MTG Just Now! vol.31 -末裔の道 etc.-

晴れる屋メディアチーム


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 情報を制す者はマジックを制す。

 特にSNSによる情報交換が盛んな現代、口コミがその後のメタゲームに与える影響は計り知れない。

 すなわち、バズってる(話題になっている)カードを知ることは、メタゲームの把握と予測の大いなる助けとなることだろう。

 当企画では、そんな「今、バズってるカード」を週刊で追っていきたいと思う。


 カードの紹介に入る前に、先週行われたイベントやマジック関連の主な出来事を簡単におさらいしよう。



【GP名古屋が開催される】

 先週末には【GP名古屋】が開催された。『ゲートウォッチの誓い』リリースからわずか1週間後のGPだったが、2656名もの参加者が集まり激戦を繰り広げたとのことだ。




 【GP北京】“レインボー”こと藤村 和晃、Hareruya Pros・原根 健太とともにトップ16に入賞した経験もある平見 友徳(大阪)が見事優勝を飾り、自身初となるタイトルを掴み取った。

 激戦の様子はカバレージや動画にて振り返ることができる。マジック熟練者たちの技が光るリミテッドの観戦記事は、初心者から上級者まで楽しめるはずだ。



 主要な出来事はこのくらいだろうか。

 さて、それでは今大きな話題を呼んでいるカードたちを紹介しよう。



1. 《末裔の道》

 とある“意外なカード”が、にわかに注目を集めている。


末裔の道


 Terese Nielsen女史の描く美麗なイラストが印象的なこのカード。なぜ今話題になっているのか? 発端となったのは1件のツイートのようだ。




 《破滅の伝導者》《引き裂かれし永劫、エムラクール》をサーチし、《末裔の道》で公開することによってマナコストを支払わずに唱えるというコンボ。

 このコンボを組み込んだデッキを組むのなら、他にも《変わり谷》《夜明けの集会》といったカードでサポートするのもアリだろう。あるいは《作り変えるもの》《末裔の道》を戦場に出したり、《引き裂かれし永劫、エムラクール》によって《エルドラージのミミック》を15/15にできたらおもしろそうだ。


変わり谷夜明けの集会作り変えるものエルドラージのミミック


 『ゲートウォッチの誓い』リリースを経てさらなるバリエーションを獲得しつつあるモダンのエルドラージデッキ。まだまだ開拓の余地を多く残していそうなこの新進気鋭のアーキタイプから目が離せない。



2. 《反射魔道士》《永代巡礼者、アイリ》

 先週末の【SCGO Columbus】で優勝を収めたのは「4Cラリー」だった。


反射魔道士永代巡礼者、アイリ


 今、絶好調の「4Cラリー」は《反射魔道士》《永代巡礼者、アイリ》といったカードを得たことでさらに強化されたようだ。


先頭に立つもの、アナフェンザシディシの信者


 墓地を利用するというデッキの性質上、《先頭に立つもの、アナフェンザ》が鬼門となりやすい。これまでの「4Cラリー」では《シディシの信者》による一時しのぎの対処しかできなかったが、《反射魔道士》の登場によってより信頼性が高い対抗手段を取れるようになっている。『ゲートウォッチの誓い』では《ゲトの裏切り者、カリタス》といった新たな墓地対策内蔵クリーチャーも増えたが、「4Cラリー」が《反射魔道士》を得たことと比べれば些末な問題と言えるだろう。

 また、「4Cラリー」はデッキの大半を《ズーラポートの殺し屋》《エルフの幻想家》《ヴリンの神童、ジェイス》といった直接戦闘に寄与しにくいクリーチャーが占めているため、普通ならやや頼りなく見える《反射魔道士》の3マナ2/3というサイズもなかなか悪くない働きをする場面が多い。


ズーラポートの殺し屋エルフの幻想家ヴリンの神童、ジェイス


 「濫用」を持ち、墓地を肥やす働きもする《シディシの信者》とは役割も異なっており、3:3ほどで枠を分かち合っている場合が多いようだ。


 《永代巡礼者、アイリ》は実質的に5枚目以降の《ナントゥーコの鞘虫》として機能するクリーチャーである。クリーチャーを生け贄に捧げる能力は起動コストにマナが必要なので《ナントゥーコの鞘虫》と同等とは言えないまでも、2/3接死という嫌らしい性能に加えて、2つ目の起動型能力から単体で脅威となりやすい。


 《先頭に立つもの、アナフェンザ》を4枚積んだ「アブザンアグロ」が全盛を誇っていた時期の【GPブリュッセル】でも、プレイオフに3名が進出したほどの地力の高さを持つ「4Cラリー」。今後のスタンダード環境はこのデッキを中心に回ることになるだろう。



3. 《雷破の執政》

 【SCGO Columbus】で「4Cラリー」が勝利を収める中、トップ32までを見渡すとあるデッキが多く勝ち残っているのが目立った。


雷破の執政


 それが《雷破の執政》《炎跡のフェニックス》を採用した「赤黒ドラゴン」である。



Tom Ross「RB Dragons」
SCGO Columbus (4位)

4 《山》
4 《沼》
3 《燻る湿地》
4 《血染めのぬかるみ》
4 《汚染された三角州》
4 《樹木茂る山麓》
3 《精霊龍の安息地》

-土地(26)-

4 《搭載歩行機械》
4 《飛行機械技師》
3 《炎跡のフェニックス》
4 《雷破の執政》
2 《ピア・ナラーとキラン・ナラー》
4 《嵐の憤怒、コラガン》

-クリーチャー(21)-
2 《強迫》
2 《焦熱の衝動》
4 《龍詞の咆哮》
3 《闇の掌握》
2 《残忍な切断》

-呪文(13)-
4 《自傷疵》
4 《精神背信》
2 《コラガンの命令》
2 《コジレックの帰還》
1 《ゲトの裏切り者、カリタス》
1 《命運の核心》
1 《灯の再覚醒、オブ・ニクシリス》

-サイドボード(15)-
hareruya



 アメリカ在住のトッププロプレイヤーであるTom Rossもこのデッキを選択し、見事にトップ4に入賞という好成績を収めている。

 デッキの多くのクリーチャーが速攻持ちやETB能力持ち、あるいは《雷破の執政》のような転んでもただでは起きない誘発型能力を持ったクリーチャーたちで構成されているため「4Cラリー」のバウンス内蔵クリーチャーだけでは対処しにくく、それらのほとんどが飛行を持つためチャンプブロックでコンボのための時間を稼がれることもないのが強みだ。

 アブザンやダークジェスカイのようなミッドレンジデッキに対しても10枚以上採用された単体除去が強力だ。特に赤黒の2色でまとまっていることで《闇の掌握》を採用できることは強みの一つと言える。

 今後「4Cラリー」を中心に据えてメタゲームを考えていく際には、「赤黒ドラゴン」はその対抗馬として有力な選択肢の一つに挙がることになりそうだ。






 いかがだっただろうか?

 今週もまた多くのカードがプレイされ、注目され、議論を呼ぶのだろう。

 次回の記事も楽しみにしていただけたら幸いである。



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