Translated by Nobukazu Kato
(掲載日 2018/10/03)
やあ、みんな。グジェゴジュ・コヴァルスキだ。
ようやくラスベガスから家に帰ってきたわけだが、この一週間は本当に素晴らしいものだった。なにせ世界選手権に参加できたんだからな!そしてもう一年、晴れる屋とみんなと一緒にいることも決まり、とてもハッピーで誇らしく思っている!
今回は世界選手権を振り返えりつつ、みなさんの為になることもお話していこう。もっとも、今回の世界選手権で採用されたフォーマットはもうみんなが今後プレイするものではないだろうから、微妙なところではあるんだ。
だから、廃れたフォーマットについて語るのではなく、少し毛色の違うことをしてみよう!そこで、俺が最高に面白いと思うゲームをTwitchから2つほど選んできた。それを紹介しながら、プレイの裏にある俺の思考プロセス・意思決定・理論に焦点を当てていく。自分がおかしてしまったミスについても触れていくつもりだ。
こういった記事の形式にするのは初めての試みだ。だからみんながどう思ったかを教えてほしい。面白かったとか、為になったとか、あるいはコメントや提案などの一般的なことでもいい。この記事へのリンクを貼った俺のツイートに対してリプライしてほしい (この記事がアップロードされたらすぐにこの記事へのリンクをツイートするつもりだ)。
そしておまけとして、記事の最後に“ローテーション後、第1週のスタンダード”の予想を書いておく。俺が良いと思うもの、逆にそこまで良くないと思うもの、そしてその理由も書いておいた。PPTQが控えているのならば必見だ!
ラスベガスで起きたことはラスベガスに残る
そうだな、今回、優勝はお預けだったな!カバレージをご覧になっていない人のために、何が起こったのかを書いておこう。世界最高のプレイヤー23人が、その年にもっとも重要なタイトルをかけて争ったんだ。それは世界チャンピオンだ!このイベントについての概要に関してはここで確認できる。公式のカバレージはこっちだ。Twitchの公式チャンネルにいけば、全ラウンドのリプレイを見ることができる。
もうご存知の方も多いとは思うが、この厳しいトーナメントでなんとか準優勝することができた!さらに言うと、大会3日間を通して4回しか負けなかった。そのうちの3回はまさに世界チャンピオンに値するプレイヤー・ハビエル・ドミンゲス/Javier Dominguezであり、残りの1回はターボフォグを使っていたマット・ナス/Matt Nassだ。これは俺のマジックキャリアで間違いなく最大の功績だし、人生全体で見てもそうかもしれない!
ドラフト解説
初日のドラフトは最高にうまくいった。最初にピックしたのは《最古再誕》だったが、そのあとすぐに白があいていると気づいた (5手目で《ペガサスの駿馬》が流れてきたのが明確なシグナルだった)。おそらく卓で白をとっていたのは俺だけだったと思う。少なくとも俺側の卓は間違いなくそうだった。だからほぼ白単のウィニーデッキを作ることができた。黒のカードを3枚だけタッチしただけだ。デッキの全貌はこれだ。
2日目のドラフトは初日ほど簡単にはいかなかった。1パック目は弱く、初手で《マーフォークのペテン師》をピックせざるを得なかった。別に悪いカードというわけではないのだが、決して初手でとりたいカードではない。
一転して、2手目のピックはドラフト全体を通して間違いなくもっとも重要なものだった。《大嵐のジン》か《臓腑抜き》かという選択を迫られたのだ。マナコストが(青)(青)のカードをとった後であれば、(青)(青)(青)のカードをピックすることはいいアイディアに思えるかもしれない。だが、俺はこれが罠だと確信した。こんなに早い段階から特定の色に絞り込みたくはないのだ。
ドラフトで大事なのは、あいている色を見つけて、それをピックすることなんだ!特に『ドミナリア』ほど奥深い環境ならなおさらだ。だからここで黒の除去を選んでおけば、選択肢を広くもっておけるわけだ。最終的に、デッキは黒緑のミッドレンジになり、青いカードは一切使わなかった。もしも《大嵐のジン》を取っていれば青に一直線になり、そこそこのカードをピックし続け、もっと出来の悪いデッキになっていたかもしれなかったわけだ。
残念ながら完成したデッキのリストはもっていないが、ドラフトが録画されているから、ここで見ることができる。リミテッドが好きならば、ぜひ見てみてほしい。というのも、このドラフトはかなり興味深いものだったからだ。ラッキーな瞬間や、難しいピック、興味深い判断があったんだ。だけど、みんなは『ドミナリア』のドラフトをもうすることはないだろうから、ピックをひとつひとつ解説するようなことはしない。時間の無駄だ。その代り、俺が選んだゲームの解説をしよう!
ゲーム解説
最初に紹介したいのは、第10回戦・リミテッドラウンドのブライアン・ブラウン=デュイン/Brian Braun-Duinとの一戦だ。このマッチは本当に素晴らしく、3ゲームとも放送されていればよかったのにと思うほどのものだったんだ。
1本目は相手のライブラリーに残された最後の1枚で負けた。2本目は《最古再誕》で奪った《クルーグの災い魔、トラクソス》を2枚の《成長の資質》と《ファイレクシア教典》で3回アンタップして勝った (《最古再誕》をすでに使っていたので、《ファイレクシア教典》はライブラリーに残っていた唯一の「歴史的」カードだった)。
残念ながら、放送されたのは3本目だけだったが、3本目も話す価値がある、興味深いゲームだったと思う。重要な判断にあふれていたし、そのひとつひとつが最終的な結果につながっていた。3本目はここの44:30から見ることができる。
最初に話したい場面は、マリガンを1回して《冒険の衝動》と土地が1枚の手札がきたシーンだ。理想的な流れではなかったが、後手だったし、占術もできるからリスクをとるべきだと考えた。俺のデッキにはマナコストの高いカードが多かったから、初手が5枚まで少なくなってしまうとあまりにも厳しかっただろうし、6枚の初手には《ラノワールの斥候》や《死花のサリッド》といった軽いカードもあったんだ。
最初に重要な判断を迫られたのは4ターン目で、どう攻撃するかということだった。デッキは公開されることになっていたから、ブライアンのデッキに《艦の魔道士、ラフ・キャパシェン》が入っていることは知っていたし、4ターン目に何もプレイしてこなかったことから、明確に危険なシグナルだと思えたんだ。
《艦の魔道士、ラフ・キャパシェン》がほぼ間違いなく手札にあるとその時点でわかったわけだが、ブライアンは俺のデッキに《成長の資質》が2枚あることを知っていたから、《ラノワールの斥候》も攻撃するかどうか少しだけ考えた。直感的に考えたのは、ブライアンに俺が《成長の資質》を持っているのではないかと考えさせるというものだった。だが俺はそうしなった。ブラフのためだけに1/3のクリーチャーで3/3のクリーチャーに攻撃していくということは絶対にしたくないと思ったからだ。序盤で1点のダメージを入れるためにクリーチャーを危険にさらす価値があるということはほとんどない。たとえ相手がブロックしそうになくてもだ。
48:50のシーンも興味深い。ブライアンは6マナ使える状態で、唱えられる呪文も多くある状況だった。具体的には、《マーフォークのペテン師》、《氷の干渉器》、《パーディック山の放浪者》、《混迷》、《不屈の意志》、《ウルザの殲滅破》、《一瞬》、その他諸々のカードだ。
これらのカードを踏まえると、全部のクリーチャーで攻撃したらあっさりと状況が悪化してしまうだろうと考えたため、安全な攻撃にとどめた。次のターンようやく7枚目の土地を引き、《転生するデアリガズ》を唱えられるようになった。しかし、再びブライアンのとりうるプレイのすべてを考慮に入れる必要があった。《菌類感染》が手札にあったため、ここでも手堅い攻撃にとどめた。ブライアンを先に動かせ、盤面をひっくり返すようなカードに対してマナがある状態で備えたかったのだ。この戦術は見事にはまった。だが、調子に乗って《転生するデアリガズ》を叩きつけていたらゲームを落としていたであろう、運命を分かつ最初のターンでもあったのだ。
他方、まさにその次のターンのことだった。俺はこのゲーム最初の大きなミスをおかした。《孤独な王、グラン》だけで攻撃しようと思い込んでいた (確かに戦闘という観点からすればこの考えは正しい。《孤独な王、グラン》を戦闘で失うリスクを避けつつ、できるだけ多くのダメージでブライアンにプレッシャーをかけたかったからだ)。そして俺はどうせ攻撃しない《転生するデアリガズ》を戦闘前メインフェイズに唱える理由なんてないと思ってしまったんだ。
俺はある可能性を見落としていたんだ。《孤独な王、グラン》が戦闘前にタップされてしまうという可能性を。そしてその結果、俺が失ったのは7点という価値のあるダメージだった。あるいはその時点で勝っていたチャンスすら逃していたのかもしれない。なぜなら、ブライアンは3マナしか残っていない状態になり、全クリーチャーで攻撃すればライフを削りきれるかもしれないという考えに至ったかもしれないからだ。すでに彼のデッキに3マナで使えるトリックはそんなに多くなかったからな。
ミスをしたとはいえ、その時点でかなり有利な状況だったから、考えるべきはこのゲームが手からこぼれ落ちないようにすることだけだった。俺は想定される最悪のシナリオをすべて考慮し、そうならないように全力を注ぐ必要があったんだ。その最たる例を、56:00ごろから見ることができる。
最後のターンも興味深い判断があった。《転生するデアリガズ》が生き残ってターンが返ってきたのだから、一見攻撃は簡単そうに思える。だがそうじゃなかった。もしすべてのクリーチャーで攻撃して、ブライアンが《ウルザの殲滅破》と《マーフォークのペテン師》を唱え、《マーフォークのペテン師》で《転生するデアリガズ》を能力の対象とした場合を考えてみてほしい。俺の盤面はほとんど追放され、《孤独な王、グラン》は《クルーグの災い魔、トラクソス》にブロックされ、《転生するデアリガズ》は《マーフォークのペテン師》にチャンプブロックされていた (《マーフォークのペテン師》の効果で飛行やトランプルは失われている)。そしてここでも除去を引かれていたら負けていた。幸い、実際にはブライアンはこういったカードを持っていなかったため、俺がマッチを勝ち取ったんだ。
今回紹介したいゲームはまだあるんだ。それは、決勝戦の2ゲーム目だ (動画は13:30ごろから始まる)。赤黒アグロのミラーマッチで、サイドボード前のものだ (5本勝負で、最初の2ゲームはメインデッキで戦い、残りの3ゲームはサイドボード後のデッキで戦う)。
このゲームの2ターン目の展開は簡単だった。《ゴブリンの鎖回し》が手札にあったから《ボーマットの急使》は除去せず、《削剥》で除去すべきクリーチャーを我慢して待った。結果、《削剥》は《航空船を強襲する者、カーリ・ゼヴ》に使ったわけだ。4ターン目と5ターン目から状況は難しくなり始めた。《再燃するフェニックス》を除去するために大量のリソース消費を強いられたからだ。
17:50の時点で、俺はミスをした。自分のターンで《泥濘の峡谷》を「サイクリング」しなかったのだ。もし「サイクリング」していれば《マグマのしぶき》を引いて、状況を一転させることができていたはずだ。《マグマのしぶき》は実際にはライブラリートップになかったわけだが、成長したいと思うのなら、大事なのはミスに気づき、そこから学びを得ることだ。それがたとえ実際のゲームに影響しなかったとしてもだ。
21:20ごろのシーンを見てほしい。俺はかなりまずい状況にあった。《屑鉄場のたかり屋》で攻撃したのはミスだと思う人もいるかもしれない。だが《再燃するフェニックス》を除去する術はこのときなかったから、俺は墓地のクリーチャー1体を差し出すことを選んだんだ。
だがマジックプレイヤーはより広い視点を求められる。少し想像してみてほしい。君はハビエルだったとする。君は俺が手札に何を握っているかわからない。俺の手札は2枚あって、それが除去や《ゴブリンの鎖回し》の可能性だってある。もしそれが手札にあった場合、《再燃するフェニックス》でブロックすれば、盤面で最強の脅威を失うことになる。俺の墓地のちっぽけなクリーチャーと引き換えにだ。この考えがまさにハビエルの脳内で駆け巡ったんだ。ハビエルは《再燃するフェニックス》を重要視して、《キランの真意号》を差し出すことにした。赤の神話レアを賭けにだすようなことはしなかったのだ。こうして俺の攻撃は大きな価値をもつことになったんだ。
次のターン、ハビエルが《ボーマットの急使》の能力で《熱烈の神ハゾレト》を引き、正直なところ俺はもうこのゲームは無理だろうと思っていた。だが、もしこういった状況に陥ったとき、自分の惨めさにうちひしがれている場合ではないのだ。たとえ確率が低いとしても、そのゲームを勝ち取ることのできるプレイを考え、それに従い、すべてがうまく転んでくれることを願わなければならないのだ。たとえ勝つためには完璧なドローを3回立て続けにしなくてはいけないとしても、大切なのはその勝ち筋を見つけ、プランを描き、そのプラン達成にすべてを尽くし、そのうえで天命を待つことなんだ。
今俺が話したことがこの場面で起きている。
圧倒的な劣勢状態だったから、勝つためには今あるカード1枚1枚を最大限に活かし、ラッキーなトップデッキを期待するしかないと思った。だから俺はこのターン《ピア・ナラー》をプレイしなかった。カードのポテンシャルを最大限引き出せないからだ。そして同じ理由から、返しのターンのハビエルの戦闘時に《再燃するフェニックス》を除去すると決めた。その時点でエレメンタル・トークンを除去する術がなかったが、そうするしかなかった。
《熱烈の神ハゾレト》に対してダメージレースを仕掛けても負けることはほぼ間違いないとわかっていたから、必要以上にダメージをもらうことを避け、トップデッキに期待するしかなかった。手札だけでゲームの流れを返そうとはしなかったんだ。なぜなら、それは不可能だからだ。
折に触れて俺たちはやらなくてはいけないことがある。それは「ゲームの勝敗を自分だけで決めることはできないと認識し、状況を見守る。死にもの狂いで解けないパズルを解こうとしてはいけない」ということだ。
《ゴブリンの鎖回し》という最高のトップデッキをした俺は、計算をする時が来た。お互いに《木端+微塵》が墓地にあったから、絶対にハビエルよりも先に相手を倒さなければならかった。状況を整理すると、俺の土地は7枚で《木端+微塵》で5点のダメージを与えられる、盤面には6点のクロック、ハビエルのライフは11というものだ。
非常に単純な計算だったから、俺はブロックせず、次のターンに賭けることにした。ハビエルはブロッカーとなるカードをドローしていたが、俺も《屑鉄場のたかり屋》を引いて《ピア・ナラー》の能力の生贄となるものが用意できたため、必要だった6点のダメージを叩き込めた。こうなってしまえば、可能な限りチャンプブロックをして、次の俺のメインフェイズを迎えられるように生き残ることを願うだけになった。《ピア・ナラー》の能力のために生贄に捧げたのが飛行機械トークンではなく《屑鉄場のたかり屋》だったのは、確かに理論上は飛行機械トークンよりも優れたクリーチャーではあるが、チャンプブロックするというプランがあったからだ。この状況で特に重要だったのは、できるだけ多くのブロッカーを用意することだったのだ。
これがまさに起きたことであり、突如としてゲームカウントを1-1にすることができたのだ。最終的には2-3でマッチに負けてしまったわけだが、ハビエルと俺は極めて興味深い5つのゲームをお見せできたのであり、マッチ全体をご覧になることを強く推奨する。素晴らしい決勝戦であり、その一役を担えたことを誇らしく思う。
新たな世界チャンピオン―ハビエル・ドミンゲスに祝福を!その称号は君にこそふさわしい!
ローテーション後、第1週のスタンダード
スタンダードは一新された。新しく、いろいろな可能性があり、既存のデッキリストというものもほとんどないから、迷っている人も多いんじゃないかな。PPTQをプレイする予定の人たちの為に、新しいスタンダードの環境についての俺の見解を紹介しようと思う。ただ気をつけてほしいのは、俺自身も新しいスタンダード環境のゲームを1回もしたことがないから、これから話すことは俺の理論上の話だ。
俺が考えているのは、序盤のメタゲームで王のごとく君臨するデッキが2つあるということだ。それは緑単ストンピィ (多分黒をタッチするはずだ)とターボフォグだ。緑単はその他のアグロデッキに対して有効なデッキだ。なぜなら、相手のクリーチャーよりもサイズが大きいものばかりだからだ。コントロールデッキに対しては相性が良くないことが多いが、知っておくべき重要なことがある。それは環境初期のコントロールデッキは十分に調整されていないということだ。
予想されるメタや、その他のプレイヤーがどんなデッキを持ち込んでくるかが全くわからない場合には、コントロールデッキは構築するのもプレイするのも困難を極めるのだ。だからこそ、緑の怪物たちが新しい環境で活躍できるタイミングでもあるのだ。
ミスすることはない。サイズの大きいクリーチャーを次から次へと叩きつければいいんだ。ましてや『ラヴニカのギルド』で新しく登場した、ストンピィで試してみたい良いカードがあるんだからな。
《無効皮のフェロックス》
緑を使うプレイヤーにとっては最高の贈り物だろう。プロツアー『ドミナリア』に向けて調整しているとき、もっとパワーの高いクリーチャーを使いたくて《縄張り持ちのアロサウルス》や《切り裂き顎の猛竜》すら試したことがあった。そして今や4マナで6/6のクリーチャーが使える。しかも2つも素晴らしい能力付き。最高じゃないか。
《生皮収集家》
緑単は《ラノワールのエルフ》に依存しすぎていた。だが今やその最強の1マナクリーチャーを引かずとも、もう1枚の優秀な1マナクリーチャーがいれば、その穴を埋め、ゲーム序盤から大きなプレッシャーをかけてくれることもたやすいだろう。
《クロールの銛撃ち》
ずば抜けて良いカードというわけでもないが、2マナでパワーが3あり、ちょっとした能力も持っている。デッキに入るほどの強さがあるかどうかはわからないが、優秀な2マナ域のカードがローテーションで落ちてしまったから、試してみる価値はあるかもしれない。
《暗殺者の戦利品》
完璧な除去で、あらゆるものに対応できる。《ドミナリアの英雄、テフェリー》を除去できるようになり、ターボフォグやコントロールに対しても戦える希望が見えてきた。
緑単がローテーションで失ったカード
一見すると失ったカードは多いように見えるが、優秀な緑のクリーチャーは既存のセットにもいる。《翡翠光のレインジャー》や《茨の副官》は見事にその穴を埋めてくれると思う。
ローテーション後の第1週で活躍するであろうもう一つのデッキが、ターボフォグだ。先ほど言ったとおり、初期のイベントでコントロールデッキを選ぶのは好ましくない。そして《ドミナリアの英雄、テフェリー》は最高のカードだ。実はターボフォグというデッキは全くもってコントロールデッキではない。確かに《ドミナリアの英雄、テフェリー》や《残骸の漂着》といったカードこそ使っているが、ゲームを”能動的に”展開するのだ。
ターボフォグというデッキは明確なプランがありつつ、対戦相手が何をしてくるかをまったく意に介さない。そしてデッキのパーツのほとんどが『イクサラン』『ドミナリア』『基本セット2019』のカードから成り立っているから、ターボフォグがローテーションで失ったのは《花粉のもや》だけだ。他方、ライバルであったデッキたちはローテーションで多くのパーツを失っている。
ラヴニカのギルドでターボフォグが手にしたカードが特段いいものだったわけではないが、ローテーションで失ったのは数ある《濃霧》の1種であり、《残骸の漂着》で容易に替えがきく。だから特別ほしかったカードがあるわけでもないのだ。サイドボードに入る可能性のある優秀なカードを何枚か紹介しておこう。
《ケンタウルスの仲裁者》
最悪の相性だった、《ケルドの炎》を使ったバーンデッキに対して有効になりえるカード。
《秋の騎士》
柔軟性のあるサイドボードカードであり、《魔術遠眼鏡》に対して有効だ。相手が《魔術遠眼鏡》を引いていなくても、他の《帰化》の効果を持ったカードのように腐ったりはしない。複数枚引いたら、ビートダウンのプランに移るのもアリだ。
《内省のための小休止》
《濃霧》の効果に対して3マナは重い。《残骸の漂着》が《花粉のもや》の良い穴埋めのカードとなってくれるだろうとは思うが、このカードが存在していることを知っておいて損はない。
今回完全なデッキリストを載せなかったのには意図がある。第一に、俺はまだスタンダードをプレイしてないから、出来の悪いリストをコピーしてほしくなかった。そして第二に、これが最も重要なわけだが、今のような環境初期でデッキリストをコピーするのは大いなる過ちだ。
何が良いかなんてまだ誰もわからない。強くて、十分に調整されたデッキを使っている人なんて誰もいないんだ。だから今こそあなたの出番だ。自分の考えを試し、いろいろな方向に掘り下げてみよう。そうすれば、デッキの構築力も上がるし、環境の理解も進む。そして将来、もっとうまくプレイをできるようになるんだ!
もしいいアイディアがほしいのなら、俺たちのHareruya Wayfinderを見てみてくれ。俺やほかのHareruya Prosもデッキを投稿し、20を超える競技向けのデッキリストを見ることができる。だが忘れないでくれ。そこからインスピレーションを得るだけだ。すぐに使えたり、十分に調整されていたりするデッキというわけではないからな!
ここまで読んでくれてありがとう、ではまた次回!
グジェゴジュ・コヴァルスキ
この記事内で掲載されたカード
ポーランド出身。
【グランプリ・リール2012】、【グランプリ・ブリュッセル2015】でトップ8入賞。【グランプリ・サンティアゴ2017】では見事準優勝を果たした。
その高い実力はプロツアーでも発揮され、多数の上位入賞、マネーフィニッシュを経験している。