いよいよ今週末の4月27日(金)に、最新セット『ドミナリア』が発売されます。
『ドミナリア』の名に違わず、《ウルザの後継、カーン》や《ドミナリアの英雄、テフェリー》といった過去の人気キャラクターが帰ってきました!また「英雄譚」という新たなデザインのカードや、《鉄葉のチャンピオン》をはじめ各色に散りばめられたトリプルシンボルの強力カードなど、デッキを組みたくなるカードが勢揃い。
魅力的なカードが揃った『ドミナリア』を見ると、どのカードやデッキが強いのか、どのカードを買えばいいのか、悩んでしまう方も多いのではないでしょうか?
そこで各フォーマットを代表する実力者である第10期「神」の5人に、「『ドミナリア』で注目するカード トップ3」を聞いてみました!
■ 「神」とは?
晴れる屋が主催している、「神決定戦」という大会の暫定王者。
スタンダード・フロンティア・モダン・ヴィンテージ・レガシーの5フォーマットそれぞれで行われており、予選大会 (挑戦者決定戦) と決勝大会 (神決定戦) を勝ち抜いた者だけが「神」になることができる。
各フォーマットを熟知した者ならではの視点から、鋭い意見が飛び交いました。「神」の目には何が映り、彼らは何を考えたのでしょうか。
◆ 第10期スタンダード神 岡井 俊樹
『ドミナリア』カードセット全体の印象
通常セットでは有り得ない数の伝説のパーマネントや新たに登場した伝説のソーサリー、各色に存在するトリプルシンボルのレアなど構築制約がある分強力なカードが非常に多く、インパクトが大きそうなセットだと感じました。
新たなエンチャント・タイプとして登場した「英雄譚」は除去やシステムとして機能するものや《ミラーリ予想》などの一人コンボのような挙動をするカードもあり、どんなデッキで使われるか楽しみです。
また追加された土地の対抗色版M10ランドは、カラデシュのファストランド以外には確定タップインの2色土地しかなかった対抗2色デッキや、カラーバランスを整えにくかったスゥルタイのような楔3色デッキを強化してくれそうです。
『ドミナリア』スタンダード注目カードトップ3!
1位 《ベナリアの軍司令》
3マナ3/3という標準的なサイズに3マナ相当である全体強化能力がついている強烈なクリーチャーです。
マナ拘束の厳しさやその能力からほぼ確実に白単かそれに近いカラーリングの小型クリーチャーを並べて殴るウィニーデッキでの活躍が期待されます。
騎士シナジーを形成する英雄譚の《ベナリア史》と組み合わさればトークンと共に5/4という驚異的なサイズで畳み掛けられて爆発力もありそうなので、白単騎士は《サリアの副官》で大暴れした白単人間の再来かもしれません。
2位 《フレイアリーズの歌》
時間制限付きの《謎の石の儀式》かと思っていたらHareruya COMBAT vol.43で「III」の章能力がメチャクチャ強いことを知りビックリしました。むしろ、《謎の石の儀式》の皮を被った時限爆弾と言うべきでしょう。
システムクリーチャーでガチャガチャしていた《謎の石の儀式》と違ってマナの出る2ターンの間に展開しきって、インチキコンバットする「III」の章能力のターンとその次のターンでライフを削りきるようなイメージで構築すると良さそうです。
3位 《ドミナリアの英雄、テフェリー》
プラスでドロー、小マイナスで除去、奥義は決まれば概ね勝ちと5マナのPWらしく一通り揃っているカードですが、《秘宝探究者、ヴラスカ》と同様に各能力が一捻りした優秀なものになっているので思った以上の働きをしてくれそうです。
特に注目すべき能力はプラス能力にくっついたマナアンタップ能力でしょう。PWは定着させると勝利に直結するので、出したターンの返しにすぐにカウンターや除去などのスペルを唱えて守ることができるのは素晴らしいですね。また、小マイナス能力も破壊耐性のある《熱烈の神ハゾレト》や《スカラベの神》、各種PWに確実に触れる堅実な能力です。再度唱えられるまでは2回こちらのアンタップステップを跨ぐのでカウンターを構える余裕もできますし、《廃墟の地》を起動して引かせない小技も面白そうです。
これまでの青白コントロールはフィニッシュ手段に《副陽の接近》を使っていましたが、サイド後のカウンターや手札破壊呪文に弱く別の勝ち手段を用意することもあるほどだったので、マッチで一貫して非クリーチャーカードである《ドミナリアの英雄、テフェリー》にフィニッシャーを任せられるのは嬉しいですね。アンタップした2マナで構えられる除去としては最高の《封じ込め》も合わせて大幅な強化がされたデッキなので要注目です。
◆ 第10期フロンティア神 木原 惇希
『ドミナリア』カードセット全体の印象
『ドミナリア』を最初に見た時は、非常に多くの伝説カードが収録されていることに目が行きました。これらのカード達は非常に強力な物が多く、デッキビルダーとしては新しいデッキを早く作りたいと思わせてくれます。
そして、「キッカー」というキーワード能力や再録カードも多く、新セットでありながら「基本セット」のようにどこか懐かしさも感じられるセットだと思います。
『ドミナリア』フロンティア注目カードトップ3!
1位 《ラノワールのエルフ》
1マナのマナクリ!!!
説明不要の愛されカード。フロンティアでは《エルフの神秘家》と合わせて8枚のマナクリをデッキに入れられるようになったことによりエルフデッキや緑系デッキの速度が1段階上がって、環境全体の速度を速めてしまうかもしれません。
2位 《スカークの探鉱者》
ゴブリンを生け贄に捧げてマナに変換するカード。
「ゴブリン召集」や「ゴブヴァンテージ」などのデッキで、過去に大暴れした実績もある優秀なクリーチャーです。ゴブリンフリークの私としては歓喜の再録。
このカードの再録により今までフロンティアではあまり活躍していなかった《王神の贈り物》デッキや、全く新しいデッキの活躍が見れるようになるかもしれません。
3位 《ウェザーライトの艦長、ジョイラ》
歴史的な呪文を唱えるたび、1ドロー!
4マナ3/3で最低限のスペックと除去耐性が全くないのは気になりますが、ハマれば大量にドローできるかもしれない夢のあるカード。
このカードを使うためにデッキに大量に歴史的なカードを入れなければいけなくなる誓約はありますが、《アーティファクトの魂込め》ビートダウンなどの大量の歴史的なカードを使ったデッキで、息切れ防止として採用されるかも?
◆ 第10期モダン神 渡邉 真木
『ドミナリア』カードセット全体の印象
非常に面白いセットだな、という印象です。過去の背景ストーリーに登場したキャラクターがフィーチャーされていたり、「伝説」がテーマになっているといった要素のためか、個性的なカードがたくさん収録されていますよね。
モダン目線で見ても、ただ強のPWから部族系の強力なクリーチャー、優秀な除去やサイドカード、新しいコンボの可能性を感じさせる面白カードまで幅広い素材が揃っています。
発売されてからのモダン環境の動きを見るのがすごく楽しみです。
『ドミナリア』モダン注目カードトップ3!
1位 《減衰球》
このカードが注目されているポイントは、2ターン目に置けるお手軽なウルザトロン対策という点です。今まで、《血染めの月》や《大爆発の魔道士》といった対策カードでは対トロン後手での3ターン目トロン成立に間に合わせることは叶いませんでした。しかし、《減衰球》なら後手でも間に合うのです。そのうえストーム等のチェインコンボ対策にもなり、色を選ばないということで間違いなくこれからよく見るカードになるでしょう。
ですが、クロックが遅いデッキはこれを置いてもトロンに負ける可能性は充分にありますし、《血染めの月》や《大爆発の魔道士》では対策できていた《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》系には全く刺さらないことなどを考えると手放しに3~4枚積まれるカードではないと思います。
2位 《ウルザの後継、カーン》
メインに入る有力デッキがポンと思いつくわけではありませんし、どちらかといえば未知数な部分もありますが、ポテンシャルの高さから2位としました。
色を選ばない上に初期忠誠度が5と非常に高く、プラス能力でアドバンテージが取れるというだけでも強力なのですが、「疑似《エーテリウムの達人》」を生み出す「-2」能力を強く使えるデッキにおいては戦略の核になりうるパワーがあります。
親和のサイドだけでなく、ブルースティールなどのアーティファクトを多用するビートダウンデッキに居場所を見つけるかもしれません。このカードを軸にした新たなアーティファクトデッキも出てきても不思議ではないですし、それだけ強力なカードと思います。
3位 《マーフォークのペテン師》
昨今やや元気のないマーフォークですが、スタメン入り濃厚な逸材を獲得しました。それが《マーフォークのペテン師》です。
マーフォークに採用される、相手のクリーチャーに干渉するカードといえば《潮流の先駆け》がありますが、あちらは《霊気の薬瓶》を介さない場合、コンバットトリックとしての運用にはやや重い面がありました。
しかし、こちらは2マナで瞬速として使えるため、大分扱いやすくなっています。能力を失わせるという効果もモダンの標準クリーチャーである《タルモゴイフ》や、飛行クリーチャーに対して強く、応用力も高いため輝く場面は多そうです。
マーフォークの復権に期待ですね。
◆ 第10期ヴィンテージ神 飯野 彬
『ドミナリア』カードセット全体の印象
古参のプレイヤーであればきっと共感いただけると思うのですが、ドミナリアのカードリストの中で、どこかで聞いたことのあるカードだなとテキストまで読み進めると、まるで古いアルバムを開いたときのように、昔のカードの記憶が一挙に甦る不思議な感覚に襲われました。
さて、懐古主義はこれくらいにして、ヴィンテージ環境を意識した全体的なカードの評価については、「英雄譚」にあっては段階的に効果を及ぼすとはいえあまりに悠長であり、伝説のソーサリーにあっては効果は派手ですが少し扱いにくいのではないかという印象があります。ただ、歴史的な呪文にアーティファクトも入るようなのでMoxを初めとする軽量アーティファクトの展開を見据えた活躍が期待されます。
『ドミナリア』ヴィンテージ注目カードトップ3!
1位 《ウェザーライト》
名前を聞くだけで懐かしさから胸が熱くなるカードの一つですが、昔のものとは異なり、当時にはなかった「搭乗」というシステムも相まって、ストーリー上でこの船が果たした役割により近い感じがします。ですが昔のカードの絵の中では何かと《クラッシュ》したり、《転覆》したりしている印象があるため、タフネスはもっと低くてもよかったかもしれません。
4マナと軽いため、ヴィンテージでは《Mishra's Workshop》とMoxから1ターン目に登場し、あとは《ファイレクシアの破棄者》と《ミシュラの工廠》を並べて乗せてアドバンテージを稼ぐ姿が想像できますが、製作者のウルザにとっては、ウェザーライト号がこのような使われ方をするとは夢にも思っていなかったでしょう。
2位 《ウルザの後継、カーン》
これもまた懐かしい感じがするカードですが、プレインズウォーカーとしてのカーンは2枚目なので、あまり大きな驚きはなく、またカードの効果についてもカーンが有しているストーリー上の能力や役割を反映している訳ではなさそうです。
これまでのマジックの歴史において、相手に選択権がある効果を持つカードは総じて弱いですが、3つ目の能力を期待して掘り進めるのであれば得られるカードはアーティファクトでさえあればよいです。なので《Mishra's Workshop》系のデッキのようなアーティファクトが主体となっているデッキにとっては、中盤以降の息切れ防止となり、3つ目の能力を複数回使うだけでそのまま殴り勝ててしまうかもしれません。
3位 《減衰球》
《アメジストのとげ》が制限になってしまった今、《Mishra's Workshop》使い達の間では新たなマナ拘束の置物の登場が待たれていましたが、これはあえて《Mishra's Workshop》系のデッキには入れられないように設計されたのではないかと思わざるを得ないものです。
むしろ逆に《Mishra's Workshop》対策にもなるので、《Mishra's Workshop》系のデッキを相手に展開力で遅れをとりがちであったエルドラージ系のデッキに入る余地がありそうです。エルドラージ系のデッキにも2マナランドはありますが、《ウギンの目》はコストを減らす土地であってマナを出すわけではないので、その点は噛み合うかもしれません。あとは《トレイリアのアカデミー》にも効くのが地味に強力でしょうか。
◆ 第10期レガシー神 有田 浩一朗
『ドミナリア』カードセット全体の印象
「懐かしいカードをスタンダードや、リミテッドで使える」という方が多いのではないでしょうか。私としては《スカークの探鉱者》、《ゴブリンの戦長》、《包囲攻撃の司令官》といったこれぞゴブリンといったカードが再録されたのが嬉しいところですね。
ですが、今回一番嬉しいのはルール改定で《神聖の力線》があってもプレインズウォーカーに火力を打てるようになったことですね。
これで、今後は《神聖の力線》を貼られても《コラガンの命令》が自滅カードにならずに済みそうです。
『ドミナリア』レガシー注目カードトップ3!
1位 《ウルザの後継、カーン》
順当すぎる1枚でしょうか。レガシーでは青いカードの採用率が非常に高いため、《赤霊破》《紅蓮破》といった対策カードが多く採用されやすい傾向にあります。そのため、青いフェアデッキがアドバンテージ勝負をするためにサイドからプレインズウォーカーを採用したいと考えた場合、わざわざ対策される青いプレインズウォーカーは採用しづらいという問題が発生していました。
しかし《ウルザの後継、カーン》であればアドバンテージが稼げて、かつ青くないという条件を達成している上に、色が合わないという問題も未然に防いでくれています。今後の活躍に期待したいところですね。
でも、エルドラージは増えないでほしいなぁ…。
2位 《減衰球》
どんな色でも採用できる拘束系カードがまた1枚増えてしまいましたね。土地からのマナを縛る能力は《裏切り者の都》、《古えの墳墓》、《雲上の座》、《エルドラージの寺院》、《ガイアの揺籃の地》が思いつくところでしょうか。4Cレオヴォルドはランプデッキのカードパワーや《ウギンの目》の起動型能力で負けてしまうという場面が多かったためマナアーティファクトを対処しながらこれを置いてみたいですね。
そして《減衰球》の2つ目の能力……なんと1枚目のコストは増えない!つまり、自分が一回だけ《意志の力》を打ちたい場合はフルタップで返すことができます。《減衰球》は今までマナを縛ることがなかったデッキにも採用されるかもしれないですね。
3位 《鉄葉のチャンピオン》
採用されるデッキは当然エルフでしょう。エルフデッキの特徴として基本的なクリーチャーサイズが小さく、《孔蹄のビヒモス》を出せるまでライフを削れないことも少なくないですが、《鉄葉のチャンピオン》であれば2ターン目に出すことも可能であり《グルマグのアンコウ》相手でも殴り合えます。
加えて、大きい地上クリーチャーの代表格である《グルマグのアンコウ》や《タルモゴイフ》は《若き紅蓮術士》のトークンや《悪意の大梟》のブロックで止まることが多くありましたが、《鉄葉のチャンピオン》なら回避能力ですり抜けていけます。
「神」ならではの柔軟な発想と鋭い着眼点から、各フォーマットの『ドミナリア』の注目カードをレビューしてもらいました。
彼らは、そして世界中のプレイヤーたちは、これらのカードをどう使うのでしょうか?
発売後に開催される各フォーマットの大会結果をお楽しみに!!