週刊統率者デッキを作る
「週刊統率者戦デッキを作る」では毎週統率者デッキ構築のヒントをお届けしていま――
「なにが週刊だよ。最後の更新から1ヶ月空いてるじゃないかよ」
統率者戦の汎用カードアーカイブを一所懸命作っていたんだ……許して……
でも今日は久しぶりに統率者デッキ構築のためにヒントをお届けしちゃうんだ。
今回は特に初心者に向けたトピックスです。テーマは「統率者の分析」。
統率者を決めたら……次は?
「これから統率者戦を始める!」とか、「構築済みデッキで遊んだら楽しかった!次は自分でデッキを組んでみたい!」という人にありがちな困りごと。それは「せっかく好きな統率者が見つかったのに活かし方がわからない」ということです。
統率者戦に慣れた熟練プレーヤーは相性のいいカードや採用したい汎用カードをすらすら言えたりするのですが……いきなりそんなことはできません。
スタンダードでたくさん使って大好きになったカードで統率者戦に参入したいぞ!という方も多いと思います。しかし、「過去セットのカードがすべて使える」エターナル環境である統率者戦はカードの選択肢の数が尋常ではありません。
ではどうやって相性のいいカードを探し出せばいいのでしょうか。
もちろん、「(統率者名) EDH」とか、「(統率者名) commander deck」とかで検索するのは大アリです。先駆者たちの集合知を借りちゃいましょう。でも、統率者としてマイナーすぎてリストが見つからなかったり、発売間もないカードでまだ研究が始まったばかりということも往々にしてあります。
そして何より――自分でイチから作ってみたい!そんな人のために統率者戦はあります。
ではいっしょにデッキを作っていきましょう。そこで一番初めにやりたいのが統率者の分析です。
統率者の分析
試しに、《朱地洞の族長、トーブラン》を考えてみましょう。
《朱地洞の族長、トーブラン》 (1)(赤)(赤)(赤)
伝説のクリーチャー - ドワーフ・貴族
あなたがコントロールしている赤の発生源が、対戦相手か対戦相手がコントロールしているパーマネントにダメージを与えるなら、代わりに、それはその点数に2を足した点数のダメージを与える。
2/4
固有色
まずは固有色から確認していきましょう。デッキの色を決定づける大事な情報です。
《朱地洞の族長、トーブラン》のマナコストには赤マナが含まれ、ほかの色マナはテキスト部分にも書かれていません。固有色は赤ですね。
赤のカラーパイ(得意技)と言えば、やはり火力があげられるでしょう。
マナシンボル
マナコストにふたたび注目しましょう。赤マナが3つも含まれています。
つまり、このカード1枚だけで赤への「信心」を「3」も確保できることになります。赤への信心を参照するカードとは相性がいいですね。
その一方、マナ加速は少し気を付けたいところがあります。
例えば、1ターン目に《山》を置いて《太陽の指輪》を唱えたとします。すると2ターン目には4マナ出る!……のですが、赤マナが足りません。これだけ色拘束が厳しいと、無色マナが出るアーティファクトをたくさん並べられたとしても、なかなか《朱地洞の族長、トーブラン》が出ない……なんてことになってしまうかも。
魅力的な能力土地が統率者戦にはたくさんあります。単色ならよほど極端なことをしなければ大丈夫でしょうが、あれもこれもと欲張りすぎて色マナが出ない!なんてことにならないように。
キーワードは「赤信心」「色マナの確保」
テキスト
自分の赤の呪文やパーマネントがダメージを与えるなら、それに2点が追加されます。
スタンダードでは赤単色のデッキで火力やパワーの全体底上げを担っていました。「まだ1ターン……いや2ターンは耐えられる!」と思っていたら《朱地洞の族長、トーブラン》が出てきて急に負けた……という経験をした方もいるはず。
火を見るより明らかですが……重要なキーワードはやはり「ダメージ」。
ダメージにもいろいろありますね。戦闘ダメージや《稲妻》など呪文能力によるダメージ、《乱動する渦》のような誘発型能力によるダメージや、《紅蓮の達人チャンドラ》のような起動型能力によるダメージ。マジックの長い歴史の中で赤は様々なダメージを飛ばしてきました。さあ、カードを探しましょう。
パワー/タフネス
統率者のパワーやタフネスも重要な要素です。パワーが高ければ統率者ダメージでの勝利を目指せますし、タフネスが高ければそれだけ除去されにくいということになります。
当の《朱地洞の族長、トーブラン》は2/4です。
まずタフネスが3を超えています。これなら《ドラニスの判事》《船殻破り》を意識して採用される3点火力を回避できます。一方、《四肢切断》では除去され、《毒の濁流》の巻き添えを食う場面もありそうです。
パワーは2。ダメージを与えるときにはダメージに2が追加されるため、実質4と考えてもよさそうですが、統率者ダメージで勝利するのはちょっと悠長な印象です。
例えば他には?
ほかの統率者でも考えてみましょう。
《深海の破滅、ジャイルーダ》を統率者にしたい!
ならばまずはわかりやすく「偶数のクリーチャー」ですね。《深海の破滅、ジャイルーダ》の能力は戦場に出たときの誘発なので、《深海住まいのタッサ》などの「ブリンク」、《騙り者、逆嶋》などの「コピー」で能力を使いまわすことができそうです。さらに、登場時に墓地を肥やすことができるので、《再活性》など「リアニメイト」もよさそう。ライブラリー上4枚の中からクリーチャーが飛び出るということは、《渦まく知識》など「ライブラリートップ操作」も……
統率者や誘発型能力や起動型能力を持つなら、「どうすればそれが何度も使いやすくなるか」「その能力のパフォーマンスを最大限に生かすにはどうすればよいか」を考えるといいかもしれません。
「こんなことができたら強いかも!」という戦略をなるべく多く導き出すことができたら、いよいよ具体的にカードを探し始めましょう!
キーワードを考える
統率者からキーワードが抽出できました。
《朱地洞の族長、トーブラン》からは「信心」「赤マナの確保」「ダメージ」の三つが出てきました。
ここから相性のいいカードを探す旅が始まります。その旅路は様々です。
ストレージを「発掘」する
ひたすらストレージを探します。晴れる屋では全店にストレージコーナーがあります。ここでひたすらカードを探すのです。統率者戦というと高額な強力カードが注目されがちですが、あなたの統率者との相性抜群なカードが50円で埋もれているかもしれません。間違いなく言えるのは、「ショーケースに入っているカードだけで統率者戦デッキは作れない」ということです。ほとんどすべてのデッキは数十円~数百円のカードによって支えられています。
データベースから「探す」
ウィザーズ公式のカード検索サイト「GATHERER」などを利用します。
例えば「赤への信心を利用した戦略をとりたい」なら、「赤への信心」「devotion to red」といったキーワードで検索することで相性のいいカードを探すことができます。
ほかにも、「統率者戦 赤 火力」「EDH 汎用 赤」といったキーワードでウェブ検索し、先人たちの備忘録をお借りするのもいいでしょう。晴れる屋メディアチームでも便利なカードアーカイブの制作を進めています。
レガシーなどのデッキリストを「探査」する
晴れる屋通販サイトでは、あるカードがどんなデッキに使われているかを知ることができます。《朱地洞の族長、トーブラン》を晴れる屋通販サイトで検索し、シングルカードのページを下にスクロールしていくと、このカードが採用されているデッキリストを見ることができます。
ここに掲載されたリストはいずれもイベントで優秀な結果を残したもの。自分が普段触れていないフォーマットのデッキリストでも目を通してみましょう。思わぬ発見があるかもしれません。
「パーティー」を参照する
統率者戦にはローテーションがありません。気に入ったデッキは延々と使い続けることができますし、競技大会もないのでゆっくり育て上げていくことができます。
粗削りでも大丈夫。積極的にイベントやコミュニティに持ち込んで遊んでみましょう!
ゲームの後に「この統率者にあう、何かいいカード知りませんか?」と尋ねてみるのもおすすめです。固定観念にとらわれてまったく見えていなかったカードに出会えるかもしれません。
晴れる屋各店舗では一人で参加できる統率者戦イベントが多数開催されています!参加するしかない。
まとめ
今回は気に入った統率者を活かすカードを探す方法を考えてみました。
もちろん、いきなりネット上のリストをコピーしてデッキを作ってみるのも悪い選択肢ではありません。そのデッキで遊んでみて違和感を感じる部分があれば、また別の新しい相性のいいカードを探すもいいでしょう。新しいセットが発表されたらまたその中から相性のいいカードを探すことになると思います。ぜひ統率者と向き合って、どんなカードを用意してあげれば最高のパフォーマンス見せてくれるのか研究しましょう!
店舗イベントも再開したことですし、また新しいデッキを組んで新たなプレイヤーやデッキと出会いたいです!
それではみなさん、また統率者戦のテーブルでお会いしましょう!