Translated by Daijiro Ueno
(掲載日 2018/01/06)
やあみんな!
グジェゴジュ・コヴァルスキーだ。俺にとっては2回目のモダンの記事だな。モダンに興味があれば、俺が前に書いたジェスカイテンポの記事を見てみてくれ。
俺のことを良く知らない人のために俺の趣向を少し説明しよう。俺はミッドレンジが好みだ。可能であればいつでもフェアデッキをプレイしたいね。ちょっと妨害手段が入った中~長期戦向けのプラン付きのやつだ。オールインの高速アグロや、「さあ俺の時間だ」みたいなコンボよりも、ハンデス、除去、カードアドバンテージを稼ぐ手段、そしてパワフルなクリーチャーたちをプレイしたいと思っている。
だからモダンは俺にとって本拠地じゃないし、このフォーマットでよく知られたデッキをプレイしたくない理由もそんなところだ。グランプリ・マドリード2017のあと、いくつか新しいデッキを試すことでモダンというフォーマットをちょっと探検してみようと思った。だから俺はジェスカイテンポを捨てて黒緑トロンを試した。でもとてつもなく退屈だったし、同じことはバーンにも言えたね。
その後俺はランタンコントロールに目をつけた。たくさんの人がこのデッキは素晴らしいしプロツアーの前に試してみるべきだと言ってきたよ。で、どうだったと思う?確かにこのデッキは強いけど、1日に1リーグしかプレイすることができなかった。プレイスタイルは俺の好みとは大きく異なるし、プレイするだけでとても疲れたね。
でもついに俺はお気に入りのデッキを見つけた。今回皆に紹介するデッキ、モダンにおけるミッドレンジの王者!それは、マルドゥ・パイロマンサーだ!
どうしてこのデッキがそんなに好きなのか?
ここまでに述べた通り、これは俺のタイプのデッキだし、ミッドレンジのファンならみんな喜んでプレイすると信じているよ。マルドゥは全てに対して戦えるだけの選択肢を持っているね。悪いマッチアップでも4:6ぐらいの感じで、2:8ってことはない。2:8のマッチアップなんていうのはモダンのとても退屈な側面でしかないね。
このデッキは攻めと受けを同時にこなせるし、古典的な1対1交換の呪文達で簡単に潜在的なアドバンテージを稼ぎ出せる(果敢の誘発、《若き紅蓮術士》のトークン、《騒乱の歓楽者》のコスト軽減など)。
マルドゥは1マナ呪文で溢れているのにも関わらず、長期戦も戦えるんだ。おどろきかもしれないけど、あの疑似「探査」の赤いやつのおかげでほとんどどんな相手に対してもじりじりした熱戦に持ち込めるね。
《信仰無き物あさり》は一貫して期待以上のパフォーマンスを発揮してくれたカードだ。このカードに対してそんなに期待していなかったんだけど、このデッキでは輝いているね。《騒乱の歓楽者》を探しに行ける(それかその時点で他に必要なカード)し、コスト軽減も同時にこなせる。
《未練ある魂》、またはマッチアップにより腐ったカードを捨てられる。ジェスカイと比べるととても良い気分だ。役に立たない単体除去を無限に引くことよりもね。このデッキではそれらを“サイクリング”することで新しいカードを手に入れられる。ディスカードはいくばくかの価値を生み出すしね。
それぞれのゲームによってたくさんの選択肢と、対処すべき問題への回答がある。これこそが俺の愛するマジックだ!
おおまかなゲームプラン
ほとんどのシナリオで、アグロ戦法は取らないことになる。主な目標はリソース交換をできる限り長く行い続けること、対戦相手にカードを捨てさせ、クリーチャーを除去し、手札を《騒乱の歓楽者》で補充することだ。
序盤にダメージを与えることに執着する必要はない。だからほとんどの場合1ターン目には《僧院の速槍》よりも手札破壊を唱えた方が良い。これは1本目、どんな相手と戦っているか分からない内は特に重要だ。
何枚か《未練ある魂》がない限り、1本目の1ターン目に《信仰無き物あさり》は唱えない方が良い。ディスカードする前、どれが要らないカードか知るために、どんな相手と向き合っているかを知ることはとても大切だ。
こちらは《信仰無き物あさり》に関するその他のアドバイスだ。とても重要なカードだし、マルドゥを初めてプレイする人にとっては良く分からないカードかもしれないからね。
マッチアップとサイドボーディングガイド
マルドゥのリストは多種多様だから、定番の「これを足せ、これを抜け」というガイドは役に立つとは思えない。その代わり、相手のアーキタイプによってどのカードが良くて、どのカードが悪いかを示そうと思う。このデッキの基礎を理解し、君のリストに合ったサイドボードプランを築き上げる助けとなるはずだ。
かなり有利なマッチアップ
人間
最も良いマッチアップの1つ。相手の計画全てを潰し、《若き紅蓮術士》と《騒乱の歓楽者》の価値を引き出すことに集中するべきだ。除去は十分にあるから、《翻弄する魔道士》や《帆凧の掠め盗り》はそんなに苦にならないね。
良いカード:除去全般。そんなにたくさんのカードをサイドインする必要はない。サイドボードにあるとするならだが、多分《致命的な一押し》だけだ。
悪いカード:《集団的蛮行》はそんなに素晴らしくない。相手とダメージレースを行うわけではないからだ。それと《僧院の速槍》はサイズが小さすぎてブロックに向かない。だからこのカードも除去と入れ替えてOKだ。
親和
人間で述べた内容とほとんど同じことがここでも言える。大きな違いは《刻まれた勇者》の存在で、相手が君からゲームを奪うチャンスを与えるね。手札破壊で落とせばいいのは、《刻まれた勇者》か《頭蓋囲い》だ。他の親和のパーツに関しては、豊富な除去で対応できるからだね。
良いカード:《石のような静寂》,《破壊放題》,《摩耗+損耗》,《真髄の針》,《致命的な一押し》。
カウンターカンパニー
前述の2つのデッキよりは相性が悪いが、依然有利なマッチアップだ。相手側の有効なカードは《集合した中隊》と《永遠の証人》で、1枚でこちらの行動に対する回答になる。もし早い段階でそれらを捨てさせることができれば、こちらの除去をかいくぐってコンボを成立させるのは至難の業だし、最後は《未練ある魂》や《騒乱の歓楽者》がゲームを決めるだろう。
悪いカード:《戦慄掘り》と《稲妻のらせん》はこのマッチアップでは最悪の除去だ。これらの1対1交換を引きまくることは避けたい。より効率の良い除去をキープした方が良いね。
微有利なマッチアップ
ジャンド / アブザン
2つのデッキはどちらもこちらと同じプランを取ってくる。1対1のリソース交換を行い、中盤からアドバンテージを取っていく。こちら側のカードアドバンテージは相手よりも優れており、それでいて対処が難しい。《騒乱の歓楽者》は《コジレックの審問》、《稲妻》、《致命的な一押し》を避けられるし、こちら側はどのカードでも《闇の腹心》と《残忍な剥ぎ取り》を対処することができるんだ。
良いカード:《致命的な一押し》, 《真髄の針》(最良の対象は《漁る軟泥》と《ヴェールのリリアナ》だ)。
悪いカード:《二股の稲妻》。
グリクシス死の影
ジャンドやアブザンと似たマッチで、単純にこちらの方がミッドレンジとして上回っている。トークンは素晴らしい活躍をするから、《若き紅蓮術士》の価値を高めるために2ターン目にはこのカードをプレイしてはいけない。1ターン目に手札破壊を打って、前方確認ができていれば話は別だけどね。《未練ある魂》はこのマッチのMVPだ。
良いカード:《虚空の力線》, 《配分の領事、カンバール》(そんなに良くないけど、火力よりは良いね)。
悪いカード:火力呪文。全てサイドアウトすることはできないけど、一番最初に検討すべきは《二股の稲妻》と《稲妻のらせん》だね。
五分のマッチアップ
ストーム
こちらのクロックは遅いから、手札破壊で手札を攻めよう。これでは十分でない場合が時々ある。相手にプレッシャーをかけていくことが優先事項だ。このマッチアップでは1ターン目に手札破壊よりも《僧院の速槍》をプレイすることを優先しよう。
良いカード:《虚空の力線》, 《配分の領事、カンバール》, 《致命的な一押し》(《戦慄掘り》や《終止》よりも良いけど、《稲妻》や《稲妻のらせん》より悪い。入れる必要はないかも)。
青白 / ジェスカイ / グリクシスコントロール
青白相手は最もタフな戦いになると思う。マナベースを攻めてくるし(これはとても堪えるね)、全体除去を豊富に持っているからだ。ゲームのキーとなるのは《若き紅蓮術士》、《未練ある魂》、《騒乱の歓楽者》だ。もしそれらを引き込んで、十分な数解決できれば勝ちはほぼ確実なものとなる。
良いカード:《真髄の針》, 《配分の領事、カンバール》, 《虚空の力線》(《瞬唱の魔道士》や《アズカンタの探索》相手に効く。こちらの一部の除去呪文よりも良いし、最悪《信仰無き物あさり》で捨てても良い。)
悪いカード:《終止》(グリクシス相手には残す)、《二股の稲妻》, 《致命的な一押し》(《天界の列柱》入りの相手には残す、《稲妻のらせん》(《呪文捕らえ》入りの相手には残してもいいが、どの道そんなに良くはないね)。
不利なマッチアップ
ビッグマナ系のデッキ。俺たちにとっては不幸なことに、現在のメタで大きな位置を占めている。
黒緑トロン
本当に難しい戦いを強いられる。早い段階での《ワームとぐろエンジン》はほとんど無敵で、こいつを止める良い方法は存在しない。もし偶然対処できたとしても《絶え間ない飢餓、ウラモグ》や他の爆弾とすぐに対面することになるから、こちらのクロックは十分ではないね。《血染めの月》や《石のような静寂》で相手のマナベースを攻めることができるけど、6ターン目であっても《ワームとぐろエンジン》は依然としてこちらを震え上がらせる。
良いカード:《血染めの月》, 《石のような静寂》, 《真髄の針》, 《摩耗+損耗》。
悪いカード:《致命的な一押し》, 《二股の稲妻》, 《集団的蛮行》, 《稲妻のらせん》, 《稲妻》(相手は《スラーグ牙》と《難題の予見者》をサイドインするであろうことを忘れずに。だから《戦慄掘り》と《終止》は残しておく価値がある)。
エルドラージトロン
黒緑トロンに似ているけど、デカブツの代わりに速いクロックと《虚空の杯》を持っている。このマッチアップではこちらの除去はとても非効率的だ。
良いカード:《血染めの月》, 《摩耗+損耗》, 《破壊放題》, 《致命的な一押し》(たまに《難題の予見者》を除去することができるから、《稲妻》よりも良いカードだ)。
悪いカード:《集団的蛮行》, 《二股の稲妻》, 《稲妻》, 《稲妻のらせん》。
スケープシフト
こちらの除去はほぼ無駄カードで、サイド後も状況を改善する良い方法を持ち合わせていない。《思考囲い》を序盤に打たないこと。相手の核となるカードを捨てさせることが重要だ。だから《原始のタイタン》をキャストできる6枚目の土地を置く直前に打って、キーカードを落とす確率を最大限引き出そう。それとは逆に、《コジレックの審問》はランプ系呪文を落とせるから最序盤でとても良い。
良いカード:《血染めの月》, 《真髄の針》 (《桜族の長老》か、もし《コジレックの審問》で見えていればフェッチランドを指定しよう)。
悪いカード:除去カード、つまりデッキのおよそ半分だ。
ミッドレンジの王!
俺はマルドゥは現在のモダンで最高のミッドレンジだと信じている。
最近のビッグマナ系デッキの隆盛により、今現在はそんなに居心地のいいものではないが、このことはミッドレンジデッキ全般に当てはまる。どのような場合でも、マルドゥは心に留めておく価値があると考えている。メタゲームが少し推移して、フェアデッキやクリーチャー中心のアグロが増えたら、モダンにおいてフェアデッキの居場所があるということを皆にもう一度思い知らせる機会が訪れるだろう。まさにジャンド使い達が数年前に知らしめたようにね!
おわりに
モダンはものすごく多岐に渡るフォーマットで、同じくらいの強さのデッキがたくさん存在する。マジックは楽しんでプレイすることが重要だから、君のデッキと練習のための時間を楽しもう。君がもし俺みたいなミッドレンジ使いだったら、恐れずにマルドゥ・パイロマンサーを試してほしい。たった今メタゲームのてっぺんに位置していなくても、君が理解しきれているデッキ(変なコンボデッキ達じゃなくてね)をプレイすることはより良い選択のはずだ。メタゲームはいつか変わるからね!
あけましておめでとう!
グジェゴジュ・コヴァルスキ
この記事内で掲載されたカード
ポーランド出身。
【グランプリ・リール2012】、【グランプリ・ブリュッセル2015】でトップ8入賞。【グランプリ・サンティアゴ2017】では見事準優勝を果たした。
その高い実力はプロツアーでも発揮され、多数の上位入賞、マネーフィニッシュを経験している。