コヴァルスキ先生の『灯争大戦』プレインズウォーカー格付け講座

Grzegorz Kowalski

朝礼

みなさんおはよう。

今日の授業は、旬のものがテーマだ。新セット『灯争大戦』に収録されているプレインズウォーカーを詳しく解説する。クリーチャーや呪文についても少しだけ言及しよう!構築の観点から新カードを格付けし、すぐにでも活躍が見込めるカードを私なりの見解で紹介していく内容となっている。

今回の記事の主役はプレインズウォーカーだ。このセットには、36枚ものプレインズウォーカー(ボックス購入特典の《橋の主、テゼレット》も含めれば37枚)が収録されている。マジック史上初めてのことだ。素晴らしいアイディアだと思うし、関連するストーリーも魅力的なものとなっている。『灯争大戦』のトレイラーも完成度が高く、先生もすでに5回以上鑑賞してしまった。

だが、今回はフレイバー的な側面を脇に置いておき、競技プレイヤーとしてカードの性能だけにフォーカスしていこう。そこで、私は格付けリストを作ることにした。それぞれのランクについて説明しよう。

戦慄衆の将軍、リリアナ

『灯争大戦』のプレインズウォーカーは、いずれも常在型能力を持っている。過去に例を見ないものであり、類似したカードも存在しなかったため、評価が若干難しい。その多くは、攻撃で破壊されるエンチャントのようなものだと捉えている。もっとも、この”エンチャント”はマナのかからない起動型能力を持っているわけだけど、言いたいことはわかってもらえると思う。

さて、生徒諸君が一番楽しみにしている格付けを見ていこう!

プレインズウォーカー部門

Sランク

黒き剣のギデオン神秘を操る者、ジェイス世界を揺るがす者、ニッサ

《黒き剣のギデオン》

黒き剣のギデオン

私の考えでは、『灯争大戦』で最強のプレインズウォーカーだ。破壊不能の4/4アタッカー、+1能力から入れば3ターン目に忠誠度が5からスタートする。これ以上望むものはあるだろうか?もうすでに十分だろう。いずれにせよ、こいつはゲットしておくべきだ!

+1能力はとても強いな!強力なキーワード能力をアタッカーに付与してやれば、プレイしたターンからすぐに《黒き剣のギデオン》を有効活用できる!かつてのスタンダードで猛威を振るった《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》でさえも、自身をクリーチャー化して攻撃するのか、あるいは他の能力を使うのかを選ばなければならなかった。しかし、《黒き剣のギデオン》は常在型能力でクリーチャーとなるため、忠誠度能力も毎ターン合わせて使うことができる。しかも忠誠度を上げながらだ!ここまで解説したことがたったの3マナで実現できる……?

《神秘を操る者、ジェイス》

神秘を操る者、ジェイス

勝利条件でもあり、継続的なカードアドバンテージ源でもある、青のプレインズウォーカー。同じような役割を果たすプレインズウォーカーをご存知だろうか?ご名答、《ドミナリアの英雄、テフェリー》だ。

ドミナリアの英雄、テフェリー

ただし、《ドミナリアの英雄、テフェリー》の方が1マナ重く、すでにスタンダードでド定番のカードとなっている。もちろん《ドミナリアの英雄、テフェリー》は自分自身を守れるし、土地をアンタップする能力によって呪文による妨害もしやすい。ただ、彼を唱えるには白マナが必要なのだ。早かれ遅かれ、《神秘を操る者、ジェイス》がどこかしらで居場所を見つけるのはほぼ間違いないだろう。

水没した秘密

もしかしたら、《水没した秘密》と合わせて自分のデッキをライブラリーアウトさせるようなデッキが登場するかもしれない。競技大会に持ち込むにはやりすぎなものかもしれないが、可能性がゼロってわけじゃない!

《世界を揺るがす者、ニッサ》

世界を揺るがす者、ニッサ

Sランクのなかでは弱い部類に入るが、このカードには大いに期待している。初期忠誠度が5である5マナのプレインズウォーカーであり、+1能力は自分自身を守ったり、消費した5マナのうち2マナを取り戻せたり、速攻で攻撃したりできる。今までに類を見ないカードだ。

3/3速攻のクリーチャーを何度も作りだす。仮にその土地を破壊されたとしても、常在型能力によって森が生み出すマナは倍になっているため、マナの数では変わらず優位を保てる。新しいニッサは、緑のアグロデッキや彼女を軸にしたランプデッキで使われるのではないだろうか。常在型能力は多色土地にも適用されるから、覚えておくといいだろう。たとえば、赤マナを出すために《踏み鳴らされる地》をタップしたとしても、基本土地タイプの森を持つ土地をタップしていることになる。赤マナと緑マナを1つずつ手にすることができるわけだ。

Aランク

戦慄衆の将軍、リリアナ寛大なる者、アジャニ復讐に燃えた血王、ソリン大いなる創造者、カーン人知を超えるもの、ウギン嵐の伝導者、ラル龍神、ニコル・ボーラス主無き者、サルカンはぐれ影魔道士、ダブリエル

《戦慄衆の将軍、リリアナ》

戦慄衆の将軍、リリアナ

とても強力だが、同時にマナコストが重いプレインズウォーカーだ。《秘宝探究者、ヴラスカ》が現在も多少使われているため、新しいリリアナも黒のミッドレンジやコントロールが1~2枚使うのではないだろうか。

+1能力は常在型能力と相性が良いものとなっている。-4能力も手堅い除去で、特にミッドレンジやアグロデッキに対して全体除去の後に使うものとして適しているだろう。奥義の能力は土地にも及ぶため、普通は「あなたはゲームに勝利する」と読み替えていい。赤単相手にライフが2であるならば話は別だが。

《寛大なる者、アジャニ》

寛大なる者、アジャニ

中心に据えてやれば大きな活躍をするが、そうでなければ一気に弱体化するだろう。彼が機能し、ポテンシャルを発揮するには、十分な数の軽量クリーチャーを用意してやる必要があるのだ。第一の魅力は、赤単に対してこれ1枚で勝てる可能性があることだ。それだけでもあらゆる白緑デッキのサイドボードに採用されてもおかしくない。しかし、更なる魅力は、トークン戦術と相性が良いことである。警戒は《大集団の行進》と抜群の相性であるし、+1/+1カウンターを載せる能力は盤面を広げていくデッキに噛み合うものだ。

《復讐に燃えた血王、ソリン》

復讐に燃えた血王、ソリン

あらゆるアグレッシブなデッキに対して大きな脅威だ。その常在型能力により、自分がクリーチャーをコントロールしていれば、アグロデッキの相手にとって「除去しなければならない」存在となる。しかも、忠誠度が2も上昇する能力を持っているため、非常に破壊しづらいのだ。実質的に忠誠度が6からスタートするが、4マナにしてはこの上ない忠誠度の高さではないだろうか。忠誠度を+2すれば、2つ目の能力も何度も使うことができる。つまり、ソリンはコントロールデッキにとっても厄介な存在となるのだ!


以下のものは、Aマイナスランクとでも呼ぶべきものになる。良質なプレインズウォーカーであり、ポテンシャルも大きいが、ここまで紹介したAランクのものよりは劣るものだ。以降のプレインズウォーカーがスタンダードで活躍するには、『灯争大戦』や今後のセットでサポートする必要性があるかもしれない。

《大いなる創造者、カーン》

大いなる創造者、カーン

強力であることに疑いはないが、活躍させるには十分なお膳立てをする必要がある。今現在、彼を上手く使う方法が思いつかない。常在型能力が現在のスタンダードで有効であるシーンがないからだ。

ボーラスの工作員、テゼレット求道者テゼレット

モダンには《ボーラスの工作員、テゼレット》《求道者テゼレット》のようなカードがあるため、アーティファクトをベースにしたデッキで《大いなる創造者、カーン》の方が好ましいとは思えない。

《大いなる創造者、カーン》が本領を発揮するには、今後のセットを待つしかないかもしれない。だが、優良なアーティファクトが何枚かスタンダードに登場すれば、新しいカーンが戦場に降り立つ日も遠くないだろう!

《人知を超えるもの、ウギン》

人知を超えるもの、ウギン

《秘宝探究者、ヴラスカ》《戦慄衆の将軍、リリアナ》と似たようなカード。+1能力でちょっとしたメリット持ちの2/2トークンを作る6マナのプレインズウォーカーなのだ。《人知を超えるもの、ウギン》は自分を守れるが、初期忠誠度が6の《秘宝探究者、ヴラスカ》と違って初期忠誠度が4であり、奥義も勝利に直結しない。これは大きな違いだ。単体のカードパワーとしてみた場合、3種のなかでもっとも弱いと思われるが、アーティファクトや無色の呪文と組み合わさったときに真価を発揮する。

ウギンは《大いなる創造者、カーン》と似たような立ち位置であり、今後のセットでアーティファクト戦術をサポートするようなカードが何枚か出てくれば、一気に評価を高める可能性がある。そのようなカードが出てこなければ、使用に値しないものとなるだろう。ポテンシャルは十分に高いものを持っているため、今後も存在を忘れないようにすべき1枚だ。

《嵐の伝導者、ラル》

嵐の伝導者、ラル

不思議なプレインズウォーカーである。自分を守れないし、マイナスの能力を上手く使うにも手札に呪文が必要となるのだ。4マナに値するような効果ではない。ところが、ラルを使った一撃必殺のコンボがあるのだ!

嵐の伝導者、ラル選択発展/発破発展/発破

コンボに必要な条件は、ラルが戦場にいること、4マナ以下のインスタントかソーサリーがスタック上にあること、そして《発展/発破》が2枚あることだ。まず、《選択》などの4マナ以下の呪文を唱え、1枚目の《発展/発破》《選択》をコピーし、2枚目の《発展/発破》1枚目の《発展/発破》をでコピーする。すると、《発展/発破》が無限にコピーされ、《嵐の伝導者、ラル》がその回数分の1点ダメージを与える。ドカーン!

正直なところ、このコンボは効率的というよりも、楽しむ要素が強い。達成するには4枚も必要で、決して簡単に揃うものではないからだ。しかし、ラルの占術があれば、コンボパーツも揃えやすくなる。それに占術の能力は忠誠度を2も上昇させ、破壊に手こずるため、実際どうなるのかはわからない。《サヒーリ・ライ》のコンボを思い出してごらん?

《龍神、ニコル・ボーラス》

龍神、ニコル・ボーラス

非常に強い5マナのプレインズウォーカーだ。唯一の問題は、そのマナ拘束の厳しさにある。ちょうどこの5色の色を揃えるのは、多色土地があったとしてもハードルが高い。もし安定して唱えられるようであれば、『灯争大戦』でトップ3に入るプレインズウォーカーだろう。ただ問題なのは、それができるとは思えないことだ……。

+1能力は、忠誠度を上げながら毎ターン2対0交換をする驚異的な強さである。-3能力は、『灯争大戦』のプレインズウォーカーのなかでも、ベストな自己防衛手段だ。常在型能力によって他のプレインズウォーカーの能力も使用できるため、それらの有用な+2能力を使えれば、勝利確定の奥義をいち早く達成することが可能だ。

《主無き者、サルカン》

主無き者、サルカン

プレインズウォーカーに特化したデッキにとって、最高の見返りをもたらす1枚である。プレインズウォーカーを大量に採用したデッキを構築したいのであれば、サルカンは4枚入れるべきだろう!単体で極端に強いというわけではないし、赤系のデッキに必ず入るとも思わない。しかし、ポテンシャルは非常に高く、軽力のプレインズウォーカーが豊富に揃っている現在は特にチャンスだ!

《はぐれ影魔道士、ダブリエル》

はぐれ影魔道士、ダブリエル

アンコモンのプレインズウォーカーで唯一Aランクに入賞した。おめでとう!コントロールに対して頼もしいサイドボードである。マナ拘束も緩く、たったの3マナであり、相手からすれば非常に厄介な効果を持ち合わせている。相手に手札を3枚捨てさせるだけでなく、その過程で多少のダメージも与える可能性がある。とても良くできたデザインだ!

Bランク

Tezzeret, Master of the Bridge炎の職工、チャンドラ時を解す者、テフェリーボーラスの壊乱者、ドムリ伝承の収集者、タミヨウ盾魔道士、テヨ放浪者覆いを割く者、ナーセット謎めいた指導者、カズミナ無頼な扇動者、ティボルト群れの声、アーリン野生造り、ジアン・ヤングー支配の片腕、ドビン死者の災厄、ケイヤ夢を引き裂く者、アショク崇高な工匠、サヒーリビヒモスを招く者、キオーラ群集の威光、ヴラスカ

アンコモンのプレインズウォーカーのほとんどが、かろうじてサイドボードの選択肢に入るものだ。メタゲームが変化し、新しいデッキが発見されない限りはスタンダードに影響を与えないと思われるが、常在型能力がこの予想を覆してしまう可能性はあるだろう。能力に対してマナコストが重く、マイナス能力も弱いものが多い。そのため、常在型能力に大きく依存することになる。

ここに挙げたレアのプレインズウォーカーも、アンコモンのものとあまり大差はない。《時を解す者、テフェリー》《伝承の収集者、タミヨウ》は、メタゲーム次第では多色使われる可能性があるだろう。《橋の主、テゼレット》の能力は6マナという重さに見合っていない。すでに6マナが捻出できる状況であれば、クリーチャーやプレインズウォーカーが「親和」を持つ必要はないのだ。+2能力は強力だが、現在のカードプールでは優良なアーティファクトが不足している。

《炎の職工、チャンドラ》は、奥義が間近にならない限り、対戦相手は破壊しようとしないだろうから、常在型能力はほとんど価値を持たない。《ボーラスの壊乱者、ドムリ》は、前回の《混沌をもたらす者、ドムリ》から大分弱くなってしまったな。

Cランク

野獣の擁護者、ビビアン憎悪に歪む者、オブ・ニクシリス敬慕される炎魔道士、ヤヤ石の嵐、ナヒリ暴君潰し、サムト太陽の義士、ファートリ混沌の船長、アングラス

Cランクのものが構築で使われないのは明らかだ。解説することもそんなにないだろう。


これで全37種のプレインズウォーカーの格付けが終わった。おまけとして、クリーチャーや呪文からも活躍が大いに期待できるものを紹介しよう。簡単にではあるが、根拠も挙げていく。かろうじて使用に値するようなコモンカード1枚1枚を評価していってもしょうがないだろうから、SランクとAランクだけを取り扱う。

クリーチャー部門

Sランク

贖いし者、フェザー永遠神ケフネト永遠神オケチラ残酷な祝賀者

《贖いし者、フェザー》

贖いし者、フェザー

『灯争大戦』のクリーチャーのなかで一番興味をひかれるカードかもしれない。3マナ3/4飛行というだけですでに素晴らしいし、軽量除去では対処されづらい。《稲妻の一撃》《ショック》《喪心》など、いずれも対処不可能だ。

無謀な怒り

また、デッキ構築意欲を掻き立ててくれる。この天使を最大限活用するには、《無謀な怒り》のようなカードがピッタリだ!この新しい強力な3マナのカードがどう使われていくのか楽しみでならない。

《永遠神ケフネト》

永遠神ケフネト

永遠神のなかで最強だろう。4マナ4/5飛行というスペックも素晴らしい。また、他の永遠神よりもマナコストが軽いため、再び唱えやすく、「神」のライブラリーに戻る能力がもっとも噛み合っている。

インスタントやソーサリーをコピーする能力は、カードアドバンテージ源として上手くデザインされているため、青を中心としたミッドレンジデッキの定番カードになるだろう。私は、除去と手札破壊、ドロー呪文が満載のグリクシスで使おうかと考えている。もう1枚のミッドレンジ定番カード、《正気泥棒》とともにね。

《永遠神オケチラ》

永遠神オケチラ

《永遠神ケフネト》に大きく劣るわけではない。白いデッキが5マナ域を使って嬉しいかが怪しいため、私の評価としてはSマイナスだ。ただ、単体としてのカードパワーは驚異的である。まず、3/6二段攻撃というステータス。そして、タフネスが6あるため対処しづらく、対処できたとしてもすぐに戦場に舞い戻ってしまうんだ!

トークンを生成する能力は異次元クラスの強さである。《永遠神オケチラ》が盤面に残った状態でターンが返ってくれば、ゲームオーバーだ《スカラベの神》のことを覚えているだろうか?ついでに、ミシックチャンピオンシップのドラフトでは初手でこいつを引けるようにならないかな?

《残酷な祝賀者》

残酷な祝賀者

少々意外だっただろうか。「アンコモンがSランク?」あぁ、そうだ!マルドゥ・アリストクラッツが一線級になるために必要としていたカードだろう。現状の構築は、《忘れられた神々の僧侶》《災いの歌姫、ジュディス》と1マナのクリーチャーを組み合わせており、Tier2デッキといったところだ。しかし、この期待の新人が加入すれば、新環境で本物のデッキになるかもしれない。

Aランク

ボーラスの占い師戦慄衆の勇者、ネヘブ猪の祟神、イルハグ

《ボーラスの占い師》

ボーラスの占い師

嬉しい再録だ。《運命のきずな》《荒野の再生》を使ったデッキからすれば、最善の2マナ域だろう。《運命のきずな》《濃霧》系のカードを手札に加えやすくなり、序盤のクリーチャーもブロックしてくれる。このデッキが更なる飛躍に向けて必要としていたすべてのものが詰まっている。お願いだから《運命のきずな》を禁止にしないか?😀

《戦慄衆の勇者、ネヘブ》《猪の祟神、イルハグ》

戦慄衆の勇者、ネヘブ猪の祟神、イルハグ

とても面白い能力を持っている。だが、スタンダードで活躍できるかはわからない。オールインする赤系のアグロデッキにはマナコストが重すぎるし、赤緑ビートダウンに入るほどでもないからな。《戦慄衆の勇者、ネヘブ》《猪の祟神、イルハグ》を超強力と言うには速攻が足りない。もしかしたら《野生の律動》と組み合わせ、新しいデッキができるかもしれないな。確たる自信はないため、評価はAマイナスといったところだろう。

呪文部門

Sランク

《古呪》

古呪

素晴らしい。初めてこのカードを画像で見たとき、(黒)(黒)のマナコストの横に数字が足りないに違いないと思った。正しくは4マナ、場合によって5マナの可能性もあるだろうと。仮に「望む数のプレインズウォーカーを対象とし、それらを破壊する」ではなく、「プレインズウォーカー1体を対象とし、それを破壊する」だったとしても十分だったのではないだろうか。しかし実際には望む数を対象にできるため、プレインズウォーカー満載のデッキを作ろうとしているプレイヤーの天敵となるおそれがあるな。最悪の場合は、プレインズウォーカーを複数使うデッキが現れず、黒のミッドレンジの優良なサイドボードの枠に収まることになるだろう。

Aランク

ボーラスの城塞戦乱のラヴニカ戦慄衆の侵略オブ・ニクシリスの残虐ドビンの拒否権永遠の終焉爆発域

《ボーラスの城塞》

ボーラスの城塞

おそらく新セットで一番好奇心をそそられるカードだな。私よりも賢いプレイヤーが、上手い使い方を考えてくれることを願おう。Sランクに入れなかったのは、このカードの能力を十分に発揮させてやれる方法が思いつかないからだ。明らかに強すぎるカードになる可能性もあるし、キッチンテーブルでしか楽しめないコンボカードになる可能性もある。

《戦乱のラヴニカ》

戦乱のラヴニカ

全体除去に優秀な仲間が加わった。全体除去はコントロールデッキにおいて採用したいことが多いが、このカードは単色のアグロデッキ向けのものになっている!多色のミッドレンジに対抗するため、白単ウィニーがサイドボードに採用するのではないだろうか。相手の土地でないパーマネントの8割を追放できるんだぜ?最高じゃないか!白緑トークンはドンマイだな。

《戦慄衆の侵略》

戦慄衆の侵略

《苦花》の再来とまでは言えない。飛行を持つ1/1トークンを量産する方が明らかに強力だ。ライフを払い、数ターンかけて巨大な軍団クリーチャーを育て上げたとしても、単体除去でやられてしまうからな。ただ、《煌めく監視者》《都市侵略》《蔓延する蛮行》を採用し、新メカニズムを存分に使った「動員」デッキが出てきて欲しいと思っている。競技プレイで使うレベルにはないかもしれない。とはいえ、少なくともコントロールに対する2マナのサイドボードカードとして手堅い選択肢となるだろう。そのようなマッチアップではライフがあまり重要でないしな。

《オブ・ニクシリスの残虐》

オブ・ニクシリスの残虐

堅実な除去。特別な能力があるわけではないが、現在のスタンダードであれば大半のクリーチャーを3マナで追放できるのだから注目に値するだろう。

《ドビンの拒否権》

ドビンの拒否権

コントロールミラーでは《否認》よりも頼りになるため、おそらくエスパーコントロールがサイドボードに採用している《否認》と入れ替わるだろう。3か月前、《吸収》《悪意ある妨害》の枠に入ったのと同じようなイメージだ。

《永遠の終焉》

永遠の終焉

「終焉」サイクルには優秀賞を送ろう。なかでも素晴らしいのは《永遠の終焉》であり、単体として使用に値するのはこれだけだと思われる。ただ、(《世界を揺るがす者、ニッサ》を使うような)ランプデッキが《栄光の終焉》をフィニッシャーに据えたり、《啓示の終焉》をドロー呪文として使うのは面白いかもしれない。

《爆発域》

爆発域

土地であるため厳密には呪文部門の格付けに入らないが、言及しておくべきものだろう。手軽に採用できる《漸増爆弾》としてコントロールデッキで頻繁に使われるに違いない。有用な特殊土地であるし、タップインでないのは喜ばしい。

終礼

今回の講義はここまで。居眠りする生徒が出ないように内容を長くならないようにしておいた。講義に出てこなかったカードで評価が気になるものがあれば、Twitterで質問をするように。今回のカード評価に対する反論も歓迎だ。記事が公開され次第、ツイートをする。リプライを飛ばす形で議論を交わしていただければと思う。

今回もお付き合いいただきありがとう。先生はミシックチャンピオンシップ・ロンドン2019へと戦いに行ってくる。ではまた次回の講義で。

グジェゴジュ・コヴァルスキ

この記事内で掲載されたカード

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Grzegorz Kowalski ポーランド出身。 【グランプリ・リール2012】、【グランプリ・ブリュッセル2015】でトップ8入賞。【グランプリ・サンティアゴ2017】では見事準優勝を果たした。 その高い実力はプロツアーでも発揮され、多数の上位入賞、マネーフィニッシュを経験している。 Grzegorz Kowalskiの記事はこちら