Translated by Nobukazu Kato
(掲載日 2021/7/20)
朝礼
みなさん、おはよう。
『フォーゴトン・レルム探訪』のトップレアは何だろうと神話レアを見比べている人もいるかもしれない。しかし、真実はもっと単純だ。控えめなことに2マナのレアエンチャント、《レンジャー・クラス》が今回のトップレアだ。
《レンジャー・クラス》は「バリューのあるエンチャント」と呼ぶにふさわしい要素を全て備えている。クリーチャーを1体追加し、1/1のクリーチャーすべてを紛れもない脅威へと変貌させて継続的にプレッシャーをかけ、莫大なアドバンテージを供給して終盤戦を制する。
その《レンジャー・クラス》が特にフィットするデッキは3つある。ナヤアドベンチャー、グルールアグロ、緑単アグロだ。今日はナヤアドベンチャーを中心に講義していくことにしよう。
クラスが強いワケ
クラスは非常に強力な新しいエンチャントタイプだ。カードを唱えるマナコストを払うだけで基本的な効果(レベル1)を得られる。そして(ソーサリータイミングで)レベル1からレベル2へとレベルアップでき、その後レベル3へとさらに上昇していく。
レベルアップすると特定の効果を得るが、それはすでに持っていた効果に上乗せされる。時の経過に合わせてスケールアップしていくカードであり、軽いマナコストのカードデザインとして理想的だ。
通常、土地を1~2枚余分に引けば敗色濃厚になるだろう。しかし、クラスによってこの問題は解消される。だからこそこのクラスというカード群は強いのだ。
ナヤ・レンジャー・パラディン・アドベンチャー
新セットから採用したカード
《レンジャー・クラス》
先ほども言ったように、私の評価では本セットのベストカードだ。《クラリオンのスピリット》が生んだスピリットトークンを本物の怪物へと育て上げる。
《パラディン・クラス》
グルールや緑単ではなく、ナヤを選ぶ理由ひとつがこれだ。クラスの枚数を増やせる!
《パラディン・クラス》はデッキの方向性と噛み合っている素晴らしいクラスカードだ。1マナであるため、《クラリオンのスピリット》や《スカルドの決戦》の効果が使いやすくなる。また、このデッキは盤面を広げていくため、《パラディン・クラス》のレベル2~3から恩恵を受けやすい。レベル3に到達すれば一撃必殺できることも多いだろう。
《バーニング・ハンズ》
最高のサイドカードだ。《レンジャー・クラス》がこれだけ強いのだから、緑のデッキを手に取るプレイヤーが増えてもおかしくない。《バーニング・ハンズ》が見事返り討ちにしてくれるだろう!
不採用にしたカード
《精鋭呪文縛り》
最悪の相性であるスゥルタイ根本原理に有効なカードであり、マナコストが重い。今回の構築はスゥルタイとのマッチアップは度外視し、それ以外のマッチアップを勝てるように専念することにした。これが正しい判断なのかはまだなんとも言えない。メタゲームの発展経過を見守ろう。
現時点では《精鋭呪文縛り》の不採用を後悔するほどの頻度でスゥルタイと当たっていない。新しいカードを試したいのが人情であり、スゥルタイはほとんど何の強化も得ていない。だから今回の選択には満足している。
《ドラニスの判事》
《精鋭呪文縛り》なしでは《ドラニスの判事》は大幅に弱体化する。この2枚を合わせて不採用にするのは自然なことだろう。《ドラニスの判事》はナヤアドベンチャーに対して有効であるため、ミラーマッチが増えてくるようであれば、サイドボードに2枚入れても良いかもしれない。
覚えておきたいテクニック集
1ターン目のベストムーブは《ヤスペラの歩哨》だ。手札にあるなら必ずこいつからプレイしよう。
やむを得ない場合を除き、《スカルドの決戦》は4ターン目に土地を置いてから出さない。出してしまうと、価値が大きく下がってしまう。このカードは遅いほど価値を引き出せるのだ。
攻めに回っている状況なら、まずは《レンジャー・クラス》のレベルアップを狙うのが定石だ(守っているときは強くない)。《パラディン・クラス》は盤面が広がってから真価を発揮するカードであるため、後回しで構わない。
軽い除去を擁するデッキと対峙したときは、安易に《クラリオンのスピリット》を2ターン目に出さないようにしたい(1ターン目《ヤスペラの歩哨》、2ターン目に《クラリオンのスピリット》+1マナ域と動ける場合は例外)。
《クラリオンのスピリット》はすぐに2枚目の呪文を唱えられる状況で戦場に送りだそう。そうすれば、除去をもらったとしても無料のトークンが手に入る。
《パラディン・クラス》のレベル3で与えられるダメージは常に計算しておこう(特に飛行クリーチャーがブロックされない戦況のとき)。ついつい忘れがちになるが、全軍突撃させてスピリットトークンを強化すれば不意を突くように勝てることがある。
サイドボードガイド
スゥルタイ根本原理:最悪の相性
基本は常にオールインだ。(余裕があれば別だが)何かをケアしようなんて思わなくていい。
今回の構築がスゥルタイに苦戦することは承知している。相手が土地事故を起こすか、全体除去を引いていないことを期待するのがもっとも勝算がある。
対 スゥルタイ根本原理
イゼットドラゴン:やや有利
イゼットドラゴンは全体除去の採用枚数が少なく、脅威のマナコストも重い。盤面を広げ、《パラディン・クラス》か《秘密を知るもの、トスキ》での勝利を目指そう。
対 イゼットドラゴン
緑単アグロ:互角
ダイスロールに命運がかかっている。先手が勝つのだ。後手のときは守備に回り、可能な限り除去を徹底する。そして《スカルドの決戦》が稼ぐアドバンテージに期待しよう。先手ならば楽々と速度勝負できるはずだ。
対 緑単アグロ
赤単アグロ:非常に有利
緑単と比べれば、断然相性が良くなる。ブロック時に《エンバレスの宝剣》の存在だけケアしておこう。
終盤戦はナヤに分があるため、コントロールする側に回ろう。序盤で不必要なダメージを受けないようにしたい。
対 赤単アグロ
白単アグロ:やや有利(?)
以前までは有利なマッチアップだったが、《高貴なる行いの書》と《不詳の安息地》のコンボが内蔵された構成とはまだ当たった経験がなく、確信めいたことは言えない。真の相性を理解するにはまだ時間が要りそうだ。
もし《高貴なる行いの書》バージョンを意識した構成に変更した場合はTwitterで知らせよう。
対 白単アグロ
ジェスカイサイクリング:非常に有利
速度も除去の質もこちらが上であり、《繁栄の狐》へのチャンプブロッカー要員もいる。
《アイレンクラッグの紅蓮術師》型に対しては《レッドキャップの乱闘》を2枚追加でサイドインしよう。抜くのは《秘密を知るもの、トスキ》の2枚目と《巨人落とし》1枚だ。
対 ジェスカイサイクリング
ディミーアローグ:やや有利
「脱出」カードがなくとも十分に戦えるマッチアップだと考えている。ディミーアローグ相手の《パラディン・クラス》は最高だ。
Byeと呼べるほどの相性にしたいなら《アゴナスの雄牛》をサイドに2枚入れると良いだろう(私は不必要だと思うが、ローグを叩きのめしたいなら検討しよう)。
対 ディミーアローグ
ナヤは本当に楽しいデッキだ。ぜひ使ってみて欲しい。何か質問があれば、Twitterでコンタクトをとってくれ!
ナヤ以外の選択肢は?
何らかの理由でナヤが好きになれないという人もいるだろう。そんな人のために別の選択肢を用意した!
グルールアグロ
想像がつくかもしれないが、(レベルアップした)《レンジャー・クラス》は《エンバレスの宝剣》との相性が良い。そこでおすすめするデッキがグルールアグロだ。
《エンバレスの宝剣》《グレートヘンジ》、「出来事」パッケージといった『エルドレインの王権』のオールスター+『フォーゴトン・レルム探訪』のベストカード=勝利!高速で勝ちたい人にピッタリの選択肢だろう!
緑単アグロ
『エルドレインの王権』のカードはもうお腹いっぱい?新しいものが良い?だったらスタンダード2022はどうだろう。
スタンダード2022はMTGアリーナに創設された新しいフォーマットだ。ローテーション落ちしないものだけで遊べるようになっている(若干の例外はあり、『基礎セット』のカードはローテーションと関係なしに使えるようになっている。ただ、《ゴブリンの損壊名手》しかプレイアブルなものはないため、特に気にする必要はない)。
スタンダード2022を試すに気になった人のために、緑単レンジャーアグロを紹介しておこう。このフォーマットはBO1のみ対応しているため、サイドボードは7枚だけとなっている(「履修」「講義」のメカニズムのために利用しよう)。
今回もお付き合いいただきありがとう。《レンジャー・クラス》で圧倒する楽しさをぜひ体験してみてくれ!
ではまた次回の講義で。