コヴァルスキ先生のマジック・プロリーグ第1週レビュー ~ディミーアコントロール~

Grzegorz Kowalski

Grzegorz Kowalski

Translated by Nobukazu Kato

原文はこちら
(掲載日 2019/05/23)

朝礼

みなさんおはよう。グジェゴジュ・コヴァルスキ/Grzegorz Kowalskiだ。

今日の授業ではマジック・プロリーグ(MPL)について少々話した後、なぜ私がMPLで唯一のディミーアコントロールを選んだのかを解説しよう。

マジック・プロリーグについて

MPLはマジック界における新たな試みだ。2019年の初頭に創設され、世界でも有数の32名ものプレイヤーが参加している!1週間に1回のペースで開催されるため、毎週末に観戦することができる。日本時間の午前4時から8時まで、Twitchにて放送され、その週のフィーチャーマッチやハイライト、ベストゲームが取り上げられるんだ!

MPLでは4つのグループに分かれ、それぞれに8人のプレイヤーが割り当てられている。グループ内での総当たり方式であり、スプリット毎に7マッチ対戦することになる(『灯争大戦』スプリットは2019/5/12から5週間にわたって開催される)。各マッチの勝者はミシック・ポイントを2点獲得し、グループの最上位プレイヤーは期間に応じた、MTGアリーナで行われるミシックチャンピオンシップにおいて2日目進出の権利を得る(第1スプリットに対応するのは3度目のミシックチャンピオンシップだ)。つまり、各グループでトップになればなんとトップ16から参加できるのだ!

ディミーア VS エスパー

第1週のメタゲームは以下の通りとなった。

アーキタイプ 使用者数
アゾリウスアグロ 7
エスパーコントロール 6
赤単 4
白単 3
エスパーミッドレンジ 3
ラクドスアグロ 1
バントアグロ 1
グルールアグロ 1
スゥルタイミッドレンジ 1
ディミーアコントロール 1

ディミーアコントロールを選択したのは私だけであった。なぜエスパーコントロールの下位互換であるデッキを使うのか……と多くの人は疑問に思っただろう。だが私はそうは思っていない。エスパーにはないディミーアの最大の利点、それはマナベースだ。土地によりライフを失うことは滅多になく、しかもほぼ間違いなくアンタップインだ。また、《爆発域》のような有用な効果を持つ土地も採用できる。

時を解す者、テフェリー

《時を解す者、テフェリー》が頻繁に使われ、打ち消し呪文の立場が危うくなっている今、《吸収》は以前の輝きを失っている。

覆いを割く者、ナーセット戦慄衆の将軍、リリアナ人知を超えるもの、ウギン

2種類のテフェリーは間違いなく、どちらも試合を決めるカードだが、《覆いを割く者、ナーセット》はそのいずれにも対抗できる。《戦慄衆の将軍、リリアナ》《人知を超えるもの、ウギン》もカードアドバンテージ源や勝利を決定づける戦力として、《ドミナリアの英雄、テフェリー》に見劣りしない。

永遠神の投入

強固なマナベースによる恩恵は、サイドボードを合わせて4枚採用された《永遠神の投入》にも表れている。信じて欲しい、このカードは現在のスタンダードで最強のアグロ対策カードだ。

ここまでの事実を踏まえ、アグロやミッドレンジとの相性はとても良いと考えている。ただ、少なくとも1ゲーム目はコントロールや《運命のきずな》デッキとの相性は非常に好ましくないという側面を抱えている。

ディミーアを選択した理由

ではなぜ、使用率の高いアーキタイプの中に2つも苦手なマッチアップがあるのにもかかわらず、ディミーアコントロールを選択したのか?それはひとえに舞台裏の事情にある。

直近の大型イベントはミシックチャンピオンシップ・ロンドン2019であり、フォーマットはモダンであった。MPLのメンバーは、ミシックチャンピオンシップが終わるまで『灯争大戦』参入後のスタンダードに一切触れなかったはずだ。少なくとも、真剣にスタンダードの調整をした者はいないだろう。そしてミシックチャンピオンシップからMPLのデッキ提出日までは1週間しかなかったのだ!

MPLのメンバーは世界各所に散らばっているため、ロンドンから帰宅し、時差ぼけと戦い、諸々の用事を済ませなければならなかった。そこで、彼らは調整に充てる時間があまりないだろうと想定した。では環境を打破したり、把握したりする時間が十分に取れない場合、普通はどんな行動に出るだろうか?

ベナリアの軍司令ゴブリンの鎖回し

異なる解決策を導き出す人もいるかもしれないが、おそらくアグロデッキから選ぼうとする人が大半のはずだ。一般的にアグロデッキは直線的なゲームプランを1つ持っているため、あらゆるマッチアップを完璧に理解しなくとも勝利を目指せる。ただ能動的に動き、上手くいくように願うのだ。このような考えが頭に浮かんだため、私はこれに従い、メタゲームで勝つことにした。

上記のメタゲームブレイクダウンの通り、この読みは見事に的中した。私を除いて27のデッキの内訳は、アグロが17コントロールが6ミッドレンジが4であり、ネクサスはまったく存在しなかったのだ!

デッキリスト

アゾリウスアグロを使用したクリスティアン・ハウク/Christian Hauckとの1戦はこちらからご覧いただける。

解説ではクリスティアンが有利だと言っていたが、私は違うと思う。理由については後で紹介する「主要なアーキタイプとの相性、サイドボーディング」の項で解説する。まずはデッキリストをご覧いただこう。

主要なアーキタイプとの相性、サイドボーディング

非常に有利

赤単

ギトゥの溶岩走りゴブリンの鎖回し舞台照らし

最も相性が良いマッチアップのひとつだ。大量のライフ回復手段、軽量の妨害要素、太刀打ちできない《永遠神ケフネト》、そしてたった5マナで「あなたはゲームに勝利する」という効果を持つ呪文。これらがあいまって、赤単のプレイヤーは頭を抱えることになる。

実験の狂乱炎の職工、チャンドラ

《実験の狂乱》が最も恐ろしいカードだが、幸いにも《炎の職工、チャンドラ》がその枠に採用される傾向にあるため、対面する機会がめっきり減っている。仮にこの強力なエンチャントを置かれたとしても、勝つことは可能だ。《永遠神ケフネト》や軍団トークンでダメージレースをしたり、《爆発域》《人知を超えるもの、ウギン》で破壊すれば良い。

対 赤単

Out

覆いを割く者、ナーセット 覆いを割く者、ナーセット 覆いを割く者、ナーセット
アズカンタの探索 アズカンタの探索
戦慄衆の将軍、リリアナ 薬術師の眼識

In

永遠の終焉 永遠の終焉 永遠神の投入
渇望の時 渇望の時
強迫 強迫

有利

白単/アゾリウスアグロ

軍団の上陸黒き剣のギデオン敬慕されるロクソドン

基本的には同じデッキだが、唯一の違いはサイドボードに《ドビンの拒否権》が採用されているかどうかだ。相手には火力呪文など、盤面の外からライフを削りきるようなカードがないため、赤単との対戦よりもクリーチャーからのダメージを受けてしまって構わない。従って、クリーチャーを片っ端から除去する必要はないんだ。強力な除去は重要なクリーチャーに使うようにし、それ以外のクリーチャーは《肉儀場の叫び》で全滅させたり、《ボーラスの占い師》で相打ち/ブロックするようにしよう。

白単のブン回りは危険だが、そうでなければ勝てるはずだ。総じて相性が良いマッチアップと言えるだろう。

対 白単/アゾリウスアグロ

Out

覆いを割く者、ナーセット 覆いを割く者、ナーセット 覆いを割く者、ナーセット
アズカンタの探索 アズカンタの探索
戦慄衆の将軍、リリアナ 薬術師の眼識

In

永遠の終焉 永遠の終焉 永遠神の投入
渇望の時 渇望の時
強迫 強迫

グルールアグロ

グルールの呪文砕き再燃するフェニックス主無き者、サルカン

他のアグロデッキほど速度がないため、比較的息をつく余裕がある。ただ、そんな相手がパンチしてくるときには、あまりにも重たいパンチが飛んでくることだろう。

ヴラスカの侮辱

《再燃するフェニックス》《炎の職工、チャンドラ》《主無き者、サルカン》は特定のカードでしか対応できないため、解答を切らしてしまうこともある。《ヴラスカの侮辱》を雑多なクリーチャーに使わないようにし、手札破壊ではプレインズウォーカーを優先して落とすようにしよう。

《稲妻の一撃》《ショック》といったライフを削りきる手段があるため、必要に迫られない限りはライフを保っておくことが大切だ。

対 グルールアグロ

Out

覆いを割く者、ナーセット 覆いを割く者、ナーセット 覆いを割く者、ナーセット
肉儀場の叫び 肉儀場の叫び
アズカンタの探索 薬術師の眼識

In

永遠の終焉 永遠の終焉 永遠神の投入
渇望の時 渇望の時
強迫 強迫

《渇望の時》《肉儀場の叫び》よりも優れている。インスタントであるため、《成長室の守護者》の「順応」に対応して、あるいは《軍勢の戦親分》が戦闘に入る前に除去できるのだ。

やや有利

スゥルタイミッドレンジ

野茂み歩きハイドロイド混成体ビビアン・リード

古き良きスゥルタイ。典型的なリソースの削り合いになる。最大限2:1交換を狙っていこう。こちらのMVPはプレインズウォーカーと《永遠の終焉》であり、相手のMVPは同じくプレインズウォーカーと《ハイドロイド混成体》だ。どちらが盤面を先に確立させ、多くのカードを引くことで雪だるま式にゲームを終わらせるか……という展開になるだろう。

マナクリーチャーを放置してしまうと《ビビアン・リード》が一足早く着地してしまうので、積極的に除去しよう。《ヴラスカの侮辱》はプレインズウォーカー専用の除去として扱い、クリーチャーは比較的弱めの除去で対応だ。ライフが敗因になることは滅多にないので、必要に応じて《翡翠光のレインジャー》の攻撃を何度か受けても構わない。

対 スゥルタイミッドレンジ(先手)

Out

覆いを割く者、ナーセット 覆いを割く者、ナーセット 覆いを割く者、ナーセット
ボーラスの占い師 ボーラスの占い師
肉儀場の叫び 肉儀場の叫び

In

正気泥棒 正気泥棒 正気泥棒 正気泥棒
永遠の終焉 永遠の終焉
永遠神の投入

対 スゥルタイミッドレンジ(後手)

Out

覆いを割く者、ナーセット 覆いを割く者、ナーセット 覆いを割く者、ナーセット 肉儀場の叫び
ボーラスの占い師 ボーラスの占い師

In

正気泥棒 正気泥棒 正気泥棒 正気泥棒
永遠の終焉 永遠の終焉

後手では《肉儀場の叫び》を残し、《ラノワールのエルフ》と3マナのクリーチャーの巻き添えを狙う。先手ではマナコストは重いが非常に強力な除去、《永遠神の投入》をサイドインし、能動的に動こう。

エスパーミッドレンジ

第1管区の勇士正気泥棒時を解す者、テフェリー

ゲーム展開はスゥルタイと似たようなものになるが、エスパーミッドレンジはスゥルタイよりもクリーチャーが弱く、《肉儀場の叫び》に脆いうえ、《ハイドロイド混成体》のような状況を一変させるカードがない。

他方、妨害要素はスゥルタイよりも強力であり、一気に有利な状況を作りだす。《第1管区の勇士》《正気泥棒》は、数ターン生き残れば勝利をもたらせる力を持っている。こいつらには注意を払い、仕事をさせないようにしよう。あらゆる脅威を即座に対処できれば、終盤は圧倒的にこちらのペースになるだろう。

対 エスパーミッドレンジ

Out

覆いを割く者、ナーセット 覆いを割く者、ナーセット 覆いを割く者、ナーセット 薬術師の眼識
ボーラスの占い師 ボーラスの占い師

In

正気泥棒 正気泥棒 正気泥棒 正気泥棒
永遠の終焉 永遠の終焉

やや不利

バントミッドレンジ

野獣の擁護者、ビビアンエリマキ神秘家永遠神オケチラ

《ラノワールのエルフ》から3マナのプレインズウォーカー……という動きは素晴らしいコンボだ。《永遠神オケチラ》も歯止めがききづらい。これらを除けば、問題はないだろう。

バントにはどうしようもないほどのブン回りがあり、あっさりと負けてしまう可能性もある程度は存在するが、フェアな展開ならこちらにも十分に勝てる見込みがある。また、バントはかなり多くのマナを必要とするため、マナクリーチャーを優先して除去するようにし、プレインズウォーカーに活躍させないようにしよう。他のミッドレンジとの対戦と同様に、《永遠の終焉》とプレインズウォーカーが勝ち筋となる。

対 バントミッドレンジ

Out

覆いを割く者、ナーセット 覆いを割く者、ナーセット 覆いを割く者、ナーセット 薬術師の眼識
ボーラスの占い師 ボーラスの占い師

In

正気泥棒 正気泥棒 正気泥棒 正気泥棒
永遠の終焉 永遠の終焉

不利

エスパーコントロール

思考消去覆いを割く者、ナーセットドミナリアの英雄、テフェリー

1ゲーム目は悲惨だ。こちらは腐るカードが多いものの、相手にはほとんどない。サイドボード後の相性は悪くなく、《正気泥棒》を手札破壊で守るのが典型的な展開だ。コントロールミラーにおいて、エスパーコントロールは《時を解す者、テフェリー》に大きく依存する傾向にある。そのため、サイドボードに打ち消し呪文を採用しないようにしている。手札破壊で能動的にプレイしていく方が好ましいのだ。

対 エスパーコントロール

Out

喪心 喪心 ボーラスの占い師 ボーラスの占い師
永遠神の投入 永遠神の投入 永遠神の投入
肉儀場の叫び 肉儀場の叫び

In

正気泥棒 正気泥棒 正気泥棒 正気泥棒
強迫 強迫 強迫
漂流自我 漂流自我

《暴君の嘲笑》は見かけほど悪くない。終盤では自らの《正気泥棒》を守れるし、相手が序盤に出した《正気泥棒》への解答にもなる。《漂流自我》は効果抜群というわけではないが、ネクサス対策として必要なサイドボードであり、エスパーコントロールに対しても、他のサイドアウトするカードに比べれば確実に有効な1枚だ。真っ先に指定するカードは《ドミナリアの英雄、テフェリー》である。

シミックネクサス

アズカンタの探索荒野の再生運命のきずな

1ゲーム目は勝ち目がない。こちらの除去は何もせず、相手にプレッシャーをかけられないうえに、妨害要素も不足している。また、サイドボード後も抜群に改善されるわけではない。依然として勝利までに時間がかかり、妨害要素も不足しがちなため、相手が準備を整えるまでたっぷりと猶予を与えてしまうのだ。

漂流自我

ゲームが長引くため、3枚投入される《漂流自我》がキーカードだ。相手の重要なリソースを追放することができれば優位に立てることだろう。どんなときでも最初に指名すべきカードは、デッキの核である《荒野の再生》だ。相手のライブラリーを確認する際は、クリーチャーが何枚サイドインされたのかも確認し(3ゲーム目のサイドボードはそれに応じて行う)、2枚目の《漂流自我》で指名すべきカードも考えておこう。とはいえ、大抵は《伝承の収集者、タミヨウ》だ。

対 シミックネクサス

Out

暴君の嘲笑 暴君の嘲笑 ボーラスの占い師 ボーラスの占い師
永遠神の投入 永遠神の投入 永遠神の投入
肉儀場の叫び 肉儀場の叫び 喪心

In

正気泥棒 正気泥棒 正気泥棒 正気泥棒
強迫 強迫 強迫
漂流自我 漂流自我 漂流自我

相手がクリーチャーをどれだけ投入してくるかはわからないため、サイドボードは少々難しい。《暴君の嘲笑》をすべてサイドアウトし《喪心》を1枚残すのは、《クロールの銛撃ち》だけでなく《生体性軟泥》も除去できて便利だからだ。

ディミーアコントロールの行く末

メタゲーム上にアグロが多く、エスパーコントロールやネクサスが少ないと思われるのであれば、ディミーアコントロールは素晴らしい選択になるだろう。使ってみることを強くおすすめする。

永遠神ケフネト

ディミーアコントロールの未来についてはいくつか考えを持っている。まず、《永遠神ケフネト》は攻守ともに重要な存在であるため、ぜひとも3枚目を入れたい。複数枚引いてしまっても、そこまで問題ではない。相手はなんとかして《永遠神ケフネト》を処理してくるだろうから、手札にもう1枚ある際はライブラリーに戻る効果を使わなければいいのだ。そうすれば腐るカードを再び引かずに済む。

ボーラスの占い師人質取り

デッキ内で最弱のカードは間違いなく《ボーラスの占い師》である。1/3というサイズが頼もしいのはアグロとの対戦だけであり、それを抜きにしてもすでにアグロとの相性は良い。言うまでもないが、誘発型能力で何も手札に加えられない……という事態も現実的な確率で起こる。

《ボーラスの占い師》を2枚抜き、その枠に《永遠神ケフネト》を1枚追加、そしてサイドボードの《永遠の終焉》を1枚メインに昇格させ、空いたサイドボードの枠には《人質取り》を入れると良いかもしれない。そうすればアグロとの相性をそこまで悪化させず、ミッドレンジとの相性をより良くできるだろう。

今後はメタゲームの変化に目を配り、ディミーアコントロールが使用に値するかを見極めることになる。エスパーコントロールやネクサスが増えるようなら、バントミッドレンジやエスパーミッドレンジに移行した方が良い。だが、そのようなメタゲームにならなければ、喜んでディミーアコントロールを使い続けるだろう!

デッキリストをアップデートした。気になる人は第1週からの変更点をチェックしてみてくれ。」

今回の授業はここまで。次回の出席をお待ちしている。

グジェゴジュ・コヴァルスキ (Twitter / Twitch)

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Grzegorz Kowalski

Grzegorz Kowalski ポーランド出身。 【グランプリ・リール2012】、【グランプリ・ブリュッセル2015】でトップ8入賞。【グランプリ・サンティアゴ2017】では見事準優勝を果たした。 その高い実力はプロツアーでも発揮され、多数の上位入賞、マネーフィニッシュを経験している。 Grzegorz Kowalskiの記事はこちら