Translated by Kenji Tsumura
(掲載日 2018/02/20)
(編注 : この記事はコヴァルスキ先生が「赤緑エルドラージ」を使って優勝されたグランプリ・リヨン2018の前に執筆されたものです。決勝戦の対戦相手が同じHareruya Prosのマルシオ・カルバーリョ選手だったことも嬉しいニュースですね。両選手とも本当におめでとうございます!それでは、先週末に栄冠を飾ったばかりの先生のデッキガイドをお楽しみください)
やあ、また会ったな。
俺はグランプリ・ロンドン2018 (シールド&ドラフト) – プロツアー『イクサランの相克』 (ドラフト&モダン) の連戦を終え、ようやく帰宅したところだ。
良い結果を持ち帰れなかったときはいつだって辛いよな。特に今回は明確に自分が間違っていたため、いつも以上にひどいありさまだ。グランプリの2日目とプロツアーで合わせて4回のドラフトをプレイしたわけだが、そのうちの3回で失敗してしまったんだ。自分自身がなぜこんなにひどいドラフトをしてしまったのか、いまだに理解できていない。
十分に準備できていると思っていたし、何も問題はないはずだった。Magic Onlineでの勝率は良く、フォーマット上の各アーキタイプも十分に理解しているつもりだったからな。だがプレミアイベントのドラフトではシグナルを正しく読み取ることができず、そのせいでたくさんの誤ったピックをしてしまった。
とはいえ、この旅の全部が全部悪かったかと言えばそうじゃない。この旅で上出来だったものかつ俺が嬉しく思っているのは、モダンのデッキ選択だ。プロツアーでは、俺たちの調整チームが作り上げた「赤緑エルドラージ」を使用した。俺以外のチームメイトの面々は、プロツアーの数日前にこのデッキを諦めてしまったがな。
プロツアーのモダンの成績は7勝3敗だったものの、これは予想していたよりも良い成績だった。自身の直感に従い、最後の最後でデッキを変えることに納得しなかったのを誇りに思う。というわけで、本日は晴れる屋をご覧いただいている読者諸君のためだけに特別に「赤緑エルドラージ」のデッキガイドをお届けしよう!
もしも命運を決したこのデッキ選択に関する物語の詳細に興味があれば、それに関してより深く掘り下げたビルバオのデックテクをご覧あれ。
この記事では、戦略的な面やカード選択、各マッチアップの分析に焦点を当てていきたいと思う。ひとつの記事にたくさんの情報を詰め込みすぎると読むに値しない内容になってしまうかもしれないが、これもできる限り有益な情報を多く届けたいと思った結果ということで、ご理解いただければ幸いだ。
1 《山》
1 《踏み鳴らされる地》
2 《樹木茂る山麓》
4 《カープルーザンの森》
4 《燃え柳の木立ち》
4 《魂の洞窟》
4 《エルドラージの寺院》
1 《ケッシグの狼の地》
-土地(22)- 4 《貴族の教主》
1 《極楽鳥》
3 《漁る軟泥》
4 《エルドラージの寸借者》
4 《作り変えるもの》
4 《難題の予見者》
4 《現実を砕くもの》
2 《終末を招くもの》
-クリーチャー(26)-
2 《墓掘りの檻》
2 《大祖始の遺産》
2 《自然のままに》
2 《古えの遺恨》
2 《塵への崩壊》
1 《ウルヴェンワルドの足跡追い》
1 《虚空の杯》
1 《コジレックの帰還》
-サイドボード(15)-
デッキの背景 : なぜトロンよりも赤緑なのだろうか?
「エルドラージトロン」はサイズの大きなクリーチャー、それにいくつかの妨害手段とヘイトカードが入ったミッドレンジのひとつに分類されるデッキだ。俺はいくつかの理由からこのアプローチがあまり好きではない。《虚空の杯》のようなカードは特定のマッチにおいては素晴らしいものの、そうでないマッチアップではほぼアンプレイアブルだ。3ターン目に全ての「ウルザトロン」を揃えられれば《解放された者、カーン》はとんでもないカードだが、それ以外のケースだと非常に弱いカードだよな。
全体的に上手くいかないことがたくさんあるし、モダンのような広大なフォーマットにおいては引きが噛み合わないことを理由に対戦相手にやりたいことをさせてしまうだけの時間を与えたくはないんだ。自身の土地が脅威をキャストするのに不釣り合いだったり、こちらの解答が対戦相手の脅威に見合わなかったりってな具合にな。
その点「赤緑」のバージョンは、いくつかの方法によってこの問題を解決している。まず初めに、「赤緑」には潜在的に無駄カードとなりえるカードがほとんど入っていない。最悪のケースでも《稲妻》は本体火力になるし、「ランタン・コントロール」のようなノンクリーチャーデッキに対してキャストができないカードはたった2枚の《四肢切断》だけだ。
また、「赤緑エルドラージ」は5枚のマナクリーチャーと8枚の速攻クリーチャーのおかげで「エルドラージトロン」よりも速い。4ターンキルは日常茶飯事だし、除去が1枚飛んできたくらいじゃ速度が落ちることはない。《古きものの活性》はこのデッキを非常に安定させてくれる。《エルドラージの寺院》を探す手段にもなるし、土地が十分に並んだあとには脅威を探すことだってできるんだ。
最後の項目は、「赤緑エルドラージ」なら “分からん殺し” ができることだ。このデッキは露出が少なかったし、対戦相手にリストを知られていなかった。こちらのデッキにどんなカードが入っているか分からないせいで、プロツアーで当たった相手はたくさんのミスをした。予想されていなかったからこそ《燃え柳の木立ち》で多くの《死の影》を葬り去ることができたし、本来なら勝ちえなかった数ゲームを《エルドラージの寸借者》で勝利することができた。対戦相手が《翻弄する魔道士》で、こちらのデッキに入っていないカードを指定したこともあったな。
カード選択とその理由について
あぁ、これらは古典的なエルドラージパッケージだな!「エルドラージ」という名を冠するデッキでこの12枚が入っていないリストを見たことがないし、それ以外に特に付け加えることはない。
《エルドラージの寸借者》はこのデッキのMVPだ。デッキをより攻撃的なものにしてくれるし、中盤戦で凄まじい打点を繰り出すことをも可能にしてくれる。こいつはクリーチャーを基調としたデッキに対して素晴らしいカードであるものの、コントロールデッキやコンボデッキに対して《貴族の教主》から繋げるカードとしても最高だ。それらのデッキに対して、速攻持ちのパワー4のクリーチャーが2ターン目から殴りかかれることはいつだって良いものだ。
引きが悪いときにマナカーブを埋める手段として最適なカードだ。また、《漁る軟泥》は終盤戦でも活躍できる数少ない2マナ域のカードであるため、マナカーブ通りにエルドラージを展開することを悲しむ必要なんてない。どの道《漁る軟泥》は後半戦で活躍してくれるだろうからな。現在のモダンにおいて墓地に干渉できることは重要であるため、メインボードから墓地に触れるカードを確保できる点も素晴らしい。
単純明快なマナ加速だ。5~9枚目の《エルドラージの寺院》として換算できるため、このデッキにおいて非常に重要だ。
終盤戦における堅実なフィニッシャーであり、多くの有用性をもたらしてくれる。ときおりゲームは膠着する (特に《タルモゴイフ》の入ったデッキに対してはよくあることだ) が、《終末を招くもの》はそういった状況を抜け出すための最良の1枚だ。
《Demonic Tutor》をモダンで使うことはできないが、我々はそれに次ぐカードを使用できる。このデッキが優れている大きな理由のひとつに、高い安定性が挙げられる。そして、《古きものの活性》はそれを可能にする1枚なんだ。
軽い干渉手段は必要だし、これらのカードは俺が「ウルザトロン」型よりも「赤緑」型を好むもうひとつの理由なんだ。「赤緑」型にはクリーチャーデッキに対して低マナで干渉する手段が豊富にある。デッキ内の除去は全て1マナでキャストできるため、1ターンに複数の呪文を唱えて容易にテンポを取ることができる。ノンクリーチャーデッキに対して《稲妻》はキルターンを早めてくれるし、特に「赤緑エルドラージ」デッキがいかに攻撃的なデッキかを理解されていない場合に頻繁に起こる。
マナクリーチャーよりも劣ることに間違いはないが、このカードは1本目で《血染めの月》に対抗ための唯一の保険なんだ。《古きものの活性》が4枚入ってるため、《精神石》のように1枚差しのカードであっても必要なときに見つけることができる。どれだけ最悪の状況であっても、サイクリングしてカードを引くことができるしな。
アドバイスとトリック
《燃え柳の木立ち》 – これは《死の影》に対して最高のカードだ。マナ能力はスタックに乗らないため、対戦相手がこのカードを予期していなければ《燃え柳の木立ち》をセットして色マナを出すだけで1/1の《死の影》を即座に葬り去ることができる。この行動に対して対戦相手はフェッチランドを起動したり、《通りの悪霊》をサイクリングしたりすることはできない。これは実際にプロツアーで起こったシチュエーションなんだ。
《エルドラージの寸借者》 – 《死の影》を殺す方法について話してきたが、《エルドラージの寸借者》でも《死の影》を簡単に殺すことができる。《エルドラージの寸借者》で《死の影》を奪った場合、パワーとタフネスを決定するために参照するライフは対戦相手ではなく君のライフだ。したがって、君のライフが13以上であるなら《死の影》は状況起因効果によって死ぬことになる。この方法で《死の影》が死んだ場合、《死の影》は君のコントロール下で死ぬことになるため、対戦相手の《致命的な一押し》は “紛争” しないことは明記しておこう。
また、《エルドラージの寺院》のふたつ目の能力を《エルドラージの寸借者》の誘発型能力に充てることはできない。もちろん《エルドラージの寸借者》をキャストするためには使用できるが、例えば《山》、《エルドラージの寺院》×2という状況では対戦相手のクリーチャーを奪うことはできないんだ。
《魂の洞窟》 – 対戦相手のデッキに打ち消し呪文が入っていないマッチアップでは、《魂の洞窟》で “ウーズ” や “人間” を指定すればマナベースを強化することができる。このデッキにはそこまで多くの緑マナがあるわけではないし、《魂の洞窟》から《漁る軟泥》を出せば能力を追加で1回多く起動できることから、 “人間” よりも “ウーズ” をよく指定することになるだろう。”人間” を指定して《カープルーザンの森》の代わりに《魂の洞窟》から《貴族の教主》をキャストすれば、攻撃的なデッキに対してライフを温存することができる。
《貴族の教主》、《極楽鳥》と色マナ – マナクリーチャーたちは《仕組まれた爆薬》用の3色目を供給してくれることを覚えておこう。マナクリーチャーと色マナがあれば《仕組まれた爆薬》で《血染めの月》を吹き飛ばすことができるんだ。また、《極楽鳥》は(黒)マナを捻出してくれるため、《四肢切断》のライフ損失を抑えてくれる。
《ケッシグの狼の地》 – 明確に後半戦で有用なユーティリティランドだが、それだけでなく《幻影の像》を殺す手段にもなる。単に(赤)、(緑)、そして《ケッシグの狼の地》をタップして《幻影の像》に+0/+0の修正とトランプルを与えようとすればいいんだ。お得な交換だよな!《幻影の像》に対しては《終末を招くもの》も同様に機能する。例え《幻影の像》がどんなクリーチャーに化けていようとも、《終末を招くもの》で1点を打つだけで十分なんだ。
《古きものの活性》 – いついかなるときもライブラリーの下に送ったカードを覚えておこう。もちろん、ランタン・コントロールやライブラリーアウトのようなデッキと対峙しているのでもない限り、順番まで覚えておく必要はない。ライブラリーの下に送ったカードを覚えておくことで、2枚目以降の《古きものの活性》でどんなカードが手に入るかをあらかじめ予想する助けとなる。これはこのターンにどのように動くべきか、正しい判断を下すために役立つだろう。
また、このデッキには《樹木茂る山麓》が2枚入っている。したがって、2枚目以降の《古きものの活性》をキャストする前にフェッチランドを起動すべきかどうかは知っておく必要がある。もしもマナが十分にあり、1枚目の《古きものの活性》で下に4枚の土地を送っているのであれば、フェッチランドをずっと起動しないことだってあるだろう。
一般的なマッチアップ
各マッチアップを解説するにあたり、分かりやすい相性差の指標を使おうと思う。
ここからはモダンでポピュラーなデッキに対してどのようにプレイしたり、サイドボーディングすべきかというコツをお届けしたいと思う。ここに掲載されていない少しだけマイナーかつ対戦経験の浅いデッキに関しては、それらのデッキが「赤緑エルドラージ」に対してどのような相性なのか俺の所感を記しておく (マイナーの定義はMTGGoldFishの統計を参考にさせてもらった)。「赤緑エルドラージ」を大会に持ち込む前に、どんなデッキと対峙するか予測する助けになればと思う。
青白コントロール – 有利 / ジェスカイ・コントロール – とても有利
これらふたつのデッキは対峙するにあたって良く似ている。ジェスカイの方が《稲妻》のような無駄カードが多く、それでいてメインボードに全体除去呪文が少ない、または1枚も入っていないことが多いため相性が良い。
“エルドラージ” を指定した《魂の洞窟》がこのマッチで最高のカードだ。《魂の洞窟》はエルドラージクリーチャーをキャストする直前に出すようにしよう。相手は《廃墟の地》や《広がりゆく海》で《魂の洞窟》を対処することができるからな。特に後者の《広がりゆく海》は「青白コントロール」で採用率が高いカードだ。
もしも相手が《ルーンの光輪》で《難題の予見者》を指定した場合、《難題の予見者》のいかなる能力も対戦相手を対象に取ることはできない。したがって、《難題の予見者》が戦場を離れた際に対戦相手はカードを引くことができないんだ。
両デッキには《エルドラージの寸借者》で奪いたいクリーチャーが入っていないため、可能な限り早くキャストしてダメージを与える手段として活用しよう。ただし、「ジェスカイ・コントロール」の《電解》には注意が必要だ。基本的に《エルドラージの寸借者》を2体同時に戦場に並べることはないだろう。
対 青白コントロール
対 ジェスカイ・コントロール
《ルーンの光輪》、《アズカンタの探索》、《広がりゆく海》があるため、「青白コントロール」に対しては《自然のままに》が役に立つ。
《四肢切断》は《天界の列柱》と《試練に臨むギデオン》を殺せるので悪くはない。
グリクシス・シャドウ – とても有利
プロツアー前の「グリクシス・シャドウ」に対するMagic Online上の勝率は、80%を超えていた。この勝率を支えていた大部分は “分からん殺し” によるところが大きいが、仮に対戦相手が何が起こるかを把握していたとしてもこのマッチは非常に有利だ。
前述の通りこのマッチで最高のカードは《エルドラージの寸借者》と《燃え柳の木立ち》だ。例え戦場に《死の影》がおらずとも、なるべく対戦相手のライフを高く維持するように心がけよう。《死の影》はこちらにとって唯一の脅威であり、《エルドラージの寸借者》で良いターンを迎えられるよう対戦相手を減速させられれば理想的と言える。
《死の影》を使うプレイヤーはときに自ら致死圏内までライフを減らすため、適当な1回の攻撃と《稲妻》だけでゲームが終わることもある。
そうはいってもこのマッチは技術介入度が高いため、大会に参加する前に練習をしておくべきだ。このマッチでは “いつ攻撃し始めるべきか” を知っておくことが特に重要だな。基本的にどんなときに攻撃をし始めるのかを大まかに言ってしまえば、“多くても2回の攻撃で勝てる” か “次のターンに《エルドラージの寸借者》が用意できているとき” だ。実際の意志決定はそれ以上に奥深いもので、多くの要素に依存する。
対 グリクシス・シャドウ
5色人間 – 不利
モダン環境の中でかなり人気の高いこのデッキは、残念ながら「赤緑エルドラージ」にとって最悪のマッチアップのひとつだ。クリーチャーのサイズは大きくてクロックも速い。そして《反射魔道士》は悪夢となりえる。決して勝算がないほどではないし、幸運にもプロツアーでの対「5色人間」の成績は2勝0敗だった。とはいえ、やはり最悪のマッチであることに違いはないな。
勝つための最良の道は、可能な限り攻撃的に動いてダメージレースをしかけ、彼らが《反射魔道士》を引かないように願うことだ。《二股の稲妻》以外の除去で決して《貴族の教主》を殺さないように。マナクリーチャーではなく、最初に展開された脅威を殺すことはとても重要なんだ。「5色人間」は例えマナクリーチャーを殺されようともマナカーブ通りに展開することに長けているため、《カマキリの乗り手》や《教区の勇者》などを除去して時間を稼いだ方が良い。
対 5色人間
バーン – 少し有利
このマッチはダイスロール次第だ。先手ならば相当に有利であるものの、後手の場合は対戦相手がそれなりの引きをすると手遅れになってしまうことが多々ある。エルドラージクリーチャーは対戦相手を速やかに打ち倒してしまえるほどにサイズが大きいため、「バーン」プレイヤーに《焼尽の猛火》以外の火力呪文を除去として使わせられるような展開に持ち込めれば負けることはないだろう。
サイドボード後は《跳ね返す掌》に気を付けよう。このカードは非常に効果的だし、それゆえにしばしば《難題の予見者》で追放する最良のターゲットとなる。
対 バーン
《コジレックの帰還》は素晴らしいというわけではないものの、いずれにせよ《四肢切断》は2枚ともサイドアウトしなければならない。
親和 – 少し有利
先手後手次第だが、1ゲーム目は「赤緑エルドラージ」側が若干不利なマッチアップだ。「親和」にとってはいつも通り、サイドボード後には全てが変わる。「親和」側が《血染めの月》以外に効果的なサイドボードを持たないのに対し、こちら側はたくさんのアーティファクト対策カードが入るんだ。
無害なクリーチャーには決して除去呪文を使わないように。ゲームに勝つために全てのクリーチャーを除去する必要はないし、こちらのクリーチャーは《メムナイト》や《羽ばたき飛行機械》なんかよりも遥かに優れているんだからな。もしも《稲妻》、《四肢切断》、《古えの遺恨》、《自然のままに》のいずれかを使わなければならない状況になったら、この順番の通りに使おう。
《稲妻》はこの中で最弱なので、破壊したい対象がクリーチャーならば必ず最初に使うことになる。《四肢切断》は単純に《稲妻》よりも広いレンジに対応でき、《電結の荒廃者》やその他のサイズの大きなクリーチャーに対して良い働きをしてくれる。《古えの遺恨》はここまでに言及した全てのクリーチャーに加えて《頭蓋囲い》を対処できるため、非常に有能な除去呪文だ。《自然のままに》はそれに加えて《血染めの月》をも破壊することができる。
《エルドラージの寸借者》はいついかなるときでも《電結の荒廃者》を殺せることを忘れずに。もし何らかの理由で《エルドラージの寸借者》の誘発型能力に対応して対戦相手が《電結の荒廃者》を生け贄に捧げなかったとしよう。その場合は《電結の荒廃者》自身の能力で《電結の荒廃者》を生け贄に捧げられることを覚えておこう。他にアーティファクトクリーチャーがいなければ「電結」能力を享受することはできないが、それでも有用なテクニックだ。
対 親和 (先手)
対 親和 (後手)
《虚空の杯》は先手のみ有効なカードで、X=0でキャストしよう。
黒緑ウルザトロン – 互角か少し有利
ほとんどの場合、ゲームを分かつのは3ターン目にトロンが揃うか否かだ。もし揃っているのなら概ね負けてしまうだろうが、そうでない場合にはこちらには対戦相手を速やかに倒すだけの十分な速度がある。このマッチはプレイするのが比較的簡単だ。ただ単にできうる限りのプレッシャーをかけ、相手がデカブツをキャストできるようになる前にゲームを終わらせるのみだ。
《探検の地図》は起動するマナがないうちはアーティファクト破壊の絶好のターゲットだ。その次に良い対象は《忘却石》だな。
《エルドラージの寸借者》は《ワームとぐろエンジン》を強奪したり、《解放された者、カーン》を出された返しのターンで《カーン》を殺すにうってつけの素晴らしいカードだ。したがって、青白コントロール/ジェスカイ・コントロール戦とは違い、このマッチでは何かを奪えるようになるまで温存しておいた方がいいことが多い。例外は手札に2枚目の《エルドラージの寸借者》があるときだ。
対 黒緑トロン
青赤ストーム – 互角
お互いがブン回ったとしたら青赤ストーム側が上回るものの、それ以外ではいたって互角のマッチアップといえる。こちらにはストームに対していつだってMVPである《難題の予見者》があるし、《遵法長、バラル》や《ゴブリンの電術師》を除去する軽量除去だってある。それにサイドボード後には墓地対策カードだってあるしな。
できる限り速やかにゲームを終わらせるように、そして《遵法長、バラル》と《ゴブリンの電術師》は見たら即除去するようにしよう。
対 青赤ストーム
《仕組まれた爆薬》は主に《巣穴からの総出》用だが、《血染めの月》対策も兼ねている。
2本目は《自然のままに》をサイドインしないように。もしも《血染めの月》を見かけたのなら、3本目でサイドインするのは悪くない。
その他の一般的なマッチアップ
その他の少しマイナーなマッチアップの相性に関しては、基本的にこんな感じだと思う。
デッキ | 相性 |
---|---|
グリクシス・コントロール | とても有利 |
マルドゥ・パイロマンサー | とても有利 |
エルドラージトロン | 有利 |
ドレッジ | 有利 |
トラバース・シャドウ | 有利 |
黒緑ミッドレンジ | 有利 |
アブザン | 有利 |
タイタンシフト | 少し有利 |
バント《聖遺の騎士》 | 少し有利 |
カウンター・カンパニー | 互角 |
ランタン・コントロール | 互角 (1本目の相性は最悪だが、サイド後はそうではない。したがって対戦相手がロックを開始したら2本目と3本目の時間を残すためにさっさと投了することを恐れずに) |
青赤《向こう見ずな実験》 | 互角 (《白金の帝像》に備えて《寸借者》を構えておこう) |
白黒エルドラージタックス | 少し不利 |
感染 | 少し不利 |
青赤パイロマンサー | 不利 |
赤黒《虚ろな者》 | 分からないが、おそらく不利 |
《ぬめるボーグル》 | 分からないが、おそらく不利 |
《死せる生》 | 全くもって分からない |
アドグレイス | 全くもって分からない |
禁止改定が与える影響は?
2018年2月12日に、《精神を刻む者、ジェイス》と《血編み髪のエルフ》がモダンで解禁された。これらの解禁は「赤緑エルドラージ」にとって何を意味するだろうか?
これらのカードは「赤緑エルドラージ」に直接的な影響を与えないだろう。色が合っているとはいえ、《血編み髪のエルフ》がこのデッキに入るとは思えない。《精神を刻む者、ジェイス》は「赤緑エルドラージ」に対して強力なカードではあるものの、率直に言って《精神を刻む者、ジェイス》が入るデッキは総じて相性がいいものばかりだ。
もしもこの禁止改定でそういったデッキが人気になるのであれば、「赤緑エルドラージ」にとって素晴らしいニュースになるだろう。8枚の速攻持ちクリーチャーに4枚の《稲妻》など、《精神を刻む者、ジェイス》に対抗する術はいくらでもあるからな。
総括
「赤緑エルドラージ」は非常にパワフルなデッキで、対戦相手を驚かせ打ち負かす術が豊富なデッキだ。そういったデッキをプレイするのは楽しいもんだよな。少なくとも俺にとってはそうだ。
新しい何かを探しているというプレイヤーには、心より「赤緑エルドラージ」をお勧めしたい。このデッキは決して君をがっかりさせたりはしないだろう!もしも何か質問があれば、気兼ねなくTwitterで聞いてくれ。全ての質問に答えられるよう善処する。
(※編注 : 質問は英語でお願いいたします。)
それじゃあまたな。
グジェゴジュ・コヴァルスキ
この記事内で掲載されたカード
ポーランド出身。
【グランプリ・リール2012】、【グランプリ・ブリュッセル2015】でトップ8入賞。【グランプリ・サンティアゴ2017】では見事準優勝を果たした。
その高い実力はプロツアーでも発揮され、多数の上位入賞、マネーフィニッシュを経験している。