第4期レガシー神挑戦者決定戦は参加者192名と大盛況でした。
The Last Sun 2015のフォーマットの一つにもレガシーが採用されることになったので、今後も更なる盛り上がりが期待できそうです。
さて、今回の記事では第4期レガシー神挑戦者決定戦とSCG Premier IQ Dallasの結果を見ていきたいと思います。
第4期レガシー神挑戦者決定戦 トップ8
~斉藤 信夫選手が神への挑戦権を得る~
2015年5月10日
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1位 Omni-tell/実物提示教育
2位 Temur Delver/カナディアン・スレッショルド
3位 Omni-tell/実物提示教育
4位 UR Delver/青赤デルバー
5位 Dredge/発掘
6位 Sultai Delver/青黒緑アグロ
7位 Miracles/白青奇跡
8位 Deathblade/デスブレード
GP京都でも高い人気を誇ったOmni-tellは今大会でも上位に2名のプレイヤーを送り込む活躍を見せ、Miraclesはトップ8に1名勝ち残ったものの、相性のあまりよくないとされるOmni-Tellに敗れています。
Delver系も多く勝ち残っており、UR, Temur, Sultaiとそれぞれ異なるバリエーションで勝ち残っていました。
第4期レガシー神挑戦者決定戦 デッキ解説
「Omni-Tell」
3 《島》 1 《山》 3 《Volcanic Island》 4 《沸騰する小湖》 2 《溢れかえる岸辺》 2 《汚染された三角州》 2 《古えの墳墓》 2 《裏切り者の都》 -土地(19)- 3 《グリセルブランド》 3 《引き裂かれし永劫、エムラクール》 -クリーチャー(6)- |
4 《渦まく知識》 4 《ギタクシア派の調査》 3 《思案》 3 《定業》 3 《呪文貫き》 4 《実物提示教育》 4 《Force of Will》 4 《時を越えた探索》 3 《騙し討ち》 2 《全知》 2 《水蓮の花びら》 -呪文(36)- |
2 《渋面の溶岩使い》 2 《ヴェンディリオン三人衆》 2 《狼狽の嵐》 2 《紅蓮破》 2 《墓掘りの檻》 2 《すべてを護るもの、母聖樹》 1 《造物の学者、ヴェンセール》 1 《紅蓮地獄》 1 《仕組まれた爆薬》 -サイドボード(15)- |
斉藤 信夫選手は日本国内でもトップレベルのレガシープレイヤーで、happymtg時代に連載されていた人気コラム「のぶおの部屋」の著者としても有名です。
デッキ名はOmni-tellとなっていますがSneak and Showとのハイブリッドになっており、今大会のデッキテクとしても紹介されています。
☆注目ポイント
《呪文貫き》を採用したデッキが少なく、対コンボ用のカウンターとしては《狼狽の嵐》が主流なため、《狼狽の嵐》に引っかからないエンチャントスペルの《騙し討ち》が採用されています。
《ファイレクシアの破棄者》擁するDeath and Taxesも減少傾向にあり、ヘイトベアーも日本国内では《封じ込める僧侶》より《エーテル宣誓会の法学者》が優先されているなど、メタゲームを読み切った絶妙なチョイスだったようです。
サイドには《渋面の溶岩使い》、《ヴェンディリオン三人衆》、《造物の学者、ヴェンセール》といった妨害要素を持ち合わせたクリーチャーが多数見られます。
こちらが《実物提示教育》系と分かれば相手も除去をサイドアウトしてくるので、裏をかいてクリーチャーで殴り勝つようなサイドボーディングが可能となっています。
特に環境に存在するヘイトベアーや、それ以外にも多くのクリーチャーを除去できる《渋面の溶岩使い》はこのタイプのデッキが最も欲しかった逸材だと思います。
今大会スイスラウンドを首位で突破し最終成績トップ4という好成績を残した水江選手のOmni-tellのリスト。
メインの《グリセルブランド》と《分割判定》を除いて比較的スタンダードなリストですが、サイドはかなり個性的な構成になっています。
☆注目ポイント
サイドに忍ばせてある《絵描きの召使い》+《丸砥石》は《狼狽の嵐》、《エーテル宣誓会の法学者》、《紅蓮破》などOmni-tell対策を多数サイドインしてきた相手に劇的に刺さったことが予想されます。
先ほど紹介させていただいた斉藤選手のリストにもOmni-tell対策に強い《騙し討ち》、《渋面の溶岩使い》など、サイド後異なるアングルから攻める戦略が採用されていました。
これらと同様に異なる対策を要求する《絵描きの召使い》+《丸砥石》のコンボは、相手に速やかな対策を要求するOmni-tellのようなデッキでは特に強さを発揮します。
SCG Premier IQ Dallas トップ8
~上位はMiraclesとコンボが多数。優勝はTES~
2015年5月17日
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1位 TES/むかつきストーム
2位 UR Delver/青赤デルバー
3位 Reanimator/リアニメイト
4位 ANT/むかつきストーム
5位 Miracles/白青奇跡
6位 Miracles/白青奇跡
7位 Miracles/白青奇跡
8位 Omni-tell/実物提示教育
入賞デッキのラインアップは異なるもののGP京都と同様にトップ8内の全てのデッキが《渦まく知識》を4枚採用していました。
入賞デッキはMiraclesが最多を占め、ANT, TES, Reanimator, Omni-tellといったコンボも多く勝ち残っていました。
SCG Premier IQ Dallas トップ8 デッキ解説
「Reanimater」「UR Delver」
2 《島》 2 《沼》 4 《Underground Sea》 4 《汚染された三角州》 2 《溢れかえる岸辺》 2 《新緑の地下墓地》 -土地(16)- 1 《墓所のタイタン》 4 《グリセルブランド》 1 《大修道士、エリシュ・ノーン》 1 《潮吹きの暴君》 1 《エメリアの盾、イオナ》 -クリーチャー(8)- |
4 《渦まく知識》 4 《入念な研究》 4 《納墓》 4 《再活性》 3 《思案》 2 《思考囲い》 4 《死体発掘》 2 《目くらまし》 2 《実物提示教育》 4 《Force of Will》 3 《水蓮の花びら》 -呪文(36)- |
3 《虐殺》 2 《思考囲い》 2 《真髄の針》 2 《残響する真実》 2 《実物提示教育》 2 《裏切り者の都》 1 《墨溜まりのリバイアサン》 1 《狼狽の嵐》 -サイドボード(15)- |
時折姿を現すReanimator。デッキパワーが高く他のコンボに対しても有利で、特に今流行りのOmni-tellに対してはコンボスピードの速さと《エメリアの盾、イオナ》という切り札があるため有利が付きます。
またコンボパーツが黒いスペルなため、多くのデッキが青対策にメインから投入している《紅蓮破》などを無視できるのも強みです。
☆注目ポイント
最近は《封じ込める僧侶》などのヘイトベアーや、墓地対策の置き物に触れる《突然の衰微》のために緑を足したバージョンを多く見かけましたが、Austin Palmerのリストは《実物提示教育》を採用しており、より速いターンに仕掛けられるように《裏切り者の都》もサイドに採用されています。また、色を2色に絞ったことで土地破壊にも耐性がついています。
除去は《虐殺》が採用されていますが《封じ込める僧侶》対策としてインスタントスピードの除去も欲しいところです。候補としては《見栄え損ない》あたりがマナコストも軽く、お勧めです。
1 《島》 4 《Volcanic Island》 1 《Tundra》 4 《霧深い雨林》 3 《沸騰する小湖》 2 《溢れかえる岸辺》 1 《汚染された三角州》 -土地(16)- 4 《秘密を掘り下げる者》 4 《僧院の速槍》 1 《ゴブリンの先達》 4 《若き紅蓮術士》 1 《ヴェンディリオン三人衆》 -クリーチャー(14)- |
4 《渦まく知識》 4 《ギタクシア派の調査》 4 《稲妻》 4 《思案》 2 《二股の稲妻》 1 《定業》 4 《目くらまし》 1 《火+氷》 4 《Force of Will》 2 《時を越えた探索》 -呪文(30)- |
2 《翻弄する魔道士》 2 《紅蓮破》 2 《発展の代価》 1 《渋面の溶岩使い》 1 《エーテル宣誓会の法学者》 1 《摩耗+損耗》 1 《狼狽の嵐》 1 《墓掘りの檻》 1 《真髄の針》 1 《残響する真実》 1 《無のロッド》 1 《硫黄の渦》 -サイドボード(15)- |
今でも根強い人気のあるUR Delver。Delver系の中でも速く、爆発力が高い型ですが妨害スペルが少なめでコンボに対しては相性が悪いです。
コンボ対策に黒を足した型を多く見かけますがDavid Houghtonのリストは代わりに白を足しています。
☆注目ポイント
《エーテル宣誓会の法学者》と 《翻弄する魔道士》の2種類のコンボ対策クリーチャーのために白を足しており、エンチャントに触れる《摩耗+損耗》にアクセス可能になりました。
《翻弄する魔道士》は《陰謀団式療法》と同様に相手の手札を覗ける《ギタクシア派の調査》と相性のいいカードで、ハンデスと異なり相手のトップデッキにも強く、クリーチャーであるためクロックにもなります。
「奇跡」に対して《天使への願い》や《終末》を指定することで対策できる点も《陰謀団式療法》にはない強みです。
タッチ黒の利点としては「探査」クリーチャーの《黄金牙、タシグル》を使うことができ、《陰謀団式療法》と《若き紅蓮術士》とのシナジーが強力であることが挙げられます。
ほかにも手札を整えることが重要になるStormを使ったコンボに対してはハンデスの《陰謀団式療法》の方が高い効果が望めることから、コンボが多いメタではタッチ黒、といったように使い分けるといいでしょう。
2 《島》 1 《山》 3 《Volcanic Island》 4 《霧深い雨林》 4 《沸騰する小湖》 2 《溢れかえる岸辺》 -土地(16)- 4 《秘密を掘り下げる者》 4 《僧院の速槍》 4 《若き紅蓮術士》 -クリーチャー(12)- |
4 《渦まく知識》 4 《ギタクシア派の調査》 4 《稲妻》 4 《思案》 2 《Chain Lightning》 2 《二股の稲妻》 1 《発展の代価》 4 《目くらまし》 4 《Force of Will》 1 《火炎破》 2 《時を越えた探索》 -呪文(32)- |
2 《狼狽の嵐》 2 《墓掘りの檻》 2 《紅蓮破》 2 《粉々》 2 《硫黄の渦》 2 《水没》 1 《水流破》 1 《真髄の針》 1 《発展の代価》 -サイドボード(15)- |
9位と惜しくもトップ8を逃したBuckingham, Dustinのリストは純正の青赤で、バーンスペルを多数搭載した初期の型に近く、他のデッキと同様に《宝船の巡航》を《時を越えた探索》で代用しています。
☆注目ポイント
標準装備の《稲妻》や《二股の稲妻》の他にも《Chain Lightning》、《発展の代価》、《火炎破》が採用されています。
サイドにはさらに追加の《発展の代価》が採用されており、SultaiやGrixisといった特殊地形に依存したデッキに対して強そうな構成です。
Miraclesなどのコントロールに対しても《硫黄の渦》という切り札がサイドに忍ばせてありますが、スピードに特化しているため妨害要素は少なめです。やはりコンボとのマッチアップは苦戦しそうなので、サイドには《呪文貫き》や 《狼狽の嵐》などコンボ対策をあと数枚追加しても良さそうです。
総括
Omni-tellは日本国内だけでなくアメリカでも人気が出てきています。GP京都を制したMiraclesとも相性がよく、プレイングも比較的簡単なため今後もよく見かけることになりそうです。対策としては《紅蓮破》や《狼狽の嵐》、各種ヘイトベアーなどが挙げられますが、神挑戦者決定戦で勝ち残っていたリストのように対策を掻い潜れる戦略を採用しているリストも増えてきているので一筋縄ではいかないのが現状です。
今週末にはいよいよレガシーで競われるオープンのSCGO Worcesterが開催されます。SCGのレガシーのビデオマッチが見られるのは久々なので楽しみです。次回の記事ではそのSCGO Worcesterの結果を中心にカバーしていく予定です。
以上USA Legacy Express vol.78でした。
それでは次回の記事でまた会いましょう。楽しいレガシーライフを!
※編注:記事内の画像は、以下のサイトより引用させて頂きました。
『StarCityGames.com』
http://www.starcitygames.com/index.php
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このシリーズの過去記事
- USA Legacy Express vol.77 -SCG Premier IQ Cleveland etc.-
- USA Legacy Express vol.76 -GP京都 etc.-
- USA Legacy Express vol.75 -SCG Invitational Richmond etc.-
- USA Legacy Express vol.74 -SCG Premier IQ Dalas-
- USA Legacy Express vol.73 -SCG Premier IQ Baltimore-
- USA Legacy Express vol.72 -SCG Premier IQ Houston etc.-
- USA Legacy Express vol.71 -SCGO Indianapolis-
- USA Legacy Express vol.70 -SCG Washington Premier IQ-
- USA Legacy Express vol.69 -SCG Premier IQ Columbus etc.-