津村健志オススメの『異界月』注目カード20選

津村 健志


 Welcome Back!Emrakul!!

 ついに、ついに愛しの「エムラクール」さんが帰ってきました!今回はもうこれだけで終わってしまってもいいくらいですが、【20選】ということで、おまけの19枚も選んでいきたいと思いますので、最後までよろしくお願いいたします!

 
(※各カードは順位ではなく、カード番号順に並んでおります)



■ 1.《老いたる深海鬼》



 「現出」はコストこそ重く設定されているものの、その代わりに能力は強力そのもの。特に《老いたる深海鬼》は、戦闘中に登場してマナを寝かされた挙句にクリーチャーを打ち取られてしまうとほとんど逆転不可能な場になってしまうでしょうし、《大天使アヴァシン》《集合した中隊》と同様の、またはそれ以上のインパクトでスタンダードに君臨するのではないでしょうか。

 「現出」クリーチャーは《コジレックの帰還》《ウギンの聖域》を誘発させられる点にも大きな意味があり、《ウギンの聖域》から続々と現れる《老いたる深海鬼》対戦相手の心を折るに十分すぎるほどの威力です。


コジレックの帰還ウギンの聖域




■ 2.《約束された終末、エムラクール》



 「エムラクール」が帰ってきてくれただけで、心からこのセットが発売されて良かったと思います。

 キャスティングコストを極限まで軽くするために、おそらく「昂揚」系のデッキで採用されることになるでしょうが、「昂揚」系のデッキなら《最後の望み、リリアナ》で拾ったり、《ウルヴェンワルド横断》でサーチしたりと、デッキ内のカードとも上手く噛み合いそうですね。



■ 3.《ゲートウォッチ配備》



 《精霊龍、ウギン》《プレインズウォーカー、ニコル・ボーラス》がめくれたら宇宙。 by 大礒 正嗣



■ 4.《折れた刃、ギセラ》



 プチ《悪斬の天使》と呼ばれる逸材。パワー4の飛行クリーチャーは《ゼンディカーの代弁者、ニッサ》《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》の牽制にもってこいですし、「伝説のクリーチャー」という点を加味しても十分に4枚採用を検討されるカードです。

 さらにさらに、《折れた刃、ギセラ》には「合体」というマジック史上初の面白いギミックも搭載されており、様々な面でプレイヤーの心を惹きつけます!




 相方の《消えゆく光、ブルーナ》さんも《反射魔道士》《不屈の追跡者》《大天使アヴァシン》などを再利用することができますし、カードパワーは十分。




 《末永く》を使って1枚で「合体」を達成することも考えられますし、色々な活躍に期待大!



■ 5.《無私の霊魂》



 無難 of 無難。「瞬速」があればパーフェクト超人なので、そこは《鎖鳴らし》で!



■ 6.《異端聖戦士、サリア》



 「バント人間カンパニー」や「バントカンパニー」で即戦力となりそうな1枚。《反射魔道士》《不屈の追跡者》《変位エルドラージ》と3マナのクリーチャーは激戦区なので難しいところですが、それらに割って入れるだけの可能性を秘めたクリーチャー。



■ 7.《月への封印》



 こんなネタバレってないよ……。こんなにも!こんなにもストーリーを楽しみにしてるのに!!

 せめてフレーバーテキストだけはなくしてほしかったですが、強いて言うなら「エムラクール」さんが死んでいないことが唯一の救いです。



■ 8.《霊廟の放浪者》



 人によって評価が分かれそうなカード。「スピリット」デッキの完成度の高さで全てが決まりそうですが、明日お届け予定の【KenjiWayfinder】『異界月』編でも試作リストをお届け予定ですので、お時間のある方はぜひご覧になってみてください。



■ 9.《霜のニブリス》



 《地下牢の霊》《氷瀑の執政》。私は過去から学びました。この手のクリーチャーは強いんです!《霜のニブリス》はタップするために呪文を唱える必要こそあるものの、タップできる数に限りはありませんし、果敢まで付いています。しかも種族も今をときめく「スピリット」と、活躍できそうな下地はバッチリ!



■ 10.《最後の望み、リリアナ》



 「最後の望み」と銘打っているだけあって、スタンダードに大きな影響を与えそうな新リリアナ。パッと思い付くのは「-2」能力を駆使して「昂揚」を達成しつつアドバンテージを得る使い方ですが、「-7」能力がそれだけでゲームに勝てるくらいに強力なので、《最後の望み、リリアナ》をフィニッシャ―に据えた除去コントロールなんかも面白そうです。



■ 11.《騒乱の歓楽者》



 墓地を追放しなくていい《宝船の巡航》!?……は大げさかもしれませんが、専用のデッキを組めばかなりの活躍が見込めそうな1枚。《宝船の巡航》とは違いキャストしても墓地がそのままなので、1枚目さえキャストできれば2枚目、3枚目も問題なくキャストできる点が強みですね。



■ 12.《ハンウィアー守備隊》



 帰ってきたぜ《ゴブリンの熟練扇動者》!残念ながら単体では戦場に出たターンにトークンを生み出すことはできませんが、そこは相方の《ハンウィアーの要塞》でカバーしましょう。

 出てくるトークンが「人間」なので、《サリアの副官》との相性も◎!



■ 13.《異界の進化》



 新たに調整された《自然の秩序》。このカードの登場で《アロサウルス乗り》が値上がりしたりもしたようですが、スタンダードではどのように使われるのでしょうか?

 普通に使っても色々と悪さができそうですが、《地下墓地の選別者》《アンデッドの大臣、シディシ》→「濫用」で《エルドラージ・トークン》を生け贄に捧げて《異界の進化》をサーチ→次のターンに《龍王アタルカ》なんて流れも面白そうです。


地下墓地の選別者アンデッドの大臣、シディシ異界の進化龍王アタルカ


 《龍王アタルカ》以外にも、スタンダードには6マナや7マナ域に1枚で盤面を制圧できるカードがたくさんあるので、補色の選択やクリーチャーの選択で腕が出そうです。



■ 14.《邪悪の使者》



 「現出」してくださいと書いてあるデッキの潤滑油。前述の通り3マナのクリーチャーは激戦区ですが、先述した《老いたる深海鬼》や、《膨らんだ意識曲げ》のお供としては、最上級の一品。

 《激情の共感者》が再録されたら「現出」祭り開催間違いなしだったものの、はたして《邪悪の使者》さんは次世代の《激情の共感者》となりえるのでしょうか!?



■ 15.《墓後家蜘蛛、イシュカナ》



 最初はものっすごいばかにしてたんですが、「昂揚」カードのオンパレードもあってかなり強そうです。残念なことにスタンダード環境にほとんど「蜘蛛」クリーチャーはいないので、(6)(黒)能力を最大限に活用することは難しいですが、最高クラスの壁として役立ってくれることでしょう。



■ 16.《残忍な剥ぎ取り》



 《最後の望み、リリアナ》と一緒に使ってね!と言わんばかりのクリーチャー。きちんとしたデッキが組めれば、2~3回の攻撃で「昂揚」を達成できるでしょうし、毎ターン3枚の中から上質の1枚を選んでドローできるようになれば勝利は目前。

 緑と言えば「白」との組み合わせ。そんな風潮に風穴を開けてくれるであろう優良クリーチャー。



■ 17.《呪文捕らえ》



 強い。ですが、デメリットもそれ相応にすごいので、実際の使用感が気になるところ。

 《集合した中隊》から出るカードとしても期待されていますが、《反射魔道士》との兼ね合いで、今後は「いつ《集合した中隊》を唱えるか」がより一層難しくなりそうです。


反射魔道士集合した中隊


 『異界月』には優秀な「スピリット・クリーチャー」がたくさん登場しているので、「青白スピリット」もついに日の目を浴びることになりそうですし、幅広いデッキでの活躍が見込める1枚。



■ 18.《実地研究者、タミヨウ》



 3色なだけあってカードパワーは高め。押していれば「-2」能力が相当に強力なので、攻撃力が高く色もピッタリな「バント人間カンパニー」だったり、地上と空で軸のずれた殴り合いをする「青白スピリット」系のデッキにうってつけの1枚。



■ 19.《爪の群れのウルリッチ》



 こいつと《変位エルドラージ》の組み合わせはグレートっすよー。【KenjiWayfinder】『異界月』編用に《異端聖戦士、サリア》《ハンウィアー守備隊》あたりのカードも入れて前のめりな「ナヤ人間カンパニー」を組んでみたんですが、まつがんさん (伊藤 敦) に一瞬で没にされたのでここに掲載させていただきます。



「ナヤカンパニー」

5 《森》
2 《平地》
1 《山》
1 《荒地》
4 《進化する未開地》
4 《梢の眺望》
3 《燃えがらの林間地》
2 《鋭い突端》
4 《戦場の鍛冶場》

-土地 (26)-

4 《サリアの副官》
4 《薄暮見の徴募兵》
4 《ラムホルトの平和主義者》
4 《不屈の追跡者》
4 《ハンウィアー守備隊》
2 《異端聖戦士、サリア》
2 《変位エルドラージ》
2 《爪の群れのウルリッチ》

-クリーチャー (26)-
4 《ドロモカの命令》
4 《集合した中隊》

-呪文 (8)-
hareruya




■ 20.《テラリオン》



 普段は再録カードは入れないことにしているんですが、あまりにもイラストがきれいだったのでついつい入れてしまいました。僕は本当にイラストにしか注目していなかったんですが、《テラリオン》を見て2秒で「『昂揚』の餌か……」と言ったまつがんさんは天才だと思います。



■ おまけ・『異界月』注目度トップ5

1位: 《約束された終末、エムラクール》

2位: 《最後の望み、リリアナ》

3位: 《残忍な剥ぎ取り》

4位: 《墓後家蜘蛛、イシュカナ》

5位: 《呪文捕らえ》




 今回は全力で「昂揚」、もとい《約束された終末、エムラクール》推しです!これだけ墓地を悪用できそうな精鋭たちが揃えば、きっと活躍してくれるはず!

 昔の《生き埋め》《起源》の入った【マルカデス】のように、墓地を利用するミッドレンジが大好きなので、今回もぜひぜひ試してみたいと思います!



■ おまけのおまけ・津村健志オススメの『イニストラードを覆う影』注目カード20選・反省会

 この度も【反省会】ができずに申し訳ございませんでした。実は前回はバッチリだったのでは!?と錯覚しかけていたら、またまたとんでもないカードが入っていませんでした。


不屈の追跡者


 「カードが引くのが好き」とか言っておいてこんな優良クリーチャーを見逃すなんて……。《不屈の追跡者》のおかげで、今現在のスタンダードで最もドローが充実している色が緑という謎の超常現象が起こっているほどのカードパワーで、最近ではたまちゃん (玉田 遼一) がモダンのジャンドで使用していたりも。



玉田 遼一「ジャンド」
WMCQ東京2016(スイスラウンド8位)

2 《沼》
1 《森》
2 《草むした墓》
1 《血の墓所》
1 《踏み鳴らされる地》
4 《新緑の地下墓地》
3 《血染めのぬかるみ》
1 《樹木茂る山麓》
4 《黒割れの崖》
4 《怒り狂う山峡》
1 《銅線の地溝》

-土地 (24)-

4 《闇の腹心》
4 《タルモゴイフ》
3 《漁る軟泥》
2 《不屈の追跡者》

-クリーチャー (13)-
4 《稲妻》
4 《コジレックの審問》
3 《思考囲い》
4 《終止》
2 《突然の衰微》
2 《コラガンの命令》
4 《ヴェールのリリアナ》

-呪文 (23)-
4 《大爆発の魔道士》
2 《古えの遺恨》
2 《部族養い》
2 《大渦の脈動》
1 《渋面の溶岩使い》
1 《見栄え損ない》
1 《墓掘りの檻》
1 《虚無の呪文爆弾》
1 《予言のプリズム》

-サイドボード (15)-
hareruya



 あまりにもカードが引けて幸せな気分になるので、老後は《不屈の追跡者》《踏査》でカードを引きまくる「Turbo Land」を使って過ごそうと思います。





 『異界月』の【20選】は以上です。

 来週から今季最後のプロツアーに向けて出発するので、悔いのないようがんばってきたいと思います!

 みなさんもぜひお気に入りのカードを見つけてください。

 それでは、また次回の連載で!



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