あなたの隣のプレインズウォーカー 第116回 We are ファイレクシアン

若月 繭子

はじめに

こんにちは、若月です。『モダンホライゾン2』に合わせ、ついにクリーチャー・タイプ「ファイレクシアン」が過去のカードにも適用されました。

スカージの使い魔骨砕きファイレクシアン・細菌トークン

今のところ、紙で印刷されたものはこの3枚と《巨怪な略奪者、ヴォリンクレックス》だけですが、今後の統率者系セットなどの再録で数が増えることが期待されます。今回はそんな「ファイレクシアン」認定カードや、『モダンホライゾン2』のミラディン・ファイレクシア関連カードを見ていろいろ考えました。

1. ファイレクシアンとは

「マジック」オリジナルの生物はたくさん存在します、人型種族もそうでないものも。すぐに思いつくところとして前者はコーやヴィダルケン、後者にはスリヴァーがいます。ファイレクシアンも「マジックオリジナルの生物」ではありますが、これらとは少々意味が異なります。ファイレクシアンとは一つの生物種の名称ではなく、「ファイレクシア化したさまざまな生物種」を一つのカテゴリとして説明するもの……と言えばいいでしょうか。

「ファイレクシアン」のはっきりとした定義は、『ミラディンの傷跡』当時の公式記事にありました。

公式記事「The Terms of Engagement」(掲載:2010年9月)より訳

ファイレクシアン

肉体と金属が融合した異形の怪物、複数の種類のいずれか。ファイレクシアの目的のために「ファイレクシア化」によって改造された生物と、ファイレクシアの生誕の槽で生成されたファイレクシア生まれの両方が含まれる。心を持たない奴隷としてのファイレクシア人もいるが、知性や一種の文化、未来への展望を持つものも存在する。

つまり純粋なファイレクシア生まれだけではなく、ファイレクシアの目的に適応させられたほかの生物もファイレクシアンのカテゴリに含まれるということ。ではその「ファイレクシアの目的」とは。それを成す歴史や社会構造や哲学に言及していくとそれだけで一本の記事になってしまうのでここでは簡単に述べますが、止まることのない発展と、制御され加速された進化です――もっとも効率的で、もっとも陰険で、もっともおぞましい形の。そんな彼らが作り上げ、彼らが棲む世界はしばしば「地獄」とも形容されます。

第四球層

第四球層

ファイレクシアの歴史はとても長く、最初にその名が登場するのは『アンティキティー』(1994年3月発売)。かつてニコル・ボーラス、エルドラージ、ファイレクシアが「マジック三大悪役」のように言われましたが、なかでももっとも古いのがこのファイレクシアです(ボーラスは『レジェンド』からなので少しあとの1994年6月、エルドラージはずっと下って2009年10月の『ゼンディカー』)。そして、それほど古い存在ながら未だ完全に打倒されておらず、28年目の今も名前が挙がる世界/勢力であり続けています。

牢獄領域月への封印

それどころか、ニコル・ボーラスとエルドラージがある程度の解決をみた(?)今日このごろ、物語でも「ファイレクシア」の名を目にするようになりました。「いよいよ奴らと再び対決する時が来そうだ」と多くの人が感じているところで、この大規模アップデートはまた一つ期待が高まるものかもしれません。ちなみに『新たなるファイレクシア』の発売は2011年5月。ついに今年で10年になりました……そんなに経ったのか、と思ってしまいます。

2. なぜ今?

クリーチャー・タイプとしての「ファイレクシアン」が新設されたのは、まだ記憶にも新しい『カルドハイム』。新しいのはそりゃそうです。何せマジック誕生から28年目、今年出たセットですよ。

『カルドハイム』更新速報(総合ルール更新、オラクル更新)より引用

205.3m

ファイレクシアンが公式にクリーチャー・タイプになりましたが、これは絶対に内緒です。

巨怪な略奪者、ヴォリンクレックス

カルドハイム次元でただ一体の「ファイレクシアン」、まさしく異物。このヴォリンクレックスは、どうやってか次元を渡ってカルドハイムにやってきました。手段こそ明かされませんでしたが、物語ではカルドハイムの世界樹の樹液を強奪して帰っていきました。過去に第110回111回で考察と解説を書いていますので、詳細を知りたい方はそちらをご覧ください。

タイプの話に戻りますが、「ファイレクシアン」のタイプ設立というのは古くからの議題の一つでした。実際、ファイレクシアが再登場した『ミラディンの傷跡』ブロックの際にも話が出ていましたが、当時は設立には至りませんでした。上に引用したものと同じ記事「The Terms of Engagement」にて、当時「ファイレクシアン」のタイプを作らなかった理由が説明されています。

それによれば、「ファイレクシアン」のタイプを作ることの有用性は開発側も認識していました。「ファイレクシアの存在である」と示し、またすべてのファイレクシア人に何らかの影響を及ぼすロードや部族カードを作ることができます。とはいえ問題もいくつかありました。

まずは作業的・機能的な面でのもの。ファイレクシアに関係するカードは膨大であり、なかには「ファイレクシアン」のタイプを適用するかどうか検討を要するようなものも存在します。また「Phyrexian/ファイレクシアン」という文字列はまあまあ長く、スペースの問題にどうしても直面するためです。ちなみに現在タイプ欄がかなり長いカードとして、『テーロス還魂記』の亜神クリーチャーがいます。恐らくもっとも長いのはスペイン語版で44文字、こんな見た目になっています。

海に愛されしカラフィ

「ファイレクシアン」のタイプが実際に印刷されるなら、これを越える長さになるものもあります。軽く調べてみたところ、例えば《荒廃のドラゴン、スキジリクス》「Legendary Creature — Phyrexian Dragon Skeleton」、スペース込みで46文字。《テルカーの技師、ブルーディクラッド》「Legendary Artifact Creature — Phyrexian Artificer」、同じくスペース込みで49文字になります。そして、設定的な問題。ここは元の記事から訳しましょう。

公式記事「The Terms of Engagement」より訳

もう一つ「否」と感じていることがある。一つの文明に属する者に共通のクリーチャー・タイプを与えるというのは奇妙で、後に続くのが困難な前例を作る。ファイレクシアは厳密にはクリーチャーの種ではなく、種族や職業でもない。一つの帝国、一つの軍だ――共通の起源とある程度共通の目的を持った、ありとあらゆる種類のクリーチャーの連合軍だ。もしファイレクシア人が一つのタイプを持つなら、神河人もそうであるべきだろうし、アラーラ人(バント人?)も、また深い宗教的や政治的対立や内戦状態にある文明社会ですらそうだろう。

たしかにファイレクシアンというのは厳密には「種族」ではなく、血統や職業を表わしているわけでもありません。強いて言うのであれば「所属」?イメージ的にはラヴニカのギルドやタルキールの氏族のほうが近いでしょうか。

実際『ミラディンの傷跡』ブロックではギルドや氏族と同じように、そのカードがミラディン勢力とファイレクシア勢力のどちらかに所属するかが「透かし模様」で示されていました。そして当時はこの透かし模様を使用すれば、「ファイレクシアン」のタイプがなくとも説明に事足りたのでした。

ミラディンの十字軍ファイレクシアの十字軍

『新たなるファイレクシア』でファイレクシア陣営が勝利して以降は、カードでも物語でも、ファイレクシアについて大きな動きは長いことありませんでした。統率者セットなどで時折、新ファイレクシア関連のカードが登場してきた程度です。とはいえそれもファイレクシア内部での出来事でした。彼らは極めて危険な存在ですが、プレインズウォーカーの灯を持つことはできません。放置しておく限りは、多元宇宙は安全……のはずでした。

ですが『カルドハイム』にて、ついにファイレクシアが動き出しました。それは絶好の機会だったのでしょう。マローの記事「こぼれ話:『カルドハイム』 その2」にて、「ファイレクシアン」がついに新設された過程が明かされていました。

ファイレクシアンの新設は、過去にも議題には上っていたものの却下されていました。そして数年後、それに対する不満が持ち上がったのです。今回はそういうことをなくそう――というわけで「ファイレクシアン」が新設され、また過去のカードに対する適用が行われることになったのでした。また同じくマローのBlogによれば、長年の間に開発部のメンバーの多くが交代したというのも理由の一つであるようです。

しかし過去のカードへの適用が『カルドハイム』ではなく『モダンホライゾン2』合わせになった理由はわかりません。単に作業量が膨大で時間がかかったのかもしれませんし、実際に過去のカードが「ファイレクシアン」として印刷される機会に合わせたのかもしれません。

3. 君はファイレクシアン

個人的には、ファイレクシアンという文字列が示す「異質さ」は際立っていると思います。そもそも、ファイレクシアは単なる世界の名前という以上の意味をもって口の端にのぼります――ファイレクシアに所属し、その思想を体現し、広めていく存在。

大修道士、エリシュ・ノーン

《大修道士、エリシュ・ノーン》フレイバーテキスト

「ギタクシア派は、異世界について仲間うちで囁いている。それが存在するなら、ファイレクシアの素晴らしさをもたらしてやらねばならぬ。」

多元宇宙に「自分たちはファイレクシアンだ」と声高に知らしめる恐ろしさ……いいじゃないですか、それこそファイレクシアですよ。

異質さといえば彼らが使う言語、ファイレクシア語も同様だと思います。マジックの多元宇宙では、世界が違っても基本的に言葉は通じる設定で話は進んでいます(ほかの次元出身者はアクセントがちょっと変とか訛りがあるとかの描写はあります)。ですが特定の種族や集団でのみ用いられる言語も存在し、「言葉が違う/通じない」ことに意味がある場合にはそのように扱われる……といった感じです。

ファイレクシア語もその一つですが、かなり徹底しています。我々の次元のアルファベットではなく、ファイレクシア独自の書き文字まで設定されています。カードは横書きですが、正式には縦書きなんですよ。これは当時のトレイラーを見るとよくわかります。

懐かしい……今でこそマジックのトレイラーはフルCGですが、昔はこのようにカードイラストを巧みに動かして作られていました。さて「ファイレクシアン」が適用されたクリーチャーを見ていくと、元々の定義通り、大きく2種類に分かれます。

前者は特に説明や解釈の必要はないと思います。後者は、物語内でファイレクシアに堕ちてしまったキャラクターがしっかり「ファイレクシアン」になっていました。

隆盛なるエヴィンカー堕落した者アーテイ裏切り者グリッサ進化の爪、エズーリ

薄々わかっていましたが「ファイレクシアン」と断言されたことで、「ああ、本当に堕ちてしまったんだな……」と私は改めて感じてしまいました。切ない。

なお『テンペスト』ブロックのクリーチャーを見たところ、「ファイレクシアン」が適用されたものはわずか5枚でした(《司令官グレヴェン・イル=ヴェク》《ファイレクシアの大男》《闇の天使セレニア》《要塞の暗殺者》《ヴォルラスの多相の戦士》)。

このブロックの舞台であるラース次元は、ファイレクシアのドミナリア侵略のための拠点です。従って広義的にファイレクシアへと仕えているクリーチャーは多いのですが、だからといって全員がファイレクシアンというわけでもないようです(なお続編にあたる『ネメシス』では少し増えて11枚)。ていうかセレニア、ファイレクシアンなのね……。

一方、設定的にファイレクシアンと思いきやそうではないキャラクターもいました。

《ドラゴン・エンジン、レイモス》

ドラゴン・エンジン、レイモス

今回の「ファイレクシアン」適用において、私が一番気になっていたのはやはりこのカードでした。アルファベット順の検索結果を確認する……《襞金屑ワーム/Quilled Slagwurm》……《拷問機械人/Rackling》……《ラースの暗殺者/Rathi Assassin》。ない。

《ドラゴン・エンジン、レイモス/Ramos, Dragon Engine》は、ない!ファイレクシアンではない!!!

レイモスはファイレクシアの戦争兵器として生まれましたが、兄弟戦争のアルゴスから負傷兵や難民を乗せて飛び立ち、メルカディアに辿り着いてやがて信仰されるようになったのでした(第59回参照)。人々の救いの箱舟となった貴方は、もはや多元宇宙に恐怖を振り撒くファイレクシアンではないのですね……(「忘れてた」とかであとで追加されたら切ないですが)。

《スランの医師、ヨーグモス》

スランの医師、ヨーグモス

ファイレクシアの神、荒廃の王……の、まだ人間だったころの姿。つまりファイレクシア以前の姿ということで、ファイレクシアンは付いていません。逆に考えれば、いつかファイレクシアンとしてのヨーグモスもカード化されるかもしれませんね。《最高工匠卿、ウルザ》がその名にたがわず(?)モダンで活躍しているように、大ボスとしてのヨーグモスの「格」を存分に表現してくれるカード……期待してしまいますよ。

《メムナーク》

メムナーク

ミラディン次元の管理人にして、旧ミラディンブロックのラスボス。元々ファイレクシアの油の影響で狂ってしまったのですが、ファイレクシアンではありません。これはなんでなんだろうね?彼は創造主であるカーンと同じプレインズウォーカーになりたいと切望しましたが、ファイレクシアの思想に染まっていたかどうかと考えると、そういう方向性でもなかったように思えます。油の影響を受けただけではファイレクシアンにはならず、さらに改造を受けなければならない……とかなのでしょうか。


またこれも話題になりましたが、ファイレクシアン認定されたカードの中には、一見汎用的な名称のためにほかの次元のセットで再録されてしまっているカードも少数存在します。

《ワームとぐろエンジン》

ワームとぐろエンジン

カラデシュにもファイレクシアンがいることになるのだが……アーティファクト文明が栄える次元でそれはまずいですよ!ちなみにファイレクシアン適用当初は《聖別されたスフィンクス》も含まれていたのですが、これを書いている最中に改めて確認したところ消えていました(確認してよかった……)。

聖別されたスフィンクス聖別されたスフィンクス聖別されたスフィンクス

Amonkhet Invocations版もそうですが、Secret Lair版にそぐわなかったのでしょうかね。すると今度は逆にファイレクシアの透かし模様が入っているのにファイレクシアンではないという、なんかはぐれ者みたいになってしまった。

《東の聖騎士》/《西の聖騎士》

東の聖騎士西の聖騎士

『基本セット第7版』は、すべてのカードが新規アートで収録されたことで有名です。基本セットということでさまざまな次元のカードが集まっているのですが、東西南北の聖騎士は黒と白の何かの王国らしきものに分かれて争っているらしいとわかります。そして《東の聖騎士》《西の聖騎士》は、悪そうではありますが一応は人間に見えます。が、初出の『ウルザズ・サーガ』に合わせてファイレクシアン追加。

実は以前の大規模オラクル変更の際に「ゾンビ」が追加されていたことですでにまあまあ違和感があったのですが、さらに見た目との齟齬が増えてしまいました。まあファイレクシアンゾンビでも《裏切り者グリッサ》《邪悪な選督使、ベルベイ》のようにあまりゾンビらしくない人たちもいますし、《ヨーグモスの息子、ケリク》《潜伏工作員、ザンチャ》といった人間型の工作員だという解釈もできるのですが。しかしこれって、今後の再録にかなーり関わってくるってことですよねえ。

4. 『モダンホライゾン2』の新ファイレクシア/ミラディン

新ファイレクシアには長いこと再訪していなくとも、再録や統率者系セットにてその様子はときどき伝えられてきました。『モダンホライゾン2』も例外ではなく、それどころか時間を遡って明らかに「完成」される以前のミラディン次元の様子が描かれているカードも収録されています。少し戸惑うかもしれませんが、基本セットや特殊セットは時系列が関係ないのでそれも可能なのですよね。

まずは新ファイレクシアから。このカードが公開されたときは結構な衝撃でした。

カルドラの完成体

カ、カルドラーーー!!!元のストーリーでも敵ボスであるメムナークに操られてしまっていたので(《メムナーク》のコントロール奪取能力を見るにとても正しい展開)、「またかよ!」という感想を抱いた人も多かったようです。設定も公開されていました。

公式記事「『モダンホライゾン2』の伝説たち 再来編」より引用

カルドラの完成体

金属次元ミラディンにて、グリッサ・サンシーカーは強大な三つのアーティファクトを集めました。それらを組み合わせると、青白いプラズマの身体を持つ巨体のアバター、カルドラの勇者を召喚できるというものです。その後緑の太陽、巨大なマナの球がミラディンの核から弾け出た際に、カルドラの剣、盾、兜はその勇者自身とともに破壊されてしまいました。

数年後、ミラディンは感染性の油に屈服し、新ファイレクシアとなりました。グリッサ自身を含めてほぼ全員に近い住人が「完成」させられ、肉と機械の入り混じった怪物に変質しました。

グリッサはカルドラのアーティファクトを修復し、地表下の肉槽にて一体の特別な細菌クリーチャーを育てました。ファイレクシア最新の勇者は、元々のカルドラの勇者に匹敵する程に強く成長するでしょうか。あるいはもっと強い何者かに打倒され、その者がアーティファクトを手にするのでしょうか。どう転んでもファイレクシアは勝つか改善するのですから、グリッサは満足しています。

カルドラの剣カルドラの盾カルドラの兜

つまりカルドラの装備品そのものが「完成」させられたわけではなく、ファイレクシアンである生体武器がそれを装備しているということ。カルドラ装備それ自体は、言ってしまえば単なる武器防具ですからね。そして旧ミラディンのカルドラサイクルの装備コストは4(剣)+4(盾)+2(兜)=10マナ。一方で《カルドラの完成体》の装備コストは7マナです。ちょっと減っているのはファイレクシアらしく改善・進化しているということなのかな。

それと何気に、長らく生死不明だったグリッサも生存確認……だと思います。『ミラディンの傷跡』ブロックの小説でテゼレットと対決したことはわかっていましたが、その決着や消息はわかっていませんでした。生きてくれていたなら良かった。

そして新ファイレクシアと化す前の、かつてのミラディン。『モダンホライゾン2』のコモン2色土地サイクルは、かつての美しいミラディンの風景を描いていると思われます。

剃刀潮の橋霧霊堂の橋鉱滓造の橋熔融林の橋
荊棘光の橋黄金沼の橋銀色険の橋暗闇苔の橋
錆付谷の橋糸絡渦の橋

中でも清廉な《剃刀潮の橋》、鮮やかな《銀色険の橋》、温かな《熔融林の橋》などは明らかにファイレクシアではないと感じます。絵や効果を見るにこれらはミラディン次元の、各色の土地同士を繋ぐ場所なのでしょう。白は金属板に鋭い剃刀の草が並ぶ剃刀平原、青はその名の通りの水銀海、黒は瘴気と汚水のメフィドロス、赤は錆色のオキシダ山脈、緑は銅の緑青の絡み森。かつてのミラディンの基本土地を見るとよくわかります。

平地島沼
山森

そしてアートだけではなく、フレイバーテキストから明らかに過去のミラディンとわかるカードもあります。

滞留者の相棒マイアの小屑

《滞留者の相棒》フレイバーテキスト

ファイレクシアの汚染以前には、ミラディンの多くの生き物は奇妙なだけで残虐ではなかった。

《マイアの小屑》フレイバーテキスト

「有用じゃが、いくらでも取り換えが利く。執着し過ぎんほうが良いと気付いたんじゃ。」

――上座研究者ポンティフェクス

「ファイレクシアの汚染以前」、そしてその背景の澄んだ空。しかしその……「滞留者」の相棒って、つまりそういうこと?かわいいな……

さらに《マイアの小屑》で喋っているポンティフェクス、このキャラクターは『ダークスティール』の小説で死亡しているのです。メムナークの腹心でしたが、グリッサへの憎しみから暴走した果てに部下と刺し違えてしまいました。そんな人物が喋っているということは、まぎれもなく過去。『モダンホライゾン2』ではメカニズムとして「親和」や「接合」が採用されています。それらに関係するカードは新ファイレクシアよりもかつてのミラディンのほうがふさわしい、ということかもしれませんね。

個人的に、ミラディンはその物語を含めて大好きな次元です。たとえもう失われたものだとしても、このような形でかつての風景を見せてくれるというのは、本当に嬉しいものです。

5. 次回で10周年

以上になります。今月2本目の記事でしたが、「ファイレクシアン」の適用には何かしらまとめて書かずにはいられませんでした。やはり私の中でミラディン/ファイレクシアはかなり特別です……。

次回は、よっぽどすごい発表か何かがなければ連載10周年でも通常回、『フォーゴトン・レルム探訪』の話になる予定です。それではまた!

(終)

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若月 繭子 マジック歴20年を超える古参でありながら、当初から背景世界を追うことに心を傾け、言語の壁を越えてマジックの物語の面白さを日本に広めるべく奮闘してきた変わり者。 黎明期から現在までの歴代ストーリーとカードの膨大な知識量を武器にライターとして活動中。 若月 繭子の記事はこちら