USA Modern Express vol.94 -コンボデッキの進軍-

Kenta Hiroki

はじめに

みなさんこんにちは。

新セット『機械兵団の進軍』がリリースされ、来週は『第23期モダン神挑戦者決定戦』が開催されるなどモダン的にも充実していますね。

さて、今回の連載では先週末に開催された『Modern Challenge』の入賞デッキを見ていきたいと思います。

Modern Challenge 4/21
『機械兵団の進軍』のあのプレインズウォーカーが活躍

2023年4月21日

  • 1位 Living End
  • 2位 Living End
  • 3位 Living End
  • 4位 Temur Cascade
  • 5位 Jund Creativity
  • 6位 Obosh Red
  • 7位 Izzet Prowess
  • 8位 Rakdos Grief

トップ8のデッキリストはこちら

『機械兵団の進軍』が実装されて初めて開催されたModern Challenge。

今大会ではLiving EndやTemur Cascadeといった「続唱」を使ったコンボデッキが活躍。特にLiving Endが復権していたことが印象的でした。

また、『機械兵団の進軍』の新カードが採用されたデッキも少数ながら見られました。

デッキ紹介

Jund Creativity

今大会でもっとも印象的だったデッキは『機械兵団の進軍』で登場した《レンと次元壊し》入りのJund Creativityでした。

《不屈の独創力》コンボは4-5色バージョンが主流ですが、3色バージョンはマナ基盤の面で安定しており、《頑強》も採用されているので《残虐の執政官》を踏み倒す手段が多いのがメリットです。

コンボを通す手段としてカウンターの代わりにハンデスを用いており、能動的に仕掛けることができるので多色バージョンに比べてよりコンボデッキらしい構成になっています。

☆注目ポイント

Bitter Reunion残虐の執政官

《苦々しい再会》はドローを進めつつ手札に来てしまった《残虐の執政官》を墓地に落とす手段になり、リアニメイトプランをスムーズに実行することができます。またリアニメイト後に速攻を付けることもできるので、最速で3ターン目に攻撃をすることが可能です。

Wrenn and Realmbreaker

《レンと次元壊し》は3マナと軽いプレインズウォーカーで、常在型能力により色事故を防ぎ《血染めの月》対策にもなります。土地をクリーチャーにできる[+1]能力はこのデッキと相性が非常に良く、呪禁なので相手に除去で妨害されることなくコンボを決めることができます。ただ、対象にした土地がアンタップしないことは覚えておきたいところです。

思考囲い頑強

《思考囲い》はコンボ前の前方確認として優秀なだけでなく、自分を対象に1ターン目に《残虐の執政官》を落として2ターン目に《頑強》というリアニメイトプランにも使えます。

Temur Cascade

最近のTemur Cascadeは《激情》《鏡割りの寓話》をメインから減らし、《神秘の論争》《濁浪の執政》を採用したバージョンが成功を収めています。

《力線の束縛》をタッチした4色バージョンも見られましたが、マナ基盤が安定しており現環境の多くのデッキに刺さる《血染めの月》を運用しやすいTemurバージョンのほうが現在はポピュラーです。

☆注目ポイント

濁浪の執政

《濁浪の執政》は別角度の勝ち手段となるカードです。デッキの性質上墓地対策されることがなく、このデッキ相手によくサイドインされる《仕組まれた爆薬》《虚空の杯》《狼狽の嵐》といった対策カードに引っかからないのも優秀です。

暴力的な突発否定の力火+氷

Izzet Ragavanなどカウンターを使うデッキは苦手ですが、《暴力的な突発》《否定の力》でバックアップしながら相手のターンに仕掛けたり、《火/氷》で相手の土地をタップしてカウンターさせなくするなど、巧くスペルを活用することで互角以上に渡り合うことができます。

Modern Challenge 4/22
青白コントロールが復権

2023年4月22日

  • 1位 Amulet Titan
  • 2位 Azorius Control
  • 3位 Temur Cascade
  • 4位 5C Creativity
  • 5位 Living End
  • 6位 5C Creativity
  • 7位 Izzet Ragavan
  • 8位 5C Omnath

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今大会で優勝したAmulet Titanや定番のTemur Cascade、Creativityなどコンボデッキが多数入賞するなかで、《孤児護り、カヒーラ》を「相棒」にしたAzorius Controlが準優勝と健闘していたのが印象的でした。

デッキ紹介

Azorius Control

最近はあまり上位にいなかった青白系のコントロールでしたが、今大会では準優勝という好成績を残していました。

トップメタである《不屈の独創力》デッキは苦手ですが、《虚空の杯》《時を解す者、テフェリー》といったTemur CascadeやLiving Endといった「続唱」デッキに刺さるカードをメインから採用できるのは魅力的です。

☆注目ポイント

虚空の杯

0-1マナスペルを使うデッキが多いモダンでは、《虚空の杯》はいろいろなマッチアップで活躍が期待できます。Temur CascadeやLiving Endといった「続唱」デッキ、1マナスペルを多用するIzzet RagavanやHammer Timeなど、このカードを置かれただけで機能不全に陥るデッキは現環境に数多く存在します。

激しい叱責

メインから採用された《激しい叱責》は主に《ウルザの物語》対策になります。メインから《虚空の杯》もあるのでHammer Timeとのマッチアップでは有利がつきます。

神聖なる月光

《神聖なる月光》《不屈の独創力》コンボ以外でも《死せる生》《衝撃の足音》にも効果があり、キャントリップなので環境によってはメインからでも無理なく採用できるスペルです。

5C Creativity

《不屈の独創力》によって《残虐の執政官》をサーチするコンボデッキで、現環境でもっとも人気があるデッキのひとつです。《時を解す者、テフェリー》《力線の束縛》といった汎用性のあるカードのおかげでミッドレンジとしても振る舞うことができ、対策されにくい構成になっています。

《ドワーフの鉱山》からトークンを出すために、マナ基盤は山タイプを持った土地とフェッチランドのみで構成されています。相手の《敏捷なこそ泥、ラガバン》のブロッカーになったり、プレインズウォーカーへのアタッカーになったりとタダの土地とは思えないほど活躍してくれます。

☆注目ポイント

時を解す者、テフェリー力線の束縛

白をタッチするメリットは《時を解す者、テフェリー》《力線の束縛》といったカードが使えるようになることです。《時を解す者、テフェリー》はマナベース的にプレイしづらいですが、出せればコンボを安全に決めれるため、それだけでも採用する価値があります。サイド後は《夏の帳》もあり、青いデッキとのマッチアップは有利にゲームが進みやすくなります。

Strike It Rich夏の帳

サイドの《一攫千金》《血染めの月》対策として機能すると同時に、《不屈の独創力》の種にもなります。《夏の帳》はカウンターやハンデス対策になるのはもちろん、このデッキ専用の対策カードである《万物の姿、オルヴァール》に対しても有効です。

Modern Challenge 4/22
安定のIzzet

2023年4月22日

  • 1位 Glimpse Combo
  • 2位 Mono Black Control
  • 3位 Izzet Ragavan
  • 4位 Izzet Ragavan
  • 5位 Izzet Ragavan
  • 6位 Temur Cascade
  • 7位 Rakdos Grief
  • 8位 Hammer Time

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優勝こそ逃したもののIzzet Ragavanはプレイオフに3名と安定した成績を残していました。

また《アズゴルへの侵攻》を採用したRakdos Griefが見られるなど、『機械兵団の進軍』から登場した新たなカードタイプの「バトル」が早速使われていました。

デッキ紹介

Izzet Ragavan

《敏捷なこそ泥、ラガバン》《ドラゴンの怒りの媒介者》《帳簿裂き》といった脅威を、《邪悪な熱気》《対抗呪文》といった軽いスペルでサポートしていくスタイルは変わらず、新セットから得たものは特になかったものの環境に合わせてリストも調整されています。

《力線の束縛》《ウルザの物語》を使ったデッキが環境に多いため、《血染めの月》をメインから採用したバージョンが主流になっています。クリーチャーの選択も最近は《ドラゴンの怒りの媒介者》よりも《帳簿裂き》が優先されるなど、よりミッドレンジに寄せた構成になってきています。

☆注目ポイント

帳簿裂き歴戦の紅蓮術士

《帳簿裂き》《歴戦の紅蓮術士》のおかげで、マッチアップによっては不要牌になりやすい《血染めの月》などを有効牌に変換しやすくなっています。またロングゲームにも強くなり、《力線の束縛》《孤独》など強力な除去を搭載したデッキとのマッチアップにも対応しやすくなりました。

濁浪の執政

一方、《濁浪の執政》は2枚のみの採用となっています。さきほどの《力線の束縛》《孤独》といった除去が環境に多く、《未認可霊柩車》《忍耐》《虚空の力線》など墓地対策も厳しくなっているのが主な理由です。

Orvar, the All-FormForce of Negation

サイドの《万物の姿、オルヴァール》は、《呪文貫き》《狼狽の嵐》に引っかからない優秀な《不屈の独創力》コンボ対策です。また、Temur CascadeやLiving Endなどコンボデッキが強い環境なので《否定の力》も採用されています。

総括

不屈の独創力衝撃の足音死せる生

現環境は《不屈の独創力》コンボやTemur Cascadeといったコンボデッキが優勢で、Living Endも増加していることから墓地対策は徹底していきたいところです。

『機械兵団の進軍』からの新カードもわずかながら見られました。特に《レンと次元壊し》と一部の「バトル」は、ほかのデッキでも試す価値がありそうです。

USA Modern Express vol.94は以上になります。それでは次回の連載でまた会いましょう。楽しいモダンライフを!

この記事内で掲載されたカード

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Kenta Hiroki アメリカ在住のプレイヤー。 フォーマットを問わず精力的に活動しており、SCGやグランプリの結果などからグローバルな最新情報を隔週で発信する「USA Modern Express」「USA Legacy Express」を連載中。 Kenta Hirokiの記事はこちら