ジェスカイプレインズウォーカーとスタンダードのデッキ選択について

Immanuel Gerschenson

Immanuel Gerschenson

Translated by Nobukazu Kato

原文はこちら
(掲載日 2019/05/28)

はじめに

やぁ、みんな。また会えて嬉しいよ。前回の記事から少し時間を置いてしまったから、もし待っていた人がいたなら申し訳ない。

今後数週間、ほとんどのプレイヤーはミシックチャンピオンシップ予選の通過を目指し、スタンダードをやり込むだろう。そんなみなさんのために、微力ながら助け舟を出したいと思っている。

勝率95%の本物

先週は、ほぼ丸々体調を崩していた。しかし、その影響で自宅で家族水入らずの時間を過ごせたのだ。多少時間に余裕があったため、MTGアリーナをインストールすることにした。そう、俺は今までMTGアリーナをプレイしたことがなかった。その魅力を聞かされていたものの、調整に集中したかったのだ。

MTGアリーナをプレイしたことがないということは、構築で使用するカードはゼロに等しいということでもある。初期に配布される構築済みデッキで稼いではリミテッドをするか、あるいは昔ながらの手っ取り早い方法――課金をする必要があった。

思考消去ケイヤの怒りドミナリアの英雄、テフェリー

数クリックしてPayPalで課金し、プレイの準備が整った。最初に手に取ったデッキはエスパーコントロールであり、さらなるカード(ワイルドカード)の獲得にうってつけの競技メタゲームチャレンジに何度か参加してみた。デッキの手ごたえは良かったが、採用しているカードがオールスター級のものであっても統制を取る必要があると感じた。つまり、実際に勝利するには直面している相手に有効なカードを引く必要があるのだ。そう思っている頃、俺はあるデッキを紹介したツイートに困惑することになった。

「参加者142人のミシックチャンピオンシップ予選で準優勝。デッキは信じられないほど強く、楽しいものだった。まるでスタンダードにおけるプリズンを使っているような感覚だ。また使おうと思う。」

とても楽しそうなデッキに思えたが、トップレベルで戦う強さはないだろう――少なくとも当時の俺はそう思っていた。面白そうなことに違いはなかったたため、俺はデッキを組み、MTGアリーナで少し使ってみることにした。さっき話した通りインストールしたばかりだったから、ランクはブロンズTier4であり、ランクマッチの道のりを歩き始めた。使い続けていく過程でカードを何枚か変更しながらも、俺は勝ち続けダイアモンドTier1までたどり着くことができた。

winrate

このデッキでの勝率は95%にも及び、もはや面白いだけのジョークデッキとは言えなくなってしまった。ついにはミシックへと到達したが、赤単との相性が好ましくないのではないかと思うようになり、周囲のプレイヤーもそこに付け込もうとし始めていた。

空に舞うプレインズウォーカー

とすれば、次にやるべきは「攻撃は最大の防御」だったが、それならジョン・ロルフ/John Rolfの配信さえ見ていれば良い。彼は前述の青白プレインズウォーカーが使用していたプレインズウォーカーの大半を採用していたが、違っていたのは赤をタッチしていたことだ。

除去を何枚か入れるためでもあるが、それよりも重要なのは《主無き者、サルカン》だ。従来は2/2のトークンで攻撃するだけであったが、《主無き者、サルカン》は疲弊したプレインズウォーカーを再び空高く舞い上がらせることができる。青白プレインズウォーカーにはなかった、新たな角度からの攻撃方法だ。

「昨日お約束したサイドボードガイドです。《炎の職工、チャンドラ》よりも《ウルザの後継、カーン》というエリック・フローリッヒ/Eric Froehlichの素晴らしいアイディアを採用しました。また、《黎明をもたらす者ライラ》をサイドボードに2枚入れ、赤単との相性の改善を図っています。まだ調整が必要ですが、成長が楽しみなデッキです!」

ここまでの解説で、みなさんもこのデッキに興味を持ったことだろう。しかしみなさんは疑問に思っているのではないだろうか。なぜプレインズウォーカーデッキがそんなにも強いのかと。

俺が思うに、その強さは相手の戦略との噛み合い方にある。つまり、採用されているプレインズウォーカーの多くは相手のゲームプランに対して非常に強いのだ。3ターン目から立て続けに展開され、自身を守りながらも、時の経過とともに小さなアドバンテージを重ねていく。普段はクリーチャーではないため、昨今採用されている除去で対処されることも少ない。ターンを重ねていくと、プレインズウォーカーが続々と展開され、相手のクリーチャーを処理しながらコツコツと毎ターンアドバンテージを蓄積していくのだ。

《古呪》の真の恐ろしさ

古呪

デッキの強さは理解してもらえたと思うが、《古呪》には注意する必要があるぞ?

理論上は大量に展開されたこちらのプレインズウォーカー4体を1枚でなぎ倒せたら素晴らしいように思える。だが、普通は手札にもプレインズウォーカーが蓄えられているため、盤面を再建できる。ここでの真の問題は、《古呪》《戦慄衆の指揮》や相手のプレインズウォーカーと合わせて使われ、忠誠度を大きく上昇させられてしまうことなのだ。

各種マッチアップ解説

では、主要なデッキとの相性を解説しよう。デッキリストは以下のものを参考にさせてもらった。

「今朝は13-2ぐらいの成績で9位から2位まで上がりました。デッキはジョン・ロルフが配信で使用していたジェスカイ・プレインズウォーカーを私なりに調整したものです。《轟音のクラリオン》はアグロに非常に強く、《発展/発破》はマナフラッドなどへの耐性につながります。《時を解す者、テフェリー》の[-3]能力は万能な解答ですね。」

白単

不敗の陣形呪文貫きドビンの拒否権

基本的に《轟音のクラリオン》を引き込む必要があり、引けなかった場合には大抵負けてしまう。相性はほぼ互角と言っていいだろう。相手が青をタッチしているなら、打ち消し呪文に注意する必要がある。また、可能であれば《不敗の陣形》にまんまとやられないようにしよう。

サイドボード後は追加の除去や《黎明をもたらす者ライラ》を投入できるため、全体的に相性が多少良くなる。《黎明をもたらす者ライラ》はダメージレースができない状況下においても、地上のクリーチャーを長い間せき止めておいてくれる。

赤単

ショック稲妻の一撃魔術師の稲妻

おそらく一番厳しい相手だ。白単との対戦と全く同じ状況に置かれるが、相手が最終的に火力呪文で詰め切れるという点で異なる。したがって、こちらも《主無き者、サルカン》を使って速やかにゲームに勝つ必要がある。

ジェスカイプレインズウォーカーの使用経験が豊富ではないため確かなことは言えないが、《主無き者、サルカン》が出るまで《轟音のクラリオン》を温存した方が良いかもしれない。[+1]能力と《轟音のクラリオン》による絆魂が合わされば、ゲームに決着がつくはずだ。

エスパーミッドレンジ

第1管区の勇士正気泥棒古呪

一番対戦したいアーキタイプだろうと思う。《第1管区の勇士》によってトークンが並んだとしても軽量の全体除去があるし、《正気泥棒》にアドバンテージを稼がせない手段も豊富に揃っている。それに相手の手札破壊呪文も大したことはない。というのも、相手は2ターン目の手札破壊呪文にマナを使えば盤面に脅威を展開できないし、3マナのプレインズウォーカーは手札から落とされたところで十分に替えが利くカードだからだ。

2戦目以降は《古呪》が入ってくる可能性があるため、大きな損害を被らないプレイを心がけよう。

スゥルタイミッドレンジ

ハイドロイド混成体ゴルガリの女王、ヴラスカ戦慄衆の指揮

相性の良し悪しは相手のデッキリスト次第だ。主に《ハイドロイド混成体》のために青をタッチしたタイプであれば、相性は良い。こちらのゲームプランの上を行くことを相手がしてこないからだ。

ところが新しいスゥルタイミッドレンジ、大量のプレインズウォーカーに《戦慄衆の指揮》を添えたタイプは脅威的な存在かもしれない。たったの1ターンで盤面を完全に再構築できるのだ。

イゼットフェニックス

弧光のフェニックス約束の終焉稲妻の一撃

これも対戦したい相手の1つだ。《弧光のフェニックス》を復活させるには呪文を連鎖させなければならない。《支配の片腕、ドビン》がいれば《弧光のフェニックス》の復活に少なくとも6マナが必要になり《覆いを割く者、ナーセット》がいればドロー呪文はカードを消費するだけになり、そして《時を解す者、テフェリー》がいれば《約束の終焉》に頼ることもできなくなるのだ。

《覆いを割く者、ナーセット》の能力を使わずに忠誠度を5のままにしておくのは、ひとつの面白いテクニックだ。こうすることで《稲妻の一撃》で除去されず、《弧光のフェニックス》の攻撃も1度までなら耐えられるようになる。

今後のデッキ選択

古呪龍神、ニコル・ボーラス

プレイヤーたちはすぐにこんなことを思い始めるだろう。どうすれば環境での優位を維持したままにできるのかと。

実に良い質問だけど、返答に困る質問でもある。今現在、単独でトップのデッキは存在しない。プレインズウォーカーを軸にしたアーキタイプが最も可能性を感じると思うから、これらを多少調整してみる必要があるだろう。

もしかしたら、エスパーが《龍神、ニコル・ボーラス》のために赤をタッチした形がベストかもしれない。そうすれば《古呪》を除去として使いながらも、忠誠度の上昇効果を悪用できるからね。あるいは、プレインズウォーカー以外の優良な呪文一式を採用した《主無き者、サルカン》デッキも良いかもしれない。時間が経てばわかることだろう。

恐れずにどんどん試してみよう。今のスタンダードは何でもできるオープンな環境だ。今後誕生する、プレインズウォーカーを使わないデッキが最強の座に君臨する可能性だってある。

では、もし明日ミシックチャンピオンシップ予選があるとしたら何を選ぶだろうか?

実験の狂乱時を解す者、テフェリー

正直俺も確信がないが、赤単か、青白を軸にした3色以上のプレインズウォーカーデッキから選ぶだろう。

昨今のメタゲームの変化は速いため、正確なデッキ選択が困難になっている。紙のマジックの方がメタゲームの変化が圧倒的に遅いことも選択を複雑にしている。メタゲーム変遷に違いがあると、たとえばMTGアリーナ上で先週活躍したデッキが今週活躍しなくても、ミシックチャンピオンシップ予選では完璧なデッキ選択になることもありえる。

赤単を候補のひとつに入れたのは、ミシックチャンピオンシップ予選のような大会に備えるプレイヤーは赤系のデッキへの警戒を十分にしないからだ。結果、赤系のデッキに本来よりも多くの黒星をつけられてしまう。

おわりに

微力ながらみなさんの役に立てたのなら幸いである。スタンダードの変化は激しいから、自分自身のデッキを作ることは全く悪くない選択肢だ。マジックにリソースを割くべきタイミングなのかもしれないね。

とにかく、みなさんがきたるスタンダードの大会で活躍できることを祈っている!ここしばらく新しいデッキがなくて寂しかった。面白いデッキが出てくることを首を長くして待っているよ。

イマニュエル・ゲルシェンソン (Twitter)

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Immanuel Gerschenson

Immanuel Gerschenson イマニュエルは構築戦を得意とするプレイヤーで、グランプリ・マドリード2014 (モダン)、そしてグランプリ・セビリア2015 (スタンダード) という2つの大会で頂点をつかみ取った、オーストリア屈指の実力派。 プロツアー『イクサランの相克』ではサイドに《遅延》を採用した独特のトラバース・シャドウを手に、構築ラウンドを9勝1敗で駆け抜け14位に入賞。さらにオーストリア選手権2018では準優勝に輝き、オーストリア代表の座を手にするとともに、ゴールドレベルを手中におさめた。 Immanuel Gerschensonの記事はこちら