プロツアー『マジック・オリジン』直前!観戦ガイド・初日編

高橋 純也


 いよいよ今週末の8月1日~3日【プロツアー『マジック・オリジン』】がカナダのバンクーバーで開催される。


※ プロツアーとは?

プロツアー(PT)とは、新カードセットが発売されるたびに行われる完全招待制のイベント。世界中の強豪が一堂に集い、総額2500万円にものぼる賞金と世界最強という名誉をかけて、技術と知識の粋を尽くして3日間にわたり競うトーナメントである。


 以下のリンクは、公式ページによるプロツアー『マジック・オリジン』の紹介と、ニコニコ生放送で行われるライブ・ビデオカバレージの予定表だ。今回の開催地であるカナダは、日本とは約16時間の時差がある。ライブ視聴は真夜中から昼過ぎにかかる時間帯となるため、連日の応援による夏バテには気をつけてほしい。




※画像は【mtg-jp】より引用


日程 時間帯 フォーマット 放送ページ
8/1 ()金曜25時~1stドラフト-3回戦放送ページ
8/1 ()休憩 (※)
8/1 ()休憩終了~土曜13時スタンダード-5回戦放送ページ
8/2 ()土曜25時~2ndドラフト-3回戦放送ページ
8/2 ()休憩 (※)
8/2 ()休憩終了~日曜13時スタンダード-5回戦放送ページ
8/3 (月)日曜25時~月曜11時トップ8 (スタンダード)放送ページ

※ドラフトラウンド終了後に1時間ほどの休憩時間があります。
※※表記時間はすべて日本時間です。


 プロツアー『マジック・オリジン』は、『マジック・オリジン』ブースタードラフトと、スタンダードの2種目で競われる。

 開催される3日間のうち、初日と2日目(8/1 土曜と8/2 日曜)は予選ラウンドだ。それぞれ3回戦の『マジック・オリジン』ブースタードラフトと5回戦のスタンダードが行われ、1日目の成績が4勝4敗以上のプレイヤーが2日目へと進出し、2日目の終了時に予選ラウンド計16回戦の成績上位8名が8/3(月)の決勝ラウンドに進出するという仕組みになっている。

 決勝ラウンドとなる3日目の種目はスタンダード。予選ラウンドの上位8名による勝ち抜きトーナメントで優勝者を決定する。準々決勝と準決勝は予選ラウンド同様の2本先取だが、決勝戦だけは3本先取で行われる。


 今回の記事では、僕が選んだ”プロツアー『マジック・オリジン』の見どころ”を紹介する。初日、2日目、3日目のそれぞれで注目するトピックは変わるため、日程ごとにその日の見どころと前日のおさらいをお届けする予定だ。

 ニコ生が始まるちょっと前、暇な休憩時間の合間、うっかり前日の放送を見逃してしまったときの観戦ガイドとして役立ててほしい。





 それでは初日の見どころから見ていこう!




■ 初日の見どころ その1:
【プロプレイヤー】シーズン終盤!日本勢それぞれの目標はどこ?



 プロツアー『マジック・オリジン』は、8月に開催されるプロツアーというだけではなく、2014~2015プロシーズン最後のプロツアーという顔も持っている。

 昨年の【プロツアー『タルキール覇王譚』】から始まった2015プロシーズンは、今回のプロツアー『マジック・オリジン』を区切りに終幕する。つまり、約1年間を通してプロたちが稼いできた「プロポイント」が決算され、その数に応じて世界選手権への招待や「プロプレイヤークラブ」の待遇が変わる。


◆(参考) プロプレイヤーズクラブの説明


 35点以上でゴールドレベルの待遇、46点以上ならばプラチナレベルの待遇を得られる。簡単にまとめると、ゴールドレベルならば次のプロシーズンすべてのプロツアーの招待権があり、プラチナレベルだとゴールドレベルの待遇に加えて、グランプリとプロツアーに参加するたびに参加報奨をもらえるのだ。その参加報奨もプロツアーごとに$3000などとなかなかの金額が配られるため、すべてのプロプレイヤーの目標となっている。

 ここで現状の日本勢上位のプロポイントと目標を整理した図を見てみよう。




 渡辺 雄也八十岡 翔太のゴールは競争する周囲のプレイヤー次第で変わってくるため、具体的な勝敗数の目標に見通しは立たない。渡辺がPOYトロフィーを掲げ、八十岡が世界選手権で活躍する姿は、どちらもとても見たいので健闘を祈るばかりだ。

 その2人を追う市川 ユウキ覚前 輝也山本 賢太郎三原 槙仁らの目標は決して簡単なものではないが、彼らの実力を思えば現実的なラインだといえる。




 ゴールドレベルを目指す7人の中では、個人的には瀧村 和幸を応援している。直近2回のプロツアーを30位と33位と安定した好成績で乗り切っている今をときめくプレイヤーだ。必要な成績は11勝4敗1分け以上と困難な道だが、来シーズンも活躍が期待されるプレイヤーなので是非とも達成してもらいたい。

 ここで紹介したプロプレイヤー以外にも日本人は参加している。古豪・藤田 憲一や、国産カードゲーム最強の声も高い原根 健太など魅力的な選手が多いので、生放送やフィーチャーマッチに映ったときには暖かい声援を送ってほしい。



■ 初日の見どころ その2:
【ドラフト】『マジック・オリジン』は殴ったもの勝ちな「高名」環境?!



 少し前までの基本セットのリミテッドでは、そのほとんどにおいて守備的かつアドバンテージを重視した戦略が強かった。それは収録されているカードの多くがシンプルかつシナジーが少ないため、戦場が往々にして膠着し、結果としてカードの枚数差や性能差を競うような消耗戦になりやすかったからだ。

 そのため、近年では「狂喜」や「賛美」といった、攻撃的な戦略を後押しして膠着を避けるようなキーワード能力が盛んに収録されてきた。ただ、そのどれもがしっくりとこないまま時は流れ、今回の『マジック・オリジン』が発売された。

 『マジック・オリジン』で注目の攻撃的なキーワード能力は「高名」である。


トーパの自由刃ロウクスのやっかいもの


 「狂喜」にあったピーキーさはなく、「賛美」のように攻撃一辺倒かつ単体攻撃推奨という複雑さもない。誰しもが使いたくなかったバニラクリーチャーたちに攻撃的な使い道が用意された面白い能力だ。

 はたして「高名」は『マジック・オリジン』のドラフト環境でどのような存在なのだろうか?


菊名合宿『マジック・オリジン』 総合成績&まとめ


 プロプレイヤーたちがプロツアー『マジック・オリジン』にむけて行った合宿のレポートを、みんな大好き”まつがん”が仕上げてくれた。この合宿では、「高名」は環境を定義するほど強力な能力だったようだ。

 「高名」をもつ色は「白、緑、赤」の3色だけで、残りの「青、黒」には存在しない。前者の3色は「高名」を中心とした攻撃的なデッキの軸となる一方で、後者の2色はブロッカーを用意することすらも大変なので評価が下がり、補色として使われることが多かったという。


what we need -ORIドラフトクイックレビュー-


 ドラフトマスターである金 民守の解説記事でも「高名」をもつ3色を軸にしたビート戦略が単純に強力だ、とされている。だが、見逃せないのは、環境最初期の所感だと釘刺されているところだ。

 これがドラフトという種目の面白さかもしれない。ドラフトでは24パック336枚のカードを8人で分割してデッキを構築する。つまり、カードには限りがあり、誰しもが「高名」ビートを使うことはできないのだ。

 また、現状では最弱だと言われている青黒という2色でさえ、他の7人が「高名」を取り合っていたならばテーブルで最強のデッキになる。そこでプロツアーでは皆が「高名」が強いことがわかった上で何をピックするべきかが競われるだろう。

 「『高名』ビートをやりたいけど、前後のプレイヤーと戦略が被ると共倒れになってしまうかもしれない……」誰しもがこんな悩みを抱えて戦うのだ。

 あとは、「高名」を使うにしても、「高名」への対抗策としても2~3マナ域のクリーチャーの枚数はとても重要な要素だ。それらの低マナ域のカードにもドラフトという種目上枚数には限りがある。トッププロたちのピックを見る際には、彼らがどれほど優先度高く低マナ域を揃えているのかに注目してほしい。




■ 初日の見どころ その3:
【スタンダード】メタゲームの動向を見通す鍵は直前のSCGOにあり!



 最近の構築フォーマットがスタンダードで開催されるプロツアーにはちょっとした特徴がある。それは「開催される前々週、前週のSCGO (StarCityGames.com Open Series) から少しだけ進んだメタゲームとなっている」のだ。

 昨年秋の【プロツアー『タルキール覇王譚』】では、前々週と前週のSCGO IndyとSCGO New Jerseyで緑系信心が大流行していた。しかし、本戦では2つのSCGOで緑系信心を破ったジェスカイアグロとアブザンミッドレンジがメタゲームの最大勢力となった。


世界を喰らう者、ポルクラノスカマキリの乗り手包囲サイ


 そして4ヶ月前の【プロツアー『タルキール龍紀伝』】。前々週のSCGO Richmondではメタゲームがばらついていたが、前週のSCGO Syracuseでは緑赤ドラゴンとアブザンアグロが大きな勢力として活躍していた。そして結局プロツアー本戦では、SCGOでその2つのデッキ相手に好成績を残していた赤系アグロが使用者数を伸ばし、赤系アグロを加えた3つがメタゲームの最大勢力となった。


雷破の執政先頭に立つもの、アナフェンザアタルカの命令


 さて、今回のプロツアー『マジック・オリジン』のメタゲームはどのようなものとなるのだろうか?まずはSCGOの結果を手がかりに考えてみよう。


7/18 SCGO Chicago

 7月18日に開催されたSCGO Chicagoの会場には、沢山のアブザンコントロールと緑赤信心がいたようだ。優勝は【Tuan Ngyuenの緑赤信心】。上位にも緑赤信心とアブザンコントロールばかりで、【2位の白青『英雄的』】の他にそれらを喰いものにしてきたデッキは見当たらない。


7/25 SCGO Richmond

 先週末の7月25日に開催されたSCGO RichmondはChicagoと大差ないデッキ分布となっている。しかし、前週と明らかに違うのは、トーナメントの結果である。Chicagoでは上位も独占していた緑赤信心とアブザンコントロールだったが、Richmondではその2つは明らかに成績を落としている。

 特に緑赤信心の凋落は印象的だが、その理由は上位入賞のデッキをみると納得できてしまう。【Top8に2人を送り込んだ白青緑『英雄的』】は「緑赤信心キラー」の代表格。明らかに平均勝率が高いジェスカイアグロも《カマキリの乗り手》+妨害という動きで多くの緑赤信心を屠っていたはずだ。


 それでは材料が揃ったところでプロツアー『マジック・オリジン』の初日のメタゲームに簡単な予想を立ててみよう。

・使用率が15%を超えるデッキがない平坦な分布

・最大勢力はジェスカイアグロ、アブザンコントロール

・第2勢力は、緑赤信心、《先祖の結集》、赤系アグロ、青系コントロール、スゥルタイコントロール、アブザンアグロ、赤系ミッドレンジ

 SCGOで2大会連続活躍した『英雄的』をリストアップしなかったことは意外かもしれないが、SCGO Richmondで優勝した【アブザン《先祖の結集》】という苦手なデッキが登場し、得意だった緑赤信心の減少を踏まえるとあまり数は増やさないのではないかと思われる。

 第2勢力については、プロの調整グループの一つが揃ってデッキを持ち込むだけでも変わってしまう。ただ彼らが調整してくるデッキがすべて未知のデッキタイプかというと、きっとそうではないだろう。そのため、メタゲームの全貌が変わってしまうというほどの影響はなさそうだ。

 さて、ここまでがプロツアー参加者たちの多くが「想定しているメタゲーム」だ。これを踏まえたうえで、世界中の強豪たちがどのようなデッキを持ち込んでくるのだろうか。あっと驚かされるアイデアが出てくることに期待したい。




■ 初日の見どころ その4:
【スタンダード】買っておくなら今のうち?注目の4枚をピックアップ!



 ここではプロツアー『マジック・オリジン』で注目すべき4枚のカードを紹介する。デッキの中核を担うものから、弱点を補強するいぶし銀なカードまで、今週末のトーナメントを彩るであろうカードを揃えてみた。



1.《ヴリンの神童、ジェイス》


 早速大人げのないカードの紹介となったが、ジェスカイアグロ、青系コントロールといった今大会で活躍が期待される青いデッキにはもれなく入っている一枚だ。


「ジェスカイアグロ」

2 《島》
1 《山》
2 《平地》
4 《溢れかえる岸辺》
4 《神秘の僧院》
4 《シヴの浅瀬》
4 《凱旋の神殿》
2 《戦場の鍛冶場》
2 《天啓の神殿》

-土地(25)-

4 《ヴリンの神童、ジェイス》
3 《魂火の大導師》
4 《カマキリの乗り手》
3 《ゴブリンの熟練扇動者》
2 《静翼のグリフ》

-クリーチャー(16)-
3 《乱撃斬》
3 《稲妻の一撃》
2 《軽蔑的な一撃》
2 《勇敢な姿勢》
3 《オジュタイの命令》
3 《かき立てる炎》
3 《時を越えた探索》

-呪文(19)-
hareruya


ヴリンの神童、ジェイスオジュタイの命令カマキリの乗り手


 特に《オジュタイの命令》とのコンビネーションは強力で、この2枚を採用したいがために青白+Xの組み合わせが優先されている節すらある。

 また、《ヴリンの神童、ジェイス》は4色《先祖の結集》の核にもなっているカードだ。史上最強の《マーフォークの物あさり》の活躍からは目が離せない。


 
2.《異端の癒し手、リリアナ》


 先週末に鮮烈な登場を果たしたアブザン《先祖の結集》のキーカードだ。《ヴリンの神童、ジェイス》ほど使い勝手はよくないが、その分特化した構造のデッキでは無類の強さを発揮する。


「アブザン《先祖の結集》

1《森》
2《平地》
3《吹きさらしの荒野》
4《ラノワールの荒原》
4《砂草原の城塞》
3《マナの合流点》
1《華やかな宮殿》
2 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》
-土地(20)-

4《エルフの神秘家》
1《シディシの信者》
4《サテュロスの道探し》
4《肉袋の匪賊》
4《異端の癒し手、リリアナ》
3《死霧の猛禽》
3《不気味な腸卜師》
2《先頭に立つもの、アナフェンザ》
2《モーギスの匪賊》
2《ナントゥーコの鞘虫》
1《無慈悲な処刑人》

-クリーチャー(32)-
4《先祖の結集》
4《集合した中隊》

-呪文(8)-
hareruya



 《集合した中隊》を経由した強力なボードコントロール能力をもつアブザン《先祖の結集》は、もはやコンボデッキというよりはコンボ要素があるボードコントロールだ。

 クリーチャーデッキには滅法強く、今大会でもそこそこ目にするのではないかと思う。そんなアブザン《先祖の結集》の中核にあるカードは《異端の癒し手、リリアナ》だ。《集合した中隊》から《異端の癒し手、リリアナ》+《肉袋の匪賊》が登場すると即座に反転するため、戦場のテンポだけでなくアドバンテージまで獲得できるのはどうにも強すぎる。


集合した中隊異端の癒し手、リリアナ肉袋の匪賊


 また、《シディシの信者》が墓地にいると《異端の癒し手、リリアナ》の「-1」能力で「《送還》」することができる。神ジェイスならぬ神リリアナな動きに加えて、デッキの構造的に邪魔な《搭載歩行機械》も難なく対処できるようになる。

 果たして《集合した中隊》デッキ以外で使われるかは見当もつかないが、《異端の癒し手、リリアナ》デッキともいうべきアブザン《先祖の結集》では八面六臂の活躍をしてくれる。



3.《搭載歩行機械》


 これは現在の評価とプロツアー後の評価のギャップが最も大きくなりそうな1枚かもしれない。もちろんプロツアー後に高くなる方向で、だ。

 『マジック・オリジン』が発売されてから《搭載歩行機械》が採用されたデッキはいくつか登場したが、そのどれもが「優秀なアーティファクトであること」を重視したものが多かった。しかし、《搭載歩行機械》は「単純に使い勝手のいい優秀なカード」なのだ。


「マルドゥコントロール」

2 《山》
2 《沼》
4 《血染めのぬかるみ》
4 《遊牧民の前哨地》
3 《戦場の鍛冶場》
3 《静寂の神殿》
3 《凱旋の神殿》
2 《コイロスの洞窟》
1 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》

-土地(24)-

4 《搭載歩行機械》
3 《魂火の大導師》
4 《ゴブリンの熟練扇動者》
4 《軍族の解体者》
3 《ピア・ナラーとキラン・ナラー》

-クリーチャー(18)-
4 《思考囲い》
4 《稲妻の一撃》
4 《はじける破滅》
2 《軍族童の突発》
1 《コラガンの命令》
1 《マルドゥの魔除け》
4 《かき立てる炎》
1 《真面目な訪問者、ソリン》

-呪文(21)-
hareruya


搭載歩行機械ピア・ナラーとキラン・ナラー軍族の解体者


 この小さな機械のカニは中速のありとあらゆるデッキに採用されておかしくないスペックを持っている。あるときはアーティファクトであるという特性を評価して、またあるときにはトークンを生成するコスト対効果の良いクリーチャーとして。

 今大会で活躍する可能性が高い青系コントロール、赤系ミッドレンジではよく見られるカードになるだろう。序盤を支えるクリーチャーかつ中盤以降もシナジーを形成する縦横無尽な働きは素晴らしい。



4.《龍王アタルカ》


 何をいまさらと言われるかもしれないが、やはりスタンダードといえばこのカードだろう。4ターン目の《龍王アタルカ》こそが王者のムーヴだ。


「緑赤信心」

10《森》
1 《山》
4 《樹木茂る山麓》
4 《奔放の神殿》
3 《ニクスの祭殿、ニクソス》
1 《精霊龍の安息地》

-土地(23)-

4 《エルフの神秘家》
4 《爪鳴らしの神秘家》
4 《森の女人像》
4 《クルフィックスの狩猟者》
2 《巨森の予見者、ニッサ》
4 《世界を喰らう者、ポルクラノス》
4 《囁きの森の精霊》
4 《龍王アタルカ》

-クリーチャー(30)-
4 《歓楽者ゼナゴス》
2 《書かれざるものの視認》
1 《精霊龍、ウギン》

-呪文(7)-
hareruya


龍王アタルカ書かれざるものの視認世界を喰らう者、ポルクラノス


 メタゲームの潮流はたしかに緑赤信心にとって不利な方向へ向かいつつあるが、これまで大活躍してきただけの地力をもっている。その地力さえあれば、新環境ならではの「アイデアは素晴らしいが練り込みが甘い」類のデッキたちを蹴散らすことができるのだ。

 サンプルリストで《起源のハイドラ》を抜いて《書かれざるものの視認》を採用しているのは、消耗戦や安定性を重視するよりも《龍王アタルカ》頼みの戦略に特化したほうがいいと感じたからだ。ミッドレンジばかりではなく、様々な速度帯で戦うデッキが増えていくなかで「どうしても《龍王アタルカ》がないと逆転できない」場面が増えてきた。

 メタゲームの立ち位置は悪くとも、何とかしてしまうだけの力が「4ターン目《龍王アタルカ》」には秘められている。環境終盤であることも含めて、やや先手番の有利が顕著になりつつある現在。圧倒的な先手番のマウント能力と、後手番の逆転能力に期待をかけるプレイヤーは少なくないだろう。





 さて、以上の4つのトピックがプロツアー『マジック・オリジン』初日の観戦ガイドだ。

 二日目、三日目の観戦ガイドでは、前日のおさらい当日の見どころを改めて紹介していく。

 それでは日本勢の幸運を祈って!また二日目の観戦ガイドで会おう。


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