そっくりな統率者?
みなさんこんにちは、統率者戦だいすきいってつです。先日トーナメントセンター東京で行われたコマンダーサミットの興奮がまだ冷め切っていません。来月25日には大阪での開催が予定されていてワクワクドキドキが落ち着かないでしょう。みなさんのデッキリストを見るのが楽しみです。
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さて、スタンダードローテーションから2カ月が経ちますね。この時期はスタンダードを去った名カードを追って下環境への参入を検討するプレイヤーが増える時期でもあります。
ちょうどパイオニアのチャレンジャーデッキが発売されたこと、『モダンホライゾン2』でフェッチランドが再録されたことも手伝ってパイオニア、モダンは大盛り上がりです。もちろん統率者戦だって負けていません。
ガチなデッキでなくても楽しめるのが統率者戦はの大きな魅力の一つです。手元にあるスタンダード落ちしたカードや、くじやオリパなどで思いがけず手に入れてしまったカードで思い思いのデッキ構築を楽しみましょう。
初めて統率者戦デッキを組む時に決めなくてはいけないこと――統率者を誰にするか。たびたび伝えてきましたが、やはり統率者選びは難しいものです。この僕でさえ、ここ一週間悩み果てているのです。
カティルダとトーレンズ。『真夜中の狩り』『真紅の契り』それぞれで登場したこの白緑の人間統率者です。どちらも白緑らしい、横並び戦略が得意そうに見えます。
今回はこのふたつの統率者を教材に、統率者選びに迷ったときの解決策を模索してみます。
《ドーンハルトの主導者、カティルダ》のデッキは以前にも紹介しました。その時々の気分でもっと強くしてみたり、スタンダードのカードと入れ替えてブロール仕様にしてみたりと楽しんでいます。いまお気に入りの統率者の一枚です。
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一方で、スポイラーで目にしたトーレンズも一目で気に入りました。セレズニアカラーの人間で、緑かつ白の人間トークンを次々生み出してくれます。この時点ではまだあくまでカティルダデッキに採用される一枚として、でした。
しかし《天使の拳、トーレンズ》は自身も伝説のクリーチャーであります。僕の中で評価が変わったきっかけはアリーナブロールで《天使の拳、トーレンズ》デッキとぶつかったことでした。
こちらの統率者はカティルダ。序盤から人間クリーチャーをテンポよく展開して《巨怪な略奪者、ヴォリンクレックス》を早期に着地させます。
一方対戦相手は《天使の拳、トーレンズ》着地後に緑の強力なクリーチャー《秘密を知るもの、トスキ》や《野生の魂、アシャヤ》、白の除去クリーチャー《スカイクレイブの亡霊》を展開しながら1/1の人間も並べてきます。
《天使の拳、トーレンズ》が公開されたとき、すでに僕は《ドーンハルトの主導者、カティルダ》を組んでいたために《天使の拳、トーレンズ》の実力を見誤りました。《ドーンハルトの主導者、カティルダ》は人間デッキの長ですが、《天使の拳、トーレンズ》はクリーチャー・タイプ「人間」にこだわる必要なんてなかったのです。互いは強力なシナジーを持っていますが、統率者に指定してデッキを組む時にはそのリストは大きく変わります。
ブロールのようにカードプールが狭いのならともかく、ヴィンテージ級のカードプールを持 つ統率者戦なら、両者の戦略は大きく異なります。
カティルダの特徴
《ドーンハルトの主導者、カティルダ》は人間がすべて《極楽人間》……もといマナクリーチャーになる統率者です。このデッキでは《踊りへの参加》は《太陽の指輪》といっても過言ではありません。
《スレイベンの守護者、サリア》や《セラの高位僧》といった強力な人間がマナを生み出すことも可能になり、《ドーンハルトの主導者、カティルダ》自身の能力がマナのはけ口になっているのも悪くありません。
スタンダードプールで遊ぶブロールではマナクリーチャー・マナアーティファクトの選択肢が少ないため、1マナの人間2体を握ってスタートすると3ターン目に6マナ出せる統率者のテンポは他を圧倒します。
まずは人間クリーチャーが必要になります。
《スレイベンの守護者、サリア》などのスタックス人間や《再利用の賢者》などの誘発アドバンテージ人間をマナクリーチャーとしても活用しましょう。《千年霊薬》のような置物もよりテンポよく展開していく重要なカードです。
人間が主体の部族デッキでもあるので、部族シナジーカードも積極的に採用できそうです。
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トーレンズの特徴
《天使の拳、トーレンズ》はというと、戦場のクリーチャーの数増しをしてくれます。《天使の拳、トーレンズ》自身はテンポを取ることができませんが、統率者戦のカードプールにはマナクリーチャーが膨大に存在します。マナクリーチャーを展開しながら1/1訓練持ちを展開。
手札一枚から展開するパーマネント数が倍になります。「召集」との相性は抜群です。トークンは自身の能力で+1/+1カウンターを得るため、すぐにアタッカーとしても優秀に育ちます。
《天使の拳、トーレンズ》の誘発条件は人間にこだわる必要はありません。「クリーチャー呪文を唱える」なので、《極楽鳥》などのマナクリーチャーに人間がついてきます。《ドーンハルトの主導者、カティルダ》同様、マナ基盤はアーティファクトよりもクリーチャーに重きを置く戦略となりそうなので《溜め込み屋のアウフ》の採用もいいかもしれません。もちろん、《溜め込み屋のアウフ》にも人間がついてきます。
《ドーンハルトの主導者、カティルダ》以上に横並びするため、「クリーチャーが戦場に出たとき」の誘発型能力、クリーチャーの数を参照する能力との相性も抜群。
結論は?
フィニッシュブローとしては、マナが大量に確保できる《ドーンハルトの主導者、カティルダ》はヘリオッドバリスタのようなコンボ、より横並びとライフレースに有利な《天使の拳、トーレンズ》は《孔蹄のビヒモス》などの全体パンプアップからの殴り勝ちがよさそうですね。
今回は、同じ固有色のよく似た2枚の統率者、《ドーンハルトの主導者、カティルダ》と《天使の拳、トーレンズ》を比べてみました。互いに強力なシナジーを持ち、どちらも似た戦略を得意としますが、その勝利への過程やデッキの設計思想には大きな違いがありました。ブロールや統率者戦を盛り上げてくれる1枚になりそうです。新セットの公式リリース間近ですが、まだまだポテンシャルを秘めたカードが発見されるのを待っていることでしょう。
ここ数週間競技的な統率者戦に意識を向けていたせいでつい見落としてしまいましたが、カジュアルな統率者戦やブロールにも深く広い多様性の海が広がっているのです。これからも柔軟な視点と思考を持って統率者戦の構築とプレイを楽しみたいですね!
それではみなさん、統率者戦のテーブルでお会いしましょう!