情報を制す者はマジックを制す。
特にSNSによる情報交換が盛んな現代、口コミがその後のメタゲームに与える影響は計り知れない。
すなわち、バズってる(話題になっている)カードを知ることは、メタゲームの把握と予測の大いなる助けとなることだろう。
当企画では、そんな「今、バズってるカード」を週刊で追っていきたいと思う。
カードの紹介に入る前に、先週行われたイベントやマジック関連の主な出来事を簡単におさらいしよう。
【グランプリ・パリ2016が開催される】
先週末には【グランプリ・パリ2016】が開催された。
スタンダードフォーマットで開催された本グランプリで「グリクシスコントロール」を操り、見事に優勝を収めたのはPetr Sochurek(チェコ)!
他にもトップ8には【プロツアー『戦乱のゼンディカー』】準優勝を収めた玉田 遼一(大阪)などが進出しており、『ゲートウォッチの誓い』環境を締めくくるグランプリとして見どころ満載だった。
主要な出来事はこのくらいだろうか。
さて、それでは今大きな話題を呼んでいるカードたちを紹介しよう。
1. 《面晶体の掘削者、ザダ》
さて、まずは恒例(?)の『イニストラードを覆う影』の新カードを使った電波発表第2弾である(第1弾は【こちら】)。
今回ご注目いただきたいのは《面晶体の掘削者、ザダ》だ。
そう、全世界の《面晶体の掘削者、ザダ》ファンに朗報である。ついに《面晶体の掘削者、ザダ》の時代がやってきた!
《銀毛の援護者》の登場によって!
銀毛の援護者
(2)(緑) クリーチャー-狼・戦士
トランプル
あなたがコントロールする狼1体かあなたがコントロールする狼男1体がインスタント・呪文かソーサリー・呪文の対象となるたび、緑の2/2の狼・クリーチャー・トークンを1体戦場に出す。
(2)(緑) クリーチャー-狼・戦士
トランプル
あなたがコントロールする狼1体かあなたがコントロールする狼男1体がインスタント・呪文かソーサリー・呪文の対象となるたび、緑の2/2の狼・クリーチャー・トークンを1体戦場に出す。
このテキストをよくご覧になっていただきたい。どこにも「トークンでない」「他の狼1体」といった文言が書かれていないのである。つまり、《銀毛の援護者》自体を対象に取った場合や、《銀毛の援護者》自身の能力によって出てきたトークンを対象に取った場合でもトークンが出てくるのだ(※2016年3月22日時点のルールでは可能)。
つまり、《面晶体の掘削者、ザダ》と《銀毛の援護者》が戦場に並んだ状態で《面晶体の掘削者、ザダ》を対象に呪文を唱えれば、それが《銀毛の援護者》にもコピーされ、トークンが出る。
さらに、すでに狼男(狼)が戦場に出ているなら、《面晶体の掘削者、ザダ》によってほかの狼男(狼)にも呪文のコピーがプレイされるため、《銀毛の援護者》の能力が追加で誘発し、トークンの数は倍々に増えてゆく。
キャントリップがついており、《面晶体の掘削者、ザダ》と相性のいい《促進》や《空間の擦り抜け》、《タイタンの力》で全体に速攻+アンブロッカブル+パワー修正を与えて一気にゲームウィン、といったことも狙えるかもしれない。
ロマンあふれるこのコンボ。色が赤緑ということもあって、【新カードであり下馬評も非常に高い】《アーリン・コード》も無理なく採用することができそうである。『イニストラードを覆う影』発売日のFNMなどにこのコンボを組み込んだデッキを持ち込めば、話題になることは請け合いだ。
2. 《溶鉄の渦》
続けて第3弾として、『イニストラードを覆う影』で再録される“とあるカード”とすさまじいシナジーを形成するカードのご紹介だ。
それが《溶鉄の渦》である。
あまりもったいぶるのは野暮というものだろう。さっそく、この《溶鉄の渦》とシナジーを形成するカードをご紹介したいと思う。
『メルカディアン・マスクス』初出で、《暴獣乗り》などのスペルシェイパーとともに使われた1マナ1/1。『イニストラードを覆う影』で再録されることが明らかとなった、《土地守》だ。
みなさんお察しの通り、《溶鉄の渦》が戦場にあるとき、《土地守》の能力を起動し、墓地から手札に戻した土地を《溶鉄の渦》で投げつける。これによって2点火力を繰り返し利用できるのである。
カード2枚のシナジーにより、3マナで再利用可能となる2点火力。ん? なんだかどこかで聞いたことあるような……
そう。これはもはや新時代の《罰する火》コンボなのである。
《罰する火》エンジンがどれだけ強烈なシナジーなのかは、モダンで《罰する火》が禁止カードに指定されていることからも明らかだろう。かつてはエクステンデッドでも支配的なポジションにあったこのコンボが疑似的にスタンダードでも使用できるのだ。この恐ろしさがお分かりいただけるだろうか?
シナジーやギミックも盛りだくさんの『イニストラードを覆う影』。リリースされる日が待ち遠しい。
3. 《龍王シルムガル》
「グリクシスコントロール」の優勝で幕を閉じた【グランプリ・パリ2016】。スタンダード環境も末期とあって、ここでは“今強い”よりも“これから強い(強そう)”という目線でカードをご紹介したいと思う。
Petr Sochurekのリストではサイドボードに1枚採用されていたのみだが、《龍王シルムガル》は次の環境でも十分なカードパワーを発揮してくれることだろう。《シルムガルの嘲笑》や《忌呪の発動》といった「ドラゴンボーナス呪文」も健在なので、合わせて使用することができる。
『イニストラードを覆う影』リリース後は《残忍な切断》や《はじける破滅》のような使い勝手の良いインスタント除去もローテーションにより姿を消すこともあって、《龍王シルムガル》のETB能力の信頼性は高まりそうだ。
プレインズウォーカーを奪うことができるというのも非常に強烈で、すでに《死の宿敵、ソリン》や《秘密の解明者、ジェイス》といった【強力なプレインズウォーカーが公開されている】ため、仮に対戦相手がコントロールデッキだったとしても能力が完全に腐るということは少ないだろう。
これまでも青黒系のコントロールデッキで存在感を示してきた《龍王シルムガル》。これからのスタンダード環境でも、大いに活躍してくれそうである。
いかがだっただろうか?
今週もまた多くのカードがプレイされ、注目され、議論を呼ぶのだろう。
次回の記事も楽しみにしていただけたら幸いである。
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