By Atsushi ito
「神」と「挑戦者」との一騎打ち。各フォーマットの頂点たる称号、「神」の座をめぐる戦いは、第8期の最終戦に突入し、この第8期神決定戦へと集約されることとなった。
そのトップバッターは、スタンダード。君臨する「神」は、和田 寛也。第5期でHareruya Pros・高橋 優太から神の座を奪い、第6期、第7期と2度の防衛を果たしている、元プロプレイヤーだ。
既にマジックを引退としたという和田だが、「神」としての責務を果たすため、再び我々の前に姿を見せてくれた。
事前インタビューで和田は、現在の目標が「神」を超えた遥か先にあることを語っていた。
ゲームの達人を目指す……和田がもし達人の領域に達しているとすれば、鎧袖一触。第2期以来の3タテでの決着が見られるかもしれない。
「引退した神ごときに勝てないようではまだまだ」と、セリフ回しからも達人感を醸し出す「神」が、「挑戦者」の前に立ちはだかる。
一方の「挑戦者」、齋藤 智也は、無名だが20年近いキャリアを持つ古参のマジックプレイヤーだ。
2月の挑戦者決定戦でオリジナリティ溢れる「アブザンミッドレンジ」を使用し、見事優勝した姿は記憶に新しい。
そんな齋藤がインタビューで口にしていたのは、駆け引きへのこだわりだった。
クリーチャー、インスタント除去、プレインズウォーカー。盤面を中心にした応酬で細かいアドバンテージを積み重ねる繊細な攻防は、マジックの醍醐味といっても過言ではない。
正々堂々、相手を上回る。齋藤のその矜持は、はたして「神」に届くのだろうか。
齋藤「負けてもいいけど、5戦目までやりたいな。いっぱいやるのが好きなんですよね」
和田「結構練習やりました?」
齋藤「いや、直前のPPTQだけですw」
自らの緊張をほぐすためか、齋藤の口数も自然と多くなる。神決定戦も4度目となった和田と違い、齋藤はグランプリやプロツアーのフィーチャーマッチのような、この独特にシチュエーションに慣れていない。それでも空気に呑まれないよう、普段通りの態度を心がけようとしているのだろう。
齋藤「さすが、シャッフルが鮮やかですね」
インタビュー中でも構わず始めるほどのシャッフル好きである和田の入念なシャッフルに、齋藤も思わず感嘆の声を漏らす。
それでも互いのデッキをシャッフルし終える頃には、2人の間にはもはや必要最低限の会話以外にはなく。
第8期の神決定戦。そのファーストマッチが、静かに幕を開けた。
Game 1
先手ダブルマリガンの和田が置いた土地は、《尖塔断の運河》。マルドゥ機体と読んでいた齋藤は「おぉ……」と驚く。続くターンには《織木師の組細工》を設置し、《霊気池の驚異》デッキであることをこれ以上なく示す格好となった。
マジックに「駆け引き」を求める齋藤がインタビューで「嫌い」と言って憚らなかったのが、ライブラリーのトップ6枚に《絶え間ない飢餓、ウラモグ》がいることに互いの運命を委ねることになる、この《霊気池の驚異》デッキなのだ。
和田はその齋藤が嫌がるデッキを、本当に偶然 (※デッキ提出期限はインタビューの公開前) 選択した。もはやスタンダードのカードも覚束ないはずの和田だが、これも神の嗅覚が成せる業か。
だが、計算外に驚いていたのは齋藤だけではなかった。《伐採地の滝》を置いた齋藤の2ターン目のセットは《島》。十中八九、八十岡 翔太が作成しスタンダード環境を塗り替えたことで知られる「ティムールタワー」だ。
「島を置かれなければ」……そんな和田の危惧が、はたして現実のものとなってしまう。
しかも和田は4枚目の土地が詰まり、4~6ターン目をドローゴーで返すのみ。対する齋藤も5マナ目が置けずに一度ディスカードとなるものの、6ターン目に引き込んだ《予期》で痺れをきらしてメインから土地を探しにいく。そして土地の代わりに《霊気との調和》を見つけた齋藤は、一瞬悩む素振りを見せるが、残り1マナとしつつそのままプレイする。
その緩手を、見逃す和田ではなかった。《霊気との調和》に対してプレイしたのは《否認》!
これにより、事実上齋藤がカウンターを構えられない状態で自ターンを迎える権利を得た和田。戦場には3マナ、引き込んだのは……4枚目の土地!《霊気池の驚異》を設置し、力強く「ゴゥ!」と宣言する。エネルギーは6個、既に導火線には着火済だ。
齋藤もメインに2枚投入した《自然廃退》で応えるが、《霊気池の驚異》の起動は避けられない。はたして6枚の中に《絶え間ない飢餓、ウラモグ》は……?
齋藤「……おーよかった、なさそう」
意気揚々とターンを返した様子から一転、渋い顔で6枚のカードを見つめる和田の様子から《絶え間ない飢餓、ウラモグ》がないことは明らかだ。仕方なく2枚目の《霊気池の驚異》を選んでお茶を濁そうとする和田だが、これには齋藤の《否認》が突き刺さり、戦場は再び土地だけの状態に戻る。
こうなればあとは齋藤の独壇場……と思われたのだが、実は先ほどの《霊気との調和》がカウンターされてしまったことで、齋藤はいまだに5枚目の土地を引き込めていない。和田がターンを返したエンド前に《天才の片鱗》、占術で見た2枚を両方下に送ると、さすがに今度こそ土地があるだろうとメインで《予期》。
だが、まだ5枚目の土地がない!
齋藤「ライブラリーが空気を読んでくれない……」
齋藤がディスカードを続ける間にも、和田は《天才の片鱗》を通すなどして順調に土地を伸ばしていく。
齋藤「とーちっ!おぉ、何年ぶりだ……」
齋藤もようやくこれまでの分を取り戻すかのように土地を引き始めるが、その頃には既に和田の方に必殺技を繰り出す態勢が整ってしまっていた。
《絶え間ない飢餓、ウラモグ》、10マナ払ってプレイ!
これ自体は《虚空の粉砕》するものの、やっと揃い出した土地がすぐさま2枚飛んでいく。さらに続くターン、和田は2枚目の《絶え間ない飢餓、ウラモグ》!
齋藤 「まあそうなんですよね、そんな感じしたんですよ……」
これも《奔流の機械巨人》からの《虚空の粉砕》で対処する齋藤だが、《奔流の機械巨人》は《蓄霊稲妻》で落とされてしまう。
そして和田は長かったゲームに終わりを告げるべく、《電招の塔》が着地した返しでエルドラージ三柱ならぬ3枚目の《絶え間ない飢餓、ウラモグ》を送り出す。
齋藤「うわ、3人目!?ウソでしょ」
これをカウンターできなかった齋藤は、次のドローを確認して「負けました」と宣言したのだった。
和田 1-0 齋藤
齋藤「カウンターでうまくやられたなー。あそこ (※《霊気との調和》を《否認》したターン) 4枚目の土地持ってなかったですよね?」
和田「持ってなかったです。けど、神なんで(ドヤ 」
齋藤「いやーやばいw 神つえーwww」
ダブルマリガンのゲームをワンプレイで互角の勝負に持ち込まれてしまったことで、齋藤も「神」の強さを実感したようだ。
齋藤「メイン1ゲームとられたのでかいなー。次とれないと0-3が見えてきた」
勝機のあったゲームだけに悔しいという思いを隠さない齋藤に対し、プレイがハマった和田はどことなく嬉しげに見える。
だが、まだ1ゲーム。齋藤も和田も前のゲームの結果に引きずられることなく、メイン戦のままで行われる第2ゲームへと切り替えていく。
Game 2
齋藤「先手後手が難しいなー」
迷った末に齋藤が選択したのは後手。《霊気との調和》の鏡打ちから和田の 《ならず者の精製屋》をエンド前に《蓄霊稲妻》し、《電招の塔》を設置する。
返す和田もしっかりと《霊気池の驚異》を設置するが、齋藤がフルタップで動けたのには理由があった。2ゲーム連続で引き込んでいた、《自然廃退》!エネルギーが溜まっていなかった和田はこれを解決せざるをえず、さらに2枚目の《霊気池の驚異》も持っていなかったため、返すターンにも動けない。
一方齋藤は《霊気との調和》と《天才の片鱗》でエネルギーを途切れさせないようにしつつ、《電招の塔》で毎ターン3点を与える。
やがて齋藤が《奔流の機械巨人》を着地させると、和田もこれに《霊気溶融》をつけるのだが、再利用された《天才の片鱗》がエネルギーを供給し、《電招の塔》が止まらない。
ようやく2枚目の《霊気池の驚異》にたどり着いた和田が仕掛けるものの、何度も《天才の片鱗》を打った齋藤の手札にカウンターがないわけもなく。
完璧なコントロールを見せた齋藤が1本取り返す形となった。
和田 1-1 齋藤
齋藤「0-3しなかったー、よかったーw けどここからが難しい。サイドボードが人によるんですよねー、《霊気池の驚異》使いの人3人くらいとやったんですが、全員プランが違うというw」
そう、ここからは虚実織り交ざるサイド戦。互いにティムールカラー、サイドから緑の太いクリーチャーを入れることも、はたまた青のカウンターを増量することも思いのままだ。
齋藤「相手のリストがわからないのがいいですね、適切なサイドボードがわからないから」
和田「”駆け引き”があって。」
齋藤「そうそう」
気が合っているように見えるが、インタビューで和田は「寝技に持ち込む」と語っていた。そして、「背中から刺すのが好き」とも。
はたして和田は、そして齋藤は、一体どんなサイドボードを見せるのか。
Game 3
「先攻!」と力強く宣言した和田だが、ひたすら土地を置いてエンドを繰り返す。これに対し齋藤は、《守られた霊気泥棒》をエンド前に通しておく。
ゲームが動いたのは後手4ターン目。齋藤のサイドカードである《逆毛ハイドラ》はこちらもサイドインした《不許可》で退け、同様にサイドカードの《不屈の追跡者》には手がかり・トークン生成にスタックでやはりサイドカードの《ショック》を当てる和田。
齋藤「うぉおー、《ショック》を入れてきたw」
対戦相手のサイドプランを見越した狙い澄ましたチョイスに齋藤も感嘆の声をあげる。さらに和田はメインで《奔流の機械巨人》をプレイ、《天才の片鱗》を再利用してアドバンテージ差を広げていく。
だが、返す齋藤はこの《奔流の機械巨人》をサイドカードの《慮外な押収》で奪い去る!
この《奔流の機械巨人》こそ《蓄霊稲妻》で処理した和田だったが、さらなる《天才の片鱗》を《否認》されてしまうと、能動的に動けるアクションを引いておらず、仕掛けることができない。これを見て齋藤が和田のエンドに《天才の片鱗》をプレイすると、和田は《守られた霊気泥棒》が稼働してしまうためこれに《否認》を当てざるをえず、これに対する齋藤の《否認》を和田もさらに《否認》して打ち消すこと自体は成功するものの、手札を大きく消耗してしまう。
そして齋藤が満を持して《奔流の機械巨人》を通し、《天才の片鱗》を解決すると、ゲームの天秤は齋藤の側に大きく傾いていく。
それでも、10マナでの《絶え間ない飢餓、ウラモグ》で齋藤の対応を迫る和田だったが、齋藤は冷静に土地2枚を追放されつつも《虚空の粉砕》でこれを処理。今度は土地事故の心配もなさそうだ。
やがて齋藤が《逆毛ハイドラ》、《不屈の追跡者》と繰り出すと、12枚もの土地を引いてる和田に抵抗する術は残されておらず。
先に王手をかけられたのは、和田の方だった。
和田 1-2 齋藤
Game 4
「先手で」和田の方針は変わらない。だが、互いにマリガンという暗雲立ち込めるスタートに、さすがの和田もシャッフル中に弱気を見せる。
和田「さあ、これで勝てば神ですよ」
齋藤「いやー、そう言ってプレッシャーをかけてくるw 基本的に勝てると思って来てないからw」
ゲームが始まると、和田は《霊気池の驚異》を持っているものの安易に動かず、土地を伸ばしていく。少なくともエネルギーが6個溜まって、設置から即起動できるまで溜める腹積もりだろう。
代わりに、少し土地が詰まり気味だった齋藤がようやく6マナ立たせたところで、エンド前に《奔流の機械巨人》から仕掛け、これへの齋藤の《蓄霊稲妻》をサイドインの《払拭》で弾く。
齋藤「コントロールを意識したサイドボードか……」
そしてトップ《霊気との調和》でちょうど6エネルギーを溜めると、満を持して《霊気池の驚異》をプレイ!
齋藤「おぉー……通ります」
メインで起動する和田。《絶え間ない飢餓、ウラモグ》は……またしてもいない!
なかなか《霊気池の驚異》運に恵まれない和田、しかも代わりにプレイしたのがエネルギーがないところに《守られた霊気泥棒》という有り様で、和田の仕掛けはほとんど無為に終わってしまう。
齋藤「よかった……そのカード本当嫌いw」
ひとまず危機を切り抜けた齋藤は《慮外な押収》で《霊気池の驚異》を奪いにいくが、これは和田が《不許可》。対して和田はこの隙にメインで《奔流の機械巨人》を通し、《予期》を再利用しつつ《霊気拠点》を置いて2回目の起動を目指しにく。
齋藤もメインで《奔流の機械巨人》をプレイして《天才の片鱗》を再利用するが、返しで和田に《天才の片鱗》2枚をプレイされ、エネルギーを5まで溜められる。これに対して齋藤は《奔流の機械巨人》でアタックし、《守られた霊気泥棒》でのブロックで6個になったエネルギーを使っての2回目の《霊気池の驚異》の起動は、齋藤《不許可》→和田3枚目の《払拭》→齋藤《否認》でかわすが、既に余力は残されていない状態。
一方、《天才の片鱗》の連打で手札が潤沢な和田はさらに《天才の片鱗》の3枚目と4枚目をプレイし、ダメ押しに《蓄霊稲妻》を空打ち。エネルギーを全力で溜めての3回目の《霊気池の驚異》起動は……さすがに《絶え間ない飢餓、ウラモグ》!
齋藤もエンドに《蓄霊稲妻》を空打ちして《慮外な押収》のワンチャンスに賭けようとするのだが、マナもエネルギーも微妙に足りていない状態で。
齋藤「ダメですね、負けました」
決着は、最終ゲームに持ち越された。
和田 2-2 齋藤
齋藤「いやー強い。すごいなー、すごいサイドボードしてるなー……」
和田「いや強くないでしょ、誘発忘れまくりだし……」
齋藤「狙い通りラウンド5までは引き延ばしたけど、いやーきついなー……《払拭》3枚と《天才の片鱗》4枚あるのか……」
3ゲーム目と4ゲーム目の展開でほぼ看破された、和田のサイドボード後のデッキ内容。それは、大量のカウンターで《霊気池の驚異》をバックアップすると同時に、《絶え間ない飢餓、ウラモグ》の素プレイまで粘るというものだった。
同じティムールカラーのデッキだけあって互いのスペル構成はほとんど一緒だが、和田に《絶え間ない飢餓、ウラモグ》という絶対のフィニッシャーがいるのに対し、齋藤の側にはそれがない。強いて言えば《逆毛ハイドラ》だが、それも《不許可》に引っかかってしまう。
ならばとマストカウンターを増やそうにも、《霊気池の驚異》という最強の一発逆転がある和田のデッキに対しカウンターは減らせない。長期戦を見据えるとドローも減らせない。《奔流の機械巨人》があるので《蓄霊稲妻》を抜ききることもできない。
何を何枚残し、何を何枚入れるべきか。先手と後手、どちらを取るべきか。《霊気池の驚異》という運が絡むデッキを相手にしてもなお、そこには間違いなく齋藤の望んだ“駆け引き”があった。
一方、《霊気池の驚異》、《絶え間ない飢餓、ウラモグ》素プレイ、《奔流の機械巨人》 (とサイドにさらなるアグレッシブクリーチャーが入っている可能性) と複数の勝ち手段を用意することで狙い通り“寝技に持ち込んだ”和田も決して楽ではない。最終5ゲーム目には「次のゲーム」がない以上、先手で思いきったサイドボードをとってくることも考えられる。和田も齋藤がどの戦略に焦点を絞ってくるのか、あるいは万遍なく対応してくるのか、読み切った上でサイドカードのバランスを変える必要があるのだ。
読み合い、裏をかき、先を行く。神と人が互いに総力を結集してぶつかり合う戦い、そのラストゲームが始まる。
Game 5
齋藤「どうしようかなー……あれ、今まで全部後手か。コントロールプランっぽいけど……後手で」
和田の先手で最終ゲームがスタート。《霊気との調和》の鏡打ちと、和田が《守られた霊気泥棒》を着地させた以外はセットゴーが続く静かな立ち上がり。その《守られた霊気泥棒》にも《蓄霊稲妻》が飛び、互いに仕掛けるべき機を窺う。
ゲームが動いたのは6ターン目。齋藤がセット前に《不屈の追跡者》をプレイ、これが通るも、対する和田は手がかり生成にスタックで再び《ショック》を打ち込む。さらにエンド前に《天才の片鱗》。残りは1マナ。
齋藤「うーん、100パー (《払拭》を) 持ってるもんなー……」
仕方なく通すが、2枚の《霊気との調和》と合わせてエネルギーが6。そして自分のターン、《霊気池の驚異》!
齋藤「……一応打ってみましょう」
齋藤は《否認》、だがこれには予定調和の《払拭》が合わさり、エネルギー6個の状態で《霊気池の驚異》が着地してしまう。
齋藤「すぐ起動はしない?」
和田「うーん、一応考えるか。一応考えると、すぐ起動は……しま、せん」
《慮外な押収》をケアして、《霊気池の驚異》を構えたまま齋藤にターンを渡す。ここにきて、もはや人事は尽くしたといった表情の和田。勝負は、和田のライブラリーの上6枚に絞られた。
齋藤「そのカード、上がどうなるかわかんないからなー……正解のプレイングとかないんだよなー……」
だが、齋藤も意を決して《慮外な押収》を《霊気池の驚異》にプレイするしかない。当然和田はスタックで起動する。
その、6枚の中には。
タップ状態の《霊気池の驚異》は奪われるものの、齋藤の青マナ3つのうちの2つを潰し、さらに和田のターン。
和田「アタック」
巨大なエルドラージが、齋藤のライブラリーを吹き飛ばしていく。
これで齋藤の残りライブラリーは21枚。戦場に出てしまった《絶え間ない飢餓、ウラモグ》をアタックさせない方法は《慮外な押収》以外にない……が、返すターンに引き込めなかった上に、そもそもエネルギーが足りない。
そして。
齋藤「負けました」
長い長い戦いに、ようやく終止符が打たれたのだった。
和田 3-2 齋藤
齋藤「1ゲーム目は、『神』との格の差を見せつけられた感じでしたね」
あと一歩届かなかったとはいえ、齋藤の表情に翳りはなかった。
《霊気池の驚異》という奇襲を受けたとはいっても、カウンターと除去、インスタントタイミングでのドローで、和田はきちんと”駆け引き”を行ってきたのだ。その末に敗れたのだとしたら、和田の方が一枚上手だったと言うほかない。そういうことなのだろう。
試合後のインタビューで、今後の目標について尋ねられた齋藤はこう答えた。
齋藤「目標……プロツアーにいつか出たいですね」
素晴らしい戦いを見せてくれた挑戦者に拍手を送るとともに、今後の活躍に期待したい。
そして、スタンダード神・和田。対人戦での洞察力は、マジックを引退してますます磨きがかかっているように思えた。それは「ゲームの達人」を目指す和田が幅広く他のゲームに触れたことで手に入れた、新しい武器と言えるだろう。
先に王手をかけられたとはいえ、ゲームを重ねるごとに正しいプレイングを学び、実践していく姿は、まだまだ「ゲームの達人」からは遠いかもしれないが、「神」にふさわしい戦いぶりだったことは間違いない。
試合後のインタビューの最後で、和田はこう言い放った。
和田「さっさと俺を倒しに来い!」
マジックを引退した「神」に引導を渡すのは、あなたかもしれない。
第8期スタンダード神決定戦、勝者は和田 寛也(立石)!
「スタンダード神」防衛成功おめでとう!!
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