情報を制す者はマジックを制す。
特にSNSによる情報交換が盛んな現代、口コミがその後のメタゲームに与える影響は計り知れない。
すなわち、バズってる(話題になっている)カードを知ることは、メタゲームの把握と予測の大いなる助けとなることだろう。
当企画では、そんな「今、バズってるカード」を週刊で追っていきたいと思う。
カードの紹介に入る前に、先週行われたイベントやマジック関連の主な出来事を簡単におさらいしよう。
【『ゲートウォッチの誓い』プレリリース】
先週末には『ゲートウォッチの誓い』のプレリリースが開催された。新たなマナシンボルである無色マナによって、さらなる進化を遂げたエルドラージたちとの激戦。ストーリーラインからも目が離せない『ゲートウォッチの誓い』の世界観をあなたも体感しただろうか?
【大会情報】『ゲートウォッチの誓い』プレリリース朝の部は満員御礼、300人以上で開催中です!昼の部の受付は、この後13時より受付開始となります!昼の部も定員300名!是非ご参加ください!(伊藤航) #MTGOGW pic.twitter.com/xgSYKF7Jc9
— 晴れる屋 (@hareruya_mtg) January 16, 2016
いよいよリリースも今週末に控え、スタンダードはもちろん強靭なエルドラージたちはモダンやレガシーにも影響を及ぼすかもしれない。期待が高まる。
【禁止制限カードリスト更新】
《花盛りの夏》、そして《欠片の双子》。ありがとう、そしてさようなら――
DCIより『ゲートウォッチの誓い』発売日から更新される【禁止制限カードリスト告知】が発表された。今回の改定ではモダンで《欠片の双子》と《花盛りの夏》が禁止という措置を受けている。
これにより「《精力の護符》ランプ」は弱体化することとなったが、それ以上にモダンフォーマットが制定された【プロツアーフィラデルフィア2011】より環境を席巻し、フォーマットの顔とも言えるコンボデッキだった「双子」のキーカード、《欠片の双子》が禁止を受けるというニュースに世界中が震撼した。
また、Pauperでは《フェアリーの大群》が禁止され、他のフォーマットは変更なしである。各カードの禁止の理由など、詳細については【こちら】で見ることができるので、ご一読あれ。
主要な出来事はこのくらいだろうか。
さて、それでは今大きな話題を呼んでいるカードたちを紹介しよう。
1. 《復活の声》
《欠片の双子》コンボ亡き後、その後継として俄かに話題になっているデッキがある。その一つが「Kiki-Chord」と呼ばれるコンボデッキだ。
その名を冠する《鏡割りのキキジキ》が《修復の天使》と無限トークンコンボを形成するこのデッキ。
そこに4枚採用されている《復活の声》は今、全世界の注目の的となっている。
2 《森》 1 《山》 1 《平地》 2 《踏み鳴らされる地》 1 《聖なる鋳造所》 1 《草むした墓》 1 《寺院の庭》 4 《吹きさらしの荒野》 4 《樹木茂る山麓》 2 《剃刀境の茂み》 1 《火の灯る茂み》 1 《地平線の梢》 1 《怒り狂う山峡》 1 《幽霊街》 -土地(23)- 4 《極楽鳥》 4 《復活の声》 3 《前兆の壁》 2 《漁る軟泥》 1 《クァーサルの群れ魔道士》 1 《呪文滑り》 1 《根の壁》 2 《クルフィックスの狩猟者》 2 《永遠の証人》 1 《大爆発の魔道士》 1 《オルゾフの司教》 3 《修復の天使》 2 《ピア・ナラーとキラン・ナラー》 1 《目覚ましヒバリ》 1 《鏡割りのキキジキ》 -クリーチャー(29)- |
4 《流刑への道》 4 《召喚の調べ》 -呪文(8)- |
1 《呪文滑り》 1 《弁論の幻霊》 1 《大爆発の魔道士》 1 《再利用の賢者》 1 《静寂の守り手、リンヴァーラ》 1 《強情なベイロス》 3 《稲妻のらせん》 2 《殺戮遊戯》 3 《石のような静寂》 1 《仕組まれた爆薬》 -サイドボード(15)- |
デッキの主力であり、《召喚の調べ》の「召集」コストとしても有用な《復活の声》は元々神話レアということもあり、すでに入手困難になりつつある。まだ持っていないという方は早めに揃えておきたいカードだ。
また、【先週】には「今、エルドラージデッキが熱い!」と言ったが、このデッキは《大爆発の魔道士》も採用できるのでそこそこ対抗できるだろう。《欠片の双子》が禁止されたことで、上記のリストから《呪文滑り》や《クァーサルの群れ魔道士》を《大爆発の魔道士》に入れ替えることができるかもしれない。
《召喚の調べ》によるシルバーバレット戦略が可能なため、環境に合わせたチューニングが容易な点もこのデッキの魅力の一つだろう。
2. 《御霊の復讐》
《欠片の双子》禁止によって台頭するのはトロンやエルドラージデッキだけではない。
環境から主要な“青いデッキ”がいなくなるということは、「《御霊の復讐》リアニメイト」のようなコンボデッキにとっては追い風だろう。
1 《島》 1 《山》 1 《沼》 1 《血の墓所》 1 《蒸気孔》 1 《湿った墓》 4 《沸騰する小湖》 3 《汚染された三角州》 2 《血染めのぬかるみ》 2 《黒割れの崖》 1 《闇滑りの岸》 -土地(23)- 4 《猿人の指導霊》 4 《グリセルブランド》 2 《怒れる腹音鳴らし》 4 《世界棘のワーム》 -クリーチャー(10)- |
4 《信仰無き物あさり》 4 《血清の幻視》 4 《御霊の復讐》 4 《滋養の群れ》 3 《夜の囁き》 2 《捨て身の儀式》 2 《イゼットの魔除け》 1 《魔力変》 4 《裂け目の突破》 -呪文(28)- |
3 《否定の契約》 2 《コジレックの審問》 2 《紅蓮地獄》 2 《突然のショック》 2 《苦い真理》 2 《粉砕の嵐》 1 《すべてを護るもの、母聖樹》 1 《引き裂く流弾》 -サイドボード(15)- |
このデッキは特にインスタントタイミングでコンボをスタートできるのが強みで、対戦相手のフルタップの隙を突いて《御霊の復讐》で《グリセルブランド》を釣り上げ、《怒れる腹音鳴らし》を戦場に出して大量の土地を投げつけるといった動きを切れ目なく対戦相手のターン終了時などに行うことができる。
デッキの動きは派手だが、それほど使用者が多くないため“分からん殺し”が発生しやすいアーキタイプでもある。《欠片の双子》禁止後のモダン環境でどんなデッキを組むか悩んでいるという方は、こんなデッキを組んでみるのもいいかもしれない。
3. 《風景の変容》
図らずもモダン特集(というより《欠片の双子》禁止特集)となってしまったが、それほどまでに《欠片の双子》禁止がマジック界に与えた衝撃は大きい。
そして、先述の通りそれによって恩恵を受けるデッキもまた無数に存在している。《風景の変容》をキーカードに据えた1枚コンボデッキである「スケープシフト」もその一つと言えるだろう。
単純に「双子」の擁する打ち消しを掻い潜る必要があるのも厄介だが、それ以上に性質上《血染めの月》に弱かったこのデッキにとって《血染めの月》をサイドボードに採用しているデッキの中でも最大勢力だった「双子」が環境から姿を消すことは追い風だ。
『戦乱のゼンディカー』からの新カードである《白日の下に》を得て、より安定して《風景の変容》にアクセスできるようになったこのデッキは、これから「双子」に代わるモダン環境の青いコンボデッキとして台頭することだろう。
また、他にも「双子」を苦手としていた「親和」や「感染」といったアーキタイプも注目が集まっており、逆に「双子」に強かった「BG系」はエルドラージ系のデッキに弱く、今は少し勢力を弱めているようだ。
再来週末に開催される【プロツアー『ゲートウォッチの誓い』】ではどのようなデッキが結果を残すのか、今から期待が高まる。
いかがだっただろうか?
今週もまた多くのカードがプレイされ、注目され、議論を呼ぶのだろう。
次回の記事も楽しみにしていただけたら幸いである。
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