2つのグランプリとモダン新環境の展望

伊藤 敦

 前回の記事 (↑) から少し間が空いてしまったが、2月の中旬にオーストラリアとアメリカの2か所で、禁止改定後では初となるモダンのグランプリが開催され、《ギタクシア派の調査》《ゴルガリの墓トロール》を失ったモダン環境の新たなる姿が明らかとなった。

 今回の記事では2つのグランプリの結果を概観しつつ、5月のグランプリ・神戸2017に向け、この新たなモダン環境のこれからの展望を整理しておこうと思う。

グランプリ・ブリスベン2017 トップ8

2月17-18日

Oliver Oks
※画像は【Magic: the Gathering 英語公式ウェブサイト】より引用させていただきました。


1位 ランタンコントロール
2位 ドレッジ
3位 ドレッジ
4位 リビングエンド
5位 親和
6位 サンアンドムーン
7位 黒緑トロン
8位 アブザン

トップ8のデッキリストは【こちら】
トップ32のデッキリストは【こちら】

 まず明らかに言えるのは墓地コンボの隆盛だろう。《ゴルガリの墓トロール》の禁止は確かにドレッジを弱体化させたが、それでも墓地コンボという角度自体は、環境の墓地対策の枚数が少なければ依然として強力であるということを示す結果となった。

 また、トップ32まででバーンが0名というのも興味深い。対してトップ8には使用者を送り込めなかったものの、エルドラージトロンとバントエルドラージは合計6名がトップ32に勝ち残っていることを考えると、エルドラージとそれに有利なデッキが上位を占めた結果と捉えることもできる。

 低速化した環境でフェアデッキの新たなスタンダードとなりつつあったエルドラージに対し、環境最初期でサイドボードが完成していない隙に付け込んだ一部のアンフェアと、ストレートにエルドラージに相性が良いフェアデッキが勝ち残った、とそのように評価したい。

グランプリ・ブリスベン2017 注目デッキ紹介

ランタンコントロール


Oliver Oks「ランタンコントロール」
グランプリ・ブリスベン2017(優勝)

1 《沼》
4 《空僻地》
2 《産業の塔》
4 《花盛りの湿地》
3 《幽霊街》
2 《発明博覧会》
2 《アカデミーの廃墟》

-土地 (18)-


-クリーチャー (0)-
4 《古きものの活性》
4 《コジレックの審問》
2 《思考囲い》
2 《外科的摘出》
2 《突然の衰微》
2 《集団的蛮行》
1 《冥府の教示者》
4 《オパールのモックス》
2 《ミシュラのガラクタ》
4 《洞察のランタン》
4 《写本裁断機》
3 《グール呼びの鈴》
3 《真髄の針》
1 《伏魔殿のピュクシス》
4 《罠の橋》

-呪文 (42)-
3 《神聖の力線》
2 《呪文滑り》
2 《溶接の壺》
2 《墓掘りの檻》
1 《自然の要求》
1 《集団的蛮行》
1 《失われた遺産》
1 《原基の印章》
1 《ギラプールの霊気格子》
1 《真髄の針》

-サイドボード (15)-
hareruya

 偉大な創始者・Zac Elsikが【グランプリ・オクラホマシティ2015】で優勝して以降、Tier 1どころかTier 2にも決して上らないものの、密かに熱烈な愛用者を増やし続けてきた【ランタンコントロール】。そのデッキが今回、グランプリ2勝目という快挙を達成した。

 バーンや親和といった《罠の橋》に引っかからないデッキが少ないメタゲームだったことも幸いしたことだろうが、注目すべきはマナベースの進化である。

花盛りの湿地発明博覧会産業の塔

 『カラデシュ』で《花盛りの湿地》を手に入れたことで、《突然の衰微》を打つためとはいえ自身のライフを脅かすことも多かった《ラノワールの荒原》の不採用に踏み切ることが可能となった。

 これにより「ライフ20点デッキ」の仲間入りを果たしただけでなく、《発明博覧会》は土地でありながら《罠の橋》をサーチしたり、毎ターンのライフゲインでハーフロック後の盤面でのトップデッキ負けの可能性を大幅に減らしてくれる。ほか、《産業の塔》もサイド後の《神聖の力線》の通常プレイや《ギラプールの霊気格子》のタッチに貢献している。こうした変化も躍進の一端を担っているであろうことは間違いない。

ドレッジ


Zen Takahashi「ドレッジ」
グランプリ・ブリスベン2017(準優勝)

2 《山》
2 《踏み鳴らされる地》
1 《血の墓所》
3 《乾燥台地》
2 《血染めのぬかるみ》
2 《樹木茂る山麓》
2 《宝石鉱山》
3 《銅線の地溝》
2 《黒割れの崖》
2 《ダクムーアの回収場》

-土地 (21)-

4 《傲慢な新生子》
4 《恐血鬼》
4 《ナルコメーバ》
3 《ゴルガリの凶漢》
4 《臭い草のインプ》
4 《秘蔵の縫合体》
1 《憑依された死体》

-クリーチャー (24)-
4 《信仰無き物あさり》
4 《安堵の再会》
4 《壌土からの生命》
3 《燃焼》

-呪文 (15)-
3 《思考囲い》
3 《集団的蛮行》
2 《稲妻の斧》
2 《暗黒破》
2 《古えの遺恨》
2 《突然の衰微》
1 《骨までの齧りつき》

-サイドボード (15)-
hareruya

 実はグランプリ・ブリスベン2017が始まる前、私は津村 健志に「どのデッキが勝つと思うか?」と聞いていた。これに対し津村は迷わず「ドレッジ」と答えた……既に《ゴルガリの墓トロール》は禁止されたにもかかわらず、だ。そのときは半信半疑だったのだが、この結果を見ればこう言わざるをえないだろう。「ドレッジ」は、死んではいなかった。

 このデッキについてはレシピがどうというよりは他のデッキのサイドボードに墓地対策がなさすぎたという話に終始するため、あまり触れるべき部分はないが、《災いの悪魔》だったスロットが《憑依された死体》になっているのは細かいが確かな変化だ。

憑依された死体

 3ターン目までに「発掘」できる枚数が減ったことで、《信仰無き物あさり》がめくれないときの保険的役割兼、打点を安定させるために《ナルコメーバ》《恐血鬼》《秘蔵の縫合体》に加えて13枚目の打点カウントとして採用するに至ったものと思われる。

ジェスカイサヒーリ


Anthony Lee「ジェスカイサヒーリ」
グランプリ・ブリスベン2017(28位)

3 《島》
1 《山》
1 《平地》
2 《神聖なる泉》
2 《蒸気孔》
1 《聖なる鋳造所》
4 《溢れかえる岸辺》
4 《沸騰する小湖》
1 《乾燥台地》
2 《硫黄の滝》
1 《氷河の城砦》
1 《僻地の灯台》

-土地 (23)-

4 《瞬唱の魔道士》
1 《呪文滑り》
1 《ヴェンディリオン三人衆》
4 《守護フェリダー》
1 《ピア・ナラーとキラン・ナラー》
1 《太陽のタイタン》

-クリーチャー (12)-
4 《血清の幻視》
4 《稲妻》
4 《流刑への道》
4 《差し戻し》
1 《至高の評決》
4 《広がりゆく海》
4 《サヒーリ・ライ》

-呪文 (25)-
2 《払拭》
2 《安らかなる眠り》
2 《石のような静寂》
1 《呪文嵌め》
1 《摩耗+損耗》
1 《稲妻のらせん》
1 《神聖な協力》
1 《機を見た援軍》
1 《神々の憤怒》
1 《至高の評決》
1 《仕組まれた爆薬》
1 《思考を築く者、ジェイス》

-サイドボード (15)-
hareruya

 スタンダードで猛威を振るっている《サヒーリ・ライ》《守護フェリダー》だが、2枚コンボで4ターンキルできるとなれば、モダンでの活躍も当然見込めるというわけだ。

サヒーリ・ライ守護フェリダー広がりゆく海

 こうした2枚コンボデッキの場合、コンボパーツの1枚1枚が「そのどちらかしか引かない場合でもある程度のスペックであること」が要求される。単体でも継続的なドロー操作として運用可能な《サヒーリ・ライ》はともかく、《守護フェリダー》を実用可能なレベルにするため、このデッキではETBで墓地の呪文を使いまわせる《瞬唱の魔道士》に加え、《広がりゆく海》を採用している。マナベースを縛ることでコンボに対応可能な除去を構えづらくできるので、理に適った選択だ。

太陽のタイタン

 1枚差しの《太陽のタイタン》も、墓地に《サヒーリ・ライ》が2枚あれば無限コンボとなる。《欠片の双子》とは異なり、構える呪文が少ないタップアウト型のコンボ・コントロールだが、禁止改定前に《欠片の双子》を使っていたという方は試してみる価値があるだろう。

グランプリ・バンクーバー2017 トップ8

2月17-18日

Josh Utter-Leyton
※画像は【Magic: the Gathering 英語公式ウェブサイト】より引用させていただきました。


1位 死の影ジャンド
2位 マーフォーク
3位 死の影ジャンド
4位 死の影ジャンド
5位 アブザンカンパニー
6位 親和
7位 バーン
8位 白単デス&タックス

トップ8のデッキリストは【こちら】
トップ32のデッキリストは【こちら】

 プリズン系デッキ、墓地コンボや土地コンボ、ビートダウンにミッドレンジと、デッキタイプだけでなくコンセプト的にも多種多様といった結果を示したブリスベンとは対照的に、バンクーバーではトップ8にコンボは勝ち残らず、ビートダウン系のデッキが多く勝ち残る結果となった。

 そのビートダウンデッキも多くは見慣れたアーキタイプだが、そんな中でも新興アーキタイプである《死の影》ジャンドの華々しい活躍は、名の知れたプロたちがこぞって使用した結果とはいえ、禁止改定後のモダン環境における最も重要なトピックの一つと言えるだろう。

グランプリ・バンクーバー2017 注目デッキ紹介

《死の影》ジャンド


Josh Utter-Leyton《死の影》ジャンド」
グランプリ・バンクーバー2017(優勝)

1 《森》
1 《沼》
1 《血の墓所》
1 《神無き祭殿》
1 《草むした墓》
1 《踏み鳴らされる地》
4 《血染めのぬかるみ》
4 《新緑の地下墓地》
2 《樹木茂る山麓》
1 《汚染された三角州》
1 《湿地の干潟》

-土地 (18)-

4 《死の影》
4 《タルモゴイフ》
1 《ゴーア族の暴行者》
4 《通りの悪霊》

-クリーチャー (13)-
4 《思考囲い》
4 《コジレックの審問》
4 《ウルヴェンワルド横断》
3 《タール火》
3 《致命的な一押し》
2 《ティムールの激闘》
1 《集団的蛮行》
2 《コラガンの命令》
4 《ミシュラのガラクタ》
2 《ヴェールのリリアナ》

-呪文 (29)-
3 《大爆発の魔道士》
3 《未練ある魂》
2 《古えの遺恨》
2 《墓掘りの檻》
1 《エーテル宣誓会の法学者》
1 《戦争の報い、禍汰奇》
1 《イーオスのレインジャー》
1 《集団的蛮行》
1 《最後の望み、リリアナ》

-サイドボード (15)-
hareruya

 コンボデッキだったSCZとは異なり、《死の影》ジャンドはどちらかといえばフェアデッキの部類に属する。手札破壊で相手の選択肢を狭め、その選択肢が広がらないうちに相手を倒すという戦略もジャンドと同様だ。

 違うのは、相手がゲームを自らの土俵に持ち込みにきたとき、通常のジャンドであればクリーチャー除去や《突然の衰微》《ヴェールのリリアナ》などで相手と少しずつリソースを交換することで、バニラの《タルモゴイフ》が生きやすいフラットな盤面に近づけていく「後の先」の戦略をとるところ、《死の影》ジャンドの場合は、《死の影》の圧倒的な速度を頼みに「先の先」で踏みつぶしにいく点にある。

死の影タルモゴイフ思考囲い

 相手が4マナ揃わないうちに倒せるなら、手札の4マナ以上のカードは全て引いていないのと同義である。そんな無茶苦茶なコンセプトを実現した、端的に言えば「すごく速いジャンド」がこのデッキなのだ。

メガハンデス


Michael Penner「メガハンデス」
グランプリ・バンクーバー2017(11位)

7 《沼》
1 《神無き祭殿》
2 《血染めのぬかるみ》
2 《新緑の地下墓地》
4 《秘密の中庭》
4 《変わり谷》
4 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》

-土地 (24)-


-クリーチャー (0)-
4 《コジレックの審問》
3 《カラスの罪》
3 《致命的な一押し》
2 《思考囲い》
2 《葬送の魔除け》
1 《脅迫状》
4 《小悪疫》
3 《精神ねじ切り》
2 《四肢切断》
4 《金切り声の苦悶》
4 《拷問台》
4 《ヴェールのリリアナ》

-呪文 (36)-
3 《死の影》
3 《外科的摘出》
2 《大爆発の魔道士》
2 《断片化》
2 《未練ある魂》
1 《解呪》
1 《鞭打つ触手》
1 《虚空の力線》

-サイドボード (15)-
hareruya

 「メガハンデス」はその名の通り黒の手札破壊呪文を大量に搭載し、相手の手札を常に0~3枚以下の状態にすることで、《拷問台》《金切り声の苦悶》の継続ダメージや《変わり谷》のアタックで相手を仕留める、といったデッキである。

拷問台小悪疫金切り声の苦悶

 性質としては「ランタンコントロール」のようなプリズンデッキに近く、自分自身はノンクリーチャーデッキのため、《小悪疫》は相手のクリーチャーを巻き込めればリソース差はイーブンで、互いが手札だけを減らす格好となる。《精神ねじ切り》《ヴェールのリリアナ》は数少ないアドバンテージ源として活躍しそうだ。

 サイドボードにはバーン相手の切り札として《死の影》も搭載しているほか、白をタッチして《未練ある魂》《断片化》を採っており、黒単では触れない領域をカバーしている。トロンやドレッジ相手は厳しいと思われるが、それらが少ないメタゲームならば一考の余地はありそうだ。

《精力の護符》コンボ


Bobby Fortanely《精力の護符》コンボ」
グランプリ・バンクーバー2017(16位)

2 《森》
2 《植物の聖域》
4 《宝石鉱山》
1 《魂の洞窟》
4 《シミックの成長室》
3 《グルールの芝地》
1 《セレズニアの聖域》
1 《ボロスの駐屯地》
3 《トレイリア西部》
1 《カルニの庭》
1 《幽霊街》
1 《光輝の泉》
1 《処刑者の要塞》
1 《軍の要塞、サンホーム》
1 《ヴェズーヴァ》

-土地 (27)-

4 《桜族の斥候》
4 《迷える探求者、梓》
1 《強情なベイロス》
4 《原始のタイタン》

-クリーチャー (13)-
4 《召喚士の契約》
4 《血清の幻視》
4 《古きものの活性》
1 《手練》
1 《仕組まれた爆薬》
4 《精力の護符》
1 《殴打頭蓋》

-呪文 (20)-
2 《白鳥の歌》
2 《原基の印章》
1 《シルヴォクののけ者、メリーラ》
1 《再利用の賢者》
1 《強情なベイロス》
1 《優雅な鷺、シガルダ》
1 《自由なる者ルーリク・サー》
1 《女王スズメバチ》
1 《否定の契約》
1 《炎渦竜巻》
1 《虚空の杯》
1 《幽霊街》
1 《ボジューカの沼》

-サイドボード (15)-
hareruya

 禁止改定を乗り越えたデッキはドレッジだけではなかった。「アミュレットブルーム」は【2016年1月の禁止改定】《花盛りの夏》を失ったが、それから1年後、こうして無事グランプリの上位デッキに名を連ねているのだ。

迷える探求者、梓精力の護符原始のタイタン

 《桜族の斥候》《花盛りの夏》ほどの爆発力はないものの、いわゆる「お帰りランド」をプレイアブルにするのに一役買っている。

 《精力の護符》2枚から《迷える探求者、梓》へとつながれば依然として2ターンキルも可能であり、新環境でも土地コンボへのマークを緩めると痛い目をみそうだ。

新たなるモダン環境の展望

 【晴れる屋のデッキ検索】では、過去2週間に登録されたデッキをアーキタイプ別にカウントした際の登録数ランキングを見ることができる。これによれば3月7日(火)現在、モダン環境のトップメタは《死の影》ジャンドということになる。

 その原因は、ほぼすべてのアンフェアデッキに対して有利という《死の影》ジャンドの性質にある。加えて「速度」というのはフェアデッキに対しても相性差を覆して勝利する可能性を残す最強の武器だ。冷静に、1マナで6/6 overのクリーチャーがきつくないデッキなど存在しない。

 結論として、《死の影》ジャンドは苦手なデッキが少なく、グランプリを優勝したのも頷けるほどモダン環境でも群を抜いて強いデッキであると言うことができる。

 では、《死の影》ジャンドはこのままモダン環境のトップメタに居座り続けるのだろうか?

 もちろんその可能性もあるだろう。だがこれからは、モダンの多様性とプレイヤーたちの柔軟性によって《死の影》をメタる方向に環境がシフトしていくものと思われる (あるいは、その前に《死の影》が禁止になるかもしれないが)。

 ここではそのための具体的なアプローチをいくつか紹介しておこう。

交換・消耗アプローチ


Casey Pordes「アブザンジャンク」
グランプリ・バンクーバー2017(10位)

1 《森》
1 《平地》
1 《沼》
1 《神無き祭殿》
1 《草むした墓》
1 《寺院の庭》
4 《新緑の地下墓地》
4 《吹きさらしの荒野》
2 《湿地の干潟》
3 《花盛りの湿地》
2 《秘密の中庭》
3 《乱脈な気孔》

-土地 (24)-

4 《タルモゴイフ》
4 《復活の声》
2 《漁る軟泥》
2 《黄金牙、タシグル》

-クリーチャー (12)-
4 《コジレックの審問》
3 《思考囲い》
3 《流刑への道》
2 《致命的な一押し》
2 《突然の衰微》
4 《未練ある魂》
1 《大渦の脈動》
4 《ヴェールのリリアナ》
1 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》

-呪文 (24)-
3 《大爆発の魔道士》
3 《集団的蛮行》
2 《不屈の追跡者》
2 《外科的摘出》
2 《石のような静寂》
1 《滅び》
1 《仕組まれた爆薬》
1 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》

-サイドボード (15)-
hareruya


Corey Burkheart「グリクシスコントロール」
グランプリ・バンクーバー2017(19位)

3 《島》
1 《山》
1 《沼》
2 《蒸気孔》
2 《湿った墓》
1 《血の墓所》
4 《汚染された三角州》
4 《沸騰する小湖》
1 《溢れかえる岸辺》
1 《硫黄の滝》
2 《忍び寄るタール坑》

-土地 (22)-

4 《瞬唱の魔道士》
3 《黄金牙、タシグル》

-クリーチャー (7)-
4 《祖先の幻視》
4 《血清の幻視》
4 《思考掃き》
4 《稲妻》
2 《呪文嵌め》
3 《終止》
1 《対抗突風》
1 《論理の結び目》
3 《コラガンの命令》
4 《謎めいた命令》
1 《仕組まれた爆薬》

-呪文 (31)-
3 《大爆発の魔道士》
3 《外科的摘出》
2 《払拭》
1 《イゼットの静電術師》
1 《否認》
1 《対抗突風》
1 《神々の憤怒》
1 《滅び》
1 《仕組まれた爆薬》
1 《思考を築く者、ジェイス》

-サイドボード (15)-
hareruya

 《死の影》ジャンドの「手札破壊で脅威を抜き去り、ドローで状況が変化する前に速やかに殴り倒す」は一見最強の戦略だが、2枚以上の汎用除去や、相手の手札にも手札破壊がある場合、手札破壊で何をどう抜いても長期戦に引きずりこまれてしまう。そして長期戦になれば、最初から長期戦を戦い抜く仕様で構築されているデッキの方が有利なのは自明の理だ。

致命的な一押しヴェールのリリアナ瞬唱の魔道士

 BG系のデッキやグリクシスコントロールは、最序盤の手札破壊をめぐる攻防を経ても致命的な打撃を受けることなく、《死の影》《タルモゴイフ》を捌くことが可能なデッキ構造となっており、《死の影》ジャンドのメイン戦略を弾き返す力がある。

 アンフェアに強い《死の影》ジャンドの隆盛は、こうしたフェアデッキの増加につながっていきそうだ。

プリズンアプローチ


Kawaguchi Tetsu「サンアンドムーン」
グランプリ・ブリスベン2017(6位)

8 《冠雪の平地》
1 《冠雪の山》
1 《聖なる鋳造所》
4 《乾燥台地》
4 《凱旋の神殿》
4 《岩だらけの大草原》
2 《宝石の洞窟》

-土地 (24)-

4 《猿人の指導霊》
1 《引き裂かれし永劫、エムラクール》

-クリーチャー (5)-
4 《稲妻のらせん》
1 《神聖な協力》
3 《神々の憤怒》
3 《神の怒り》
4 《血染めの月》
2 《払拭の光》
4 《虚空の杯》
4 《先駆ける者、ナヒリ》
3 《反逆の先導者、チャンドラ》
1 《復讐のアジャニ》
2 《ギデオン・ジュラ》

-呪文 (31)-
3 《安らかなる眠り》
3 《石のような静寂》
3 《神聖の力線》
2 《神聖な協力》
1 《神々の憤怒》
1 《沸騰》
1 《塵への崩壊》
1 《太陽の勇者、エルズペス》

-サイドボード (15)-
hareruya

 ジャンドにあって《死の影》ジャンドにないもの、それは《突然の衰微》だ。《致命的な一押し》はクリーチャーデッキに対してあまりにも強すぎるため、テンポを最重要視する《死の影》ジャンドにとっては福音だった。しかしそれは同時に、わずかな《コラガンの命令》《ヴェールのリリアナ》の「-6」能力以外で置き物に触れないという弱点を生み出すことともなったのだ。

虚空の杯血染めの月罠の橋

 「サンアンドムーン」は《猿人の指導霊》《宝石の洞窟》により1ターン目《虚空の杯》という必殺技を持っているし、2ターン目の《血染めの月》《ヴェールのリリアナ》《最後の望み、リリアナ》のプレイを封じることができる。《神の怒り》も3ターン目にプレイできるならば解答としては十分だろう。

 上で紹介した「ランタンコントロール」の《罠の橋》も有効で、《ヴェールのリリアナ》《真髄の針》で止めつつ、《コラガンの命令》だけドローさせなければ容易にライブラリーアウトを完遂できることだろう。

 こうしたプリズン系デッキは多種多様なアンフェアが存在するモダンにおいては主役になりえないと考えられてきたが、《死の影》ジャンドがそれらのアンフェアの多くを一時的に駆逐するだろうと考えるならば、《死の影》-フェアデッキ-プリズン系デッキ」というトライアングルができあがる可能性もある。今のうちにやりこんでおくと、大きなアドバンテージが得られるかもしれない。


 禁止改定を経た結論が《死の影》強すぎというのは【個人的には複雑な心境】だが、きっとモダンをやりこんだデッキビルダーたちがこの状況を乗り越える新たなアイデアを編み出してくれることだろう。

 いよいよ来週末には『モダンマスターズ 2017年版』も発売し、これからグランプリ・神戸2017に向けてメタゲームはさらに加速していく。

 モダン環境に身を投じて、そのダイナミズムをぜひ肌で感じて欲しい。

 それでは、楽しいモダンライフを!

この記事内で掲載されたカード


Twitterでつぶやく

Facebookでシェアする

関連記事