コマンダー塚本の統率者最前線! vol.18 -みんなネフィリムだよ!-

塚本 樹詩



 皆さんこんばんは、塚本です。

 『マジック:ザ・ギャザリング ― 統率者(2016年版)』がついに発売されましたね。




 今回は4色の統率者や”共闘”を持つ共闘者を使って、今までになかった4色のデッキ構築を楽しめるわけですが、「どうして4色の統率者をフィーチャーすることになったのか」については謎めいています。

 そこで今回の記事では、その謎に迫りたいと思います。

 そもそも過去に存在する4色のカードは『ギルドパクト』のネフィリムシリーズの5体のみ。そこに今回は伝説のクリーチャーとして新たに5体が追加されました。このことにWotCが因果関係を持たせていないはずがありません。


光り眼のネフィリム墨流しのネフィリム砂丘生みのネフィリム
過去耕しのネフィリム魔女の腑のネフィリム


 『統率者2016』で新登場した5体の統率者はどれをとってもかっこいい感じなのですが、ネフィリムはどれもおぞましいものばかり!はたしてこの2つのグループに繋がりはあるのでしょうか?

 しかし、WotCは我々に示唆しているのかもしれません。あらゆるものには外見だけでなく、内面の姿もあるということを。



◆ ケース1 :《大渦を操る者、イドリス》の場合

大渦を操る者、イドリス


 《大渦を操る者、イドリス》は、額面上のマナコストを踏み倒せる”探査”やピッチ呪文(《意志の力》のような代替コストを持つ呪文)と組み合わせると楽しそうな能力をもっています。しかも、その能力を使いやすいようにトランプルまでついている親切設計!


光り眼のネフィリム


 しかし、その内面はこんなにヤバい姿なのかもしれません!一見するとこの2枚はバラバラな方向を向いているカードに見えるかもしれませんが、《光り眼のネフィリム》の能力で肥やした墓地を”探査”のコストに充てられますし、戦闘ダメージを与えることで増えた手札から更なる”続唱”の種を手に入れることができるので、《大渦を操る者、イドリス》との相互作用は十分にありますね。


不可思議ティムールの激闘


 《大渦を操る者、イドリス》《光り眼のネフィリム》の両方と相性がいいのは、《不可思議》《不浄》《憤怒》といったインカーネーション。回避能力などを持たせることで戦闘ダメージを与えやすくなります。そして、《ティムールの激闘》のように二段攻撃を与える呪文は《大渦を操る者、イドリス》に使えば統率者のダメージが倍に!《光り眼のネフィリム》に使っても大量ドローが期待できるので夢が膨らみますね!


連続突撃


 成長させた《大渦を操る者、イドリス》《光り眼のネフィリム》《連続突撃》系の呪文で再び戦闘させるのもよさそうです。1ターンに何度も大ダメージを叩き込む構築は最高に気持ちよさそうですね!


・結論 :
《大渦を操る者、イドリス》は外見も内面も攻撃的な奴だった!



◆ ケース2 :《不撓のサスキア》の場合

不撓のサスキア


 多人数戦では手間のかかる戦闘ダメージでの勝利も《不撓のサスキア》の手にかかれば幾分も効率的になりますね!


砂丘生みのネフィリム


 しかし、その内面はこんな姿なのかもしれません!まるで「ホラー映画かよ!」と思わせるような恐ろしい姿ですね!クリーチャーを増やす能力は横並びの戦略と組み合わせるのもよし、出すクリーチャーの数を増やすために土地を伸ばす構築もあり。とても自由度の高い組み合わせとなっています。


エメリアの天使


 そして、この2枚と相性のいいカードは《エメリアの天使》!土地を伸ばすカードで”上陸”をたくさん誘発させると、《砂丘生みのネフィリム》のトークンと合わせて、戦場はトークンだらけに!これによって《不撓のサスキア》が与えるダメージもどんどん増えていく!すごい!


雑食のハイドラ荘厳な大天使


 《雑食のハイドラ》は、《不撓のサスキア》とのコンボで特定の対戦相手1人に大ダメージを与えることができます! 《砂丘生みのネフィリム》でクリーチャーを増やして《荘厳な大天使》の”賛美”の餌にすると、《雑食のハイドラ》が圧倒的な成長!


混沌の呪い


 強力な《不撓のサスキア》ですが、能力の性質に関わる問題があります。それは一度に複数人を倒すことができないのです。仮に4人対戦だとして、プレイヤーAとプレイヤーBを同時に攻めると、3人目のプレイヤーCまで手が回らないのです。そこでプレイヤーCには《混沌の呪い》のような呪いカードを付けることで戦況を操作できるといいですね。膨れ上がった戦力でラグなく残ったプレイヤーを倒すために、《火炙り》《心魂破》といった呪文を用意しておくと速やかに勝てます!


・結論 :
《不撓のサスキア》は一見みんなを引っ張るリーダー気質にみえるが内面は友達の欲しい寂しがり屋!



◆ ケース3 :《メレティスのキナイオスとティロ》の場合


メレティスのキナイオスとティロ


 やべぇ、やべぇよ。2人で1枚のカードきちゃったよ。


墨流しのネフィリム


 しかも内面の話をしようにも、この《墨流しのネフィリム》の能力もしっちゃかめっちゃかだよ!精神分析どころじゃないよ……


面晶体の掘削者、ザダ


 あれ?《墨流しのネフィリム》の能力って……


鏡翼のドラゴン


 ん?どこかで見たことあるぞ?




 ここは先人の知恵に従いましょう!





◆ ケース4 :《法務官の声、アトラクサ》の場合

法務官の声、アトラクサ


 よかった、今度はちゃんと一個体だ。単体でも完成された強さがあって、”増殖”も地味に強そうです。


魔女の腑のネフィリム


 うわ、《砂丘生みのネフィリム》並みに気持ち悪いですね!

 呪文を使っただけ+1/+1カウンターが乗る能力は、《法務官の声、アトラクサ》の”増殖”と相性がいいですね。《命運の転送》を使って、肥大化した《魔女の腑のネフィリム》の+1/+1カウンターをキーワード能力の多い《法務官の声、アトラクサ》へ移すとフィーバーできます!


パララクスの波


 《法務官の声、アトラクサ》《魔女の腑のネフィリム》の2枚さえ揃っていれば、極端な話、無限にカウンター呪文を使っているだけで勝ててしまいます。ただ、せっかく毎ターン”増殖”を使えるので、《パララクスの波》のように”消散”をもつパーマネントを維持するのも面白いですよ!


秘密の解明者、ジェイスゼンディカーの代弁者、ニッサ最後の望み、リリアナ


 ”増殖”を活かしたコントロールにするならば、《法務官の声、アトラクサ》最高の相方はプレインズウォーカーでしょう!特に奥義がコントロールの戦術に合っている《秘密の解明者、ジェイス》は優先して使いたいですね!序盤から守備に貢献し、奥義も強力な《ゼンディカーの代弁者、ニッサ》《最後の望み、リリアナ》なども魅力的です。


・結論 :
《法務官の声、アトラクサ》は身も心も自宅警備員!



花を手入れする者虹色の大地鏡水晶の這行器


 ここまでの4パターンは緑の入ったカードだったので、デッキに《花を手入れする者》を入れておくといいでしょう。統率者からすぐネフィリムに繋げられます。他にも4色のマナを一度に出せる《虹色の大地鏡》《水晶の這行器》が登場したので、緑を使わないデッキでも安心して4色を用意できます。特に《虹色の大地鏡》は4色だけでなく、5色で使ったときのリターンが非常にでかい!《大祖始》だってすぐ出せる!



◆ ケース5 :《エーテリウム造物師、ブレイヤ》の場合


エーテリウム造物師、ブレイヤ


 《エーテリウム造物師、ブレイヤ》は、アーティファクトさえあれば幅広い場面で活躍できます!選択肢が多いカードは単純に強そうに見えますが、はたしてアーティファクト・クリーチャーに心は、内面はあるのでしょうか?


過去耕しのネフィリム


 もし内面の姿がこれならば、だいぶ虚無感があって、意外とマッチしていますね!墓地からクリーチャーを出す能力をもっているので、《エーテリウム造物師、ブレイヤ》が生贄に捧げたアーティファクト・クリーチャーを復活させるコンセプトは面白そうです!《悪意の大梟》《金線の使い魔》を使いまわすと、ちょっと得した気分を味わえます。

 とはいえ、せっかく墓地からクリーチャーを出すなら、インパクトの強いものを出したいですよね!理想をいうと、クリーチャーを墓地に送り込むアーティファクトを駆使して、埋めたデカブツをドーーーンです!


街の鍵


 手札から任意のカードを墓地に落とせて、しかも接触戦闘をさせないので、《街の鍵》《過去耕しのネフィリム》と相性抜群ですね。《合鍵》もなかなかの噛み合い!こうなると後は墓地から出すクリーチャーだけですね!


マイアの戦闘球


 《エーテリウム造物師、ブレイヤ》《過去耕しのネフィリム》で循環できるだけでなく、1枚でアーティファクト5つ分なので、《時の篩》を使えばなんと!



 なんと!無限ターンですよ!


《エーテリウム造物師、ブレイヤ》はもはや関係ありませんが!


発明の領事、パディームレオニンの高僧


 アーティファクトを多用するデッキにとって、《発明の領事、パディーム》《レオニンの高僧》は心強い味方です。積極的に採用しましょう!


・結論 :
《エーテリウム造物師、ブレイヤ》はアーティファクトをどんどん使いつぶす浪費家と思いきや、内面はリサイクルを考えているエコなやつだった!



◆ 4色の真実

 こうしてみると4色統率者とネフィリム、中々相性が良いでのはないでしょうか?でもこれだけで相性が良いと言うにはいささか手がかりが少ない気がします。しかし、これらの統率者たちの内面にネフィリムがいることを示す決定的な証拠を最後に見せましょう。


ネフィリムの祝福ネフィリムの力


 《ネフィリムの祝福》《ネフィリムの力》!これらのカードを統率者たちにかざせば、なんと同じ修正値を得ることができます!これぞ彼らがネフィリムである証拠!!このように色が増えることをメリットにするために過去のカード、すなわちネフィリムが如何にして使われてきたかを調べれば自ずと新統率者たちの使い方がわかってくるものです。

 そして最後に最”恐”のコンボを皆さんにお伝えして終わりたいと思います。


鏡編み


 ネフィリムを対象に《鏡編み》を唱えてください。そう!戦場にいるクリーチャーが全てネフィリムのコピーに!戦場にいる全てのクリーチャーが強力な能力を持ったネフィリムになれば一気に勝負は自分のペースに!!

 ということだけではありません。全てのプレイヤーに語り掛けるのです。自分たちのクリーチャーをよく見てごらんなさい?と。見た目はカードに書かれた絵のクリーチャーですが《鏡編み》の効果によってネフィリム化しているのです!そう、全てのクリーチャーがネフィリムと化しているゲームはまさに地獄絵図!この視覚的恐怖に耐えられるプレイヤーは果たしているのか!?自分のクリーチャーが全てあのおぞましいネフィリムになったらさぞショックでしょうね!!こんな恐ろしいコンボ……プレイヤーの精神を壊したくないので本当は教えたくなかったのですが、もし本当にあなたがこのコンボを使いたいのならば、あなたも心にネフィリムを飼うことが最低条件です。でないと、真っ先にあなたが心のネフィリムに食べられてしまうからです!(少女の悲鳴のSE)


 おわり。



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