はじめに
みなさんこんにちは!
ついに最新セット『リアリティ・フラクチャー』の販売が始まりましたね!気になるカードはもう購入されましたか?
もしまだという方がいらっしゃれば、ぜひ晴れる屋でお求めください!(ダイマ)
今セットは、強力でどこか懐かしさを感じさせるカードがたくさんありますよね。
みなさんもそうだとは思いますが、そんななかでも私がいちばん気になったのは再録の“初”収録の《タルモゴイフ》です!
あれ?なんだか、ラベンダーの……いや、あのころのカードの香りが仄かに漂ってきましたね。
……というわけで、第2回の「レガシー探訪」は《タルモゴイフ》を深掘りしていこうと思います!
《タルモゴイフ》の誕生
《タルモゴイフ》が”未来から再録”されたのは2007年の『未来予知』ですが、そのルーツをたどると、1995年に発売したエキスパンション『アイスエイジ』まで遡ります。
そのご先祖様が《ルアゴイフ》。すべての墓地にあるクリーチャー・カードの枚数でサイズが決まる、4マナのクリーチャーです。
しまった! 逃げて、ハンス! ルアゴイフよ!
という《サッフィー・エリクスドッター》が《ハンス・エリクソン》に叫んだ、彼女の最後の言葉はあまりにも有名なフレイバーテキストですよね。
雑誌『The Duelist』#27の「Dominian FAQ」で、《ファイレクシアン・ドレッドノート》などのイラストレーターとしても知られ、かつてマジックの世界観などを司るコンティニュイティ・メンバーだったピート・ヴェンダース氏によると、《ルアゴイフ》は気候の変化で食料が乏しくなったことで腐肉食 になった、という設定だったようです。墓地のクリーチャーが増えると大きくなる能力も、この食性を聞くと納得です。
そこから12年。『未来予知』で登場した《タルモゴイフ》は、墓地のクリーチャー・カードの「枚数」ではなく、カード・タイプの「種類」を数えるようになりました。注釈文には、当時まだカードとしては登場していなかった「プレインズウォーカー」の記載もありました。
構築を特に寄せずとも、普通にゲームをしていれば、フェッチランド、《渦まく知識》《思案》などで土地、インスタント、ソーサリーは自然と墓地にたまります。そしてクリーチャーが除去され墓地に落ちればカード・タイプは4種となり、もう4/5です。このマナレシオの良さは驚異的でした。
《タルモゴイフ》とレガシー
《タルモゴイフ》だらけのレガシー
《タルモゴイフ》がレガシーで大暴れしたのは『未来予知』が発売されたおよそ3か月後、2007年8月17日の「Gen Con」で行われた『レガシー選手権2007』。
スレッショルド
優勝を勝ち取ったのは、《タルモゴイフ》を4枚採用したスレッショルドです。緑と青の2色でまとめられていて非常にかっこいいですね!
多くのプレイヤーが集まったこの大会では、《タルモゴイフ》を採用したデッキがトップ8に5つも入賞しました。そのすべてに4枚ずつ採用されていたため、トップ8には20枚もの《タルモゴイフ》が存在!登場からおよそ3か月で、この数です。
セファリッド・ブレックファースト
しかも、5つのうち1つはコンボデッキであるセファリッド・ブレックファーストにまで採用されていました。
そして、当時のセファリッド・ブレックファーストは、現在のように《タッサの神託者》による特殊勝利を狙うデッキではなく、まったく異なる手段でフィニッシュを行っていました。
コンボパーツとしての《タルモゴイフ》
セファリッド・ブレックファーストは、《コーの遊牧民》や《コーのシャーマン》の起動型能力で《セファリッドの幻術師》を繰り返し対象に取り、ライブラリーを切削します。その過程で、ライブラリーから墓地に落ちた《ナルコメーバ》を戦場に出し、《ナルコメーバ》などクリーチャー3体を生け贄に捧げて《戦慄の復活》を「フラッシュバック」で唱えて《縫合グール》をリアニメイトします。
《縫合グール》は戦場に出るに際し、自分の墓地から好きな枚数のクリーチャー・カードを追放することができ、そのパワーとタフネスは追放したクリーチャーのパワーの合計とタフネスの合計に等しくなります。
ここで追放するのが《タルモゴイフ》です。《タルモゴイフ》のサイズを決める能力は墓地でも、追放領域でも機能するので、《縫合グール》のサイズを確保できます。ただし、追放した瞬間の値で固定されるわけではありません。その後も墓地のカード・タイプが変われば、追放されている《タルモゴイフ》と、それを参照する《縫合グール》のサイズは変わります。
最終的には《縫合グール》が戦場に出ることで誘発した、墓地の《ドラゴンの息》で速攻を与え、あとは巨大に膨れ上がったトランプル持ちの《縫合グール》で攻撃してフィニッシュ!
もともとこの役割は《ファイレクシアン・ドレッドノート》が担っていましたが、《タルモゴイフ》に変更したことで、コンボに必要なサイズを用意しつつ、ビートダウンプランも取ることができるようになりました。
テンポデッキと《タルモゴイフ》
前回の「レガシー探訪」で触れたように、《タルモゴイフ》はカナディアン・スレッショルドやチームアメリカなどのテンポデッキの主力としても活躍します。
カナディアン・スレッショルド
チームアメリカ
《タルモゴイフ》のマナレシオの良さが、テンポアドバンテージを主体とするデッキとベストマッチだったのは言うまでもないことです。その後《秘密を掘り下げる者》が登場してからも、ティムールデルバーやスゥルタイデルバーで《タルモゴイフ》は主力として採用され続けました。
デッキ名になった《タルモゴイフ》
《タルモゴイフ》が活躍したのはテンポデッキだけではありません。
CTG
2009年に広島県福山市で開催された『日本レガシー選手権09』で優勝したのは「CTG」と呼ばれるデッキでした。
「CTG」とはデッキのキーカードである《相殺》のCounterと《師範の占い独楽》のTop、そして《タルモゴイフ》のGoyfからとった「カウンタートップゴイフ」の略称です。
《師範の占い独楽》でライブラリートップを操作し、《相殺》で相手の呪文を打ち消す。ゲームをコントロールしたら、《タルモゴイフ》で速やかに畳みます。
この大会でも《タルモゴイフ》はトップ8に入ったデッキのうち、またしても5つに採用されていました。
こんなデッキにも《タルモゴイフ》!?
意外なデッキにも《タルモゴイフ》の姿は見つけることができます。
同じく2009年に開催された『Star City Games Legacy Open』では魚の群れにその巨体を忍ばせていました。
21枚採用されたクリーチャーのうち、17枚はマーフォーク。《アトランティスの王》や《メロウの騎兵》《マーフォークの君主》といったほかのマーフォークを強化するロードも合計で9枚採用されています。
それでも、残る4枚にはマーフォークシナジーと無縁の《タルモゴイフ》が選ばれました。そして、その運用を可能にするため《Tropical Island》も3枚採用されています。
青単色という強固なマナベースを犠牲にしたとしても、シナジーの恩恵をまったく受けないとしても採用するバリューがあると考えられたことから、《タルモゴイフ》がどれほど強力なクリーチャーだったかがわかりますね!
《タルモゴイフ》禁止論
これほど広く採用されると、強さだけでなく、デッキ構築や環境への影響も話題になります。
2009年の末には、「タルモゴイフのいないレガシーのほうがよいのか?」というコラムが出されました。
《タルモゴイフ》は、以前から縮まりつつあったウィニーとファッティの境界線を完全に破壊したとされ、先ほどのマーフォークなども例に挙げつつ、様々なデッキで《タルモゴイフ》が最適解となり、クリーチャーを選ぶ余地を狭めているのではないかと論じられています。
コミュニティ内からこうした声もありましたが、《タルモゴイフ》が禁止になることはなく、その後も長きにわたって様々なデッキで活躍を続けます。
翳りをみせる《タルモゴイフ》
時代は下って、2017年の1月に発売された『霊気紛争』が《タルモゴイフ》にとっては一つの転機といえます。
同セットに収録された《致命的な一押し》は、《タルモゴイフ》を除去するのにうってつけのカードでした。
《タルモゴイフ》のサイズがどれほど大きくとも、《致命的な一押し》ならば「紛争」を達成する必要もなく
で除去できてしまいます。
もちろんレガシーには《剣を鍬に》が存在するので1マナでテンポよく《タルモゴイフ》を除去すること自体は可能でしたが、《致命的な一押し》はライフゲインさせることもないため、ライフを攻めるデッキにとっては非常にありがたい一枚だったといえます。
さらに、墓地を咎める《死儀礼のシャーマン》や「探査」で墓地を減らすことのできる《グルマグのアンコウ》などを擁するグリクシスデルバーの台頭もあり、《タルモゴイフ》にとっては苦しい環境になっていきます。
復活の《タルモゴイフ》?
2018年の《死儀礼のシャーマン》禁止に加え、2019年に発売された『モダンホライゾン』によって《タルモゴイフ》をめぐる状況には変化が訪れます。
メインに3枚採用された《レンと六番》の凶悪さについてはみなさんすでにご存知の通りかと思います。
[+1]でフェッチランドを回収して自身のマナ基盤の安定に一役買うかと思えば、《不毛の大地》を回収し、相手のマナ基盤はズタズタに破壊する。さらに[-1]でタフネス1のクリーチャーは許さない。
当時、《ルーンの母》のような定番クリーチャーたちが「タフネスが1だから」という理由で採用を見送られていたのをよく憶えています。
同年10月には、『エルドレインの王権』が発売され、“あの”《王冠泥棒、オーコ》が登場します(なんて年なんだ!)。
《タルモゴイフ》はというと、デッキには採用されているものの、カードパワーの上昇に伴い、以前ほどの存在感を発揮することは減ってしまいました。
《タルモゴイフ》はそこにいる!?
その後、《レンと六番》《王冠泥棒、オーコ》は相次いで禁止となります。
さらに2021年には、『ストリクスヘイヴン:魔法学院』の《表現の反復》、『モダンホライゾン2』の《ドラゴンの怒りの媒介者》《濁浪の執政》が登場。《タルモゴイフ》を採用していたティムールデルバーもイゼットカラーへと移っていき、《タルモゴイフ》を見かける機会はさらに減っていきました。
しかし、《タルモゴイフ》が姿を消していく一方で、「ゴイフ」は増えていきます。
2021年の『モダンホライゾン2』では《ネクロゴイフ》、2022年の『団結のドミナリア』では《アーボーグのルアゴイフ》が登場。さらには、サブタイプに「ルアゴイフ」を持つアーティファクト《ゴイフの祭壇》まで作られました。
さらに2024年6月発売の『モダンホライゾン3』とその統率者デッキから《ネザーゴイフ》を筆頭に多くの「ゴイフ」が追加されます。
《リスの巣》をオマージュした、《タルモゴイフ》トークンを生成できる《タルモゴイフの巣》のようなユニークなカードもあれば、参照するのは自身の墓地のみですが「脱出」による疑似的な除去耐性を持ちマナコストも
になった《ネザーゴイフ》や接死・絆魂という強力なキーワード能力のみならずアドバンテージ能力も得た《バロウゴイフ》など、現在のトップメタでも活躍する「ゴイフ」も登場しました。
そして『久遠の終端』から《コスモゴイフ》が襲来します。
モダンでは、『第34期モダン神決定戦』で神・細川侑也さんが使用したコスモゴイフシュートでおなじみですが、実はレガシーでも採用実績のあるカードです!
このデッキでは《甦る死滅都市、ホガーク》の「探査」でメインから追放領域を肥やすこともできますし、なによりサイド後の《虚空の力線》や《安らかなる眠り》などの墓地対策の対策として《コスモゴイフ》は機能します。そのため、サイドボードに複数枚取られているのも納得です。
本線は《変貌の力線》《孵卵スリヴァー》《メムナイト》による無限複製コンボですが、そのコンボを初手にそろえるための《血清の粉末》が《コスモゴイフ》とシナジーを形成しています。
コンボでも良し、ビートダウンでも良し、はどこか先述のセファリッド・ブレックファーストを思い起こさせますね。
このように《タルモゴイフ》の姿を見かける機会は減少しましたが、「ゴイフ」の血脈はいまもレガシーに息づいています。
未来で待ってた《タルモゴイフ》
でもやっぱり《タルモゴイフ》を使いたい!せっかく未来で待ってくれていたんだから!!
そんな声が届いたのか、《タルモゴイフ》がさっそく入賞していました!
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スゥルタイテンポ
この美しいマナカーブを描くゴイフ三連星には往年のレガシープレイヤーもうっとりですよね!ね?
《タルモゴイフ》はまだまだやれる……はず!
それでは、また次回!
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