津村健志オススメの『イニストラードを覆う影』注目カード20選

津村 健志





 こんにちは!

 ついに明日4月8日 (金) に、『イニストラードを覆う影』が発売されます!

 『イニストラード』といえば、ホラー要素満載のちょっと怖い世界観が魅力のセットで、前作にはモダンでも大活躍のカードが目白押しでした。


瞬唱の魔道士聖トラフトの霊ヴェールのリリアナ炎の中の過去


 今回は一体どんなカードが、そしてどんなストーリーが待ち受けているのでしょうか。

 それでは、春の到来を告げる『イニストラードを覆う影』20選をご覧ください。


(※各カードは順位ではなく、カード番号順に並んでおります)



■ 1.《大天使アヴァシン》 / 《浄化の天使、アヴァシン/Avacyn, the Purifier》



 【グランプリ・メルボルン】中に会場内で発表されたカード。印刷できそうなギリギリのラインを攻めてみました!と言わんばかりのはっちゃけっぷりに、グランプリ会場にいたプレイヤーたちも騒然としてました。

 「変身」した際に自軍が全滅してしまわないような使い方、または任意のタイミングで「変身」させられる構築ができれば理想的ですが、普通にビートダウンデッキやコントロールデッキで使うだけでも◎。



■ 2.《石の宣告》



 《流刑への道》《大渦の脈動》を足して2で割ったような期待の新除去。


流刑への道大渦の脈動


 ついつい《大渦の脈動》と混同してしまいがちですが、お互いが同名のクリーチャーをコントロールしていても、対戦相手のクリーチャーにしか影響を及ぼさない点は《大渦の脈動》との最大の相違点ですね。

 「トークン」なら「調査」しなくていいという嬉しいメリットもあるので、《未練ある魂》対策としても最上級。



■ 3.《サリアの副官》



 久々の「人間」デッキの到来を予感させる1枚。《町のゴシップ屋》《永遠の見守り》も登場したことですし、古典的な「白ウィニー」が組めるかもしれません。




 土地の問題がクリアできるなら単色にまとめる必要もないので、青を足して《反射魔道士》を入れたり、緑を足して《集合した中隊》を入れてもいいでしょう。


反射魔道士集合した中隊




■ 4.《溺墓での天啓》



 サイズが調節できるようになった《蒸気占い》。一時代を築いた《嘘か真か》とは異なり、この手のカードはこれまで全くと言っていいほど結果が残せていませんでした。


蒸気占い嘘か真か


 しかしながら、《溺墓での天啓》はこれまでのシリーズとは一線を画しています。想像してみてください。X=8やX=10でキャストされる《溺墓での天啓》を!

 いくら弱いパイルと言えど、構築フォーマットでそれだけ大量のカードを手にすればゲームに負ける方が難しいでしょう。序盤から中盤にかけての使い勝手の悪さは気になるものの、最悪でも2マナで「サイクリング」のような使い方もできますし、もしかすると新しいタイプのドローサポート呪文として定着できるかも?



■ 5.《秘密の解明者、ジェイス》



 青い《灯の再覚醒、オブ・ニクシリス》とも評される新たなジェイス。


灯の再覚醒、オブ・ニクシリス


 この2枚で決定的に異なるのは「+1」能力の強さです。初見では弱そうと思ってしまいましたが、「-8」能力は勝利と同義ですし、これだけドローの質を向上させてくれるカードなら5マナの価値はあるでしょう。



■ 6.《氷の中の存在》 / 《目覚めた恐怖/Awoken Horror》



 マナを支払わずにキャストできるカードが多い、モダンやレガシー環境での活躍が見込まれる1枚。


ギタクシア派の調査Force of Will


 スタンダードにおいても、昨年に流行った【青赤《スフィンクスの後見》】のように、軽い呪文を多用するデッキが組めればチャンスがありそうです。序盤はブロッカーとしてしっかり機能する点が評価できますね。



Michael Majors「青赤ライブラリーアウト」
グランプリ・サンディエゴ2015(優勝)

5 《山》
4 《島》
1 《血染めのぬかるみ》
1 《溢れかえる岸辺》
4 《急流の崖》
4 《天啓の神殿》
4 《シヴの浅瀬》
4 《光輝の泉》

-土地 (27)-

4 《ヴリンの神童、ジェイス》

-クリーチャー (4)-
4 《マグマの洞察力》
4 《苦しめる声》
2 《焙り焼き》
2 《眠りへの誘い》
4 《神々の憤怒》
2 《圧倒的な波》
4 《宝船の巡航》
1 《時を越えた探索》
4 《スフィンクスの後見》
1 《僧院の包囲》
1 《アルハマレットの書庫》

-呪文 (29)-
4 《焦熱の衝動》
4 《否認》
3 《無効》
1 《分散》
1 《氷固め》
1 《大地の断裂》
1 《圧倒的な波》

-サイドボード (15)-
hareruya




■ 7.《血統の呼び出し》



 一風変わった「共鳴者」 (手札を捨てる能力を持つ) カード。今現在考案されている「マッドネス」デッキといえば、比較的前のめりなものが多いですが、後述の《床下から》《アヴァシンの裁き》を使ったコントロール風味のデッキも面白いかもしれません。

 《血統の呼び出し》を上手く活用するためにも、手札を補充する術は必須となるので、いっそのことドローサポート兼「共鳴者」要員として、《強欲なドラゴン》《炎呼び、チャンドラ》を使うのも一考に値するでしょう。


強欲なドラゴン炎呼び、チャンドラ




■ 8.《神出鬼没な拷問者》 / 《陰湿な霧/Insidious Mist》



 僕の1番嫌いなキーワード能力は「呪禁」です。3/3なら弱かったと思うんですが……。



■ 9.《床下から》



 《忌むべき者の軍団》《奈落の総ざらい》を彷彿とさせるゾンビ生成カード。


忌むべき者の軍団奈落の総ざらい


 例によって「ゾンビ・トークン」はタップ状態で現れますが、《床下から》はその隙を埋めるべく親切にもライフ回復能力が付いています。「マッドネス」からエンド前に唱えれば、奇襲性も抜群!

 なお、「マッドネス」カードが登場した今後の環境では、《ヴリンの神童、ジェイス》が「変身」できるのに自身のターンで起動してこなかった場合には、「マッドネス」呪文を構えている可能性が高いと思われます。


ヴリンの神童、ジェイス


 不気味に起動されない《ヴリンの神童、ジェイス》に直面した際には、「マッドネス」カードにご注意を。



■ 10.《無情な死者》



 マナがある限り不死身のクリーチャー。何度でも蘇るその能力を遺憾なく発揮するために、ぜひとも《ナントゥーコの鞘虫》《ゲトの裏切り者、カリタス》と併用したいところ。


ナントゥーコの鞘虫ゲトの裏切り者、カリタス


 色を増やせば《永代巡礼者、アイリ》《進化の飛躍》といった候補もありますし、生け贄システムを生かして《息詰まる忌まわしきもの》まで採用してみるのはどうでしょう?


永代巡礼者、アイリ進化の飛躍息詰まる忌まわしきもの


 「ゾンビ・クリーチャー」も徐々に駒が揃いつつあるので、《戦墓の巨人》《目覚めし処刑者》などで真っ当な「ゾンビ」デッキを組んでみるのもいいですね。






■ 11.《アヴァシンの裁き》



 《大天使アヴァシン》の怒りのすごさを物語る1枚。「マッドネス」の威力は言わずもがな!というわけで、上手く「マッドネス」できるかどうかと、通常キャストがどれくらい役に立つかで評価が決まるでしょう。

 通常キャストは《ドラゴンの餌》《空中生成エルドラージ》、そしてなんと言っても、《ヴリンの神童、ジェイス》を除去できるので、最低ラインはクリアしていると思われます。

 あとは必要なタイミングで「マッドネス」できるか否か。《ヴリンの神童、ジェイス》が最高の「共鳴者」カードなのは疑いの余地がないので、そこからどういった構築をするかが腕の見せどころです。



■ 12.《手に負えない若輩》



 その昔スタンダードやエクステンデッドで大流行した「青緑マッドネス」という凶悪なデッキがありました。そして、そのデッキの必殺ムーブといえば《アクアミーバ》or《野生の雑種犬》から3ターン目に《尊大なワーム》を「マッドネス」することでした。


アクアミーバ野生の雑種犬尊大なワーム

《尊大なワーム》に「速攻」あったら手出てまう……


 なんと今セットでは、《貪欲な求血者》or《ファルケンラスの後継者》《手に負えない若輩》でこの流れを完全再現できてしまいます!さらに《手に負えない若輩》には「速攻」がある大盤振る舞い!




 セット全体の印象として、「共鳴者」カードが少なめなのは残念ですが、「マッドネス」カードには優秀なものが揃っているので、現代版の「マッドネス」デッキはきっと第一線で活躍してくれることでしょう。



■ 13.《罪を誘うもの》



 あの《闇の腹心》が帰ってきた!?


闇の腹心


 それは少し言い過ぎかもしれませんが、見た目以上に強い圧力がかかるクリーチャー。どんなデッキにもフィットしそうな能力ではありますが、やはりその真価を発揮できるのは、ライフを支払えない状態に追い込みやすいビートダウンデッキではないでしょうか。



■ 14.《発生の器》



 地味ながらも特定のカードを探すことができ、「昂揚」の達成にも一役買う1枚。後述の《ギトラグの怪物》などとも相性が良いので、いくつかのデッキでは替えの効かないカードとして採用されそうです。



■ 15.《アーリン・コード》 / 《月の抱擁、アーリン/Arlinn, Embraced by the Moon》



 今セットの一押し!ただひたすらに強いお化けカード!

 最近では「赤緑」=「エルドラージランプ」というイメージが強いですが、《アーリン・コード》を生かすにはもっと前のめりなデッキが最適です。

 《激憤の巫師》《棲み家の防御者》《死霧の猛禽》といった「大変異」軍団を選ぶのもよし、新戦力の「狼男」たちを主軸にするもよし。




 ぜひあなたなりの《アーリン・コード》デッキを思案してみてください。



■ 16.《ギトラグの怪物》



 ゲコゲコ。【32 Lands】にぜひとも採用したかった1枚。



Adamante「32 Lands」
スタンダードリーグ(5-0)

4 《森》
2 《沼》
1 《平地》
2 《梢の眺望》
2 《燻る湿地》
1 《燃えがらの林間地》
4 《吹きさらしの荒野》
4 《樹木茂る山麓》
2 《血染めのぬかるみ》
4 《乱脈な気孔》
1 《風切る泥沼》
1 《ラノワールの荒原》
2 《海門の残骸》
1 《荒廃した森林》
1 《領事の鋳造所》

-土地 (32)-

3 《森の代言者》
4 《包囲サイ》
3 《野生生まれのミーナとデーン》
2 《忘却蒔き》
1 《龍王アタルカ》

-クリーチャー (13)-
4 《精霊信者の覚醒》
3 《衰滅》
4 《ハグラへの撤退》
1 《カザンドゥへの撤退》
3 《エメリアへの撤退》

-呪文 (15)-
4 《無限の抹消》
2 《精神背信》
2 《鞭打つ触手》
2 《次元の激高》
1 《ゲトの裏切り者、カリタス》
1 《龍王アタルカ》
1 《強迫》
1 《究極の価格》
1 《残忍な切断》

-サイドボード (15)-
hareruya


 「フェッチランド」がスタンダードにあれば……と悔やまれますが、「フェッチランド」なき今でも十分に通用しそうなスペックです。《蟻走感》《溺墓の寺院》と組み合わせろと言わんばかりの効果で、もっと欲張りな方には《土地守》《溶鉄の渦》プランもございます。


溶鉄の渦




■ 17.《戦争に向かう者、オリヴィア》



 前身の《オリヴィア・ヴォルダーレン》に比べると、制圧力と優雅さはなくなってしまったものの、その代わりにずいぶんと獰猛になった《戦争に向かう者、オリヴィア》


オリヴィア・ヴォルダーレン


 《戦争に向かう者、オリヴィア》の入った「吸血鬼」デッキはすでにあちこちで大きな話題となっていますが、単純にカードパワーが高いので、種族にこだわらずとも前環境の「赤黒ドラゴン」のようなデッキにすんなりと入るでしょう。



Aki「赤黒ドラゴン」
スタンダードリーグ(5-0)

4 《山》
4 《沼》
3 《燻る湿地》
4 《血染めのぬかるみ》
4 《樹木茂る山麓》
4 《汚染された三角州》
3 《精霊龍の安息地》

-土地 (26)-

4 《搭載歩行機械》
4 《飛行機械技師》
3 《炎跡のフェニックス》
4 《雷破の執政》
2 《ピア・ナラーとキラン・ナラー》
4 《嵐の憤怒、コラガン》

-クリーチャー (21)-
2 《焦熱の衝動》
4 《龍詞の咆哮》
2 《闇の掌握》
2 《精神背信》
3 《残忍な切断》

-呪文 (13)-
3 《強迫》
2 《ゲトの裏切り者、カリタス》
2 《焙り焼き》
2 《自傷疵》
2 《命運の核心》
1 《精神背信》
1 《コラガンの命令》
1 《前哨地の包囲》
1 《灯の再覚醒、オブ・ニクシリス》

-サイドボード (15)-
hareruya




■ 18.《死の宿敵、ソリン》



 コントロールデッキにとって、喉から手が出るほどほしいライフ回復能力。《死の宿敵、ソリン》は、最高で6点ものライフを提供してくれるのみならず、これまたコントロールデッキにとって必要不可欠な「プレインズウォーカー」対策も兼ねている逸材。

 盤面に静寂が訪れれば「+1」能力でアドバンテージとライフの両面で差を付けてくれますし、コントロールデッキのフィニッシャーに最適です。6マナという重さは懸念材料ではありますが、それに見合うだけの性能を持った1枚だと思います。



■ 19.《タミヨウの日誌》



 フレーバーテキストがせこい!《大天使アヴァシン》を狂わせてしまった「影」の正体とは一体……《来世の警告》のカード画像を見る限り、そろそろ【僕の大好きなあのクリーチャー】が登場するのではないかと期待しております!




 カードの能力に目を向けると、《前哨地の包囲》は言い過ぎかもしれませんが、コントロール対決ならば同様のインパクトがありそうです。



■ 20.《ウェストヴェイルの修道院》 / 《不敬の皇子、オーメンダール/Ormendahl, Profane Prince》



 個人的にかなり期待している1枚。《大天使アヴァシン》と同様に、理想の能力を全部付けちゃいました感のあるやりすぎカード。

 《ゼンディカーの代弁者、ニッサ》《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》といったクリーチャー生成能力に長けた「プレインズウォーカー」と相性が良く、そこに《ギデオンの誓い》《荒野の確保》を加えればあっという間にデッキが完成しそうです。


ゼンディカーの代弁者、ニッサゼンディカーの同盟者、ギデオンギデオンの誓い荒野の確保




■ 『イニストラードを覆う影』注目度トップ5

1位: 《アーリン・コード》 / 《月の抱擁、アーリン/Arlinn, Embraced by the Moon》

2位: 《死の宿敵、ソリン》

3位: 《石の宣告》

4位: 《ウェストヴェイルの修道院》 / 《不敬の皇子、オーメンダール/Ormendahl, Profane Prince》

5位: 《床下から》




 1位と2位は例によって「プレインズウォーカー」を。本当は《秘密の解明者、ジェイス》も入れたかったくらいですが、期待を込めてほかのカードを並べてみました。

 3位の《石の宣告》はきっと見た目通りに強いので、《ウェストヴェイルの修道院》《床下から》が使われるかが勝負ですね。



■ おまけ



 今回の土地はかなり評価が難しいですね。スタンダードで使用されるのは間違いありませんが、今のところ使い勝手が悪そうな印象を受けています。

 ただし、これら新ランドも含めて、マナベースを上手く構築できるかどうかでプロツアーの結果が決まると言っても過言ではないので、マナベースの研究は新環境で最も手を抜いてはいけない部分です。ローテーションが増えた昨今では、なおさらその重要性が増しました。

 なお、この新しい土地の名称を【放送】で募集してみたところ、「チラチランド」というすばらしいアイディアをいただきました!

 「シャドウ (影) ランド」や「リビル (公開) ランド」と呼ばれることが多いようですが、僕は断然「チラチランド」が好きです!ぜひ流行ってほしい(笑)



■ おまけのおまけ

 突然ですが、《天使の粛清》《月銀の拘束》《先駆ける者、ナヒリ》、これらのカードに共通することは何でしょう?




 正解は《悪魔の契約》を効率良く処理できることでした!


悪魔の契約


 最近では【蛸の契約デッキ】で、《押し潰す触手》と併用されていた《悪魔の契約》

 【個人的にかなり好きなカード】なので、上記カードを使用してぜひデッキを作ってみたいと思います。





 『イニストラードを覆う影』の【20選】は以上です。

 来週からは【グランプリ・北京2016】【プロツアー『イニストラードを覆う影』】と連戦なので、プロツアーでは今回ピックアップしたカードを使ってがんばってきたいと思います。

 もちろん今回も【反省会】を実施します。いつの日か「反省することがなくて書けませんでした!」と言ってみたいので、今回が最初の1回になるといいですね!

 みなさんもぜひお気に入りのカードを見つけてください。

 それでは、また次回の連載で!



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