はじめに
みなさんこんにちは。
現在はモダンの予選シーズンで日本国内でも『チャンピオンズカップ ファイナル シーズン5 ラウンド1』が開催されました。10月10日(土)には『第35期モダン神挑戦者決定戦』が開催されるなどいま最も熱いフォーマットの一つです。
さて、今回は北アメリカで開催された『地域チャンピオンシップ(ボルチモア)』と『地域チャンピオンシップ(オタワ)』に加え、日本の『チャンピオンズカップ ファイナル シーズン5 ラウンド1』入賞デッキを見ていきたいと思います。
『地域チャンピオンシップ(ボルチモア)』 -環境の最高のコンボデッキ繁殖鱗コンボ-
開催日:2026年9月12日
優勝 繁殖鱗コンボ
準優勝 ドルイドコンボ
3位 繁殖鱗コンボ
4位 繁殖鱗コンボ
5位 エスパーブリンク
6位 アミュレットタイタン
7位 エスパーブリンク
8位 繁殖鱗コンボ
9位 繁殖鱗コンボ
10位 アゾリウスコントロール
11位 エスパーブリンク
12位 エスパー御霊
13位 繁殖鱗コンボ
14位 ドルイドコンボ
15位 ピナクル親和
16位 繁殖鱗コンボ
さて、イゼット果敢が2つのスポットライトシリーズを制した直後にアメリカで開催された『地域チャンピオンシップ(ボルチモア)』ではどのようにメタが動いたのでしょうか。
上位にイゼット果敢は少数で、初日の段階で最も高い勝率を出していた繁殖鱗コンボが優勝も含めてプレイオフの半数を占める圧倒的なパフォーマンスを見せました。
そのほかに入賞していたのは、現環境を代表するミッドレンジのエスパーブリンク、プロツアー後のモダンで活躍しているドルイドコンボ、禁止改定後の環境の対応したアミュレットタイタンでした。
繁殖鱗コンボ
今大会で最も人気があり、初日から高い勝率を維持してプレイオフを席巻していた繁殖鱗コンボ。《日を浴びる繁殖鱗》と《血の長の刃》のコンボを軸にした戦略でしたが、エルドラージ戦略とハイブリッドさせることでコンボに頼らずに勝利することも容易になりました。
《運命を貪るもの》が高い再現性を実現させており、《エルドラージの寺院》や《ウギンの迷宮》といった2マナランドによるマナ加速によって序盤から《日を浴びる繁殖鱗》+《血の長の刃》コンボを始動できます。
中盤以降は、《約束された終末、エムラクール》で相手を圧倒するビッグマナ戦略も兼ね備えています。《日を浴びる繁殖鱗》と《血の長の刃》のコンボを妨害しつつ、《約束された終末、エムラクール》などを対処することは困難を極めます。
サーチ手段や除去も複数搭載されているため、非常に粘り強く戦うことのできるデッキで、勝つべくして勝ったといえます。
☆注目ポイント
ライブラリー操作をしてコンボパーツを確保しつつ《ウギンの迷宮》に刻印することもできる《運命を貪るもの》は、このデッキに安定性と序盤からの爆発力をもたらしています。
マナが潤沢な中盤以降は《ウギンの迷宮》から《運命を貪るもの》を手札に加えて相手の脅威を除去したり、追加の勝ち手段としても使えます。
コンボが妨害されゲームが長引いても、このデッキには優れた勝ち手段が複数用意されています。そのうちの1つが《約束された終末、エムラクール》です。
《邪悪鳴らし》や《コジレックの命令》、2マナランドを利用することによって早い段階から《約束された終末、エムラクール》をプレイすることができます。
対戦相手も《孤独》などで除去することは可能ですが、コントロールを奪取すれば盤面や手札など半壊させることができるため、次の《約束された終末、エムラクール》やコンボを始動するのに十分な猶予が得られます。
豊富なサーチ手段がこのデッキの再現性の高さと粘り強さを支えています。その多くは、マナ加速しつつコンボに必要なカードを入手することができます。
《邪悪鳴らし》は墓地を肥やすこともできるため、《約束された終末、エムラクール》のコスト軽減に大きく貢献します。《コジレックの命令》は、「占術」で必要なカードを探しつつドロー、クリーチャー除去、マナ加速、墓地対策とこのデッキが必要なことの多くを1枚で完結させています。《エルドラージの寺院》などマナ加速からの《コジレックの命令》は反則級の強さです。
エスパーブリンク
現在のモダンを代表するフェアデッキであるエスパーブリンク。トップメタの繁殖鱗コンボとのマッチアップは少し不利がつくものの、繁殖鱗コンボに対して高い勝率を誇るドルイドコンボやアミュレットタイタンのようなクリーチャーをベースとした戦略全般に強いため、このデッキを選択する理由の一つになります。
高性能のクリーチャー、除去、妨害と揃っており、環境の多くのデッキと互角以上に戦えるため、対話を好むプレイヤーが多い傾向にあるテーブルトップでは人気のあるデッキです。
このデッキの弱点の一つとして、エスパー御霊のようにコンボで速やかに決着をつける手段がないためマッチが長引きやすいことが挙げられます。
☆注目ポイント
今大会の直前に開催されたマジック・スポットライトの結果から、ディミーアミッドレンジやコントロールなども意識していたようで、メインから《時を解す者、テフェリー》が2枚採用されています。
対戦相手のインスタントタイミングの行動を封じつつ、脅威となるクリーチャーや置き物をバウンスすることができます。コントロール、八百長エルドラージ、エスパー御霊、リビングエンド、ベルチャーなど多くのデッキに有効で、必要ならば《溌剌の牧羊犬、フィリア》や《ちらつき鬼火》でブリンクすることで忠誠度のリセットも可能です。自身の場に出たとき能力持ちのクリーチャーをバウンスすることでさらにアドバンテージを稼ぐこともできます。
ドルイドコンボのようなクリーチャーベースのデッキに強い反面、ルビーストームのようなスペルコンボは苦手としています。そのためサイドには《真昼の決闘》など相手の行動を制限させるカードを複数用意しています。
《真昼の決闘》は、ルビーストームのように1ターンに低コストのスペルを複数プレイするデッキに対して非常に効果的です。
また、《鳴り渡る龍哮の征服者》は繁殖鱗コンボの勝ち手段の一つであるコンボを対策することができます。
必要ならマナ基盤としてもカウントできるスペルランドの《魔女の結界師》は、デッキのスペースを圧迫せずにメインから置き物を対策する手段になります。《ウルザの物語》も対策可能で、白いカードでもあるため《孤独》をピッチでプレイするためのコストとしても使用できます。
『チャンピオンズカップファイナル シーズン5 ラウンド1』 -令和でもナカティルが大活躍-
開催日:2026年10月3日
優勝 ドメインズー
準優勝 イゼット果敢
3位 ジェスカイエネルギー
4位 エスパーミッドレンジ
5位 ラクドスアグロ
6位 繁殖鱗コンボ
7位 イゼット果敢
8位 イゼット果敢
9位 ジェスカイコントロール
10位 コスモゴイフシュート
11位 ボロスエネルギー
12位 ピナクル親和
13位 イゼット果敢
14位 イゼット果敢
15位 リビングエンド
16位 ピナクル親和
先週末に日本国内で開催された『チャンピオンズカップファイナル シーズン5 ラウンド1』は、『地域チャンピオンシップ(ボルチモア)』と大きく異なる結果でした。
今大会のプレイオフはコンボが少数で、『地域チャンピオンシップ(ボルチモア)』では振るわなかったイゼット果敢がプレイオフに3名入賞しています。
繁殖鱗コンボはそれに押されるかたちか、初日は高い勝率を出していたものの上位入賞者は少数でした。
ドメインズー
ドメインズーは《ギルドパクトの力線》+《ドラコの末裔》といった「版図」パッケージを軸としたアグロデッキです。
《ギルドパクトの力線》を場に出した状態でゲームを開始することができれば、多くのデッキにとって対策が困難なスタートを切ることができます。
《ドラコの末裔》はこのデッキの主力です。《ギルドパクトの力線》と相性が良く、「版図」によってわずか2マナで唱えられるうえに、自軍クリーチャーに多数の能力を付与します。
単体除去が中心の環境なため、特に呪禁を付与できることが重要です。
ドメインズーはフェアデッキとの相性がいい反面、ルビーストームなどコンボデッキを苦手とするため、サイドには追加のカウンターや《摩耗/損耗》《安らかなる眠り》といった対策が複数積まれています。
☆注目ポイント
最近のドメインズーはミッドレンジ寄りのバージョンが主流でしたが、今大会で優勝を収めた矢嶋選手のリストは《野生のナカティル》や《部族の炎》といったカードが採用されたクラシックで軽い構成のものでした。
《野生のナカティル》はZooの象徴とされていたクリーチャーです。最近は不採用のリストが散見されましたが、やはりZooといえば《野生のナカティル》。1ターン目からプレッシャーをかけることができます。
《部族の炎》もこのデッキなら2マナ5点火力として機能するため、1ターン目から《野生のナカティル》など軽いクロックと火力でライフを詰めるというアグレッシブなゲームプランが実行しやすくなっています。
メジャーなリストと比べると、ブリンクも《超能力蛙》も不採用なため、《量子の謎かけ屋》自体を上手く使うことは難しくなっています。
とはいえ軽い構成で手札の消費も速く、強力なアドバンテージ源であることは変わらず、サイドに採用されている《記憶への放逐》で場にキープすることも可能です。
現環境のトップメタである繁殖鱗コンボとのマッチアップでは、マナ基盤を破壊しつつ回避能力持ちのクロックも残せる《黒曜石の焦がし口》がカギとなります。
《記憶への放逐》はイゼット果敢や繁殖鱗コンボをはじめ様々なマッチアップで使えるほか、先ほどの《量子の謎かけ屋》を場にキープできるため、サイドに4枚の採用になっています。
ラクドスアグロ
プロツアー殿堂プレイヤーである中村 修平選手は今回『リアリティ・フラクチャー』の新カード、《暗黒物質の操り手》をフィーチャーしたラクドスアグロでトップ8に入賞していました。
ハンデスで妨害しつつ《月影》や《ネザーゴイフ》《暗黒物質の操り手》といった軽量クリーチャーで圧をかけて、火力でライフを詰めるアグロデッキです。
《血染めの月》もメインから採用されており、クロックが速いこのデッキでは有効に使えます。エルドラージ、アミュレットタイタン、エスパーブリンクなど基本でない土地を多用するマッチアップに有効です。
☆注目ポイント
『リアリティ・フラクチャー』の注目の新カードである《暗黒物質の操り手》は、戦場に出たときに3枚のカードを切削することで、自身の強化だけでなく様々なカードとシナジーがあります。
また、自身の強化能力は「スレッショルド」と勘違いされやすいですが、墓地にあるカード7枚ごとなので14枚、21枚と大量の墓地でさらにパワーアップされます。これによって、1マナクリーチャーながらゲーム中盤以降に引いても強いところがこのクリーチャーの魅力です。
《探偵のフェニックス》は、「授与」によって《ネザーゴイフ》や《暗黒物質の操り手》などに回避能力を付与することができます。
「授与」の対象は必要ですが墓地からプレイできるため、除去を多用するミッドレンジやコントロールとのマッチアップでも粘り強く戦うことができます。
《逸失への恐怖》はこのデッキが求める役割の多くを果たします。
ルーティングでの墓地利用やクリーチャーの強化が分かりやすい利点です。さらにカードタイプがクリーチャーかつエンチャントなので、このクリーチャーが墓地に落ちた場合《ネザーゴイフ》の強化にもつながります。
「昂揚」を達成していれば自軍の最も強力なクリーチャーで追加の戦闘を行うことができるため、速やかなゲームの決着にも貢献します。
『地域チャンピオンシップ(オタワ)』 -モダンのコントロールデッキ-
開催日:2026年10月3日
優勝 アゾリウスコントロール
準優勝 繁殖鱗コンボ
3位 繁殖鱗コンボ
4位 ルビーストーム
5位 ジェスカイブリンク
6位 ボロスエネルギー
7位 繁殖鱗コンボ
8位 親和
9位 アミュレットタイタン
10位 繁殖鱗コンボ
11位 イゼット果敢
12位 繁殖鱗コンボ
13位 バントコントロール
14位 繁殖鱗コンボ
15位 イゼット果敢
16位 繁殖鱗コンボ
『チャンピオンズカップファイナル シーズン5 ラウンド1』が日本国内で開催されていた同週末に、カナダでも予選イベントが開催されていました。
この『地域チャンピオンシップ(オタワ)』でも、繁殖鱗コンボはプレイオフに3名と高い勝率を維持しています。
今大会のプレイオフはほかの大会よりもコンボが多く見られましたが、ボロスエネルギーやジェスカイブリンク、アゾリウスコントロールといったフェアデッキも見られ、優勝を収めたのもアゾリウスコントロールでした。
アゾリウスコントロール
効率的な除去、全体除去、カウンター、ドロースペルを利用してゲームをコントロールしていきます。ほぼノンクリーチャーなため、相手の除去を不要カードにして潜在的なアドバンテージを得ることもできます。
最近のモダンのコントロールには能動的にゲームに勝つ手段として、複数のコンボが用意されていることがほとんどです。
《等時の王笏》に《オアリムの詠唱》を刻印する、いわゆるセプターチャントで多くの場合は対戦相手をゲームから締め出すことができ、《覆いを割く者、ナーセット》と《一日のやり直し》のコンボで一方的な状況を作り出すこともできます。
☆注目ポイント
今回の優勝デッキで特徴的なのはコンボに特化した構成になっているところです。
《対抗呪文》が不採用など打ち消しが少なめで《一日のやり直し》が多めに採用されており、追加の《オアリムの詠唱》として《沈黙》までも採用されています。
そのため、これらの疑似的な《Time Walk》を続けてコンボの準備をしていくこともできます。
《時を解す者、テフェリー》《等時の王笏》《オアリムの詠唱》で相手をロックするか、除去で相手の脅威を捌いて《覆いを割く者、ナーセット》《一日のやり直し》のコンボを決めて手札を補充しつつ相手の手札を1枚以下にするという圧倒的な状況を目指します。
《時を解す者、テフェリー》と《覆いを割く者、ナーセット》が場にある状況では、《時を解す者、テフェリー》の[+1]能力によって相手のドローステップに《一日のやり直し》をプレイすることも可能です。
《時を解す者、テフェリー》と《覆いを割く者、ナーセット》はコンボパーツとしてもプレインズウォーカー単体としても活躍し、長期戦において強力な妨害手段兼アドバンテージ源として機能します。
このデッキのメインの勝ち手段は《孤児護り、カヒーラ》《孤独》《精神を刻む者、ジェイス》のみなので、マッチアップを問わず長期戦になります。
最近はあまり見かけなくなった《精神を刻む者、ジェイス》ですが、《等時の王笏》+《オアリムの詠唱》のロックを完成したあとの安定した勝ち手段として機能します。
サイドに採用されている《真昼の決闘》はルビーストームやイゼット果敢など様々なマッチアップで有効な反面、自身のスペルのプレイも制限されるので注意が必要です。
《跳ねる春、ベーザ》はエレメンタルクリーチャーなので、《孤児護り、カヒーラ》を「相棒」に指定したまま使える追加の勝ち手段です。
主にイゼット果敢などアグロデッキとのマッチアップで強さを発揮します。
総括
シーズン初めに『スポットライト』シリーズを2連覇したイゼット果敢は『地域チャンピオンシップ』では振るわず、プロツアーから高い勝率を出していた繁殖鱗コンボが圧倒的な強さを見せました。
ボルチモアの『地域チャンピオンシップ』後も繁殖鱗コンボはトップの座を維持し続け、『チャンピオンズカップ ファイナル シーズン5 ラウンド1』や『地域チャンピオンシップ(オタワ)』でも一番人気があるアーキタイプであり高い勝率も出していました。
繁殖鱗コンボは確かに強いデッキではありますが、無敵というわけではなく、ドルイドコンボなどは苦手としています。
繁殖鱗コンボが頭一つ抜けた強さを見せてはいるものの、各予選イベントの結果から独自の調整がされたドメインズーやアゾリウスコントロールなど多様なアーキタイプが結果を残しているといえます。
以上、USA Modern Express Vol.162でした。それでは次回の連載でまた会いましょう。楽しいモダンライフを!

























































