週刊 統率者戦デッキを作る vol.4 アーティファクトを試そう
統率者戦デッキの構築をサポートする「週刊統率者デッキを作る」も今回で4回目!
第一回はこちら!
- 2021/03/18
- 週刊 統率者戦デッキを作る vol.1 「自由に作品を作ろう」
- いってつ
統率者戦は往年のパワーカード、トーナメントで禁止された経歴を持つカードもたくさん使えてしまいます。なかでもアーティファクトには”ぶっこわれ”カードが多く存在します。
今回は統率者戦の顔ともいえるアーティファクトをご紹介していきます。
統率者戦とアーティファクト
統率者戦はカードプールが非常に広く、禁止カードもごく少なくなっています。アーティファクトが大好きで「コレクションを使うため」に統率者戦を始めた、という方に出会ったこともあります。
アーティファクトはそのほとんどが無色であるため、どんな統率者でも使うことができます。マナ加速が苦手な色がマナ加速に使う、ドローが苦手なデッキがドローに使うといった、潤滑液的な立ち位置ともいえるでしょう。
ただし、カードは無色であっても、《青の魔力貯蔵器》などテキストにマナシンボルが書かれているカードは固有色を持つので注意。
今回紹介するカードの中には、高価なものも含まれ、初心者の方にはなかなか手が出ないものもあるかもしれません。しかしすべてのカードが必須というわけではありません。統率者戦にどっぷりはまって、「もっとレベルを高めたい!」と思ってからで大丈夫です。
ある程度カードを知っておくと相手に使われたときにしっかり対応でき、よりスムーズに、より有利にゲームを楽しめるので、今日はお勉強だけしていきましょう!
余裕のある方はぜひ晴れる屋をご利用ください。
アーティファクトの特性ごとにある程度ジャンル分けをし、統率者戦でよく使われる代表的なものや、安価で採用しやすいカードを中心に紹介していきます。
マナ加速
0マナで設置できるマナ加速
統率者戦では使えます。
上に挙げた三枚は特によく見かけるカードと言ってよいでしょう。1ターン目から2マナ3マナぶんの行動を現実にします。需要が高く、その分高価ですが、いざ使ってみるとそのパワーを実感できるはず。ほかには《モックス・アンバー》《モックス・ダイアモンド》が有名。
自身のコストより多くのマナを出す
コストはかかるものの、そのコスト以上のマナを出すため、唱えたターンから行動数を増やしてくれる強力なマナ加速です。
《太陽の指輪》は再録機会が非常に多く、安価。目にする機会もとても多いですね。
《魔力の櫃》《厳かなモノリス》はアンタップするのに多くのマナが必要になるので、二回目以降の起動はマナを貯金するような動きになります。時にはそのままゲーム終了まで寝たきりになることも。
しかし《通電式キー》《多用途の鍵》があれば1マナでアンタップができるようになり、非常に効率の高いマナ加速となります。
《厳かなモノリス》は《黎明起こし、ザーダ》 《Power Artifact》は非常に強力なシナジーがあります。アンタップするためのコストがタップで生み出されるマナよりも軽くなるので、無色無限マナに達します。盤面にそろいそうになったらどちらかを破壊しましょう。
コストの軽いマナ加速
高価な「モックス」や《太陽の指輪》にはかないませんが、序盤にマナを伸ばしていけるアーティファクト。安価なものが多いので、まずはこのあたりから試していきましょう!
《永遠溢れの杯》は序盤に引いたなら2マナから1マナでるアーティファクトですが、中盤以降、マナに余裕があるなら「4マナから2マナ」「6マナから3マナ」という使い方もできます。《精神石》は終盤ドローに変えることができますし、 《虹色のレンズ》 はマナ1つの色を変える「フィルター」としても働きます。
コストがやや重いが効率の良いマナ加速
唱えるコスト以上のマナは出ませんが、それでも次のターンの行動数を飛躍的に増やすことができます。《玄武岩のモノリス》も《黎明起こし、ザーダ》と組み合わせて無限マナになります。《彩色の宇宙儀》から出るマナは無色ですが、自身の効果でマナの色を望む色として扱えるようになるので、多色かつ行動数の多いデッキでは非常に強力です。
こういった2マナ以上を生み出すアーティファクトは前述の《通電式キー》などでアンタップすることで大量のマナを出すことができます。
有名な無限マナコンボ
どの色のデッキでも採用できる無限マナコンボをご紹介しておきます。相手がパーツをそろえ始めたら要注意です。無理に採用する必要はありませんが、覚えておくとよいでしょう。
通称バサルトブライト。アンタップ状態の両カードと2マナで無限マナが成立します。
《玄武岩のモノリス》をタップ、無色3マナを出す。出た3マナで《玄武岩のモノリス》の自身をアンタップする起動型能力を起動。それにあわせて《ブライトハースの指輪》の能力でこの《玄武岩のモノリス》の起動型能力をコピーします。これを解決すると《玄武岩のモノリス》が2回アンタップされますが、アンタップされるたびにタップして3マナを2回出します。これで無色6マナが生まれました。この6マナから3マナで《玄武岩のモノリス》をアンタップ、それを2マナで《ブライトハースの指輪》を使いコピー……この繰り返しで、一周ごとに1マナが余るので無限マナになります。
アーティファクトのサーチが得意で無限マナの注ぎ口も優秀なものが多い、青が含まれるデッキでよく採用されている印象があります。怪しいと思ったら割っておきましょう。
ダイアモンドサイクル
2マナから有色1マナを出します。タップして戦場に出るため、テンポはイマイチですが『統率者レジェンズ』版が非常に安価です。
マナ加速クリーチャー
マナを出すクリーチャーは緑だけのものではありません。緑と比べると効率が悪いかもしれませんが、なかなか優秀なものもいます。
《パラジウムのマイア》は3マナから2マナ出すクリーチャー。召喚酔いがあるためすぐにはマナが出ませんが、2/2は程よいサイズの壁にも。
《疫病のマイア》は「感染」を持っているため変なプレッシャーをかけられます。かけすぎて除去されてしまうことも……。
《金属細工師》はかつて統率者戦でも禁止にされていた経歴を持つカード。アーティファクトを多用するデッキなら一挙6マナだって夢じゃありません。見れば見るほどイラストがかわいい。ビーッ。
ほかにも無色マナを出すクリーチャーとして《マナキン人形》《ミリキン人形》《面晶体の這行器》などがいます。
有色マナを出すマイアたち。召喚酔いのテンポロスはありますが、ブロッカーとしても使えますし、ダイアモンドサイクルより見かける機会が多いです。クリーチャーシナジーが強いデッキなら積極的に採用できそうです。
令和のブラック・ロータス
『統率者レジェンズ』で登場し、「令和のブラック・ロータスだ!」「統率者戦がぶっ壊れるぞ!」と話題になった《宝石の睡蓮》。なんと0マナから一挙3マナ出ます。
実態としては、色拘束の強い統率者では使いにくかったり、統率者を出した後に引いても手札で温存するはめになったりと、万能! 最強! という感じではありません。しかし単色統率者を圧倒的なスピードで唱えたり、二度目三度目の統率者税を払うのに当てたりと、けっして弱いカードではありません。
多色デッキを支えるカード
《秘儀の印鑑》
むしろなぜ入れないんだ。
統率者と同じ色が出せるようになるので、事実上好きな色が出せるアーティファクトです。2マナから1マナを生み出し効率が良く、生み出すマナも有色なので単色デッキでもしばしば採用されています。
印鑑サイクル
無色1マナから有色の組みあわせ2マナを出します。《太陽の指輪》から出た無色マナを変換しつつ増やすことができるので多色デッキの序盤を支えてくれます。これ単体ではマナが出ないことに気を付けましょう。対抗色5組の組み合わせ、《オルゾフの印鑑》《ゴルガリの印鑑》《シミックの印鑑》《イゼットの印鑑》《ボロスの印鑑》もあります。
タリスマンサイクル
「印鑑」と似た立ち位置ですが、これ単体でもマナが出せるのが強み。ただし色マナを出すとダメージを受けます。色マナは一つしか出ないことにも注意。これにも対抗色5組《聖列のタリスマン》《反発のタリスマン》《好奇のタリスマン》《独創のタリスマン》《確信のタリスマン》があります。
そのほかの多色化支援
《彩色の灯籠》は土地すべてを《統率の塔》にするようなもの。このアーティファクトからもマナが出せるので、マナ加速をしながら色問題を一気に解決することができます。《血染めの月》を出されていても好きな色マナが出せます。《彩色の宇宙儀》とは微妙に違うので注意。
《統率者の宝球》は1マナ重くなった分色マナが出せるようになった《精神石》のようなカードです。マナ基盤が整ったらドローに変えちゃいましょう。
《探検の地図》は土地サーチの苦手な色でも好きな土地を持ってこれるようになります。《統率の塔》やコンボパーツを持ってくることが多いでしょう。
ドロー・手札改善
《師範の占い独楽》はドローの前借りやライブラリートップ操作ができます。様々な無限コンボのパーツにもなります。《ボーラスの城塞》があれば1点のライフ支払いでドローできますし、アーティファクトを唱えるコストを1軽減させた状態で《神秘の炉》や 《映し光るもの、アマレス》 と並べれば無限ドローです。
《巻物棚》は手札とライブラリーのカードを交換するようなアーティファクト。手札の枚数は増えませんが、ライブラリーを切りなおすカードと組み合わせることで手札の内容がぐんぐんよくなっていきます。こちらも《師範の占い独楽》同様、 《虎の影、百合子》 といったライブラリーの上のカードをめくる効果と非常に相性がいいですね。
《精神迷わせの秘本》は回数制限があるものの、占術もドローもできます。序盤は手札を整え、中盤以降はドロー。
《空中走査器》は戦場に出ながらドロー。飛行持ちブロッカーとしての余生が待っています。
《巡礼者の目》は基本土地をサーチしてくることができます。アーティファクトではありませんが、似たカードに《彼方見》があります。
《真面目な身代わり》は定番ですね。土地加速をしつつ、ブロッカーになり、死亡したときにドローができます。
対戦相手にもドローさせてしまいますが、継続的にドローしていけるアーティファクト。どちらかというとドロー加速より、対戦相手のドローを咎める《船殻破り》や《精神破壊者、ネクサル》とのコンボで使われがち。
よく見かける装備品
統率者を守るのによく使われる装備品。速攻もつくのですぐに殴ったりタップを伴う起動型効果を使えたりと便利です。《稲妻のすね当て》の「被覆」は自分の呪文や能力の対象にも取れなくなってしまうので、装備・オーラ戦略を使う場合は注意です。
いずれも登場してから活躍し続けている有名な装備品ですね。考えなしに採用できるカードではありませんが、積極的に戦闘するデッキならアドバンテージを供給し続けてくれます。
特に《頭蓋骨絞め》は継続的に1/1トークンを生み出すデッキと非常に相性がよく、たった1マナでどんどんドローできてしまいます。
その他便利な無色カードたち
マジックの歴史はアーティファクトの歴史。本当はアーティファクトクリーチャーだけでも前後編が書けるくらい、素敵なコがたくさんいるのですが、そんなペースではいつまでたってもデッキが完成しないので、今回はごくごく一部をご紹介します。
《石とぐろの海蛇》:初手にあっても終盤に引いても使い道があります。プロテクション(多色)なので、多色の殴り統率者《虎の影、百合子》や《精霊の魂、アニマー》をやさしくキャッチします。
《晶洞ゴーレム》:トランプル、5/3。戦闘ダメージを与えると統率者領域から統率者をタダで唱えることができます。統率者税は払う必要がありますが、色拘束の厳しい《大祖始》やとにかくコストの重い《真実の解体者、コジレック》といった統率者ならかなりのバリュー。
《歩行バリスタ》:無限マナを発生させたのち、無限ダメージを飛ばすコンボパーツとして有名ですが、壁として立てておきながらいざというときダメージを飛ばせて、単体としての性能も決して悪くありません。プレインズウォーカーにもダメージを飛ばせますし、マナが余ってしまったら再びチャージも可能です。
コスト0のアーティファクトクリーチャーたちです。装備品戦略の装備先にしたり、クリーチャーが戦場に出ることで誘発する能力を使ったりと、デッキによっては非常に重要なパーツになります。
唱えた後、カウンターを乗せずに起動することで0マナアーティファクトが全滅。モックスや《魔力の墓所》を手に入れるまではこれでうっ憤を晴らしましょう。トークン軍団も一網打尽です。
これは無色のソーサリー。アーティファクトではありませんが、固有色にとらわれずどんなデッキにも入れられます。有色のパーマネントを生贄に捧げさせるので、土地とアーティファクト以外はほぼ全滅します。破壊不能や呪禁でも関係ありません。《恐怖の神、ターグリッド》にだけはご注意ください。
いやがらせ置物は白だけのものではないのである。こういったカードを搭載したデッキはゲームスピードを落として、そのすきにコンボを狙ってきます。早めに破壊しましょう。特に《三なる宝球》は《激情の後見》や「待機」を持つ呪文などといった「マナ・コストを支払うことなく唱える」カードにも3マナの支払いを求める極悪カード。
クリーチャーを生贄に捧げる(サクリファイス)ことができるパーマネント、通称「サクり台」。特にこの二つは無限コンボのパーツになるわ、プレインズウォーカーが生んだトークンを即放り投げてマナにするわでいろんな悪さをしています。
アーティファクトの弱点
周囲のプレイヤーが高額なアーティファクトをたくさん使っていて悔しい思いをしたなら、いっそ破壊行動に打って出るのも一つの手です。どんな高額マナ・アーティファクトも一撃ですよ。やっぱり自然が一番ですね。
アーティファクトの起動能力を停止させます。わかりやすい。特に《溜め込み屋のアウフ》はマナ加速をアーティファクトに頼らない緑の統率者で採用例が非常に多いです。
白・赤・緑はアーティファクト破壊が可能です。赤はインスタントタイミングでの破壊が多いようです。 《汚損破》 なる極悪な選択肢もあります。かと思えば緑には《進歩の災い》や《活性の力》がありますし、白なんて《存在の破棄》や《忘却の輪》で追放します。
当然のことではありますが、デッキに入れていないカードは使うことができません。統率者戦にはサイドボードでさえありません。こうした、相手を妨害するカードはデッキ調整の過程でどうしてもリストからこぼれがちですが、自分のプランを押し通すだけでなく、相手のコンボを止めるためのカードも採用を検討しましょう。
今回のまとめ
今回は様々なデッキに採用できる汎用性の高いアーティファクトをご紹介してきました。
中には非常に高額なものもあって驚かせてしまったかもしれません。高額なカードには高額になるだけのパワーがあるのも確かですが、今すぐ買え! というわけではありません。くどいようですが、統率者戦は大会が無く、競技フォーマットと違い、構築を急がなくていいのです。ゆっくり少しずつデッキを育てていきましょう。
決心がついた方はぜひ晴れる屋をご利用ください!
- 2021/02/21
- 統率者列伝 vol.1 ~《迷える探求者、梓》~
- トロピ大塚
実際の統率者戦デッキを毎週紹介する「統率者列伝」も併せてご参考にどうぞ!
今回は高額カードをたくさん紹介しすぎてしまいました。いってつも火の車です。
来週は思い描いた勝利を実現するにはどうしたらいいか、一緒に考えてみましょう。「勝ち筋の考察」。更新をお楽しみに!