USA Modern Express vol.129 -《新たな夜明け、ケトラモーズ》の蹂躙始まる-

Kenta Hiroki

はじめに

みなさん、こんにちは。

予選イベントも終了して一息ついた感のあるモダンですが、『霊気走破』からの新カードによって強化されたアーキタイプも見られるなど常に変化し続けています。

今回の連載では、先週末に開催された『Modern Challenge』の入賞デッキを見ていきたいと思います。

『Modern Challenge 32』 -『霊気走破』の新カードがモダンでも大活躍-

開催日:2025年2月17日

優勝 Dimir Mill

準優勝 Esper Oculus

3位 Grixis Goryo

4位 Orzhov Blink

5位 Boros Energy

6位 Grind Station

7位 Domain Zoo

8位 Grind Station

トップ8デッキリスト

『霊気走破』がモダンに与えた影響は大きく、Esper Oculusが準優勝という好成績を残していました。

Esper Oculus

デッキリストページ

新カードである《新たな夜明け、ケトラモーズ》は、現在Esper OculusやOrzhov Blinkなど複数のデッキに採用されています。

デッキの大部分を占めているのは《致命的な一押し》などの軽い妨害スペルであり、《対抗呪文》《呪文嵌め》《思考囲い》もあるのでコンボデッキが多いモダンに合っています。

☆注目ポイント

害獣駆除Ketramose, the New Dawn

Boros EnergyやGrind Stationに有効な《害獣駆除》を採用したタッチ白型は、『霊気走破』リリース前から見られましたが、《新たな夜明け、ケトラモーズ》が採用されるようになり、本格的にエスパーカラーになりました。

虹色の終焉大祖始の遺産

軽い追放除去である《虹色の終焉》にアクセスできるのもメリットで、《新たな夜明け、ケトラモーズ》と組み合わせることでアドバンテージを得ることができます。

追放できるカードのなかでも、特に《新たな夜明け、ケトラモーズ》と相性が良いのが《大祖始の遺産》です。《大祖始の遺産》を起動して墓地にあるカードを追放して1ドロー、さらにすべての墓地を追放する能力を起動することで《大祖始の遺産》自身と墓地のカードが追放されて追加で2ドロー、キャントリップと合わせると合計4枚のカードを引くことができます。

ドラニスの判事石のような静寂Exorcise

エスパー型の強みはほかにも、豊富なサイドボードの選択肢にあります。《ドラニスの判事》《石のような静寂》といったコンボデッキ対策が使えるので、Ruby StormやGrind Stationといったマッチアップの相性を改善できます。また《悪魔祓い》は、置物に触れるだけでなく相手の《新たな夜明け、ケトラモーズ》に対する解答になります。

『Modern Challenge 64』 -『霊気走破』によって強化されたアーキタイプ-

開催日:2025年2月20日

優勝 Eldrazi

準優勝 Orzhov Blink

3位 Grind Station

4位 Orzhov Necro

5位 Grind Station

6位 Boros Energy

7位 Dimir Frog

8位 Hollow One

トップ8デッキリスト

《信仰無き物あさり》の禁止が解除され、『霊気走破』からも《略奪するアオザメ》という新戦力を得たHollow Oneが入賞していました。

Hollow One

デッキリストページ

Hollow Oneは《燃え立つ調査》などで序盤からドローしつつ大量のカードを捨て、《虚ろな者》をタダでプレイしたり、墓地に落とした《復讐蔦》を何体も一気に戦場に戻したりと爆発力のあるアグロデッキです。《信仰無き物あさり》の禁止が解除されたことで再び姿を現したデッキでもあります。

最近のセットからも《探偵のフェニックス》《略奪するアオザメ》という新戦力を獲得し強化されました。

☆注目ポイント

燃え立つ調査虚ろな者

《燃え立つ調査》1枚でカードを3枚も捨てることができるデッキのキーカードで、1ターン目に《虚ろな者》を出したり、《略奪するアオザメ》を強化したりするだけでなく、対戦相手の手札もランダムで捨てさせることでゲームプランを崩壊させることもできます。

信仰無き物あさりDetective's Phoenix

解禁された《信仰無き物あさり》のおかげでデッキの安定性が向上しました。これらのカードで墓地を肥やせるので《探偵のフェニックス》の「授与」コストを支払いやすく、クリーチャーを強化しつつ回避能力も付与できるため爆発力が上がっています。

Marauding MakoFlameblade Adept

新カードの《略奪するアオザメ》は、《炎刃の達人》と似たクリーチャーで各種ディスカードスペルと相性が良く、回避能力を持たない代わりにターン終了後も強化が継続するためロングゲームにも強くなっています。

『Modern Challenge 64』 -最高のケトラモーズデッキ-

開催日:2025年2月20日

優勝 Orzhov Blink

準優勝 Eldrazi

3位 Living End

4位 Boros Energy

5位 Broodscale Combo

6位 Boros Energy

7位 Grind Station

8位 Boros Energy

トップ8デッキリスト

定番のBoros Energy、Grinding Station、Eldraziといったデッキが入賞するなか、《新たな夜明け、ケトラモーズ》入りのOrzhov Blinkが優勝しました。

Orzhov Blink

デッキリストページ

Orzhov Blinkは各国の地域チャンピオンシップでも人気があり、高い勝率を出していたデッキです。《溌剌の牧羊犬、フィリア》《ちらつき鬼火》といったブリンク能力を持つクリーチャーによって、場に出たときの能力を持つクリーチャーを再利用してアドバンテージ差を付けていきます。

除去が豊富で《孤独》の能力を何度も使いまわすことができ、《霊気の薬瓶》があるのでカウンターにも耐性があります。また、アドバンテージを稼ぐ手段が多いので、環境のフェアデッキとのマッチアップで無類の強さを見せます。

☆注目ポイント

ベイルマークの大主溌剌の牧羊犬、フィリア

《ベイルマークの大主》《溌剌の牧羊犬、フィリア》はこのデッキの中核を担うエンジンです。《溌剌の牧羊犬、フィリア》のブリンク能力によって、「兆候」でプレイした《ベイルマークの大主》をクリーチャー化させつつアドバンテージを稼ぐことができます。

骨の皇帝Ketramose, the New Dawn儚い存在

追放系の除去だけでなく、《骨の皇帝》《溌剌の牧羊犬、フィリア》《儚い存在》といったカードでも《新たな夜明け、ケトラモーズ》の能力が誘発するので、このデッキは《新たな夜明け、ケトラモーズ》を最も強く使えるデッキのひとつになります。

放浪皇

《放浪皇》は最近見られるようになったカードで、《濁浪の執政》やミラーマッチの《新たな夜明け、ケトラモーズ》といった脅威を対処することができます。クリーチャーに+1/+1カウンターを置く[+1]能力も、《骨の皇帝》とのシナジーがあります。

ドラニスの判事石のような静寂白蘭の幻影空の怒り

このデッキの強みは、複数のマッチアップに刺さるサイドボードカードにアクセスできることです。コンボデッキとのマッチアップはメインでは不利が付きますが、サイド後に互角以上に渡り合えるようになります。

『Modern Challenge 64』 -引っ張りだこのケトラモーズ-

開催日:2025年2月23日

優勝 Orzhov Necro

準優勝 Orzhov Blink

3位 Living End

4位 Orzhov Blink

5位 Boros Energy

6位 Amulet Titan

7位 Blue Belcher

8位 Grind Station

トップ8デッキリスト

ほかのチャレンジと同様に《新たな夜明け、ケトラモーズ》デッキが複数入賞していました。

しかし、今大会で優勝したのはOrzhovBlinkではなく《新たな夜明け、ケトラモーズ》をタッチした《ネクロドミナンス》デッキでした。

Orzhov Necro

デッキリストページ

《悲嘆》《一つの指輪》を禁止で失い姿を消していたMono Black Necroでしたが、新たなアドバンテージエンジンとして《新たな夜明け、ケトラモーズ》を採用したオルゾフバージョンが結果を残していました。

☆注目ポイント

Soul Spike黙示録、シェオルドレッド

《魂の撃ち込み》《ネクロドミナンス》《新たな夜明け、ケトラモーズ》によって失ったライフを補充しつつ相手のライフを削ります。また《新たな夜明け、ケトラモーズ》《黙示録、シェオルドレッド》とも相性が良く、ドローによるライフロスをカバーすることができます。

Sickening Shoal

ピッチスペルの除去である《不快な群れ》も、《魂の撃ち込み》と同様に《ネクロドミナンス》から得たアドバンテージを有効活用することができます。ある程度の大型クリーチャーにも対応可能で、マイナス補正なので破壊不能を持つ《新たな夜明け、ケトラモーズ》も対処可能です。

総括

Ketramose, the New Dawn

『霊気走破』が環境に与えた影響は大きく、《新たな夜明け、ケトラモーズ》デッキの研究が進むにつれてメタが動き、Orzhov BlinkがBoros EnergyやGrind Stationと並んでトップメタになりました。

墓地対策の《大祖始の遺産》がメインから採用されるようになったのもあり、墓地を使うデッキにとっては厳しい環境になりました。またミッドレンジに強いエルドラージは、オルゾフ系のデッキが幅を利かせている現環境では良い選択肢になりえます。

USA Modern Express vol.129は以上になります。それでは次回の連載でまた会いましょう。楽しいモダンライフを!

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Kenta Hiroki アメリカ在住のプレイヤー。 フォーマットを問わず精力的に活動しており、SCGやグランプリの結果などからグローバルな最新情報を隔週で発信する「USA Modern Express」「USA Legacy Express」を連載中。 Kenta Hirokiの記事はこちら