コヴァルスキ先生の新環境デッキ講座 ~勝ち組を探せ!~

Grzegorz Kowalski

Grzegorz Kowalski

Translated by Nobukazu Kato

原文はこちら
(掲載日 2020/6/4)

朝礼

みなさんおはよう!先日の禁止制限告知はスタンダードに衝撃を走らせた。ここ1年で使われてきたデッキのなかには、もはや成立しないものさえある。「相棒」が大幅に下方修正されたのだ。新しい可能性を探ることが好きなプレイヤーにとってはまたとないチャンスだろう。

新しい未来がやってくる。そこで今回は、スタンダードの未来予想をお手伝いしたいと思う。新環境の本格的な試金石は来週以降のプレイヤーズツアーになるが、備えるならば今から動き始めたほうがいいだろう!この講義では、私なりの“新環境デッキパワーランキング”をご紹介する。

変更点

まずは先日の告知によるルールの変更点を確認していこう。

「相棒」の新ルール

各ゲーム中に1度だけ、あなたはソーサリーを唱えられるとき(あなたのメイン・フェイズの間でスタックが空であるとき)に(3)を支払うことでサイドボードからあなたの相棒をあなたの手札に加えることができる。これは特別な処理であり、起動型能力ではない。

夢の巣のルールス集めるもの、ウモーリ空を放浪するもの、ヨーリオン

紛れもない下方修正だ。シンプルに捉えるならば、すべての「相棒」が追加で不特定マナを3つ要求するようになった。5ターン目に《空を放浪するもの、ヨーリオン》を唱えられるように4ターン目に3マナを前払いしておくなど、マナの支払いはターンをまたいで行える。ただ、新しいルールでは「相棒」が手札に加わるため、手札破壊に弱くなっている。

「特別な処理」とは、何かを誘発するわけではなく、打ち消されることもなく、マナコストを増減させることもできないということだ。必ずきっかり3マナを支払い、その結果として手札に「相棒」を手札に加える。

禁止

《裏切りの工作員》禁止
《創案の火》禁止

裏切りの工作員創案の火

もうひとつの大きな変更点だ。《裏切りの工作員》は単体では大きな問題でなかった。この手の効果に対して7マナは適正だろう。このカードが問題になってしまった原因は、『イコリア:巨獣の棲処』のカードにある。《軍団のまとめ役、ウィノータ》《銅纏いののけ者、ルーカ》は「マナの踏み倒し」の手段として強すぎたのだ。マジックの歴史を振り返ってみても、スタンダード(やそのほかのフォーマット)を壊してしまうのは何らかの方法でマナを踏み倒すカードであることがほとんどだ。

むかしむかし時を越えた探索出産の殻霊気池の驚異

《むかしむかし》、「探査」呪文、ファイレクシア・マナ。《霊気池の驚異》から《絶え間ない飢餓、ウラモグ》を出していたころのスタンダードを覚えているだろうか。《軍団のまとめ役、ウィノータ》から《裏切りの工作員》はそれに近しいものがある。

空を放浪するもの、ヨーリオン

《創案の火》も同じだ。このエンチャントは『イコリア:巨獣の棲処』発売前から強力だった。4ターン目に4マナを、5ターン目には最大で10マナを生み出していたのだ(その効果は6ターン目以降も続いていく)。「相棒」である《空を放浪するもの、ヨーリオン》が加わったことで、《創案の火》は異次元の強さになった。《空を放浪するもの、ヨーリオン》を2枚目のフリースペルとして唱え、このエンチャントをターン終了時まで追放すれば、それまでに節約した土地のマナを使ってさらなる呪文を唱えられたのだ。

不成立になったアーキタイプ

「相棒」のルール変更と2枚の禁止により、我々は新たなスタンダード環境に突入する。この変更による勝ち組と負け組について語る前に、まずは成立しなくなったデッキから話していこう。

ジェスカイルーカ(ヨーリオン)

創案の火銅纏いののけ者、ルーカ裏切りの工作員

不成立になったのがもっとも明白なデッキだ。核である2枚が禁止されてしまった。

ジェスカイ/4色ウィノータ

軍勢の戦親分軍団のまとめ役、ウィノータ裏切りの工作員

《軍団のまとめ役、ウィノータ》は引き続き使用できるものの、このデッキは今の構成では成立しなくなった。今後もウィノータデッキが出てくるとすれば、ボロスカラーのアグロ型ではないだろうか。《裏切りの工作員》を探し求めるのではなく、盤面のパワーを引き上げることに重きを置いたデッキだ。幸い、《帰還した王、ケンリス》《無傷のハクトス》は人間である!

このデッキは、アリーナ・オープンの調整をしているときにBO1用に作成した試作品である。まだまだ調整が必要なのは間違いないが、ポテンシャルがあるのも確かだ!

赤単アグロ/ラクドスサクリファイス(オボシュ)

熱烈な勇者獲物貫き、オボシュ鍛冶で鍛えられしアナックス

《獲物貫き、オボシュ》はほぼ使えないものになってしまった。攻めに向いた「相棒」に追加の3マナはあまりにも重く、それ相応の価値があるとは思えない。《空を放浪するもの、ヨーリオン》はアゾリウスコントロールなどで生き長らえるかもしれないが、《獲物貫き、オボシュ》は死んでしまった。

ウモーリ/ルールスに依存したデッキ

集めるもの、ウモーリ夢の巣のルールス

グルールミッドレンジ(ウモーリ)や白単オーラ(ルールス)などは「相棒」に頼ることができなくなったため、機能しなくなるだろう。ただ、ボロスサイクリングは《夢の巣のルールス》を唱えずとも十分に機能するデッキであり、引き続きこの「相棒」を採用しながら使われていくはずだ。「6マナの猫」を採用することによるリスクはない。今までよりもインパクトは小さくなり、唱える機会も減るだろうが、それでもサイドボードの枠を1つ割くに値すると思う。

勝ち組

紹介する順序に深い意味はない。のちほど情報をまとめて、最終的なランキングを解説する。

バントランプ(60枚)

自然の怒りのタイタン、ウーロ世界を揺るがす者、ニッサハイドロイド混成体

昔ながらの型。《空を放浪するもの、ヨーリオン》不採用型を指す。バントを構成する各色の最強カードを60枚集めたデッキだ。もちろん最終的な構成は実際のメタゲームに合わせることになるが、ほぼあらゆるものに対応できるだけのパワーと幅広さを備えたカードプールがある。《世界を揺るがす者、ニッサ》《ハイドロイド混成体》、再びきみたちの出番だ!

アゾリウスコントロール(ヨーリオン)

ドビンの拒否権時を解す者、テフェリーエルズペス、死に打ち勝つ

《空を放浪するもの、ヨーリオン》を使うとすればこのデッキしかない。アゾリウスコントロールならば追加の3マナが大きな違いを生むことはないだろう。確かに大幅な下方修正にはなるが、ジェスカイファイアーズやバントランプ(ヨーリオン)のように5マナ域として使うのではなく、このデッキでは終盤に無料のカードとして使うことがほとんどだ。

ティムール再生

成長のらせん荒野の再生発展+発破

このデッキは少し複雑だ。「相棒」の弱体化前から、「相棒」不採用のデッキのなかではベストなものだった。しかし、私の予想では新環境のメタゲームは攻めっ気が強くなり、ティムール再生にとって喜ばしくない状況が生まれるのではないかと踏んでいる。このデッキは相性のよいマッチアップが少なくなり、反対に相性の悪いマッチアップがいくつか出てくるかもしれない。

旧型の赤単アグロ

朱地洞の族長、トーブランエンバレスの宝剣

《エンバレスの宝剣》の力を信じよう。《創案の火》の禁止は《轟音のクラリオン》の禁止とほぼ同義だ。赤単アグロにとっては最高のニュースだろう。見事な復活が期待できる。私から言わせれば、今回の告知の最大の勝ち組はこのデッキだ。今一度《エンバレスの宝剣》《朱地洞の族長、トーブラン》をスリーブに入れよう!

ティムールアドベンチャー

エッジウォールの亭主幸運のクローバー僻境への脱出

過去の経験からみるに、ティムールアドベンチャーは純粋なコントロールと直線的なアグロに強く、それらの中間に位置するものに弱い。私の予想が正しければ、アゾリウスコントロールと赤単アグロが勢力を拡大するため、ティムールアドベンチャーが活躍できる最高の状況が整う。

負け組

ボロスサイクリング

ドラニスの刺突者雄々しい救出者天頂の閃光

いまだに有効なデッキだと思っているが、相性のよいマッチアップを失い、《夢の巣のルールス》も弱体化してしまった。その弱体化はこのデッキにとってさほど問題ではないが、単純にこのデッキはアグロデッキとして赤単アグロに劣る可能性がある(直接対決でも負けるだろう)。

バントランプ(ヨーリオン)

時を解す者、テフェリー空を放浪するもの、ヨーリオンサメ台風

《裏切りの工作員》を失っても使われる可能性はあり、マナ加速すれば《空を放浪するもの、ヨーリオン》に要する3マナもほかのデッキほど重荷にならないかもしれない。だが、私は60枚の型を使いたいと思っている。デッキの安定性を語るうえで、20枚の増量は無視できない代償だ。

ティムールエレメンタル

発現する浅瀬茨の騎兵発生の根本原理

《裏切りの工作員》を禁止されたことで、このデッキは大きなゴールを失ってしまった。もはや80枚のヨーリオン型を使う理由はなく、エレメンタルシナジーは7枚の初手でフェアデッキと戦えるほど強くはない

新環境のデッキパワーランキングとサンプルデッキリスト

1位:バントランプ(60枚)

マジックフェスト・オンラインのWeekly Championshipを優勝したオンドレイ・ストラスキー/Ondrej Straskyのデッキリストで新環境をスタートし、周囲のデッキに合わせて調整していこうと考えている。言うまでもなく当時と違って《裏切りの工作員》は使えないため、私なりの変更を加えたデッキリストを示そう。

自然の怒りのタイタン、ウーロエルズペス、死に打ち勝つ世界を揺るがす者、ニッサ

2位:赤単アグロ

熱烈な勇者鍛冶で鍛えられしアナックスエンバレスの宝剣

3位:ティムール再生

成長のらせん荒野の再生発展+発破

4位:アゾリウスコントロール(ヨーリオン)

ドビンの拒否権時を解す者、テフェリー空の粉砕

5位:ボロスサイクリング(ルールス)

繁栄の狐天頂の閃光雄々しい救出者

終礼

今回の告知に対する私の第一印象はこのようなところだ。これから実際に試し、私の予想が的中しているか確かめていこうと思う。答えはプレイヤーズツアーが示してくれることだろう!

ではまた次回の講義で。

グジェゴジュ・コヴァルスキ (Twitter / Twitch / Youtube)

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Grzegorz Kowalski

Grzegorz Kowalski ポーランド出身。 【グランプリ・リール2012】、【グランプリ・ブリュッセル2015】でトップ8入賞。【グランプリ・サンティアゴ2017】では見事準優勝を果たした。 その高い実力はプロツアーでも発揮され、多数の上位入賞、マネーフィニッシュを経験している。 Grzegorz Kowalskiの記事はこちら