By Yoshihiko Ikawa
サンプルリスト
1 《森》
1 《平地》
1 《草むした墓》
1 《神無き祭殿》
1 《寺院の庭》
4 《新緑の地下墓地》
3 《吹きさらしの荒野》
2 《湿地の干潟》
4 《花盛りの湿地》
2 《乱脈な気孔》
1 《活発な野生林》
-土地(23)- 4 《タルモゴイフ》
3 《残忍な剥ぎ取り》
2 《漁る軟泥》
2 《不屈の追跡者》
2 《包囲サイ》
-クリーチャー(13)-
3 《流刑への道》
3 《致命的な一押し》
2 《コジレックの審問》
2 《突然の衰微》
1 《集団的蛮行》
4 《未練ある魂》
1 《大渦の脈動》
3 《ヴェールのリリアナ》
1 《最後の望み、リリアナ》
-呪文(24)-
基本的な動き
「アブザン」は、《コジレックの審問》《思考囲い》という軽量手札破壊で妨害しつつ、《タルモゴイフ》《漁る軟泥》《残忍な剥ぎ取り》などコストパフォーマンスに優れた少数のクリーチャーで攻め立てる中速のデッキです。《思考囲い》《タルモゴイフ》《ヴェールのリリアナ》を主軸としているので、「ジャンド」の亜種とも言えます。
これまでは《黒割れの崖》と《稲妻》を擁する「ジャンド」に序盤の攻防面・マナベースの安定性で一歩劣っていましたが、『カラデシュ』で《花盛りの湿地》が、『霊気紛争』で《致命的な一押し》が登場したことによりデッキの問題点が大きく改善され、フェアデッキの代表格に名乗りを上げました。
「アブザン」の基本構造である「手札破壊+優良クリーチャー+除去」の大部分は黒と緑の2色で完結していますが、3色目に白を選択した大きな理由の一つに《未練ある魂》の存在があります。
1/1飛行トークンを最大4体生み出せるこのカードは、消耗戦に秀でた1枚であり、除去呪文を多く採用しているフェアデッキやコントロールデッキに非常に効果的に働きます。また、親和」や「感染」のような小型のクリーチャーや飛行クリーチャーを軸にしたデッキに対しても強力で、これらのマッチアップに対して「ジャンド」に比べてかなり優位に戦うことができるのです。
白の利点として、対アーティファクトデッキの最上級サイドカードである《石のような静寂》が採用できる点も見逃せません。
この《石のような静寂》と《未練ある魂》の存在により、親和に対しても比較的優位に戦うことができます。また、「トロン」・「ランタンコントロール」といった比較的不利なデッキ相手にも、この強烈なアンチカードにより一矢報いることもできるでしょう。
スタンダードで一世を風靡した《包囲サイ》や《不屈の追跡者》の採用など、カードパワーを重視して構築されたフェアデッキ界の雄。使用する側、相手にする側、どちらの立場だとしても、ある程度意識しておくべきデッキの一つといえるでしょう。
TIPS
得意なマッチアップ/苦手なマッチアップ
手札破壊とクリーチャー除去をベースとしたデッキなので、手札をある程度ためる必要がある「ストーム」・「アドグレイス」や、少数精鋭のクリーチャーに依存した戦略を取っている「感染」「《死の影》デッキ全般」に対して有利に戦うことができます。前者には「《思考囲い》からの《タルモゴイフ》」、後者には「妨害連打しつつ、相手の除去をあざ笑う《未練ある魂》」という黄金パターンかつイージーウィンを狙っていきましょう。また、《未練ある魂》が効果的なコントロールやミッドレンジ全般に対しても基本的には少し有利です。
一方、早いターンに大量に盤面に展開してくる「エルフ」や「カウンターカンパニー」のような《集合した中隊》デッキは苦手としています。長期戦でも分が良くなるわけではないので、《集団的蛮行》や《鞭打つ触手》といった対策カードをタイミングよく合わせつつ、なるべく短期決戦を臨むように心がけましょう。
また「ジャンド」と同様ですが、早いターンにマナを揃えて、高マナ呪文を叩きつけてくる「トロン」や「タイタンシフト」といった土地コンボ全般はかなり相性が悪い相手です。《大爆発の魔道士》でキーカードとなる土地を壊してからの《外科的摘出》といった必勝パターンこそ存在するものの、相手のパーフェクトムーブには対応しきれず、「手札破壊したものの、フィニッシャーをトップデッキされて負け」という手札破壊の脆弱性を感じる負け方が一番多い対戦相手でもあります。
さらに、手札破壊も除去もほとんど機能しない「ドレッジ」はこのデッキの天敵といえます。自身も《タルモゴイフ》《残忍な剥ぎ取り》《未練ある魂》など墓地に依存しているため、サイドボード後に《安らかなる眠り》を使うこともできず、《外科的摘出》《漁る軟泥》のような最低限の墓地対策に頼らざるをえないケースが多いです。
ここまで有利不利を記載してきましたが「アブザン」はその特性上、基本的に対応力が高いデッキなので、サイドボードを工夫することにより様々なデッキに対抗することができます。土地コンボが多いなら《大爆発の魔道士》を、墓地デッキが多いなら《虚空の力線》《虚無の呪文爆弾》を、エンチャント/アーティファクトデッキが多いなら《原基の印章》《引き裂く突風》など、しっかりメタゲームに合わせてサイドボードを構築することが重要となってきます。