コヴァルスキ先生のラクドスエスケープ講座

Grzegorz Kowalski

Grzegorz Kowalski

Translated by Kohei Kido

原文はこちら
(掲載日 2020/10/17)

朝礼

みなさん、おはよう。知っているとは思うが、スタンダードに影響の大きい禁止制限告知が先週の月曜日に実施された。《創造の座、オムナス》《幸運のクローバー》、そして《僻境への脱出》がスタンダードで禁止になったのだ。これらのカードに処分が下ったいま、また心からマジックを楽しんでいると言えるようになった。今回は、この数日で学んだことについて書こうと思う。

このツイートにもあるように、禁止制限告知の前からラクドスエスケープが大好きだった。みんな《創造の座、オムナス》に飽きて使うことを拒んでいたから、MTGアリーナのランク戦には最適だったのだ。ミシックランクの#1を目指してランク戦をこなしている間、”4色の怪物”を使ったデッキと当たった割合は10%未満だった。#1に到達できたのはそのおかげとしか言いようがない。相性は最悪で改善することも困難だったのだ(少なくとも私の意見では)。

幸いなことに、ついにやつは消えた。覆せないほど不利な相性だった唯一のデッキが消えたのだ。MTGアリーナに更新が来たら、当然すぐにラクドスエスケープを使い始め、何枚かカードを入れ替えて試行錯誤を再開した。私は間違いなく失望などしていなかったのだ。

デッキリスト

これが今の私のデッキリストだ。

主なゲームプラン

死の飢えのタイタン、クロクサ砕骨の巨人

ラクドスエスケープは戦略的には古典的なミッドレンジデッキだ。アグロ相手にはコントロールとして立ち回り、コントロール相手にはアグロとしてプレイしたい。ほとんどのゲームで1:1交換を繰り返して、《砕骨の巨人》や「切削」で「脱出」持ちのカードを落としてわずかなカードアドバンテージを得ていく。相手の盤面を空にするまでこれを続けたら、《死の飢えのタイタン、クロクサ》を「脱出」させて2ターンほどで相手を打ち倒す。

アガディームの覚醒マグマの媒介者

「脱出」コストとして何を墓地から追放するかは常に気を付けよう。ゲームに影響を及ぼす選択になるからだ。クリーチャーを残しておくとあとで《アガディームの覚醒》を引いたときにリアニメイトできるし、インスタント・ソーサリーを残しておくと《マグマの媒介者》のサイズを上げれる。その試合でどちらが重要なのか考えるようにしよう。

カード選択

デッキのカードについても少し話そう。

デッキの中核

死の飢えのタイタン、クロクサ

4

ぬかるみのトリトン

4

ティマレット、死者を呼び出す

4

これらのカードは常に4枚入れるべきだ。自分を「切削」することで《死の飢えのタイタン、クロクサ》の燃料になる。《ぬかるみのトリトン》は単体でも実用的なクリーチャーで、緑のアグロデッキが多い今は特に強い。《死の飢えのタイタン、クロクサ》が主な勝ち手段なので、「切削」して墓地に落とせる確率は最大化したい。

除去

血の長の渇き

2

棘平原の危険

2

無情な行動

3

残忍な騎士

2

ハグラの噛み殺し

2

髑髏砕きの一撃

2

死者を目覚めさせる者、リリアナ

2

このデッキの優れている部分だ。特筆すべきは、完全にカスタマイズ可能なことである。《棘平原の危険》は除去としては弱いが、土地としても使えるためその価値は上がっているかもしれない。《ハグラの噛み殺し》《髑髏砕きの一撃》についても同じことが言える。

現在の環境では《無情な行動》が最良の除去だと感じた。マナ・コストが軽く、スタンダードにいるほとんどのクリーチャーを除去できるし、何よりも重要なことはインスタントであることだ。《原初の力》や自分のターン終了時に出てくる「ならず者」たちに対応することを考えると、インスタントタイミングで除去できることは重要だ。

クリーチャー

マグマの媒介者

3

砕骨の巨人

4

夜鷲のあさり屋

3

悪ふざけの名人、ランクル

2

《死の飢えのタイタン、クロクサ》《ぬかるみのトリトン》についてはもう言及したから残りについて語ろう。《砕骨の巨人》をここに入れたのは、私にとって《残忍な騎士》が《強い除去/弱いクリーチャー》であるのに対して、《砕骨の巨人》は《強いクリーチャー/弱い除去》だからだ。いずれにしても、私は常に4枚の巨人をプレイしている。

《マグマの媒介者》は非常に面白いカードだ。1枚だけ引いたときには「とても」強いと感じた。《タルモゴイフ》のように墓地の力を得て大きくなる要素よりも、最新版の《マーフォークの物あさり》としての要素のほうが重要だから複数枚は引きたくない。なので3枚になっている。2枚に減らすことはあるかもしれないが、もう二度と4枚に戻すことはないだろう。

《夜鷲のあさり屋》が入っているのは、今のメタゲームでのアグロの多さに合わせているからだ。ただ、環境はすぐに変わってしまうことを覚えておいてくれ。ミッドレンジやコントロールデッキが増えたら、《夜鷲のあさり屋》の一部を《アゴナスの雄牛》に変えていいかもしれない。

マッチアップガイド

ディミーアローグ:非常に有利

冗談で言っているわけではない。現在のスタンダード環境のデッキの中で一番有利な相手だと言ってもいい。相手の圧力を食い止めるだけの除去が入っていて、相手はこちらを「切削」して塩を送ってくれる。そして大きな「脱出」コスト(《死の飢えのタイタン、クロクサ》で5枚、《アゴナスの雄牛》で8枚)のおかげで、相手の《空飛ぶ思考盗み》《湖での水難》は力を発揮できないようになるのだ。

《夢の巣のルールス》型のデッキと当たったときには、まず自分の土地をすべて墓地から追放しよう。従来型のデッキなら《トリックスター、ザレス・サン》のことを念頭に相手の戦場に戻されたら困るクリーチャーを優先的に墓地から追放しよう。《アガディームの覚醒》が不憫だけどね……

vs. ディミーアローグ

Out

死より選ばれしティマレット 死より選ばれしティマレット 死より選ばれしティマレット 死より選ばれしティマレット
悪ふざけの名人、ランクル 悪ふざけの名人、ランクル

In

スカイクレイブの影 スカイクレイブの影 スカイクレイブの影
焦熱の竜火 焦熱の竜火
アゴナスの雄牛

《厚かましい借り手》《悪ふざけの名人、ランクル》の入った古いデッキリストと戦っているなら、《死者を目覚めさせる者、リリアナ》2枚の代わりに《切り裂かれた帆》を2枚入れてもいいかもしれないとは言っておこう。

アグロ(緑単・グルール・赤単):有利

切り裂かれた帆

古典的なミッドレンジ対アグロの試合だ。相手の盤面をすべて除去し、でかいフィニッシャーで勝とう。メインデッキのMVPは《夜鷲のあさり屋》だ。《切り裂かれた帆》は、緑単の《グレートヘンジ》や赤いデッキの《エンバレスの宝剣》を処理できるのに加えて、《石とぐろの海蛇》に対する除去にもなるからどの色のデッキを相手にしても強い。

相手に《グレートヘンジ》を出されないように自分のターンで除去を使うことが正しい場合もある。一方で相手のターンに除去を使えば《原初の力》を使われるかもしれないから、常に正しいわけではない。いつでも先入観を持たずに、状況に合わせて一番妥当なプレイングを心がけよう。

サイドボード(緑単とグルール)

Out

マグマの媒介者 マグマの媒介者
悪ふざけの名人、ランクル 悪ふざけの名人、ランクル
アガディームの覚醒

In

焦熱の竜火 焦熱の竜火
切り裂かれた帆 切り裂かれた帆
夜鷲のあさり屋

サイドボード(赤単)

Out

悪ふざけの名人、ランクル 悪ふざけの名人、ランクル
アガディームの覚醒

In

焦熱の竜火 焦熱の竜火
夜鷲のあさり屋

ミラーマッチ:互角

アゴナスの雄牛

往々にして、より多く「切削」したほうが勝つ。《ぬかるみのトリトン》《ティマレット、死者を呼び出す》が重要なカードになる。環境でミラーマッチが増えていると感じたなら、メインデッキに1-2枚《アゴナスの雄牛》を入れるべきだ。

ゲーム中、手札に余裕があれば2ターン目に《死の飢えのタイタン、クロクサ》を使わないようにしよう。手札に残しておいて、相手の《死の飢えのタイタン、クロクサ》の効果で捨てたほうがいい場合が多い。

魂標ランタン

当たり前のことかもしれないが、サイドボード後に《魂標ランタン》を1ターン目に出さないようにしよう。戦場に出たときの誘発効果で対象に取りたいものが落ちるのを待つか、相手の墓地にカードが5枚以上貯まってから使うんだ(《死の飢えのタイタン、クロクサ》の恐ろしさはご存じの通り)。

vs. ミラーマッチ

Out

悪ふざけの名人、ランクル 悪ふざけの名人、ランクル
無情な行動 マグマの媒介者
夜鷲のあさり屋
アガディームの覚醒

In

塵へのしがみつき 塵へのしがみつき
焦熱の竜火 焦熱の竜火
アゴナスの雄牛
魂標ランタン

コントロール:おそらく有利だが、相手の構築と墓地対策の枚数に依存する

まだ環境でどういうコントロールが流行るのかわからないからコントロールについて多くを語るのは難しい。一般論としては「脱出」持ちのカードを使ってバリューを生み、なるべく早く相手に対してプレッシャーをかけていきたい。これが《マグマの媒介者》《マーフォークの物あさり》ではなく《タルモゴイフ》として使いたい唯一の対戦相手だ。

《ぬかるみのトリトン》(もしくはほかの2マナクリーチャー)と《砕骨の巨人》が手札にあるなら、2ターン目に《ぬかるみのトリトン》を出して3ターン目に《砕骨の巨人》を出すのは正しい。《砕骨の巨人》の「出来事」はあまり意味を持たないからね。

vs. コントロール

Out

無情な行動 無情な行動 無情な行動
棘平原の危険 棘平原の危険
血の長の渇き 血の長の渇き

In

強迫 強迫 強迫
スカイクレイブの影 スカイクレイブの影 スカイクレイブの影
アゴナスの雄牛

ゴルガリアドベンチャー:とても不利

漁る軟泥

《漁る軟泥》が悪夢となる。相手は「出来事」持ちのカードに加えて《エッジウォールの亭主》《グレートヘンジ》でたくさんカードアドバンテージを得る手段を持っているから、こちらの1:1交換を用いた戦略はあまり頼りにできない。しかも、《漁る軟泥》単独で「墓地を使って勝利しよう」というデッキコンセプトは粉砕されてしまうのだ。

正直に言ってこちらにできることはあまりない。《エッジウォールの亭主》は生かさず、なるべくアグロ寄りにプレイしよう。運がよければ、相手がゲーム後半の強さを発揮する前にライフを削り切れるかもしれない。

終礼

今日の授業はここまで。環境にあるデッキは多様でゴルガリアドベンチャーだけが不利な相手なので、ランク戦でラクドスエスケープはいい選択肢になると思う。使っていて楽しいデッキであるし、どの試合も違う展開になるからすぐに飽きてしまうことはない。

何か疑問があればTwitterで気軽に聞いてくれ。(リプライするのに一番いいツイートはこの記事に貼ったツイートだ。)ラクドスエスケープを気に入ってもらえたり、いい結果を残せたときにも教えてくれ!

よい一日を。そしてご清聴ありがとう!

次会うときまで。

グジェゴジュ・コヴァルスキ (Twitch / Youtube / Twitter)

この記事内で掲載されたカード

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Grzegorz Kowalski

Grzegorz Kowalski ポーランド出身。 【グランプリ・リール2012】、【グランプリ・ブリュッセル2015】でトップ8入賞。【グランプリ・サンティアゴ2017】では見事準優勝を果たした。 その高い実力はプロツアーでも発揮され、多数の上位入賞、マネーフィニッシュを経験している。 Grzegorz Kowalskiの記事はこちら