はじめに
みなさんこんにちは。
先週末は、レベルの高いオンラインイベントが複数開催されました。MPL/MRL所属選手による『ゼンディカーの夜明け』リーグ・ウィークエンド、そしてRed Bull Untappedの最終予選となるWeek of Wings Qualifierです。また、次回のチャンピオンシップへの出場権をかけた予選ウィークエンドも実施されていました。
前回の勝ち組であるブリンク系は、どうなったのでしょうか?対抗馬は現れたのでしょうか?
先週末の勝ち組:グルールアドベンチャー
激動のスタンダード環境。競技者たちは、どのようなメタゲームを想定し、どんなデッキを選択したのでしょうか。まずは先週末の勝ち組デッキを確認していきましょう!
3 《山》
4 《寓話の小道》
2 《進化する未開地》
4 《岩山被りの小道》
-土地 (22)- 4 《エッジウォールの亭主》
4 《山火事の精霊》
3 《漁る軟泥》
4 《砕骨の巨人》
4 《カザンドゥのマンモス》
4 《恋煩いの野獣》
2 《探索する獣》
-クリーチャー (25)-
2 《エンバレスの盾割り》
2 《運命の神、クローティス》
2 《焦熱の竜火》
2 《アクロス戦争》
2 《解き放たれた者、ガラク》
2 《怪物の代言者、ビビアン》
-サイドボード (15)-
MPLに所属する佐藤 レイ選手はグルールアドベンチャーを使用し、11勝1負と素晴らしい成績を残しました。同デッキは原根 健太/熊谷 陸/井川 良彦/高橋 優太選手ら日本のトッププレイヤーたちが調整した和製デッキです。
グルールカラーの各マナ域の優れたクリーチャーを採用したビートダウンデッキとなります。デッキには2つの要素が詰め込まれています。1つは「上陸」による高速打点。《山火事の精霊》《カザンドゥのマンモス》は《寓話の小道》《進化する未開地》と組み合わせることで、瞬間的ですが爆発的な成長をみせます。「上陸」を持つクリーチャーが2体並べば、《寓話の小道》を1枚使うだけで8点分の打点が手に入ることになります。土地を置くだけでです!
ここに《エンバレスの宝剣》を合わせ、一撃のもとに切り伏せたり、《原初の力》や《髑髏砕きの一撃》で相手の防御網を突破していきます。
もう1つは《エッジウォールの亭主》と「出来事」、《グレートヘンジ》を使ったミッドレンジゲームです。序盤からダメージを稼ぎ《エッジウォールの亭主》で足りない手札を補充して押し切るのが理想ですが、序盤のもたつきや相手の除去呪文の連打によってはゲームが長引く可能性があります。通常のアグロデッキは速度を殺されると消耗戦の末に負けてしまいがちですが、このデッキは2つのアドバンテージエンジンを積んでおり、カードを引き増すことが可能となっています。
サイドボードは広く選択されており、なかでもラクドスエスケープ、ディミーアローグ、アゾリウスブリンクには厚く取られています。《運命の神、クローティス》《アゴナスの雄牛》《怪物の代言者、ビビアン》といったカードをみるに、消耗戦を想定したマッチを意識しているようです。
《運命の神、クローティス》は任意の墓地からカードを追放し、ボーナスをもたらすカードです。《死の飢えのタイタン、クロクサ》を追放できるのはもちろん、単なるダメージソースとしても強力なカードであり、ライフレースで有利に立たせてくれます。
『ゼンディカーの夜明け』リーグ・ウィークエンド
MPL 上位者
勝利数 | プレイヤー名 | デッキタイプ |
---|---|---|
11-1 | 佐藤 レイ | グルールアドベンチャー |
9-3 | Paulo Vitor Damo Da Rosa | ラクドスエスケープ |
8-4 | Marcio Carvalho | ディミーアローグ |
8-4 | Reid Duke | ディミーアローグ |
8-4 | Carlos Romao | ディミーアローグ |
7-5 | Javier Dominguez | アゾリウスブリンク |
7-5 | Raphael Levy | ジェスカイブリンク |
7-5 | Autumn Burchett | ティムールランプ |
7-5 | Gabriel Nassif | ディミーアローグ |
7-5 | Brad Nelson | グルールアドベンチャー |
7-5 | Ondrej Strasky | グルールアドベンチャー |
(※デッキタイプをクリックするとリストが閲覧できます。)
初週の『ゼンディカーの夜明け』リーグ・ウィークエンドですが、MPLでは佐藤 レイ選手が和製グルールアドベンチャーを使用して単独トップに立ちました。次点はラクドスエスケープ、さらにディミーアローグの選択者と続きます。ブリンクデッキは使用者数こそ最多ながら、苦しい結果となりました。
どうやらメタゲームは釈迦の掌の上だったようです。Paulo Vitor Damo Da Rosa選手は的確にメタゲームを読み解き、ラクドスエスケープを持ち込み大きな戦果をあげました。アゾリウスブリンクが中心であり、それに強いディミーアローグの増加を見越しての選択なのです。メインボードには《アゴナスの雄牛》が2枚とられ、相手の「切削」を利用する準備が整っています。
定位置と思われた《マグマの媒介者》が解雇され、赤単アグロでよくみる《義賊》へと変更されています。土地を有効牌に変え、中盤以降では4点を刻めるカードは、現環境において悠長だったようです。
対して《義賊》はアゾリウスブリンクのように序盤からライフを詰めたい相手には効果的なカードであり、マナが余ったときには追放していた相手のカードを使うことでアドバンテージ源ともなってくれます。ならず者は《義賊》に加えて《悪ふざけの名人、ランクル》の6枚となっています。
MRL 上位者
勝利数 | プレイヤー名 | デッキタイプ |
---|---|---|
9-3 | Stanislav Cifka | ディミーアローグ |
9-3 | Luis Scott‐Vargas | ディミーアローグ |
9-3 | Bernardo Santos | ディミーアローグ |
8-4 | Jacob Wilson | セレズニアブリンク |
8-4 | Kenji Egashira | セレズニアアドベンチャー |
8-4 | 原根 健太 | グルールアドベンチャー |
8-4 | Eli Kassis | ディミーアローグ |
8-4 | 熊谷 陸 | グルールアドベンチャー |
8-4 | Matt Sperling | ディミーアローグ |
8-4 | Mike Sigrist | ラクドスエスケープ |
8-4 | Matthew Nass | セレズニアブリンク |
(※デッキタイプをクリックするとリストが閲覧できます。)
MRLではStanislav Cifka/Luis Scott‐Vargas/Bernardo Santosの3選手が9勝をあげて、トップに立っています。いずれのプレイヤーもディミーアローグを選択しており、アゾリウスブリンクに的を絞っていたようです。
苦しいながらに戦果をあげたブリンクデッキもいました。Jacob Wilson選手はセレズニアブリンクを使用し、見事8勝としました。この構築は3マナまでのランプ呪文を増やしており、5マナへの到達ターンを早めてそこから巻き返していくゲームとなります。
定番の《ラノワールの幻想家》に加えて《耕作》が採用されています。5マナ目を確定してくれるランプ呪文であるため、次のターンからの巻き返しに備えます。ブリンク系のミラーマッチでは手札を減らさずにマナを伸ばし続けたいため、理想的な1枚といえますね。
たどり着いた先に待ち構えているのは《怪物の代言者、ビビアン》。ビースト・トークンを生成し続けて戦線を支えてくれるため、どのマッチでも無駄にならないカードです。ビースト・トークンは到達を持てるため、ディミーアローグに対して毎ターンブロッカーを供給できるプレインズウォーカーとなります。
さらにブリンク系のミラーマッチを想定して、《精霊龍、ウギン》が採用されています。戦場にパーマネントを並べることでアドバンテージを生み出すブリンクデッキに対して、そのすべてを流す《精霊龍、ウギン》。自分と相手の戦場を見比べて、不利な場合はリセットボタンを押すこととしましょう。
メタゲーム
デッキタイプ | MPL | MRL |
---|---|---|
ディミーアローグ | 8 | 16 |
アゾリウスブリンク | 6 | 10 |
グルールアドベンチャー | 4 | 3 |
ティムールランプ | 2 | 2 |
ラクドスエスケープ | 1 | 3 |
アブザンスタックス | 0 | 2 |
ジェスカイコントロール | 0 | 2 |
セレズニアブリンク | 0 | 2 |
その他 | 3 | 7 |
合計 | 24 | 47 |
MPL/MRLともに上位3デッキは、ディミーアローグ/アゾリウスブリンク/グルールアドベンチャーと共通しています。前週までのブリンク系の隆盛を受け、それに強いディミーアローグとグルールアドベンチャーが数を伸ばした形となっています。アゾリウスブリンクもミラーマッチを意識した構築となっていましたが、ほかのデッキから強烈にメタられた結果、思うような成績を残せませんでした。
公式のカバレージはこちら。
デッキ紹介
ディミーアローグ
最大母数となったディミーアローグですが、大きく2つのパターンに分かれています。《夢の巣のルールス》を「相棒」にし《遺跡ガニ》を採用したライブラリーアウト型と、《サメ台風》を採用したフラッシュ型です。
ライブラリーアウト型
3 《沼》
4 《寓話の小道》
2 《ゼイゴスのトライオーム》
4 《清水の小道》
4 《欺瞞の神殿》
-土地 (21)- 4 《マーフォークの風泥棒》
4 《遺跡ガニ》
4 《盗賊ギルドの処罰者》
4 《空飛ぶ思考盗み》
-クリーチャー (16)-
1 《塵へのしがみつき》
4 《湖での水難》
3 《無情な行動》
2 《神秘の論争》
1 《死住まいの呼び声》
1 《凪魔道士の威圧》
3 《アガディームの覚醒》
4 《物語への没入》
1 《海門修復》
-呪文 (23)-
2 《否認》
2 《タッサの介入》
2 《死住まいの呼び声》
2 《凪魔道士の威圧》
2 《絶滅の契機》
1 《塵へのしがみつき》
1 《神秘の論争》
1 《夢の巣のルールス》
-サイドボード (15)-
Hareruya ProsのMarcio Carvalho選手は8勝をあげました。このデッキは戦略の主眼は「切削」にあてられており、《遺跡ガニ》などを使用したライブラリーアウトによる勝利を目指していきます。
《遺跡ガニ》を筆頭に、相手のデッキを「切削」していきます。以前のディミーアローグにおいて、「切削」行為は《盗賊ギルドの処罰者》《空飛ぶ思考盗み》の強化や《湖での水難》の対象範囲の拡大、《物語への没入》のマナコスト軽減のために使用していましたが、このデッキでは削り続けること=勝ち手段となります。
相手の攻撃手段に対処するためにさまざまな除去/打ち消し呪文が採用されています。《湖での水難》や《物語への没入》の強さは広く知れ渡っていますので、ここでは《凪魔道士の威圧》に注目してみましょう。
《凪魔道士の威圧》はマナコストの重い《支配魔法》ですが、「切削」次第で大幅に軽くなります。相手のフィニッシャーを奪うもよし、《恋煩いの野獣》のような壁を選択し守りを固めるもよし、《死の飢えのタイタン、クロクサ》を奪い「脱出」させないするもよし!これ1枚でカードアドバンテージと「切削」時間を稼いでくれるのです。
「切削」手段がクリーチャーに限定されているため、除去呪文に弱くなっています。それを補うのが《死住まいの呼び声》《アガディームの覚醒》《夢の巣のルールス》の3枚。クリーチャーの大半が2マナ以下であるため、リアニメイト呪文1枚でカード2枚を拾える仕様になっています。
フラッシュ型
4 《沼》
4 《ゼイゴスのトライオーム》
4 《清水の小道》
4 《欺瞞の神殿》
2 《ロークスワイン城》
-土地 (24)- 4 《盗賊ギルドの処罰者》
4 《空飛ぶ思考盗み》
-クリーチャー (8)-
2 《塵へのしがみつき》
4 《湖での水難》
3 《無情な行動》
2 《本質の散乱》
1 《取り除き》
1 《否認》
2 《無礼の罰》
2 《シルンディの幻視》
1 《アガディームの覚醒》
4 《物語への没入》
4 《サメ台風》
-呪文 (28)-
これまでのディミーアローグと同様に、「切削」しつつライフを削りきって勝つ構成です。《夢の巣のルールス》採用型、《トリックスター、ザレス・サン》入りの重めの構成などありましたが、このデッキのポイントは8枚と極限までクリーチャーを切り詰めながらも《夢の巣のルールス》を採用していない点にあります。
代わりに採用されたダメージソースは《サメ台風》です。「サイクリング」付きのため手札が減らず、サイズも自在であり、マナが余りがちな後半では強力なカードとなります。特にアゾリウスブリンクはソーサリータイミングでの対処手段が多く、《サメ台風》はダメ押しとなり得るのです。
少ない勝ち手段を守るために、確定の打ち消し呪文が増えています。「切削」効果を持つ打ち消し呪文であり、《無礼の罰》1枚で都合4枚のカードが墓地へおかれることになるので、「切削」による恩恵を受けやすくなっています。マナコストの軽い瞬速クリーチャーのみで構成していることで、重めながら対象範囲の広い打ち消し呪文の採用に成功しているのです。
アゾリウスブリンク
9 《島》
4 《寓話の小道》
4 《啓蒙の神殿》
1 《這い回るやせ地》
-土地 (27)- 4 《スカイクレイブの亡霊》
2 《玻璃池のミミック》
4 《真面目な身代わり》
3 《空を放浪するもの、ヨーリオン》
2 《夢さらい》
-クリーチャー (15)-
3 《否認》
2 《垣間見た自由》
2 《神秘の論争》
4 《空の粉砕》
1 《崇高な天啓》
4 《エメリアの呼び声》
1 《海門修復》
1 《オンドゥの転置》
4 《海の神のお告げ》
2 《メレティス誕生》
4 《エルズペス、死に打ち勝つ》
4 《精神迷わせの秘本》
2 《ガラスの棺》
-呪文 (38)-
先々週に華々しい成果をあげたアゾリウスブリンクでしたが、1週間後、ディミーアローグとグルールアドベンチャーを中心とした完全な包囲網が完成していました。『ゼンディカーの夜明け』リーグ・ウィークエンドに持ち込まれたどのデッキもアゾリウスブリンクを意識しており、ブリンク選択者は苦境に立たされ、大会前からハンデを負うことになったのです。しかしそのなかでもHareruya Prosのハビエル・ドミンゲス/Javier Dominguez選手は同デッキを使用し、7勝をあげました。
基本的にはクリーチャーやエンチャントなどのパーマネントを展開し、《空を放浪するもの、ヨーリオン》を使って「明滅」することでアドバンテージを稼いでいきます。《スカイクレイブの亡霊》《エルズペス、死に打ち勝つ》といった単体パーマネントに強い構成は変わっていませんが、前回ご紹介した「明滅」に主眼を当てた《空を放浪するもの、ヨーリオン》から、軽い打ち消し呪文を採用してミラーマッチを意識した構成へと変化しています。
《スカイクレイブの亡霊》《真面目な身代わり》と、「明滅」対象となるクリーチャーは極限まで絞られ、浮いたスペースには《本質の散乱》などの打ち消し呪文が挿し込まれています。以前はソーサリータイミングでしか動けないパーマネント同士の交換で力を発揮する構成となっていましたが、軽い打ち消し呪文を採用することでミラーマッチにおいて相手の重いカードを2~3マナで対処してテンポを稼いでくれるのです。
打ち消し呪文のなかで《崇高な天啓》は重いカードですが、その効果は絶大です。単純に打ち消しやバウンスとしても使用できますが、覚えておきたいのは《空を放浪するもの、ヨーリオン》の『戦場へ戻る』誘発型能力を打ち消すことができる点です。アドバンテージを稼ごうとすべてのパーマネントを追放したが最後、永遠に戻ることはなく、勝負を決める一手となります。
打ち消し呪文と相性のいいドロー呪文が選択されています。《精神迷わせの秘本》はマナとターンこそかかるものの、いつでも起動できるため打ち消し呪文主体のデッキと相性がよく、最大4枚のカードを引くことができます。《空を放浪するもの、ヨーリオン》で使い回しもできるので、手札が枯渇することはありません。
《垣間見た自由》は見慣れぬ1枚であり、「脱出」コストは重く、コストパフォーマンスは高くはありません。しかし、コストパフォーマンスの悪さこそがこのカードの強さなのです。
「切削」を武器にしたディミーアローグとの試合は難しく、《ガラスの棺》《スカイクレイブの亡霊》が適正ターンに定着しないと一方的に押し切られてしまう(デッキを削りきられてしまう)可能性があります。《垣間見た自由》の「脱出」コストは5枚と重いものの、ディミーアローグとのマッチアップでは墓地からより多くのカードを追放したいため、噛み合っているのです。
Week of Wings Qualifier
順位 | プレイヤー名 | デッキタイプ |
---|---|---|
優勝 | Jan-Moritz Merkel | グルールアドベンチャー |
準優勝 | Ioannis Tsetis | ディミーアローグ |
トップ4 | Davor Detecnik | グルールアドベンチャー |
トップ4 | 山本 賢太郎 | ボロスサイクリング |
トップ8 | Reamonn Behal | ティムールランプ |
トップ8 | Carson Bell | セレズニアブリンク |
トップ8 | Kirill Zhuravlev | セレズニアアドベンチャー |
トップ8 | William Jackson | エスパースタックス |
(※デッキタイプをクリックするとリストが閲覧できます。)
参加者1011名と最大規模での開催となったRed Bull Untapped予選、Week of Wings Qualifierはグルールアドベンチャーを使用したJan-Moritz Merkel選手の優勝となりました。上位にはグルールアドベンチャーに加えボロスサイクリングも残っており、トップ16まで視野を広げれば赤単アグロの姿も見え、アグロデッキが存在感を示した大会となりました。
Reamonn Behal選手はティムールランプを使用し、トップ8入賞となりました。《僻境への脱出》と《創造の座、オムナス》亡き後、その穴を埋めたのはアドバンテージが取れるマナソースの採用と呪文/土地の両面カード(以下、スペルランド)採用によるデッキ内の土地密度の低下でした。
大量にカードを補充できなくなったことで、《ラノワールの幻想家》は貴重なカードアドバンテージ源となりました。マナ加速しながら《精霊龍、ウギン》《発生の根本原理》《峰の恐怖》などの当たり牌を引きにいきます。
グルールアドベンチャーでは頼もしいアタッカーとなる《カザンドゥのマンモス》ですが、このデッキではまず土地として置くことが前提であり、十分なマナを確保できた場合にのみクリーチャーとしてキャストします。ブロッカーでゴールまでの時間を稼ぎつつ、隙あらば《耕作》を絡めて単体でダメージレースを挑めるクリーチャーとなります。
メタゲーム
デッキタイプ | 使用者数 |
---|---|
ディミーアローグ | 181 |
グルールアドベンチャー | 167 |
ラクドスエスケープ | 71 |
赤単アグロ | 71 |
ティムールランプ | 56 |
ディミーアコントロール | 52 |
アブザンスタックス | 42 |
アゾリウスブリンク | 42 |
エスパースタックス | 33 |
その他 | 296 |
合計 | 1011 |
ディミーアローグを先頭にグルールアドベンチャー、ラクドスエスケープと続き、『ゼンディカーの夜明け』リーグ・ウィークエンドと全く違うメタゲームとなっています。あれほどいたアゾリウスブリンクは8番手まで落ち、トップ32を見てもわずかに1名のみ。《空を放浪するもの、ヨーリオン》包囲網は完成し、負け組となってしまったようです。
トップ8デッキリストはこちら。
デッキ紹介
ボロスサイクリング
4 《陽光昇りの小道》
4 《針縁の小道》
4 《河川滑りの小道》
-土地 (14)- 4 《繁栄の狐》
4 《ドラニスの刺突者》
4 《雄々しい救出者》
4 《ドラニスの癒し手》
-クリーチャー (16)-
4 《驚くべき発育》
2 《髑髏砕きの一撃》
4 《記憶漏出》
4 《天頂の閃光》
2 《霜帳の奇襲》
4 《願い与えの加護》
2 《エメリアの呼び声》
4 《踏み穴のクレーター》
-呪文 (30)-
《繁栄の狐》や《雄々しい救出者》といった「サイクリング」でボーナスをもたらすクリーチャーを序盤に展開して打点を刻み、膠着したら《天頂の閃光》でフィニッシュを狙うアグロコンボです。
注目は14枚まで切り詰められた土地総数であり、2種4枚のスペルランドを採用することで土地が引けない/土地の引き過ぎ(以下、マナスクリュー/マナフラッド)に対応しています。以前は《ヴァラクートの覚醒》をはじめとしたタップインスペルランドも採用されていましたが、このデッキではテンポロスがないように、アンタップインできるもののみとなっています。
《エメリアの呼び声》は7マナと重く、土地の半数を引かなければキャストできません。しかし、「サイクリング」を続けることでデッキ内の土地密度が高まり、長引くと土地だらけの手札になってしまいます。ビートダウンからの《天頂の閃光》が決まらない場合は、《エメリアの呼び声》が第2のダメ押しカードとなり得るのです。
サイドボードでは《静寂をもたらすもの》に注目です。ブリンク系をメタったカードであり、このクリーチャーが戦場にいれば《スカイクレイブの亡霊》も《スケイズ・ゾンビ》へと成り下がります。
エスパースタックス
3 《沼》
2 《島》
4 《寓話の小道》
4 《清水の小道》
4 《欺瞞の神殿》
4 《啓蒙の神殿》
2 《陽光昇りの小道》
2 《静寂の神殿》
-土地 (30)- 2 《魅力的な王子》
4 《スカイクレイブの亡霊》
2 《空を放浪するもの、ヨーリオン》
2 《夢さらい》
-クリーチャー (10)-
3 《絶滅の契機》
1 《ハグラの噛み殺し》
2 《エメリアの呼び声》
4 《メドマイの予言》
4 《海の神のお告げ》
3 《メレティス誕生》
2 《裏切る恵み》
4 《予言された壊滅》
3 《エルズペス、死に打ち勝つ》
4 《エルズペスの悪夢》
2 《サメ台風》
3 《ガラスの棺》
2 《黄金の卵》
-呪文 (40)-
3 《否認》
2 《強迫》
2 《サメ台風》
1 《塵へのしがみつき》
1 《エルズペス、死に打ち勝つ》
1 《空の粉砕》
1 《空を放浪するもの、ヨーリオン》
-サイドボード (15)-
打ち消し呪文を使用せずにアゾリウスブリンクに強い《空を放浪するもの、ヨーリオン》デッキがあります。それこそが《予言された壊滅》を採用したスタックス系のデッキとなります。戦場に《海の神のお告げ》などのパーマネントを順次並べていき、《予言された壊滅》を着地させましょう。真価を発揮するには時間がかかるため、早めの設置を推奨します。真綿で首を締めるがごとく、ターンが進めば進むほど相手の戦力をそいでいきます。ただし、インスタントの干渉手段は少ないため、《エンバレスの宝剣》や速攻クリーチャーには注意が必要です。
《予言された壊滅》と戦場に出たときの効果を持つカード(多くはエンチャント)を組み合わせて、少しずつ自分優位な盤面を作り上げていきます。《海の神のお告げ》はその最たる例であり、手札を減らさずにパーマネントを置くことができる、つまりただで《予言された壊滅》を1ターン維持することができるのです。こうして少しずつ相手の戦力をそいでいきます。
ブリンク系統は戦場にパーマネントを並べ、それを《空を放浪するもの、ヨーリオン》で繰り返し誘発させることでアドバンテージを稼いでいきます。そのため戦場のパーマネントを根こそぎにする《予言された壊滅》と相性が悪いのです。
《エルズペスの悪夢》はブリンク系を意識したメタゲームにフィットしています。パワー2以下のクリーチャーが多いため除去となり、さらに手札破壊となり《エルズペス、死に打ち勝つ》を落とすことができるのです。また、ラクドスエスケープのような墓地に依存するデッキに対してはIII章も強力な効果となります。アグロデッキにも強いカードであり、II章まででも十分なアドバンテージが稼げるため、《予言された壊滅》までの時間稼ぎにピッタリな1枚といえます。
《メドマイの予言》はスタンダードではなかなか見ることのないカードですがドロー呪文であることに加えて、戦場にある時間が長くなります。IV章と長めの英雄譚になっているため、《予言された壊滅》の維持コストとしても使いやすいカードとなります。
フィニッシャーは《夢さらい》と《空を放浪するもの、ヨーリオン》、そして《屋敷の踊り》の3種類となります。《屋敷の踊り》はマナが少ないときは墓地からエンチャント/アーティファクトを戻してアドバンテージを稼ぎ、後半には8マナ以上でキャストしてクリーチャー化を狙います。状況に応じてアドバンテージ源にもフィニッシャーにもなる、フレキシブルで消耗戦に強い1枚となっています。
アドベンチャー系
アドベンチャーは《エッジウォールの亭主》と「出来事」を組み合わせた、カードアドバンテージがとれるアグロデッキとなります。グルールアドベンチャーは優秀なクリーチャーと《エンバレスの宝剣》による押し切りを狙いますが、消耗戦時は《エッジウォールの亭主》を絡めたゲームを展開します。 ここではグルール以外のアドベンチャーデッキを紹介していきたいと思います。
ゴルガリ
5 《森》
4 《寓話の小道》
4 《疾病の神殿》
1 《ロークスワイン城》
-土地 (20)- 4 《エッジウォールの亭主》
4 《穢れ沼の騎士》
3 《真夜中の騎士団》
3 《漁る軟泥》
2 《水蓮のコブラ》
4 《恋煩いの野獣》
4 《残忍な騎士》
3 《カザンドゥのマンモス》
2 《鎖を解かれしもの、ポルクラノス》
2 《悪ふざけの名人、ランクル》
-クリーチャー (31)-
2 《スカイクレイブの影》
2 《探索する獣》
2 《血の長の渇き》
2 《萎れ》
2 《怪物の代言者、ビビアン》
1 《絶滅の契機》
1 《呪われた狩人、ガラク》
-サイドボード (15)-
グルールに比べて、攻撃力で劣るゴルガリアドベンチャーは《エッジウォールの亭主》と除去呪文を軸にしたミッドレンジゲームで勝負していきます。相手をスローダウンさせ、緑の優秀なクリーチャーで戦線を拡大するのです。《エッジウォールの亭主》は除去されやすいものの、《真夜中の騎士団》で回収することでアドバンテージを稼ぎ続けます。
黒の「出来事」に許されたのは万能除去とクリーチャーの使い回しであり、この2点こそがほかのアドベンチャーに比べ優位な点となっています。クリーチャー回収にばかり目がいきがちですが、《真夜中の騎士団》2マナと軽く、飛行を持っているためアタッカーとしても優れています。マナカーブに沿った《エッジウォールの亭主》→《真夜中の騎士団》の動きはダメージレースとカードアドバンテージ両面で優位に立つことができますね。
フィニッシャーに据えられたのは2種類の4マナ域。コントロールや単騎で押してくるクリーチャーデッキに強い《悪ふざけの名人、ランクル》と、小粒なアグロデッキ全般に強い《鎖を解かれしもの、ポルクラノス》です。後者は「脱出」を持っているため繰り返し使え、ローグの「切削」とも相性のいいカードです。一度着地すれば、あらかたのクリーチャーを排除できる制圧力の高いカードといえますね。
セレズニア
6 《森》
4 《枝重なる小道》
3 《豊潤の神殿》
-土地 (19)- 4 《エッジウォールの亭主》
4 《巨人落とし》
2 《フェアリーの導母》
4 《群れの番人》
3 《漁る軟泥》
4 《カザンドゥのマンモス》
4 《恋煩いの野獣》
4 《スカイクレイブの亡霊》
2 《探索する獣》
-クリーチャー (31)-
3 《ガラクの先触れ》
2 《オークヘイムの敵対者》
2 《原初の力》
1 《探索する獣》
1 《鎮まらぬ大地、ヤシャーン》
1 《萎れ》
1 《ヘリオッドの介入》
1 《エルズペス、死に打ち勝つ》
-サイドボード (15)-
では、黒を白に変えたらどうなるでしょう?セレズニアアドベンチャーは柔軟性を持ち合わせ、より守りに特化したデッキです。ほかのデッキでは見ることの少ない「出来事」カードもありますね。軽い攻め手と、対応力を持つデッキとなっています。
スタンダードの白を代表する除去カードが採用されています。《スカイクレイブの亡霊》と《エルズペス、死に打ち勝つ》はご存知の方も多いため、ここでは《巨人落とし》に着目していきたいと思います。
《巨人落とし》は限定的なカードではありますが、インスタントで相手のクリーチャーへ干渉することができます。このため、《エンバレスの宝剣》や《探索する獣》、《トリックスター、ザレス・サン》による突然死に対応できることになります。そしてクリーチャー面に目を向ければ2マナで相手のクリーチャーを縛る枷となります。何よりも「出来事」カードであるため、《エッジウォールの亭主》がいれば手札を減らしません。
以前白単アグロで紹介した《群れの番人》ですが、このデッキではさらに強力に使い回せます。相性の良かった《スカイクレイブの亡霊》に加えて、《巨人落とし》《エルズペス、死に打ち勝つ》、そして土地として置いた《エメリアの呼び声》をも戻すことが可能となっているのです。
とにかく相手の戦線を排除しながらダメージを積み重ねていきます。《フェアリーの導母》で《恋煩いの野獣》を飛ばせれば、もしかしたら白い《エンバレスの宝剣》となるかも…しれません…。
今週末の勝ち組を探せ!!
激動の1週間を経てグルールアドベンチャーが勝ち組となっていますが、今後はどうなるのでしょうか?今週末には日本人にとっては見逃せないイベントが控えているため、メタゲームの行く末は気になるところです。
今週末には、日本選手権がオンライン上で開催予定となっているのです!平日にもラストチャンス予選が開催されており、権利がない方にもチャンスはありますよ!!
次回はそれらの情報をお届けしたいと思います。それでは。