コマンダー塚本の統率者最前線! vol.19 -Hey!カロリーKing-

塚本 樹詩

 こんばんは、 塚本 です。

 せっかく『マジック:ザ・ギャザリング ― 統率者(2016年版)』が発売されましたし、 【グランプリ・千葉2016】 も開催されるとのことで……

  新カードをフィーチャーしたデッキを組みたい !!

 さっそく気合を入れて考えていきましょう !!

◆ 着想

 とにかく ”共闘” というメカニズムを使ってみたいので、デッキのメインとなる統率者1枚と、それをサポートするために、副色として優秀な色をもった統率者を1枚。 こんなイメージで考えていくことにしました。

 もし4色になった場合は、採用できるカードの選択肢が爆発的に増えます。 そのため、構築が難しくなるばかりか、ユーティリティカードを選択してしまいそうなので、 1つの強いテーマを決める ことにしました。 そうすると、他のカードはそれに付随するように選んでいくため、 「構築しやすくなるのかな?」 と思ったのです。 そこで今回は試験的に2体選ぶうちの片方を、よりコンセプティブなクリーチャーに、もう片方をシンプルなものに設定するように考えました。

激情の薬瓶砕き

 今回登場した ”共闘” をもつ15種類のなかで一番目を引いたのは、《激情の薬瓶砕き》 !! 訓練された統率者戦プレイヤーなら、このクリーチャー + 探査呪文で大ダメージを与えることはすぐに思い浮かぶでしょう。 「《死の投下》で10点 !!」 なんてできたら気持ちよさそうですよね。 「《宝船の巡航》《時を越えた探索》でドローしながら8点 !!」 でも十分強いので、もう片方の ”共闘” もちはぜひとも青いカードにしたいところです。

 しかし、 ”探査” 呪文を使うには墓地にカードを溜めるか、マナを伸ばさない限りは、そう何回も連続して使うことは難しそうです。 マナを伸ばして使うのであれば、もっと強い効果の呪文は他にもあるので、 ”探査” 呪文は厳選した数枚だけ採用するとよさそうです。 すると、他にもタダ打ちできる高コストの呪文か、大ダメージを与える手段が必要になります。

 こうして方向性は見えてきたので、大ダメージを与える手段を模索することにしました。

◆ 要は、高カロリーの連打

 「大ダメージを与える手段とはなんだろう ?」

 こう考えたときに真っ先に思い浮かんだコンボはこれでした。

ドラコ うつろう爆発

 《うつろう爆発》から《ドラコ》をめくる、 3マナ16点 のコンボ !! 有名なので圧倒的多数が知っているとは思われますが、当時、僕はこのコンボを体験したことがなかったので、カードゲームの醍醐味のひとつとして、過去の軌跡を辿ってみることにします !!

稲妻の謎 土着のワーム

 当時からかなりの時が経ち、カードプールも増えたので、このコンボは別の組み合わせでも再現可能になっています。 《うつろう爆発》の亜種には《稲妻の謎》を筆頭に、実はたくさんあるのです。 問題は 「《ドラコ》のような高コストのカードをどれくらい無理なく用意できるのか ?」 ということになります。 《土着のワーム》《ちらつき蛾の注入》のように《うつろう爆発》でめくる専用のカードを、別の手段でも活かせないと、コンボ専用の弱いカードばかりになってしまうという弱点ができてしまうのです。

紅蓮術 巻物棚

 手札にきてしまった高コストのカードは《紅蓮術》《山背骨の発動》を使って更なるダメージ源にするか、《巻物棚》《渦まく知識》のような呪文で再び山札の上に積んで、 《うつろう爆発》アゲイン するのもいいですね。 山札の上にあるカードが重要なので、今回は《師範の占い独楽》《吸血の教示者》といったカードの力も存分に借りることになりそうです。

無情の碑出告 悪疫

 ただ、いくら高カロリーでダメージ重視とはいえ、全員を倒すのにはいささか悠長な方法です。 そこで《無情の碑出告》《悪疫》といった効率よく対戦相手全員のライフを著しく減らせる呪文を用意しておきたいですね !!

◆ 相方どうするか問題

 こうなると肝心なのは、 《激情の薬瓶砕き》の相方を誰にするか ? 残る白、青、緑を色ごとに採用するメリットを洗い出すと、優先順位がわかって、自ずと2枚目の統率者が決まりそうなので、さっそく試行開始 !!

● 白

《悟りの教示者》でコンボパーツを集められる
・ 追加の《うつろう爆発》として《死の宿敵、ソリン》が使える
・ 全体除去が豊富でコンボを安全に決められる
《崇高な吐露》《激情の薬瓶砕き》と相性抜群 !!(ただし《激情の薬瓶砕き》は死ぬ)
● 青

《渦まく知識》のような山札操作の呪文が豊富
・ コンボに《白鳥の歌》のような打ち消し呪文で対抗できる
・ 高コストの代表格《ちらつき蛾の注入》を使える
《宝船の巡航》《時を越えた探索》が強い !!
● 緑

《森の知恵》《俗世の教示者》で山札の上を操作しやすい
《収穫祭の編み上げ》《滋養の群れ》といった高コストかつライフを得るカードがある。延命したり《霊気貯蔵器》を使ったサブプランも狙える
《遥か見》《耕作》など、4色のデッキの色マナサポートが豊富にある

 こうして挙げていくと、どのカラーも魅力的に見えるので、次は2色を組み合わせを見てみましょう。

  白 + 青 だと《うつろう爆発》と組み合わせると、強くて楽しそうな《魂火の大導師》を使える !!

魂火の大導師

  白 + 緑 には《夜明けの集会》があります。 単純にコンボのために高コストのカードを積み込むのもいいですが、それ以外の使い道もありそうです。 ユーティリティなクリーチャーを一緒にサーチすると余裕が生まれそうでいいですね。 そして高コストの代表格こと《土着のワーム》だってあります。

夜明けの集会

  青 + 緑 には、高コストの呪文が手札にきても使えるようにしてくれる相方、《クルフィックスに選ばれし者、キデール》がいます。

クルフィックスに選ばれし者、キデール

 こうして2色の組み合わせを見てみると、 白 + 緑 にするメリットが一番多く見えます。 緑ならではの大量ライフゲインもサブプランとして面白そうです。 ただ、《魂火の大導師》もとても魅力的に感じるので、最終的には《土着のワーム》《ちらつき蛾の注入》のどちらを取るかの2択となりますね。

 メリットがはっきりしたので、さらに熟考した結果できた結果はこれ !! 果たして相方として選ばれたのは何色なのか !?


《激情の薬瓶砕き》+《ジャムーラのシダー・コンド》

1 《激情の薬瓶砕き》
1 《ジャムーラのシダー・コンド》

-統率者 (2)-

2 《森》
2 《山》
2 《沼》
1 《平地》
1 《乾燥台地》
1 《血染めのぬかるみ》
1 《溢れかえる岸辺》
1 《湿地の干潟》
1 《霧深い雨林》
1 《汚染された三角州》
1 《沸騰する小湖》
1 《新緑の地下墓地》
1 《吹きさらしの荒野》
1 《樹木茂る山麓》
1 《Badlands》
1 《Bayou》
1 《Plateau》
1 《Savannah》
1 《Scrubland》
1 《Taiga》
1 《血の墓所》
1 《神無き祭殿》
1 《草むした墓》
1 《寺院の庭》
1 《聖なる鋳造所》
1 《踏み鳴らされる地》
1 《つぶやき林》
1 《統率の塔》
1 《風変わりな果樹園》
1 《火の灯る茂み》
1 《燃え柳の木立ち》
1 《シャドーブラッドの尾根》
1 《サングラスの大草原》
1 《黄昏のぬかるみ》
1 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》
1 《すべてを護るもの、母聖樹》
1 《クローサの境界》
1 《無限地帯》
1 《ヴォルラスの要塞》

-土地 (42)-

1 《コーリスの子》
1 《セラの高位僧》
1 《花を手入れする者》
1 《永遠の証人》
1 《配分の領事、カンバール》
1 《ロウクスの信仰癒し人》
1 《地獄の樹》
1 《焼却の機械巨人》
1 《夜の星、黒瘴》
1 《クローサの大牙獣》
1 《絶え間ない飢餓、ウラモグ》
1 《約束された終末、エムラクール》
1 《土着のワーム》
1 《ドラコ》

-クリーチャー (13)-
1 《悟りの教示者》
1 《伝国の玉璽》
1 《剣を鍬に》
1 《森の教示者》
1 《吸血の教示者》
1 《俗世の教示者》
1 《瀉血》
1 《遥か見》
1 《収穫祭の編み上げ》
1 《滋養の群れ》
1 《輝く群れ》
1 《夜明けの集会》
1 《耕作》
1 《うつろう爆発》
1 《木霊の手の内》
1 《死せざる者への債務》
1 《原野の脈動》
1 《腹黒い夢》
1 《爆発的天啓》
1 《燻蒸》
1 《ドカーン!》
1 《稲妻の謎》
1 《森の再生》
1 《幕切れ》
1 《火炎破》
1 《復讐に燃えた再誕》
1 《死の投下》
1 《バジリスクの首輪》
1 《魔力の櫃》
1 《師範の占い独楽》
1 《太陽の指輪》
1 《厳かなモノリス》
1 《巻物棚》
1 《生の杯》
1 《連合の秘宝》
1 《霊気貯蔵器》
1 《森の知恵》
1 《紅蓮術》
1 《血なまぐさい結合》
1 《有害な前兆》
1 《炬火のチャンドラ》
1 《死の宿敵、ソリン》
1 《ソリン・マルコフ》

-呪文 (43)-
hareruya

ジャムーラのシダー・コンド

 選ばれた相方《ジャムーラのシダー・コンド》 !! タフネス5でブロッカーとして最適なので延命にはかなり貢献してくれます。 そして《ジャムーラのシダー・コンド》が選ばれたということは、デッキのカラーは 赤黒 + 白緑の4色となりました !!

死の宿敵、ソリン 爆発的天啓 ドカーン!
稲妻の謎 有害な前兆 うつろう爆発

 そして、山札の上のカードのコストを参照するダメージ源各種と、

絶え間ない飢餓、ウラモグ 約束された終末、エムラクール 土着のワーム
ドラコ 死の投下

 高コストのカードの組み合わせで大ダメージを叩き出しましょう !! 《ドラコ》《死の投下》は手札にきても《激情の薬瓶砕き》で更なるダメージ源になりますし、《絶え間ない飢餓、ウラモグ》《約束された終末、エムラクール》は終盤の頼れるフィニッシャーにもなるので、無駄にならなくていいですね !!

ソリン・マルコフ 地獄の樹

 そして今回単体で最も相手のライフを削ってくれそうなカードとしては、《ソリン・マルコフ》《地獄の樹》の2枚 !! 下準備もせずにいきなり相手のライフを20点やら13点にしてしまえるので、一気に《うつろう爆発》《激情の薬瓶砕き》の射程圏内に手が届きそうになります。 まだ態勢の整っていない序盤や終盤戦の後に引いてきた《吸血の教示者》系の呪文でコンボが揃えられそうなときは、こういったカードをサーチできるのがいいですね。

◆ サブプランでも高カロリー !!
土着のワーム

 何回かに分けて大ダメージのアクションを繰り返すデッキの戦略上、どうしても相手の攻勢への対策が必要になってくるので、そういう相手には 大量ライフゲインで対抗 することにしました。 すると《土着のワーム》は大量ダメージコンボのパーツになるだけでなく、大量ライフゲインにも貢献してくれる素晴らしいパーツになりました !!

収穫祭の編み上げ 滋養の群れ 輝く群れ

 コスト参照する回復呪文を使って大量ライフゲイン !! 《滋養の群れ》《輝く群れ》は、防御しつつ《激情の薬瓶砕き》からの大ダメージも兼ねます。 すごい!!

血なまぐさい結合 霊気貯蔵器

 さらに !! ライフゲインも攻撃の手段にしてしまおう、ということで《血なまぐさい結合》《霊気貯蔵器》も採用 !! 《霊気貯蔵器》《コーリスの子》コンボは多人数戦ならではの破壊力で一気に2人を倒せて気分爽快 !!

バジリスクの首輪

 《バジリスクの首輪》《激情の薬瓶砕き》に装備することで攻防一体に !! 今回のリストには採用されていませんが、《霊気貯蔵器》をクリーチャー化する手段があれば、《バジリスクの首輪》と組み合わせで無限ダメージ !! もできるので、気持ちよさ重視の人はこのコンボの検討をするのもいいですね。

◆ ”共闘” システムの雑感
遥か見 連合の秘宝

 4色のデッキにする場合は、 マナトラブルが若干増えて、トリプルシンボルの呪文を唱えるハードルが上がった と感じました。 当初からいつもより色マナサポートを多めに入れたつもりでしたが、それでも足りなかったので、今回のリストでは更に多めに採用しています。 単にマナを伸ばすのではなく、色マナを補えるカードを意識して多めに採用すること が構築するポイントになりますね。

 緑を含む色の場合は、クリーチャー破壊、やアーティファクト破壊に引っかかることがないように、《遥か見》のようにマナを伸ばしながら色マナをカバーできる呪文を優先して採用するのが望ましいと感じました !!

激情の薬瓶砕き ジャムーラのシダー・コンド

 《激情の薬瓶砕き》《ジャムーラのシダー・コンド》はどちらもマナコストも軽く、手札が重いときでも毎ターンアクションできました。 ”共闘” システムでクリーチャーを選ぶ場合は、片方、またはどちらも軽い統率者だと手数の面で有利になれる と感じました。 どちらも重い統率者にしてしまった場合は、両方を活かす構築はだいぶ難しく感じたので、何らかの工夫が必要になるでしょう。軽い統率者は色合わせでデッキに噛んでいないカードだとしても、序盤から肉壁としてゲームに貢献してくれるので最高ですよ !!

 そういった意味ではタフネス5の《ジャムーラのシダー・コンド》は硬くてよかったです。 特に今回のようにガチガチなコンボデッキでは必要不可欠なくらい助けてくれて良かったです。 愛着がわきすぎて、《ジャムーラのシダー・コンド》の能力にスポットを当てたデッキを組んであげたいくらいです !!

 今回は新しいギミックである ”共闘” にチャレンジしつつも、往年のコンボである「ドラコ爆発」をフィーチャーしてみました。 過去を彩った歴史をいつでも追体験できることがカードゲームの醍醐味 だと言いましたが、統率者戦というフォーマットが一番追体験するのに向いていると思います。 レガシーやモダンでは実現することが難しそうな過去のお気に入りコンボをもとに統率者戦をはじめてみてはいかがでしょうか !?

 続く !!

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