井川良彦のWMCQ2016東京予選レポート&『異界月』の個人的注目カード

井川 良彦



お久しぶりです。井川です。

まずはお詫びから。

ブログの更新が止まってしまい、楽しみにしてくださっている方には大変申し訳ありませんでした。

心機一転、頻度をあげて更新していきたいと思いますのでよろしくお願いします!



これまでのあらすじ (【パクリ】)

3月から6月まで、グランプリに5回・プロツアーに1回出場するものの、獲得プロポイントは6イベントで計9点 (※詳細は【こちら】) と成績が振るわなかった井川。

ゴールドレベルまではあと10点

すなわちプロツアー『異界月』での上位入賞 (11-5以上) が必要である。

果たして今シーズンの目標は達成できるのか……?



【WMCQ2016東京予選】簡易レポート

使用したのはナカティルバーン

MOでは感染や【SCZ】が比較的多く、また苦手な【ドレッジ】にも墓地対策とバーン特有の「先手ブン」で対抗できたのでコレで。



井川 良彦「バーン」
ワールド・マジック・カップ2016東京予選

2 《山》
2 《聖なる鋳造所》
2 《踏み鳴らされる地》
4 《乾燥台地》
4 《沸騰する小湖》
4 《樹木茂る山麓》
2 《銅線の地溝》

-土地 (20)-

4 《ゴブリンの先達》
4 《僧院の速槍》
4 《野生のナカティル》
2 《渋面の溶岩使い》
3 《大歓楽の幻霊》

-クリーチャー (17)-
4 《溶岩の撃ち込み》
4 《稲妻》
2 《流刑への道》
1 《二股の稲妻》
4 《焼尽の猛火》
4 《アタルカの命令》
4 《ボロスの魔除け》

-呪文 (23)-
4 《破壊的な享楽》
3 《タルモゴイフ》
2 《最後のトロール、スラーン》
2 《流刑への道》
2 《墓掘りの檻》
1 《渋面の溶岩使い》
1 《二股の稲妻》

-サイドボード (15)-
hareruya



☆サイドの《タルモゴイフ》《最後のトロール、スラーン》は何対策?


タルモゴイフ最後のトロール、スラーン


様々なデッキが、サイドボード後に「軽量除去」「ライフゲイン」といったカードでバーンに対抗してきます。

《機を見た援軍》《台所の嫌がらせ屋》といった対バーンのキラーカードに対して、メインボードに毛が生えたようなカードだけで対抗するのはどうしても無理があります。《溶岩の撃ち込み》 vs 《疲弊の休息》の結末なんて火を見るより明らかです。

そこで、相手の対抗策に対してベクトルの違うカードを採用することでギャップを作り、サイドボード後の構造でゲームを有利にするためのカードがこの2種です。

《野生のナカティル》《ゴブリンの先達》に対して《流刑への道》のような確定除去を惜しみなく使ってきたり、また《稲妻》《稲妻のらせん》のような除去複数枚でキープしてきた相手に対して強いのがこれらの「骨太なクリーチャー」なのです。

特に《タルモゴイフ》は対親和や各種アグロのような「バーン側が受けに回る瞬間が多い」マッチや、ジェスカイやスケープシフトのように火力で捌いてくるデッキ相手に輝きます。

この《タルモゴイフ》のスロットには通常《コーの火歩き》が採用されていますが、《野生のナカティル》との同居はやめましょう。一緒に引くと片方のプレイするターンが遅くなる上に、ギルドランドのアンタップインで無駄なダメージを食らうことになります。また、バーン同型以外は《タルモゴイフ》の方が強く、かつ幅広く採用できます。



☆バーンは2色or3色?


頭蓋割り野生のナカティルアタルカの命令


これは個人的な意見ですが、僕は赤白2色のバーンより緑入り3色バーンの方が優れていると考えています。

「コンボデッキとノーガードで殴りあったときのキルターンが純粋に速い」「《野生のナカティル》の分だけマリガンに強い」という2点がその理由です。

前者は読んで字のごとしなので後者だけ説明すると、バーンというデッキはマリガンやフラッドに=言い換えるなら「有効牌の枚数」に左右されやすいデッキです。

火力だけで相手を倒そうとすると3×7=21点分と、どれだけ都合よく考えても7枚はスペルが必要です。そのため、土地を多く引いたりそもそもマリガンしてリソースの枚数が足りないと、物理的に勝てなくなります。

そういった「火力だけで足りない」分のリソース差を埋めることができるのがクリーチャーです。

《ゴブリンの先達》は2回殴れれば4点、《野生のナカティル》は2回殴れれば6点分と、足りないリソースの分を埋めてくれることがあるのです。よって、優秀な1マナ域である《野生のナカティル》を採用できている分、マリガンに強くなっているのが緑入りのバーンの強みだと考えています。《野生のナカティル》《ゴブリンの先達》《ゴブリンの先達》《アタルカの命令》、土地2枚というドロー内容なら、トリプルマリガンからでも先手3キルが可能です。


野生のナカティルゴブリンの先達ゴブリンの先達
アタルカの命令樹木茂る山麓沸騰する小湖


もちろん赤白2色の方が優れている部分もあります。2色ゆえ事故りにくく、またクリーチャーが少ない分除去過多なデッキ相手にもしっかりと火力を打ち切って勝ちやすくなっています。

ですが「デッキの最大値」が3色のほうが高く (《頭蓋割り》《アタルカの命令》を比べるだけでも一目瞭然でしょう)、最近のモダンは対応力よりもデッキの最大値で勝負することが多くなっているので、僕はバーンを使うなら2色よりも緑入り3色をオススメします。



……とこれだけ力を入れて解説しましたが、結果は、


ラウンド 対戦デッキ 勝敗
Round 1ジャンド 〇〇
Round 2スケープシフト (優勝者) 〇××
Round 3同盟者 〇〇
Round 4白黒トークン 〇××


R2・R4で大地主になってしまい、残念ながら2-2ドロップとなりました。涙。

MOと違い有利な感染・SCZ・マーフォーク・トロンといったデッキがフィールドに少なかったので、デッキ選択自体が微妙だったといえるでしょう。


なお余談ですが、R2で僕を倒した竹下さんは、あんちゃんをR4で、コガモを【準々決勝】で、そして原根くんを【決勝】で倒して見事優勝!





【Hareruya Pros】が片っ端からなぎ倒されていったWMCQでしたとさ。



■ 『異界月』の個人的注目カード

プロツアー『異界月』に今シーズンのすべてがかかっているので、いつもにも増して気合を入れて【カードリスト】をチェックしています!

《折れた刃、ギセラ》《呪文捕らえ》《実地研究者、タミヨウ》《最後の望み、リリアナ》といったカードは国内外問わず十分に語られていると思いますので、そういったS級以外のものを見ていきたいと思います。

※僕の発売前カード評価には「逆の意味で」定評があるので、眉唾程度にどうぞ。



《膨らんだ意識曲げ》《邪悪の使者》




「現出」というキーワード能力は呪文を軽く唱えられる代わりにリソースが必要になるので、よほど強くない限りは厳しそうですが……これはむしろ強すぎる!!!

3ターン目3マナクリーチャーからの4ターン目「現出」降臨だけでイージーウィンが見えますね。先手4Tに出して相手の《集合した中隊》《ドロモカの命令》を追放した日には絶頂です。

そしてこれをうまく使うためのお膳立ても、同じ『異界月』の中にありました。




テキストを読むと「これで『現出』エルドラージサーチして出してね (意訳)」って書いてあります。3→4ムーブがこれ1枚で完結。すごい!

この2枚のタッグは、今後のスタンダードで大活躍することになると思います。黒緑の3マナ域は《地下墓地の選別者》《巨森の予見者、ニッサ》《作り変えるもの》といったサクり甲斐があるクリーチャーが多いので、なんとか強いデッキに仕上げたいですね。



《ナヒリの怒り》




1体殺すのに2枚必要、2体殺すのに3枚必要……とリソース的には損をしてしまいますが、複数体を除去する場合は押されている盤面をテンポよく一気に巻きかえすことができます。


ゼンディカーの同盟者、ギデオンゼンディカーの代弁者、ニッサ


《ゼンディカーの代弁者、ニッサ》《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》といったこれまでだと絶望的だった盤面を1枚で逆転できるカードなので、《苦い真理》《骨読み》といったアドバンテージカードからプレイする先としてはかなり有用な気がします。これまで白緑トークンに苦しめられていたであろうグリクシスコントロールやマルドゥコントロールのようなデッキにどうぞ。



■ おまけ: 評価/採用率が変動しそうな従来のカード



☆評価アップ: 《次元の歪曲》


誰でも考える、そしてこれからのスタンダードを席巻しそうな《無私の霊魂》《折れた刃、ギセラ》という極悪非道コンビ




これらに対抗するための2マナ除去として、今後《次元の歪曲》の評価が上がる気がしています。マイナス修正なら「破壊不能」も大丈夫!


次元の歪曲


もちろん黒ベースのデッキでは《闇の掌握》のほうが強いのは間違いないですが、《闇の掌握》が使えない&無色マナに余裕があるデッキでは《次元の歪曲》の採用を検討してみるといいでしょう。



☆評価ダウン: 《究極の価格》


究極の価格


一方、従来のスタンダードでは《闇の掌握》と並んで二枚看板として頑張っていた《究極の価格》とはお別れすることになりそうです。




『異界月』の注目カードである《呪文捕らえ》《残忍な剥ぎ取り》、前述した《膨らんだ意識曲げ》のような強力なエルドラージなど、多色&無色のクリーチャーが増えることが予想されるので、かなり手札に腐るケースが増えるでしょう。人間系へのサイドボードとしてベンチを暖めてもらうのが吉。



☆評価アップ: 《戦争に向かう者、オリヴィア》


戦争に向かう者、オリヴィア


新たな共鳴者 (コストとして手札を捨てる能力を持つクリーチャーの俗称)、強力なマッドネスクリーチャー、《搭載歩行機械》への回答と様々な新戦力により、ついに黒赤マッドネスが日の目を浴びる日が来たかもしれません。




ただ、一番の問題だった《反射魔道士》への回答を得たわけではないので、もしかしたら《集合した中隊》が落ちるまではストレージに眠っていてもらうことになるかもしれませんね。



☆評価アップ: 《空への斉射》《両手撃ち》


空への斉射両手撃ち


1-2マナの優秀なスピリット軍団を打ち落とせ!!





ということで今回はここまで。次回のブログをお楽しみに!


井川



この記事内で掲載されたカード


Twitterでつぶやく

Facebookでシェアする

関連記事