》でのビートダウンを目指します。
基準となるのは、4ターン目に《刻み群れ》を出せるくらいの展開です。墓地にインスタントかソーサリーが5枚あれば、4マナで《かまどの精》または《渦泥の蟹》+《刻み群れ》と動けます。
つまり、1-3ターン目までに5枚の呪文を墓地に送ることを目指します。そのためには、計6マナで5枚のインスタント・ソーサリーを墓地に送る必要があるため、デッキは1マナの干渉手段や、《傷残す批評》のような、1コストあたり1枚のカードを墓地に送れる呪文を中心に構成されます。
デッキの強みは、現環境の強力なデッキに対して有効なカードを採用していることです。今のスタンダードは「イゼット果敢」と「《アナグマモグラの仔》系のデッキ」に支配されています。
「イゼット果敢」は除去が軽い火力呪文とバウンス呪文に集中しているため、マナコストが軽くタフネスの高い《かまどの精》《渦泥の蟹》でのビートダウンが有効です。
「緑単上陸」を筆頭に《アナグマモグラの仔》を使用した緑系のデッキには、《刻み群れ》が非常に有効です。「土の技」でクリーチャー化した土地ごと手札に戻すことができます。
そして、『ストリクスヘイヴンの秘密』で登場した《プリズマリの魔除け》《傷残す批評》で、このデッキは大幅に強化されました。墓地を肥やせる優秀なドロー呪文の登場で、安定感も大きく上がり、《除霊用掃除機》のような墓地対策の上から勝てる地力を手に入れました。
デッキリスト紹介
『チャンピオンズカップファイナル』で私が実際に使用したリストを紹介します。
メインボード
《渦泥の蟹》
このデッキを象徴するカードです。2マナ・5/5・瞬速で相手のクリーチャーを2体もタップできる、コスパに優れた強力なクリーチャーです。
《かまどの精》
サイズがそこまで大きくなくタップ能力もないので《渦泥の蟹》と比べて地味ですが、《渦泥の蟹》《刻み群れ》と違い1マナで出せることが魅力です。合間のマナを埋めやすく、クリーチャーの連打にも向いています。
このカードは《渦泥の蟹》と違い、「当事者」カード(このデッキだとほかの《かまどの精》)も数えることは覚えておきましょう。
おまけでついている《火おこしの天才》も、《没頭》などを採用していない都合上、唯一のリソース源です。ただし基本的にはライフを削るデッキなので、変にうまく使おうとせず、クリーチャーとしてとっとと出したほうがよいでしょう。
余談ですが、《かまどの精霊》という兄弟もいます。デッキリスト登録で間違えないようにしましょう。
《刻み群れ》
戦場に出たときにエレメンタル以外のすべてのクリーチャーを手札に戻します。最大限にコスト軽減できれば実質2マナ・5/5・飛行であり、非常にスペックの高いクリーチャーです。
バウンス能力が《アナグマモグラの仔》系デッキに非常に強く、本来《渦泥の蟹》たちの攻撃が通りづらい《自然の律動》系デッキへの相性の良さをこのカードで担保しています。
《手練》《選択》
1マナのドロー呪文です。「イゼット果敢」と違い、このデッキでは盤面にクリーチャーがいない状態でも墓地を肥やすことでバリューを出せます。なので、基本的には適当に唱えてしまって問題ありません。
《プリズマリの魔除け》
新セットの戦力1号機です。諜報のめくれ次第ではありますが、デッキで唯一使ったマナより多くの呪文を墓地に送ることができます。
バウンス効果もデッキと相性がよく、《渦泥の蟹》《刻み群れ》の使いまわしや、《苔生まれのハイドラ》のような《刻み群れ》で対処できないカードの一時的な対処に有効です。
1点モードは一見使いづらく見えますが、《ラノワールのエルフ》やカワウソ・トークンをまとめて処理するのに便利です。
すべてのモードを使う可能性があり、デッキの動きを損なわずに柔軟性を向上させているカードです。
《傷残す批評》
新セットの戦力2号機です。X=0で唱えることで、《染みついた耽溺》として使用することができますし、《ラノワールのエルフ》のような小型クリーチャーを除去しながら墓地を肥やせます。
最終的には相手のライフを削り切るデッキなので、X火力として使えることもうれしいです。
《噴出の稲妻》《すべきでない悪ふざけ》
1マナの火力呪文です。《噴出の稲妻》は《精鋭射手団の目立ちたがり》に強く、《すべきでない悪ふざけ》は《彩嵐の雄馬》や《鋭い目の管理者》に対処できます。両方存在する環境なので散らして採用しています。
《焼きつけ》
追加の火力呪文です。2マナである代わりに《噴出の稲妻》《すべきでない悪ふざけ》の両方の役割を担うことができます。
《呪文貫き》
打ち消し呪文です。採用しているほかのカウンターでは打ち消せないカードが環境に多数あるので、ある程度は採用することを推奨します。
《呪文嵌め》
《鋭い目の管理者》《安らかなる眠り》《今のうちに出よう》など、このデッキに有効なカードに2マナのカードが多いので使いやすい打ち消し呪文です。
《今のうちに出よう》
打ち消し呪文です。今の主要デッキは攻め手がクリーチャーとエンチャントに寄っているため、構える裏目が少なく使いやすいです。2個目のモードも《渦泥の蟹》《刻み群れ》の能力を使い回すことができます。
非採用カード
《没頭》《冬夜の物語》
多くのリストでメインボードから採用されているドロー呪文ですが、私のリストでは両方不採用にしています。
単純にメインボードにリソースを稼ぐカードが必要ないと感じているからです。基本的に干渉の少ないメインボードでは素早くエレメンタルを展開できればそれで十分なことが多く、手札を増やすカードより、墓地を肥やせるカードを優先したほうがよいと考えています。
《没頭》は手札が増えるカードではありますが、墓地が肥えるスピードはほかの2マナドロー呪文に比べ遅く、《冬夜の物語》は2マナのインスタントでできることを3マナのソーサリーで行っているにすぎません。
サイドボード後はリソースが増えるカードがほしいゲームは増えますが、墓地対策を置かれる可能性がある以上、これらは機能しないリスクがあります。サイドにとるのであれば、単純に一番強い《食糧補充》がよいと判断しました。
サイドボード
《再点火、アシュリング》
《轟く機知、ラル》や《観念の名誉教授》を出しやすくなるだけでなく、エレメンタルなので実質4マナ分の《刻み群れ》の軽減カウントになります。《安らかなる眠り》が場にある状態でも機能します。
《猛嵐のタイタン》
墓地に依存しない《刻み群れ》の軽減手段です。実質2マナ4/4ではあるので、コントロール相手などは最低限のアタッカーにもなります。
《観念の名誉教授》
通称“アンリコくん”です。単体で完結する、墓地を使わない脅威として採用しています。
似たカードに《量子の謎かけ屋》がありますが、ドローソースを連打する都合上このデッキでは手札を使いきりにくく、またパワー5のほうが《渦泥の蟹》とあわせて20点削りやすいため、こちらが優先されます。
《轟く機知、ラル》
追加の勝ち手段です。コントロール相手に全体除去で流れないこと、《今のうちに出よう》で打ち消されないことが強みになります。
イゼット系相手は、状況次第で強さが大きく変わる難しいカードです。《渦泥の蟹》を構えられている状態ではすぐに落ちてしまいますが、出して生き残ったらほぼ勝ちが決まるハイリスク・ハイリターンなカードです。
《食糧補充》
まっすぐ動けば勝てるメイン戦と違い、サイドボード後は相手も干渉手段を増やします。そういった相手には手札を増やすカードが欲しいですが、《没頭》《冬夜の物語》では墓地対策に引っかかってしまうので、こちらを採用しています。
《削剥》
追加の火力呪文です。墓地対策や《倦怠の宝珠》も破壊することができます。今はあまり《倦怠の宝珠》を採用しているデッキがいないので、《舷側砲の一斉射撃》などと差し替えても問題ありません。
逆に《刻み群れ》がキーになるようなマッチアップで、相手が《倦怠の宝珠》を今後入れてくるようであれば、《削剥》の枚数を増やしましょう。
《無効》《軽蔑的な一撃》《瞬間凍結》
《無効》は「イゼット講義」「上陸」に有効なカードです。
《軽蔑的な一撃》は、追加の《今のうちに出よう》として採用しています。4枚目の《今のうちに出よう》でない理由は、最低限コントロール系デッキの全体除去や《ジェスカイの啓示》にも対処できるようにするためです。
《瞬間凍結》は主に緑系のデッキ相手のサイドボードです。《重厚な世界踏破車》《自然の律動》あたりが《今のうちに出よう》では消せないので、こちらのほうが純粋に裏目が少なく強力です。
《除霊用掃除機》
汎用的な墓地対策です。現在の主要デッキに対して必要がないので入れていません。
このデッキの強みは、優秀なドロー呪文が増えたことにより、こういった墓地対策の上から勝てる構成であることです。
それはつまり、ミラーマッチで入れても相手に通用しないということになります。1ターン目に唱えればある程度は有効ですが、逆に3ターン目以降は何もしないカードになりがちです。総合してカード1枚分の価値はありません。
《没頭》《嵐追いの才能》を採用しているイゼット果敢には後半もそれなりに有効ですが、こういったカードを引いてゲームを長引かせるよりは、自分の動きを押しつける《食糧補充》などのほうがよいと考えています。
《彩嵐の雄馬》
主にイゼット系に対して強いカードです。ただし、クリーチャーを唱えてからドロー呪文を使用するイゼット果敢と違い、このデッキは基本的にドロー呪文を唱えてクリーチャーを探します。
そのため、いざ出しても能力を誘発させるための呪文を保持しづらく、ミラーであれば《かまどの精》の前でちぐはぐする展開が多いです。
また、墓地対策を置かれたときの《刻み群れ》用のエレメンタルとしてもコストが中途半端です。《安らかなる眠り》を置いてくる《刻み群れ》が有効なマッチアップは、だいたいセレズニア系など地上がかたい相手が多く、《彩嵐の雄馬》の攻撃も通りません。
《魂の洞窟》
イゼット系デッキは打ち消し呪文でエレメンタルの対処を狙ってきます。
そういった戦略に対しては非常に有効ですが、《観念の名誉教授》を採用したことで最終的に余った打ち消しが《観念の名誉教授》に当たってしまうことが気になり採用しませんでした。
インパクトの強いカードであることは間違いないので、好みで採用するのも全然ありだと思います。一緒に練習して『チャンピオンズカップファイナル』でトップ8に入賞した井川さんはサイドボードに採用しています。
マナベース
マナベースに求められる要件は、主に以下です。
■マナベースの要件
・《渦泥の蟹》《刻み群れ》《今のうちに出よう》を同一ターンに複数枚唱えたいデッキであるため、基本的にすべての土地から青マナが出るようにしたい。
・そのうえで、1ターン目の火力呪文や赤マナの複数アクションもあるので赤マナの数も最大限確保したい。
・細かいスペルが多く、毎ターンマナを使い切れるので、なるべくアンタップインしたい。
・土地はドロー呪文で探したほうがデッキ思想にあっているため、枚数はおさえたほうがいい。たとえば、《プリズマリの魔除け》の諜報は、土地を上にのせて呪文を墓地に置いたほうが逆より効率がよい。
以上を総合して、土地枚数は20枚。すべて青マナが出る土地で、赤マナの数も最低14、できれば15~16程度のマナベースが希望です。
イゼットカラーは、現スタンダードで優遇されている色の組み合わせである対抗色の組み合わせであるため、使えるランドが豊富です。
まず、《蒸気孔》《リバーパイアーの境界》《尖塔断の運河》はアンタップインする土地であり、デメリットもさほどないので4枚ずつ入れるのは確定です。
問題は、これらだけでは赤マナが足りないことです。残っている土地はデメリットがそれなりにあるもののみです。
《嵐削りの海岸》
スローランドです。デメリットは見た目通りタップインすることです。序盤に呪文を唱えられるかは墓地の呪文カウントに影響を与えます。特に初手で被るとだいたいマリガンになってしまうため、枚数を多く採用しづらいです。
《轟音の滝》
諜報ランドです。確定タップインですが、諜報で呪文を落とせれば実質的に《手練》を唱えているようなものです。しかし、確定タップインが響きやすいデッキではあり、特に3-4ターン目のタップインは致命的になりやすいので、個人的には採用しないほうがよいと思っています。
《マルチバースへの通り道》
このデッキにおいては弱い《蒸気孔》です。初手から両方の色を出せる土地とはいえ、赤マナを出そうとすると《山》を置いたことになります。その瞬間は《噴出の稲妻》を唱えられて嬉しいかもしれませんが、その後の展開では足を引っ張ることが多いはずです。
SDGsが叫ばれる昨今において、未来に負の遺産を残すべきでないので採用しないほうがよいと思っています。
《大図書棟の大ホール》
インスタント・ソーサリーのみに色マナが使えるミシュラランドです。一見要件をかなり満たしているように見えますが、《渦泥の蟹》+《刻み群れ》のような動きで色が出ません。
また、当然ダメージが痛いです。細かいスペルを連打するので基本的にダメージを受けますし、土地が並んでいる状態でドロー呪文を唱えるときにも、《渦泥の蟹》を引いたときのことを考えると優先して寝かせねばならない展開が多く、1枚のみの採用でもダメージをそれなりに喰らいます。またクリーチャーサイズこそ大きいですが、起動マナが重くそれほど機会はありません。
総合してメリットよりデメリットのほうが大きく、採用しないほうがよいと判断しました。
というわけで、追加の多色土地は《嵐削りの海岸》2枚の採用にして、残りは《島》を採用しました。赤マナの枚数に若干の不安はありますが、全体のバランスはこれが一番よいと思っています。
プレイ指針
このデッキは呪文を唱えて大型エレメンタルを出すだけのデッキなので、比較的シンプルです。
『チャンピオンズカップファイナル』のフィーチャーマッチで私が《かまどの精》《かまどの精》《渦泥の蟹》《刻み群れ》と連打して勝ったときも、解説の八十岡さんに「やってること簡単すね😊」と非常に的を射た解説をしていただきました。
あえて言うならば「このデッキはライフを削るデッキである」という認識を持つべきです。
《渦泥の蟹》《刻み群れ》の能力は非常に強力ですが、相手のパーマネントに完全に対処できるわけではありません。最終的に、このデッキはただ5/5を並べるデッキです。
「イゼット果敢」の《嵐追いの才能》絡みの無限のリソースや、「上陸」の圧倒的な盤面に比べれば、このデッキの長いゲームでの到達点はたかが知れています。
つまり、そういったレンジになる前に、相手のライフを削り切れるようにゲームプランを立てるべきです。
それゆえに、まず自分のデッキを回すことを優先したほうがよいです。
たとえば、後手1ターン目で相手に《ラノワールのエルフ》や《嵐追いの才能》を出されても、《プリズマリの魔除け》は基本的に除去ではなくドローモードで使うべきです。除去を行い交換しても、相手が減速することより、こちらの減速のマイナスのほうが大きいからです。
逆に《傷残す批評》をX=1で唱えて《アナグマモグラの仔》でクリーチャー化した土地を除去する行動は、自分の手札を回しつつ相手を減速させる、このデッキにとって一番うれしい行動です。このデッキはミッドレンジではなくクロックパーミッション/テンポデッキなのです。
サイドボードガイド
このデッキにおける、サイドボーディングの基本的な考え方を説明します。
すべてのデッキに言えることですが、メイン戦とサイドボード後のゲームの最も大きな違いは、相手の干渉手段が増えることです。
このデッキの主力は《かまどの精》《渦泥の蟹》です。相手は基本的にここへの対処手段をサイドから投入してきます。
これらクリーチャーは、呪禁のような能力もないですし、墓地を使うクリーチャーです。除去や打ち消しはもちろん、墓地対策もサイドインされることが想定されます。こちらは相手の干渉手段に対応できる形で、デッキを変更することが理想です。
たとえば、こちらに対してサイドインされる主要なカードは以下のようなものです。
打ち消し・除去
《かまどの精》《渦泥の蟹》を直接対処されます。除去されても墓地はそのままなので、変に《否認》などで対処しようとせず、次の《かまどの精》《渦泥の蟹》を出すのが最も効率の良い対処法になります。
《刻み群れ》は出せなくなるリスクがあるので、除去や打ち消しが大量に入っている相手にはサイドアウトしたほうがよいです。
《除霊用掃除機》
ハッキリ言いましょう、無痛です。墓地の質ではなく量を参照するデッキなので、1~2ターン目に置かれない限りゲームにそこまで影響を与えません。3~4ターン目以降はむしろ完全な死に札になります。なので、たいして意識する必要はありません。
2枚程度の《除霊用掃除機》であれば、こちらのサイドボーディングには影響しません。
《魂標ランタン》
《除霊用掃除機》と違い墓地をリセットできるので、多少遅れてもゲームに影響を与える可能性があります。
とはいえ一度限りのリセットなので、もう一度墓地を再構築すれば問題ありません。相手の強い展開と合わさらなければ無痛です。
普段であれば《傷残す批評》のようなカードは1~2枚サイドアウトしても問題ありませんが、《魂標ランタン》が入っている相手にはリセットされた墓地を再構築するために多めに残したほうがよいでしょう。
《安らかなる眠り》
さすがに場に出たら効きます。一度置かれたら、基本的に《かまどの精》たちはフルプライスで払わなければいけません。そのため、ゲーム終盤まで唱えられなくなるので減らしたほうが無難でしょう。
墓地肥やしも意味がなくなるので《傷残す批評》なども減らしてかまいません。かわりに《再点火、アシュリング》などの墓地に依存しない脅威をサイドインします。
まとめると、おおまかに以下の要件でサイドアウトするか検討します。
《刻み群れ》
デッキ屈指のパワーカードですが、バウンス能力が有効でない場合はサイドアウト候補です。特にそういったマッチアップはクリーチャーが少ない=干渉が多いことが多く、《かまどの精》《渦泥の蟹》を対処されてそもそも出せない展開も多いです。
《かまどの精》《渦泥の蟹》
《安らかなる眠り》のような効果の高い墓地対策を置かれると、書いてあるマナコスト通りに出さなければなりません。出せるターンが遅れる=出せるターンまで手札にたまり続けるということであり、少し減らして被りづらくしたほうがよいこともあります。
《傷残す批評》
《魂標ランタン》相手であれば復旧のためにすべて残したほうがよいですが、墓地対策が薄い場合や《安らかなる眠り》のような墓地肥やしの意味がなくなる対策相手には減らして問題ありません。
そのほかの呪文
《噴出の稲妻》《呪文貫き》をはじめとした干渉手段は、当然有効でない相手にはサイドアウトして問題ありません。
マッチアップガイドで一部説明しますが、唱える対象があることと有効であることは違うことは念頭に置いてください。
マッチアップガイド
各マッチアップの簡単なガイドを紹介します。墓地対策の枚数など相手のサイドボード次第で、柔軟にサイドボードの調整はしたほうがよいです。
イゼット果敢
一見相手がアグロデッキでこちらが受ける展開を想定するかもしれませんが、実態は逆です。
「イゼット果敢」には《没頭》《嵐追いの才能》《ブーメランの基礎》といったリソース獲得手段が大量に採用されています。
《渦泥の蟹》の出し合いにおいても、《ブーメランの基礎》での使いまわしがあるため、《今のうちに出よう》を引けていないと不利になります。
ただし、エレメンタルに対する対処手段は限られているので、一番楽な勝ち方はクリーチャーを連打して押し切ることです。
vs. イゼット果敢(《彩嵐の雄馬》+《渦泥の蟹》)
vs. イゼット果敢(《精鋭射手団の目立ちたがり》+《渦泥の蟹》)
vs. イゼット果敢(《神出鬼没のカワウソ》入り、《渦泥の蟹》なし)
「イゼット果敢」とくくっても多くの型が存在するので、相手の採用カードにあわせてこちらもサイドボードの変更が必要です。
変に相手に干渉しすぎると自分のリソースも削りすぎてしまい、相手の《没頭》や《嵐追いの才能》が強いゲームレンジに間延びしてしまいます。また、相手がクリーチャーを出さずに溜め込むプレイをしたときに、火力呪文がかさばるとこちらも動けなくなってしまいます。
なので違和感があるかもしれませんが、1マナの火力呪文は少し減らします。減らすのは《精鋭射手団の目立ちたがり》《彩嵐の雄馬》に合わせて変更しましょう。
ただし《神出鬼没のカワウソ》が入っている型は、ほかのデッキに比べて序盤から攻めてくるので火力呪文を残して問題ないです。
上陸アグロ
《刻み群れ》が非常に有効なマッチアップです。相手の動きが多角的で完全にコントロール仕切るのは難しいので、《渦泥の蟹》《刻み群れ》で差し切ることを目指します。
《刻み群れ》をしっかり出せればだいたい勝てるマッチですが、《苔生まれのハイドラ》や《重厚な世界踏破車》などの手札に戻らない脅威には注意が必要です。
vs. 緑単上陸
vs. セレズニア上陸
「セレズニア上陸」は《浸食作用》《安らかなる眠り》で妨害要素が濃いかわりに、《氷耕しの探検家》《若木の生育場》のようなシステムが薄いです。なので《安らかなる眠り》を置かれてロングゲームになっても、《渦泥の蟹》を7マナで唱えるまで粘れることもあります。
緑単の場合は、現在のリストだとサイド後もそれほど干渉されないので、プレイ感はメインとさほど変わりません。
セレズニアウロボロイド
《刻み群れ》が一番輝くマッチアップです。いかに《刻み群れ》につなげるか、つなげた後にライフを削り切るかが焦点です。
vs. セレズニアウロボロイド
《安らかなる眠り》などの干渉手段が投入されます。
まだ確証は持てていませんが、《噴出の稲妻》を減らすのがよいと考えています。《安らかなる眠り》などの妨害が複数投入されるサイドボード後のゲームでは、試合はロングゲームになりがちです。そうなると《ラノワールのエルフ》や《アナグマモグラの仔》を除去してスピードを遅くすることに対して意味はありません。
そして、《鋭い目の管理者》《ウロボロイド》などの実際にゲームを決定する脅威に《噴出の稲妻》は対応できないので、《噴出の稲妻》を抜いて、相手の実際の脅威に対処できるカードだけでデッキをまとめ、相手をフラッドに追い込む方向性がよいと考えています。
イゼットスペレメンタル
基本的にクリーチャーの枚数勝負になります。ただし、最初に展開できたほうが大きく相手のライフを削ることができるので、遅れたほうはかなり後手に回ることになるでしょう。
相手が仮に《没頭》のようなリソースカードを採用していて、エレメンタルの枚数勝負が不利に思えても、素早くクリーチャーを連打できれば、リソース差の影響が出る前に勝てるはずです。
vs. イゼットスペレメンタル
不要な火力呪文を抜いて脅威を水増しします。《轟く機知、ラル》はハイリスク・ハイリターンなカードで、先手時のみ入れるなどのサイドボーディングでも問題ありません。
相手が《彩嵐の雄馬》を採用している場合は、除去を少し残してもいいです。
ジェスカイコントロール
コントロール系の相手は基本的に不利なマッチアップです。
4色などすべてのコントロールも同様ですが、《ジェスカイの啓示》のゲームレンジになると勝てないので、全体除去を無視してクリーチャーを並べることが最も勝率が出ると思います。特にジェスカイは意外と腐る火力呪文を多く採用しているので、思ったよりも勝てます。
vs. ジェスカイコントロール
不要な除去と、単体ではプレイできない《刻み群れ》を抜いて脅威の水増しを行います。
《瞬間凍結》や《軽蔑的な一撃》の増加で《ジェスカイの啓示》1枚に負けることは減りますが、依然厳しいマッチアップであることは変わりません。迷ったら強気なプレイをとりましょう。
おまけ:『チャンピオンズカップファイナル』簡単レポート
このデッキを使用した『チャンピオンズカップファイナル』での簡単なレポートを紹介します。
この大会は大まかにいうと、プロツアーの参加権利をかけた大型公式大会です。
上位16人にプロツアーの参加権利が付与されます。もちろん狙うのは優勝ですが、大体上位16位ラインになる10勝3敗が最低目標です。
| ラウンド(初日) | 対戦デッキ | 結果 |
|---|---|---|
| R1 | イゼット果敢 | 2-1 |
| R2 | セレズニアウロボロイド | 2-1 |
| R3 | イゼットスペレメンタル | 2-1 |
| R4 | ティムールの戦告者コンボ | 2-0 |
| R5 | アゾリウスフラッシュ | 1-2 |
| R6 | セレズニア上陸 | 0-2 |
| R7 | イゼット果敢 | 2-1 |
| R8 | ジェスカイコントロール | 2-0 |
| R9 | イゼット果敢 | 1-2 |
| ラウンド(2日目) | 対戦デッキ | 結果 |
|---|---|---|
| R10 | イゼット果敢 | 2-0 |
| R11 | イゼットスペレメンタル | 2-0 |
| R12 | イゼット果敢 | 2-1 |
| R13 | イゼットスペレメンタル | 1-2 |
アゾリウスフラッシュに対して痛恨のミスでマッチを落としてしまったのもあり、初日は6-3で終了。2日目で4-0できればプロツアーの権利を獲得できます。
2日目は3-0で好発進。オポーネントも高く、勝てばトップ8に入れるポジションにいました。最終戦は勝てばトップ8、負ければ4敗の大一番です。
肝心の結果は、最終戦負け……。『チャンピオンズカップファイナル』で通算5回目の4敗フィニッシュ、またすべてを失いました……
……が、
ん?
— Rei Hirayama (@sannbaix3) May 10, 2026
— Rei Hirayama (@sannbaix3) May 10, 2026
なんと17位でした。
「プロツアー権利は16位までだから足りてないぢゃん……」と思うかもしれません。
しかし、私の最終戦の相手はあの泣く子も黙る森山真秀さん。
私も黙らせてトップ8に進出した彼ですが、当然すでにプロツアーの権利を持っています。つまり、森山さん分のプロツアーの権利が繰り下がり、17位までプロツアーの権利が手に入るのです!
10勝3敗以上のプレイヤーがちょうど16人だったため、9勝4敗で最上位のプレイヤー(※)がプロツアーの権利を得ることとなりました。
そして、選ばれたのが俺ってわけですよ。対戦したすべての強敵(とも)に感謝……。
(※:マジックのトーナメントでは、一般的に勝ち点が同じ場合、そのプレイヤーが当たった対戦相手の勝ち点を比較してタイブレーカーにします。同じ勝ち点なら、より強い相手に勝ってきたプレイヤーのほうが上になる、くらいの認識です)
さらに、一緒に練習したチーム「常勝集団MSD」ですが、なんと参加した8名中4人がプロツアー権利獲得!
権利を獲得したうち、私含め3人がこのイゼットスペレメンタルを使用し、なかでも井川良彦さんはトップ4まで進出できました。チームとして大成功の結果といえるでしょう。
おわり
以上で「イゼットスペレメンタル」デッキガイドは終了となります。最後まで読んでいただきありがとうございました。
今回の「チャンピオンズカップファイナル」で参加権利を得たので、7月のオランダ・アムステルダムで開催されるプロツアーはもちろん参加予定です。引き続き応援よろしくお願いします。
それに加え、6月にアメリカ・ラスベガスで開催される「マジック・スポットライト:マーベル スーパーヒーローズ」にも参加予定です。
こちらはチームリミテッドの大型大会です。リミテッドおじさんこと中村修平さんと、東北のクマこと熊谷 陸さんと参加します。はじめての海外スポットライトなのでこちらも非常に楽しみです。
ではまた。
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