コヴァルスキ先生のティムール講座

Grzegorz Kowalski

Translated by Kenji Tsumura

原文はこちら
(掲載日 2017/09/12)

みなさん、こんにちは!

俺の名はグジェゴジュ・コヴァルスキ/Grzegorz Kowalski。ポーランド出身のゴールドレベルプロだ。これが晴れる屋に投稿する最初の記事になるが、この記事がみなに楽しんでもらえることを心より願っている。

多くの各国選手権が目前に迫っている中で、おそらくスタンダードでどのデッキをプレイすべきか悩んでいることだろう。率直に言って、今現在どのデッキがベストか俺には分からない。というよりも、今のスタンダードにはベストなデッキが存在しないと思う。

今のスタンダードはとても良い環境だ。俺達にはたくさんの選択肢があるし、それらのデッキの多くは合理的な選択だ。試合はとても複雑で、小さな選択の数々が問題となりえる。だからこそ自分のデッキをしっかりと知り、ベストを尽くすことが重要となる。直前にデッキを変えてしまい、それによる知識不足で自身の強みを失ってはいけない。

俺が知っているのは、ティムールエネルギーはいつだって手堅い選択だってことだ。ティムールエネルギーの最大の長所はその柔軟性にある。このデッキは数枚のカードを変えることで、どんなメタゲームにだって適応できる。今日はティムールエネルギーを各国選手権に向けてどのように構築すべきかをお話ししよう。

デッキの中核

まずはデッキの中核を成すカードから始めよう。これらのカードは決してメインボードから減らしてはいけない。 (全て4枚ずつにすべきだ)

霊気との調和導路の召使い牙長獣の仔ならず者の精製屋蓄霊稲妻

これらのカードは “ティムールエネルギーの中核” 以外に特に言うことはないし、これ以外の興味深いパーツを見ていこう。

メインボードの構築

上に記した20枚のカードに加え、土地を21枚から22枚採用するとなると合計で41~42枚になる。となれば残るスロットは18~19枚で、この部分を予想したメタゲームに合わせて埋め合わせていくわけだ。ここからは、各カードが各デッキに対してどのように作用するかをカテゴリー分けしてみよう。

すばらしい – このカードが良く効く相手が多いと思うのであれば、枚数を増やそう。

まあまあ – すばらしいというほどではないが、堅実な働きをするカード。記されたデッキに対してそのカードをデッキに入れていたって別に構わないが、それらのデッキに対してこのカードで対策しようとしないこと。

ひどい – 使い道がないかとてつもなく弱いカードで、記載されたマッチアップの勝率を大幅に下げてしまう。

いずれのカテゴリーにもデッキ名を挙げない場合は、そのカードがそれらのデッキに対して平均的で特に大きな影響を与えることはないという意味だ。

《マグマのしぶき》

マグマのしぶき

すばらしい – ラムナプ・レッド、ゾンビ、マルドゥ機体、白単エルドラージ

まあまあ – 《王神の贈り物》

ひどい – コントロールデッキ、ランプ

《削剥》

削剥

すばらしい – マルドゥ機体、《王神の贈り物》、黒緑

まあまあ – 白単エルドラージ、ラムナプ・レッド、ゾンビ

ひどい – 青白《副陽の接近》、ランプ

《蓄霊稲妻》以外に3~4枚のスロットを除去呪文に充てる必要がある。ではどのような配分にすべきか?最も大きな要素は、君が予想するメタゲームにどれくらいのラムナプ・レッドがいるかということだ。

赤単が多いならば《マグマのしぶき》の方が優れているし、そうでないのならばメインボードから《マグマのしぶき》は抜いてしまって《削剥》を3枚にするだろう。

《不屈の神ロナス》

不屈の神ロナス

すばらしい – ティムールエネルギー、黒緑

まあまあ – ラムナプ・レッド、《王神の贈り物》

ひどい – 青白《副陽の接近》、ランプ

《逆毛ハイドラ》

逆毛ハイドラ

すばらしい – 青白《副陽の接近》以外のコントロールデッキ、ラムナプ・レッド

まあまあ – ティムールエネルギー、黒緑

ひどい – 《王神の贈り物》

《つむじ風の巨匠》

つむじ風の巨匠

すばらしい – ラムナプ・レッド、コントロールデッキ

まあまあ – マルドゥ機体

ひどい – なし

《反逆の先導者、チャンドラ》

反逆の先導者、チャンドラ

すばらしい – コントロールデッキ、ランプ、黒緑

まあまあ – ティムールエネルギー、白単エルドラージ

ひどい – ラムナプ・レッド、マルドゥ機体

これらが序盤から中盤にかけてのオプションだ。

個人的な好みと、ミラーマッチにおける《不屈の神ロナス》がいかに凄まじいかという事実を加味し、最低でも1枚は《不屈の神ロナス》をプレイすることにしている。2枚目を採用するにはリスクが伴うため、注意が必要だ。《不屈の神ロナス》は「サイクリング」をしたり、《熱烈の神ハゾレト》のように2枚目を捨てて有効活用することができないため、2枚目を引くということはただの無駄カードを引くのと同義だからな。

一方でティムールエネルギーが多いと予想するのであれば、2枚目をプレイすることに何ら問題はない。俺はグランプリ・トリノ2017で2枚プレイしていたが、それに関して後悔はしていない。

《つむじ風の巨匠》はそんなに強いカードじゃないし、大量に引いてしまうとひどい有様だ。だがこのカードは《熱烈の神ハゾレト》とラムナプ・レッドに対する最良の解答なんだ。世界的な流行り廃りを考慮すると、プロツアー『破滅の刻』以降ラムナプ・レッドはすっかり人気をなくしてしまった。そのため、今なら2~3枚で十分だろう。

コントロールデッキやランプデッキが多いと読むなら、メインボードに《反逆の先導者、チャンドラ》を入れるのがお勧めだ。このカードはミラーマッチで振れ幅の大きなカードでもある。ときには (特に先手の場合に) 1枚で勝利をもたらしてくれるが、《つむじ風の巨匠》《逆毛ハイドラ》に対しては何もしない。

《領事の旗艦、スカイソブリン》

領事の旗艦、スカイソブリン

すばらしい – ゾンビ、黒緑、マルドゥ機体

まあまあ – ラムナプ・レッド、ティムールエネルギー

ひどい – コントロールデッキ、ランプ

《栄光をもたらすもの》

栄光をもたらすもの

まあまあ – 全てのデッキ

《老いたる深海鬼》

老いたる深海鬼

すばらしい – ティムールエネルギー、《王神の贈り物》

まあまあ – ラムナプ・レッド、コントロールデッキ

ひどい – なし

さあ、お待ちかねの5マナ以上のカード、つまり我らがティムールデッキにおける偉大なるマナカーブの頂点に関して見ていこう。

《栄光をもたらすもの》は万能なオールスター選手で、どんなメタゲームであれ少なくとも3枚採用すべきだ。想定するメタゲーム次第で、残る2種類のデカブツスロットを埋めることになる。グランプリ・ワシントンDC 2017グランプリ・トリノ2017の結果を見てからというもの、俺は《老いたる深海鬼》に首ったけだ。古きラムナプ・レッド/黒緑/ゾンビというメタゲームは過ぎ去り、もはや《領事の旗艦、スカイソブリン》はそれほど偉大なカードではなくなってしまった。

《スカラベの神》

スカラベの神

なぜ俺が5マナ域の候補に強力な《スカラベの神》を入れなかったか疑問に思っているかい?簡単なことさ。俺は黒をタッチするなんて考える必要がないと考えているんだ。黒をタッチするには大きなリスクが伴うし、《沼》をデッキに入れることは君が考えてるよりずっと深刻な問題なんだ。《栄光をもたらすもの》《反逆の先導者、チャンドラ》《逆毛ハイドラ》《慮外な押収》《老いたる深海鬼》。このデッキにはこんなにもたくさんのダブルコストを擁するカードが入っているんだからな。

どうしてたった2枚のカードのために《荒地》をデッキに入れようとするんだ?ましてや必要ではないカードのために。《スカラベの神》がミラーマッチですばらしいことは認めよう。黒緑や《王神の贈り物》デッキに対してもそうだろう。だが《不屈の神ロナス》だって同じくらいに強力なカードだし、《老いたる深海鬼》も負けちゃいない。そして信じてほしい。ティムールエネルギー対決において、3ターン目の《不屈の神ロナス》は、5ターン目の《スカラベの神》よりも遥かに脅威的だということを。

《没収》

没収

黒を足すもうひとつの理由が《没収》だ。このカードは《王神の贈り物》デッキに対して非常に強力だが、たったひとつのマッチアップのためにサイドボードの枠を割き、《王神の贈り物》と当たり、その上で違いを生み出すためには《没収》と黒マナを引かなければいけないんだ。一方で、君は全マッチの全ゲームで色を足してしまったことを悔いるだろう。

サイドボードの構築

《否認》

否認

サイドボードはメインデッキの構成に依存するものの、間違いなく4枚の《否認》から始めるべきだ。《否認》はこれが欲しいマッチアップにおいてあまりにも劇的だし、程度に差こそあれど 《否認》が欲しい” と思うようなマッチアップは大抵1本目の相性が悪い。そしてそれを改善することは非常に重要だ。

《否認》は青白《副陽の接近》や他のコントロールに対して信じられないほど強力で、他にも相性が悪いとされるランプや《王神の贈り物》デッキといったマッチアップにおいてもチャンスを与えてくれるカードなんだ。

もうひとつ重要なカードは《反逆の先導者、チャンドラ》《慮外な押収》だ。《反逆の先導者、チャンドラ》は75枚に最低でも2枚は入れておくべきカードで、もしもメインボードに採用していないのであればサイドボードに用意しておこう。《慮外な押収》は全てのミッドレンジデッキに対する必殺技で、《スカラベの神》の入った4色ティムールエネルギーに対しても非常に強力だ。

これら “サイドボードの中核カード” を念頭に置き、柔軟性に富んだその他のスロットを見ていこう。

対青白《副陽の接近》、青赤コントロール、白緑/赤緑ランプに対するオプションは基本的に同じで、俺たちがサイドインしたいと思うカードは、《否認》《反逆の先導者、チャンドラ》《不屈の追跡者》《払拭》 (ランプにはサイドインしない)、《炎呼び、チャンドラ》 (青赤コントロールにはサイドインしない) といったラインナップだ。

ミラーマッチに強いカード

反逆の先導者、チャンドラ慮外な押収不屈の追跡者

ラムナプ・レッドに強いカード

削剥マグマのしぶき霊気圏の収集艇つむじ風の巨匠

サイドボードに《つむじ風の巨匠》がもしあれば、の話だが。

ゾンビに強いカード

光輝の炎マグマのしぶき領事の旗艦、スカイソブリン炎呼び、チャンドラ反逆の先導者、チャンドラ

黒緑に強いカード

不屈の追跡者削剥反逆の先導者、チャンドラ領事の旗艦、スカイソブリン慮外な押収

《王神の贈り物》に強いカード

不屈の追跡者削剥否認反逆の先導者、チャンドラ慮外な押収

マルドゥ機体に強いカード

不屈の追跡者マグマのしぶき削剥反逆の先導者、チャンドラ領事の旗艦、スカイソブリン

《反逆の先導者、チャンドラ》– 対戦相手がクリーチャーを減らし、プレインズウォーカーコントロールになる場合のみ。

《マグマのしぶき》– 対戦相手が1本目と同様の攻撃的なプランを取っている場合で、なおかつ後手のときのみ。

サイドボードの選択肢はこんなところだ。以下に重要なマッチアップにおけるTIPSを記しておいたので、それらのカードがなぜそれぞれのマッチアップでうまく働くのか、またどのようにそれらをプレイすべきか、そしてゲーム全体ではどのようにプランを立てるべきなのかといった点について、理解を深められることだろう。

注意点

繰り返しになるが、サイドボードを作るときはメインボードとバランスを取るようにしよう。デッキの全体像を捉えておくことは、決定を下すにあたって非常に重要だ。

例えば、メインボードに除去呪文を大量に入れ、《炎呼び、チャンドラ》なしのリストを作ったとしよう。そうするとアグロデッキに対しては勝率が上がるだろうが、青赤コントロールや青白《副陽の接近》デッキに対してはたくさんの無駄カードを抱えることになる。これは決して間違った構築というわけじゃない。ただし、それらコントロールデッキに対して除去呪文を抜き切れるくらいのサイドボードカードを用意しておこう。

その一方で、この構築をするならラムナプ・レッドにたくさんのサイドボードスロットを割く必要はない。すでにメインボードに大量の優良カードがあるのに、わざわざサイドボードからそれらをわずかに上回る程度のカードに入れ替えることはないよな。俺はラムナプ・レッドに対してサイドの入れ替えを1枚しか行わなかったことがあるが、全く問題には感じなかった。

今は赤単が数を少しずつ減らしてきたため、メインボードはミラーマッチや他のミッドレンジに対して強い構成にしている。その代わりにサイドボードの赤単用のカードを3枚に増量して、対赤単への勝率が下がらないようにしているよ。

これらのことを念頭に置いて、実際にデッキリストを作ってみよう。下記に記すのは俺が今現在Magic Onlineで使用しているリストだ。このバージョンの目的はミラーマッチに強くすることだな。経験上、Magic Online上ではティムールエネルギーの数が圧倒的に多い。したがって、ラムナプ・レッドとゾンビへのガードを下げ、ミラーマッチやコントロールデッキに強いカードを増やしている。


グジェゴジュ・コヴァルスキ「ティムールエネルギー」
テストデッキ

4 《森》
2 《山》
1 《島》
2 《隠れた茂み》
4 《植物の聖域》
3 《尖塔断の運河》
1 《伐採地の滝》
1 《獲物道》
4 《霊気拠点》

-土地 (22)-

4 《導路の召使い》
4 《牙長獣の仔》
4 《ならず者の精製屋》
3 《つむじ風の巨匠》
2 《不屈の神ロナス》
3 《逆毛ハイドラ》
3 《栄光をもたらすもの》
2 《老いたる深海鬼》

-クリーチャー (25)-
4 《霊気との調和》
1 《マグマのしぶき》
4 《蓄霊稲妻》
2 《削剥》
2 《反逆の先導者、チャンドラ》

-呪文 (13)-
4 《否認》
2 《不屈の追跡者》
2 《慮外な押収》
1 《払拭》
1 《マグマのしぶき》
1 《削剥》
1 《光輝の炎》
1 《霊気圏の収集艇》
1 《領事の旗艦、スカイソブリン》
1 《炎呼び、チャンドラ》

-サイドボード (15)-
hareruya

マッチアップガイド

ラムナプ・レッド

ファルケンラスの過食者地揺すりのケンラ熱烈の神ハゾレト

ラムナプ・レッドは、プロツアー『破滅の刻』直後に最も人気のあるデッキだった。誰しもがこのマッチの練習を重ね、大会に参加するにあたって1番の目的はラムナプ・レッドを倒すことだった。ただし、今はそうじゃないし、もはや《つむじ風の巨匠》《逆毛ハイドラ》を4枚ずつ採用する必要はない。グランプリ・トリノ2017での2日間を通して、俺はラムナプ・レッドに1回たりとも当たることはなかったんだ……。

つむじ風の巨匠逆毛ハイドラ

このマッチはとても変則的で、ダイスロールに大きく依存する。俺たちにとって最大の難敵は《熱烈の神ハゾレト》だ。ラムナプ・レッドの他のカードはどうとでもなるが、《熱烈の神ハゾレト》だけはそうじゃない。このカードは数ターンでゲームに決着をつけてしまうし、こちらには対処法らしい対処法がない。そのため、いつまでも待っているわけにはいかないし、いつまでもコントロールする側でいちゃいけない。対戦相手の序盤の攻勢を凌いだならば、しかるべきタイミングを見つけてさっさとダメージレースを始めるべきだ。その点において《つむじ風の巨匠》《不屈の神ロナス》は優秀だな。

牙長獣の仔

このマッチアップで重要になるのはタフネス5のクリーチャーだ。赤いデッキはそれらのクリーチャーを対処する術を持ち合わせていないし、それゆえに序盤から中盤にかけて《牙長獣の仔》を5/5にできたのなら、すばらしい状態にあると言える。もしも手札に他に唱えられる呪文があるなら、《エネルギー》が6つになるまで《牙長獣の仔》を温存しておくといいだろう。

赤単はサイドボード後に少し重めの構成になることがほとんどなので、《栄光をもたらすもの》には注意しよう。これを加味して俺は重たいカードをサイドアウトしないことにしている。《栄光をもたらすもの》《老いたる深海鬼》もダメージレースに最適だ。

このリストだと《反逆の先導者、チャンドラ》を真っ先にサイドアウトするが、もしもメインに《反逆の先導者、チャンドラ》を採用しておらず、なおかつ《老いたる深海鬼》の代わりに《領事の旗艦、スカイソブリン》を起用しているのであれば、しばしば《導路の召使い》を2枚サイドアウトするようにしている。このカードは《ショック》であっさりと死んでしまうし、ティムールエネルギーのプランにもそぐわない。こちらのプランは除去呪文で序盤の数ターンをいなし、あとはマナカーブ通りに展開していくというものだ。4~5ターン目に2/2を出すのは、勝つための最良のプランとは言えないよな。

ゾンビ

墓所破り戦墓の巨人リリアナの支配

もしもどのデッキと対戦したいかと聞かれたら、俺はゾンビと答えるだろう。第一にこちらはゾンビに対してかなり有利だし、第二に、ゲームが長引く上にそれぞれが非常に重要な小さな決断をいくつも迫られるからだ。このマッチアップでは、こちらが100%毎回コントロール側にまわることになる。

ゾンビは長期戦に向けた十分な備えがないため、このマッチで必要なのは生き残って長期戦に持ち込むことのみだ。除去呪文を優先的にキャストすべきなのは《墓所破り》《戦墓の巨人》《呪われた者の王》だな。こいつらさえ除去してしまえば、ゾンビ側は付け入る隙がないだろう。

ティムールにとって適当な2/2クリーチャーを手玉に取るのは簡単なことで、ゾンビがそれに打ち勝つためには適切なターンに《リリアナの支配》を連打するくらいしかないだろう。

サイドボード後はさらに状況が良くなる。こちらはコントロール要素として追加の除去とプレインズウォーカー、《不屈の追跡者》が入るんだからな。《領事の旗艦、スカイソブリン》はMVP級のカードなので、もしもメインボードに採用していないのであれば必ずサイドインしよう。

不屈の追跡者領事の旗艦、スカイソブリン

ゾンビも少し重くシフトしてくるため、《豪華の王、ゴンティ》《精神背信》といったカードをサイドインしてくることに留意しておこう。先手でも後手でも《つむじ風の巨匠》はゾンビに対して弱いので、いつもサイドアウトするようにしている。《飛行機械トークン》もゾンビにとって問題にならないしな。

《牙長獣の仔》は後手だとサイドアウトするが、先手だと残すようにしている。ゾンビ側は数枚の《致命的な一押し》をサイドアウトすると予想されるし、対処されなかった《牙長獣の仔》は序盤のプレッシャーとして上々だ。除去の後押しがあればなおさらだ。

もしもラムナプ・レッドとゾンビに強いリストを探しているのならば、グランプリ・デンバー2017でブラッド・ネルソン/Brad Nelsonが使用したリストは完璧だ。


ブラッド ネルソン「ティムールエネルギー」
グランプリ・デンバー2017(優勝)

4 《森》
2 《山》
1 《島》
3 《隠れた茂み》
4 《植物の聖域》
2 《尖塔断の運河》
1 《伐採地の滝》
1 《獲物道》
4 《霊気拠点》

-土地 (22)-

4 《導路の召使い》
4 《牙長獣の仔》
4 《つむじ風の巨匠》
4 《ならず者の精製屋》
1 《不屈の神ロナス》
4 《逆毛ハイドラ》
3 《栄光をもたらすもの》

-クリーチャー (24)-
4 《霊気との調和》
2 《マグマのしぶき》
4 《蓄霊稲妻》
2 《削剥》
2 《領事の旗艦、スカイソブリン》

-呪文 (14)-
4 《否認》
2 《不屈の追跡者》
2 《光輝の炎》
2 《慮外な押収》
2 《反逆の先導者、チャンドラ》
2 《炎呼び、チャンドラ》
1 《削剥》

-サイドボード (15)-
hareruya

ティムールエネルギー

牙長獣の仔不屈の神ロナス栄光をもたらすもの

ミラーマッチには3つのシナリオがある。まず初めに、先手のプレイヤーが《牙長獣の仔》を出して、それが対処されなかった場合は一瞬でゲームが終わる。ふたつめに、片方のプレイヤーが《不屈の神ロナス》を引いた場合だ。一度《不屈の神ロナス》が動き始めたら、対戦相手がそこから逆転するのは非常に難しい。《不屈の神ロナス》から《逆毛ハイドラ》に繋がった場合はほとんど逆転不可能と言っていいだろう。みっつめは最も興味深いもので、これぞマジックといった純粋な長期戦だ。

老いたる深海鬼

互いにリソースを交換し、どちらが優位になるのかを競う。《老いたる深海鬼》はみっつめのシナリオにおけるMVPで、来るべきターンのための準備を進めていけば、とんでもないほどのアドバンテージを得たりゲームを終わらせることができるだろう。そして対戦相手がこれに抗う術はない。

このマッチは先手と後手でプレイスタイルを変えるべきだ。先手の場合はマナカーブ通りにクリーチャーを展開していき、可能な限りプレッシャーを与えよう。

逆に後手の場合は、劣勢にならないようにすることがゴールとなる。序盤は主に対戦相手のクリーチャーを除去呪文で捌いていくことが重要で、クリーチャーを展開することはそれほど重要ではない。

例えば、対戦相手が2ターン目に2マナを起こした状態でターンを返してきたとしよう。こちらの手札に《導路の召使い》《削剥》があるのなら、2ターン目にマナクリーチャーをキャストする必要はない。ほとんどの状況において、この場合は何もせずにターンを返して対戦相手の2マナを浪費させ、対戦相手がプレイしてきた3マナのクリーチャーを《削剥》で除去してからクリーチャーを展開し始めるのが正解となる。

サイドボーディングも先手と後手で異なる。メインボードと比較して、ひとつめのシナリオを完遂するのは少し大変だ。対戦相手には《慮外な押収》など《牙長獣の仔》に触れる追加の手段が増えるからな。先手ならそんなに多くの除去呪文は必要ではない (《削剥》《マグマのしぶき》もそんなに効率がいいとは言えない) し、《牙長獣の仔》を少し残すようにしよう。

1枚を除いて全ての《つむじ風の巨匠》をサイドアウトする。《マグマのしぶき》、そして入れたいカードの枚数次第で《牙長獣の仔》《不屈の追跡者》《反逆の先導者、チャンドラ》《炎呼び、チャンドラ》《慮外な押収》に入れ替える。

後手なら追加の《削剥》と2枚目の《つむじ風の巨匠》が欲しくなるだろうから、《牙長獣の仔》をさらに減らすといいだろう。

マルドゥ機体 (《難題の予見者》型)

模範的な造り手難題の予見者キランの真意号

ティムールエネルギーにとってありがたいことに、サイドボード後にコントロールに変形するプランは以前ほど人気があるわけじゃない。したがって、盲目的に1本目と同様のゲームプランを想定して《不屈の追跡者》《削剥》《領事の旗艦、スカイソブリン》といったカードを入れればいい。後手なら《マグマのしぶき》を残すようにして、先手ならこの枠を《否認》にしてもいいだろう。

必要に迫られない限りは、適当なクリーチャーに《蓄霊稲妻》をキャストしないようにしよう。《難題の予見者》《大天使アヴァシン》は非常に厄介なカードだが、《蓄霊稲妻》はそれらに対する最高の解答になる。

白緑/赤緑ランプ

約束の刻世界を壊すもの絶え間ない飢餓、ウラモグ

これは明確に相性の悪いマッチだ。1本目は本当にひどいもんで、なるべく早くプレッシャーをかけて対戦相手のドローが悪いことを願うしかない。赤緑バージョンに対しては、タフネス6のクリーチャーが重要になるため、最優先で《牙長獣の仔》《逆毛ハイドラ》をタフネス6まで育てて《破滅の刻》から生き残れるようにしよう。

否認慮外な押収

2本目以降にはプレインズウォーカー、《否認》《慮外な押収》といった干渉手段が追加され、相性が幾分か改善される。《否認》の最高の対象は《赤》《緑》の刻だ。

このマッチアップに勝つためには、序盤にプレッシャーとなるカードを展開して、ランプ側が5マナに到達するときに《否認》を構えておくことだ。《マグマのしぶき》《削剥》は全てサイドアウトして構わないが、《蓄霊稲妻》は数枚残すようにしよう。ランププレイヤーはしばしば《難題の予見者》をサイドインしてくることがあるので、それを見ても驚かないように。もしも速攻で押し切れなかった場合には、エネルギーを浪費せずに蓄えておこう。6つの《エネルギー》を温存しておけば《慮外な押収》《絶え間ない飢餓、ウラモグ》を奪うことができる。

《王神の贈り物》

復元発明の天使王神の贈り物

トリッキーなマッチアップだ。古いリストだとこのマッチは分が悪かったが、2枚目の《不屈の神ロナス》《老いたる深海鬼》を採用してからはかなり相性が改善された。1本目は対戦相手が6/6の《発明の天使》を用意するか、その前にこちらが押し切ってしまえるかどうかのレースになる。《不屈の神ロナス》が付随させるトランプルと、《老いたる深海鬼》はブロッカーの上から道を切り開く助けとなる。

サイドボード後は解答が増えるため、対戦相手に干渉することに注力できる。《否認》《慮外な押収》《反逆の先導者、チャンドラ》《不屈の追跡者》《削剥》をサイドインし、まず全ての《逆毛ハイドラ》を抜いてから数枚の《つむじ風の巨匠》《蓄霊稲妻》をサイドアウトしよう。

《つむじ風の巨匠》はすばらしいカードとは言えないものの、《エネルギー》の使用先として数枚は残すことにしている。《逆毛ハイドラ》を全てサイドアウトしたことにより、《エネルギー》の使い道は《牙長獣の仔》だけになってしまうが、こいつは《不屈の神ロナス》《老いたる深海鬼》がないと簡単にチャンプブロックで凌がれてしまう。《王神の贈り物》さえしっかりと対処できれば、《王神の贈り物》デッキは《飛行クリーチャー》 に弱い。

青白《副陽の接近》

検閲燻蒸副陽の接近

1本目はかなり厳しい。こちらには大量の無駄カードがあるし、相手に干渉する手段もないからだ。最良の方法は対戦相手に3回マリガンしてもらって、3枚目の土地を引かせないことだろう。このマッチアップで足枷となるのは《逆毛ハイドラ》だ。少し前まではコントロールデッキに対して最高のカードだったが、《燻蒸》《神聖な協力》を擁する青白《副陽の接近》に対してはそうではない。

《燻蒸》に対応して《マグマのしぶき》を使えば、ライフゲインを1点抑えられることを覚えておこう。また、《蓄霊稲妻》はX=0で使用することで、インスタントタイミングで《エネルギー》を3つ溜めることができる。これらは決して理想的な使い方とは言えないものの、他に使い道はないしこの1点が勝敗を分かつこともある。

威厳あるカラカル保護者、リンヴァーラ

サイドボード後は、《否認》という最高のカードが加わる。青白《副陽の接近》には重たいソーサリーカードが大量に含まれているし、それらを打ち消してしまえば多大なテンポアドバンテージを得ることができる。対戦相手は《保護者、リンヴァーラ》《威厳あるカラカル》をサイドインしてくると予想されるため、《蓄霊稲妻》を全て抜いてしまわないように気を付けよう。青赤コントロールと比較すると、このマッチアップは全てのプレインズウォーカーをサイドインすべきだろう。青白《副陽の接近》はコントロールというよりも、頻繁にタップアウトするミッドレンジのようなデッキであり、《炎呼び、チャンドラ》《燻蒸》《威厳あるカラカル》の返しにうってつけだ。

まとめ

ただサイドボードのイン/アウトを紹介するよりも、カード選択やサイドボードプランなど、デッキへの理解を深めてもらう方が遥かに重要だと考えてこのような記事に至った。もしも自身のデッキを理解することができたなら、上手く乗りこなすことができるだろうし、それは大会で勝利するための絶好の機会となるだろう。

これを執筆している段階では、1週目の各国選手権の結果は分からない。おそらく新しいすばらしいデッキが出てくるだろうし、メタゲームも変化するだろう。いずれにせよ、この記事がティムールエネルギーへの造詣を深め、君の国の選手権用の最高の構築ができる助けとなれば嬉しく思う。

もしもこの記事が面白いと感じたり、これからも俺の記事が読みたいと思ったら気軽にツイッターでフォローしてくれよな。ツイッターでは新しい記事の情報、大会結果やマジックに関することについて呟いている。

各国選手権での幸運を願っているよ。また次回!

グジェゴジュ・コヴァルスキ

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