スタンダード・デッキ・ピックアップ! -エスパーフラッシュ-

晴れる屋メディアチーム



■ 『霊気紛争』環境開幕!!

 いよいよ最新セット『霊気紛争』が発売されました! 1月9日(月)に告知された【禁止改定】を受け、まっさらな新天地となったスタンダード環境を切り拓くのはいったいどのデッキなのか。世界中が固唾を飲んで動向に注目していました。

 その最中、先々週末に開催された【SCG Open Columbus】と先週末の【SCG Open Richmond】では、さっそく『霊気紛争』のカードを使った新しいデッキたちが大活躍していたようです。

 本連載では、2月3日(金)~5日()にアイルランド・ダブリンの地で開催されるプロツアー『霊気紛争』までの2週間に世界各地で活躍したデッキや注目のカードを毎日ご紹介していきます。

 さて、本題に入る前に少し昔話をしましょう。『カラデシュ』環境では強烈なテンポアドバンテージをもたらす二大巨頭――《反射魔道士》《密輸人の回転翼機》が存在し、これらを8枚搭載した「白青フラッシュ」が環境に跋扈していました。

反射魔道士密輸人の回転翼機

 月日が流れ、この2枚はスタンダードで禁止されてしまいましたが、はたして「白青フラッシュ」は死滅してしまったのでしょうか? その答えはです。今回はキーカード2枚を失いつつ、『霊気紛争』で新戦力を得て蘇る「エスパーフラッシュ」をご紹介します。

1. 「エスパーフラッシュ」とは?


William Bingham「エスパーフラッシュ」
SCG Open Richmond(13位)

8 《平地》
4 《島》
3 《大草原の川》
4 《秘密の中庭》
4 《港町》
1 《産業の塔》

-土地 (24)-

4 《スレイベンの検査官》
4 《模範的な造り手》
4 《屑鉄場のたかり屋》
4 《呪文捕らえ》
2 《異端聖戦士、サリア》
3 《大天使アヴァシン》

-クリーチャー (21)-
1 《石の宣告》
4 《金属の叱責》
3 《停滞の罠》
3 《キランの真意号》
4 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》

-呪文 (15)-
3 《非実体化》
2 《無私の霊魂》
2 《断片化》
2 《神聖な協力》
2 《否認》
2 《燻蒸》
1 《異端聖戦士、サリア》
1 《隔離の場》

-サイドボード (15)-
hareruya


 1月9日に発表された【禁止制限告知】によって「白青フラッシュ」は弱体化を余儀なくされましたが、《反射魔道士》《屑鉄場のたかり屋》に、《密輸人の回転翼機》《キランの真意号》に変更し、《屑鉄場のたかり屋》のために黒をタッチした「エスパーフラッシュ」がSCG Open Richmondで華麗な復活を遂げていました。

屑鉄場のたかり屋キランの真意号

 もちろん「白青フラッシュ」当時からのスタメンである《呪文捕らえ》《大天使アヴァシン》といったクリーチャーは現環境でも変わらぬ強さで、インスタントタイミングで飛行クリーチャーを展開しながらクロックを刻む基本戦略は健在です。

 また、《キランの真意号》も強烈な新戦力です。「搭乗3」というコストは決して軽くはないものの、デッキ内のほとんどのカードがパワー3以上なのでこのデッキでは比較的「搭乗」も容易です。もちろん《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》とのシナジーもあり、以前にも増してハードな攻撃力を得ています。

大天使アヴァシン

 《大天使アヴァシン》に加えて《キランの真意号》スーパー《セラの天使》2スロット体制は並のデッキでは太刀打ちできないでしょう。《約束された終末、エムラクール》の禁止を受けて《墓後家蜘蛛、イシュカナ》を採用した「緑黒昂揚」や「ティムール《霊気池の驚異》」といったデッキが減っていることもこのデッキにとっては追い風です。

 SCG Open Richmondでは上位32位以内に1名しか使用者がいませんでしたが、デッキ構造そのものがシンプルかつ非常に強力なので、今後メタゲーム上に天敵が出てこない限りは徐々にその勢力を拡大していく可能性が考えられます。

2. 注目カード3選!

キランの真意号

 このデッキが『霊気紛争』によって得た最も強烈なカードといえば《キランの真意号》でしょう。単純な戦闘能力としては《密輸人の回転翼機》をも凌駕する圧倒的なカードパワーを誇ります。

 伝説のパーマネントなので採用枚数は3枚に抑えられていますが、ひとたび動き出せば凄まじい速さで対戦相手を追いつめ、防御的な運用も可能という優れものです。上述の通り《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》との相性も良好とあって、デッキに非常にマッチしたカードです。

金属の叱責

 また、軽くて使いやすいカウンター呪文が追加されたことで“クロックパーミッション”として一貫性のある挙動が実現できるようになりました。《スレイベンの検査官》の「調査」と《金属の叱責》の「即席」を組み合わせることでさながら《マナ漏出》のように機能させることができます。

 また、先に挙げた《キランの真意号》も警戒を持っているため「即席」に貢献してくれます。4マナ以下の軽い呪文に対しては《呪文捕らえ》が刺さり、それよりも重い呪文に対しては《金属の叱責》が刺さりやすいため、状況に応じて打ち分けることができそうです。

ゼンディカーの同盟者、ギデオン

 強い(強いため)。

 と一言で終えてしまいたくなるほどの雑に強いカード。『戦乱のゼンディカー』がリリースされて以来、スタンダード環境で白絡みのデッキが組まれるときは必ずと言っていいほど4枚採用されていた説明不要のフィニッシャーです。単体でも十分な性能ですが、ここにきて《キランの真意号》という最高の相棒を得たことでさらに強化されました。

 スタンダードのカードプールを見渡しても《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》以上に勝利に直結した能力を持ったプレインズウォーカーはおらず、頭一つ抜けて強い1枚と言えるでしょう。プロツアーでも台風の目となることが予想されます。

3. サイドボード・ピックアップ!

非実体化

 昨日ご紹介した【ティムールエルドラージ】のサイドボードにも入っていた1枚。プレイヤー火力やインスタント除去に乏しいこの色で「サヒーリ・コンボ」を妨害するには打ち消しかバウンスが最も効率的と言え、疑似的にそのどちらの役割も持つことができる《非実体化》はうってつけです。

 また、バウンス呪文全般に言えることですが、対戦相手の除去から自分のクリーチャーを守る目的でも使用できます。特に《大天使アヴァシン》のような強烈なETB能力持ちのクリーチャーを手札に戻し、再度キャストするといった動きは悶絶ものでしょう。

燻蒸

 自分もクリーチャーデッキなのに《燻蒸》? と思われるかもしれませんが、クリーチャーサイズで劣るものの絡め手のない「緑黒アグロ」などに対しては劇的な効果を発揮してくれます。自身は《屑鉄場のたかり屋》《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》《キランの真意号》などである程度戦線を維持しやすく、うまく噛み合えば《無私の霊魂》と組み合わせて対戦相手の盤面だけ更地にすることも可能です。

 「緑黒アグロ」や「赤白人間アグロ」に対してサイドインし、地上ですぐに止まってしまう《模範的な造り手》などと入れ替えることになるでしょう。

隔離の場

 定番のサイドボードカードである《隔離の場》。アドバンテージ源が非常に限られるこのデッキにおいては1対多数の交換ができる貴重な除去です。

 《忘却の輪》のように対象に取れるパーマネントの種類は多く、プレインズウォーカーやアーティファクトなどを追放することができることも忘れてはいけません。重いため1枚のみの採用となっていますが、引きさえすれば非常に大きな役割を果たしてくれるナイスカードです。

新環境はいよいよ2週目に!

 前環境でも強力だった「白青フラッシュ」は、主要なカードを2種類禁止されてもなおその実力は健在のようです。天敵と言えるデッキが少ない、というバランスの良さがこのデッキの最大の魅力であり、プロツアーでも類型のデッキが見られる可能性は大いにあります。

 【黒緑アグロ】【サヒーリ・コンボ】が一歩抜け出したという声が大きいなか、はたしてプロツアー本戦ではどんなデッキが活躍するのでしょうか。このデッキか、あるいはまったく新しい別のデッキなのかもしれません。

※画像は【マジック:ザ・ギャザリング日本公式ウェブサイト】より引用しました。

 まだまだ『霊気紛争』スタンダード環境は幕が上がったばかり。このデッキもきっと姿を変えていくことでしょう。これからの環境の動向に注目しつつ、今週末のプロツアーを楽しんで迎えましょう!次回もお楽しみに!

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