皆さんこんにちは。
アメリカでは、今週末に各地でRegional Championships Season 2という大規模なイベントがモダンフォーマットで開催され、充実した週末になりそうです。
現在のモダンは、SCG Openなど大会が開催される度に新しいデッキが現れる多様性に満ちた環境で、今回の連載では興味深いデッキが上位でいくつか成績を残していたSCGO CharlotteとSCGO Cincinnatiの結果を見ていきたいと思います。
SCGO Charlotte
ストームコンボが多数、Simic Merfolkなど『イクサラン』からの新カードを活用したデッキも入賞
2017年10月14日
- 1位 UR Gift Storm
- 2位 Affinity
- 3位 UR Gift Storm
- 4位 Grixis Death’s Shadow
- 5位 Affinity
- 6位 GW Company
- 7位 GR Ponza
- 8位 UG Merfolk
Paul Muller
トップ8のデッキリストはこちら
UR Gift StormやDeath’s Shadow、Affinityといったコンボデッキや一直線なアグロデッキが多数入賞している中、『イクサラン』のカードにより強化されたUG Merfolkやトップ16入賞のInfectなど、モダンらしく多種多様なデッキが見られます。
最近安定した成績を残し続けているJeskai Tempoは、Eldrazi TronとAffinityに次いで高い2日目進出率でしたが、Eldrazi Tronやプレイオフ進出を果たしたGW Companyなど相性の悪いデッキも多数勝ち残っていたこともあり、トップ32以内にはわずか1名と奮いませんでした。
SCGO Charlotte デッキ紹介
「UG Merfolk」「Infect」
UG Merfolk
4 《島》 2 《繁殖池》 3 《溢れかえる岸辺》 3 《汚染された三角州》 4 《植物の聖域》 3 《変わり谷》 -土地(19)- 4 《呪い捕らえ》 4 《クメーナの語り部》 4 《アトランティスの王》 4 《真珠三叉矛の達人》 4 《マーフォークの枝渡り》 3 《潮流の先駆け》 4 《銀エラの達人》 2 《メロウの騎兵》 1 《波を司る者、コパラ》 -クリーチャー(30)- |
2 《呪文貫き》 4 《広がりゆく海》 4 《霊気の薬瓶》 1 《密輸人の回転翼機》 -呪文(11)- |
3 《儀礼的拒否》 3 《払拭》 3 《自然のままに》 3 《大祖始の遺産》 2 《四肢切断》 1 《否認》 -サイドボード(15)- |
『イクサラン』では海賊や恐竜の他に、マーフォークもテーマの一つとしてフィーチャーされており、モダンのマーフォーク使いの間では密かに話題になっていました。
Merfolkは、モダンというフォーマットができて以来人気のあるアーキタイプとして一定数常に存在し続けています。《広がりゆく海》で相手のマナベースを崩しつつ、《呪い捕らえ》や《銀エラの達人》といった優秀なマーフォーククリーチャーを各種ロードで強化してビートダウンしていくデッキでしたが、『イクサラン』参入後の環境では《クメーナの語り部》と《マーフォークの枝渡り》いった緑のマーフォーククリーチャーが加入しタッチ緑が主流になりつつあります。
元々採用されていた《魂の洞窟》に加えて、『イクサラン』から加入した《手付かずの領土》もあるので色マナについては特に問題なさそうです。
☆注目ポイント
《クメーナの語り部》は比較的簡単な条件で強化できるクリーチャーです。Merfolkの新たな1マナ域のクリーチャーとして抜擢され、長い間青単色だったこのデッキが緑をタッチするに至りました。このデッキではほぼ1マナ2/2クリーチャーなので、ロードによる強化も含めると元々1マナ域が不足していたこのデッキの強化に貢献しています。
《マーフォークの枝渡り》は「探検」により2マナ3/2か2/1になるクリーチャーで、どちらのケースでも2マナとしては高性能です。《銀エラの達人》のようにデッキの動きをスムーズにしつつJeskaiやJundのように除去を多用するデッキに対してアドバンテージが取れるのが強みです。
《波を司る者、コパラ》は『イクサラン』のプレビューで公開されて以来、《大いなる玻璃紡ぎ、綺羅》に代わるJeskaiやJundといった、単体除去を多用するデッキ対策に採用されるクリーチャーとして話題に挙げられていました。《大いなる玻璃紡ぎ、綺羅》と異なり、《波を司る者、コパラ》自身もマーフォークであるため部族シナジーの恩恵を受けられるのは強みですが、《稲妻》、《致命的な一押し》、《流刑への道》など多くの除去は1マナなので、《大いなる玻璃紡ぎ、綺羅》ほどの確実性が望めないのがネックとなります。緑のマーフォーククリーチャーが採用されるようになり青単の時と比べると信心を集まり難くなったことと《致命的な一押し》と《流刑への道》といった除去に耐性がない《波使い》はメイン1枚までに減量されています。
『イクサラン』から加入した《クメーナの語り部》と《マーフォークの枝渡り》は単体でも十分に強く、長らく単色だったこのデッキに緑をタッチする原動力になり強化されました。《広がりゆく海》はEldrazi TronやDeath’s Shadowなど特殊地形に頼ったデッキに強く現環境では良い立ち位置にあります。
Infect
2 《森》 2 《繁殖池》 1 《ドライアドの東屋》 3 《樹木茂る山麓》 2 《霧深い雨林》 2 《新緑の地下墓地》 2 《吹きさらしの荒野》 2 《ペンデルヘイヴン》 4 《墨蛾の生息地》 -土地(19)- 4 《貴族の教主》 4 《ぎらつかせのエルフ》 4 《荒廃の工作員》 2 《ヴリンの神童、ジェイス》 -クリーチャー(15)- |
4 《地うねり》 4 《古きクローサの力》 4 《変異原性の成長》 4 《巨森の蔦》 2 《顕在的防御》 2 《呪文貫き》 1 《ひずみの一撃》 2 《四肢切断》 3 《強大化》 -呪文(26)- |
2 《呪文滑り》 2 《台所の嫌がらせ屋》 2 《ヴィリジアンの堕落者》 2 《自然の要求》 2 《形成師の聖域》 2 《大祖始の遺産》 1 《払拭》 1 《使徒の祝福》 1 《墓掘りの檻》 -サイドボード(15)- |
《ギタクシア派の調査》が禁止カードに指定されて以来数を減らしたInfectですが、SCG Tourを中心に活動している「Team MTG Lotus Box」のメンバーであるZan Syed が現環境向けに調整したバージョンを持ち込み、惜しくもトップ8入賞は逃したものの最終成績10位という好成績を残していました。
《致命的な一押し》など軽い除去スペルやハンデスを多数採用したGrixis Death’s ShadowよりもUR Gift StormやEldrazi Tronのようなコンボやビッグマナ系のデッキが多い現在ではコンボスピードで勝るInfectにとって有利な環境と言えます。
☆注目ポイント
除去からクロックを守る《呪文滑り》や《墨蛾の生息地》などをサーチする《森の占術》に代わって採用されている《ヴリンの神童、ジェイス》はZan Syedのイノベーションの一つで、序盤は相手の除去スペルがこの2マナのクリーチャー兼プレインズウォーカーに向けられるので結果的に感染クリーチャーが生き残りやすくなります。
《呪文滑り》との違いは《ヴリンの神童、ジェイス》自体が追加のフィニッシャーとなるポテンシャルを持っていることです。数ターン除去されずに生き残れば変身して強化スペルや保護スペルを疑似「フラッシュバック」するので相手にとって脅威となります。墓地も肥えるので《強大化》もキャストしやすくなり、キープの基準にもなります。第一面のルーター能力はサイド後はさらに強力です。
『イクサラン』からの新カードの《形成師の聖域》は1マナと軽く、《渋面の溶岩使い》や《歩行バリスタ》のような能力でも誘発するので相手は除去が使いにくくなります。《呪文滑り》との相性もよく、単体除去が中心のデッキ相手には追加の保護スペルである《使徒の祝福》や《払拭》とともにサイドインすることでかなり相性が改善されます。
このデッキを選択するにあたって注意すべき点は環境をしっかりと分析することで、《致命的な一押し》、《流刑への道》、《稲妻》といった軽い除去を多用するデッキや《未練ある魂》を使ったデッキがトップメタの環境よりもEldrazi TronやUR Gift Stormなどがポピュラーな環境で強さを発揮するデッキです。
SCGO Cincinnati
『イクサラン』から新戦力を得た多色Humansが優勝を飾る
2017年10月22日
- 1位 Humans
- 2位 UR Gifts Storm
- 3位 Counters Company
- 4位 UG Merfolk
- 5位 Infect
- 6位 Affinity
- 7位 BW Eldrazi and Taxes
- 8位 Death and Taxes
Collins Mullen
トップ8のデッキリストはこちら
Affinity、UR Gift Storm、Grixis Death’s Shadow、Eldrazi Tronなど定番のデッキは存在しますが、それらに混じってUG Merfolkなど『イクサラン』からの新カードをフィーチャーしたデッキや、今大会を制したHumansなどローグデッキなどが活躍している健全な環境のようです。
ローグデッキであるHumansの圧倒的なパフォーマンスの前では霞みますが、クリーチャーベースのコンボデッキのInfectの復権も無視できません。昨年はトップメタの一角として活躍していましたが、その強さゆえに《ギタクシア派の調査》が禁止カードに指定されて以来数を減らしていました。しかし、Gift Stormなどの除去が少ないコンボデッキに対してスピードで勝るため有利な立ち位置にあります。
プレイオフ進出は逃したものの、ミシガンのプロであるKyle Boggemesを始めとした数名のプレイヤーが選択しトップ32以内に入賞を果たしていたBant Counters Companyも要注目です。
SCGO Cincinnati デッキ紹介
「Humans」「Death and Taxes」「Bant Company」
Humans
1 《平地》 1 《神聖なる泉》 1 《寺院の庭》 3 《吹きさらしの荒野》 4 《古代の聖塔》 4 《魂の洞窟》 4 《手付かずの領土》 2 《地平線の梢》 -土地(20)- 4 《教区の勇者》 4 《帆凧の掠め盗り》 4 《カマキリの乗り手》 3 《アヴァブルックの町長》 4 《翻弄する魔道士》 4 《貴族の教主》 3 《反射魔道士》 4 《サリアの副官》 4 《スレイベンの守護者、サリア》 2 《異端聖戦士、サリア》 -クリーチャー(36)- |
4 《霊気の薬瓶》 -呪文(4)- |
2 《エーテル宣誓会の法学者》 2 《悪鬼の狩人》 2 《イゼットの静電術師》 1 《ミラディンの十字軍》 1 《反射魔道士》 2 《不屈の追跡者》 2 《ヴィティアの背教者》 2 《ザスリッドの屍術師》 1 《先頭に立つもの、アナフェンザ》 -サイドボード(15)- |
『イクサラン』から強化されたデッキの一つで、ローグデッキゆえの「分からん殺し」のアドバンテージもあり、無敗でプレイオフ進出を決めてその勢いのままに優勝を飾りました。
メインボードは人間クリーチャーでまとめられた5色の部族ビートダウンですが、《霊気の薬瓶》と《魂の洞窟》、《古代の聖塔》、そして『イクサラン』から加入した《手付かずの領土》によってクリーチャーをキャストするための色マナに困ることはほとんどありません。
基本的にクリーチャーを展開してアタックするというシンプルな戦略ですが、多くのクリーチャーに妨害能力が内蔵されており、《教区の勇者》や《サリアの副官》といった人間クリーチャーの部族シナジーもあるので最速4ターンキルもできるアグロデッキです。
☆注目ポイント
Humansというデッキ自体は存在しましたが、『イクサラン』から《手付かずの領土》と《帆凧の掠め盗り》 いう新戦力を得て大幅に強化されました。《手付かずの領土》は人間クリーチャーをキャストするのに必要なマナを捻出し、5色アグロというマナ基盤的に困難なアーキタイプの成立を可能にします。
《魂の洞窟》と異なりカウンターはされてしまうものの、マナを出すたびにライフロスする《マナの合流点》と比べると使いやすい土地です。《帆凧の掠め盗り》は手札破壊のETB能力を持った人間・海賊クリーチャーで、回避能力もあり相手のハンドの情報を得ることができるのでメインから4枚採用されている《翻弄する魔道士》も有効に使うことができます。
クリーチャーをバウンスする能力を持った《反射魔道士》も《翻弄する魔道士》とシナジーがあります。《カマキリの乗り手》は《稲妻》で落ちてしまうのがネックとなりますが、《教区の勇者》や《サリアの副官》などこのデッキには除去の的になるクリーチャーが多数存在するので生き残る確率は高めで、3/3飛行、警戒は強力なクロックとなります。
メインボードには除去やハンデスといった妨害スペルは皆無ですが、サイドボード後には《エーテル宣誓会の法学者》といったヘイトベアーによる妨害が可能です。他にも《反射魔道士》や《悪鬼の狩人》、《ヴィティアの背教者》、《イゼットの静電術師》は除去として機能しますし、アドバンテージ源になり消耗戦に強い《不屈の追跡者》、《ザスリッドの屍術師》といった人間クリーチャーもいます。見かけ以上に採れる戦略の幅が広いことと、パーツも再録されたカードや最近の物が多く組みやすいことが魅力です。
Death and Taxes
8 《平地》 2 《地平線の梢》 3 《シェフェトの砂丘》 4 《幽霊街》 3 《変わり谷》 3 《地盤の際》 -土地(20)- 4 《スレイベンの検査官》 4 《レオニンの裁き人》 4 《スレイベンの守護者、サリア》 2 《無私の霊魂》 4 《刃の接合者》 3 《ちらつき鬼火》 2 《変位エルドラージ》 2 《台所の嫌がらせ屋》 1 《修復の天使》 -クリーチャー(36)- |
4 《流刑への道》 1 《四肢切断》 4 《霊気の薬瓶》 2 《密輸人の回転翼機》 -呪文(4)- |
2 《コーの火歩き》 2 《ミラディンの十字軍》 2 《安らかなる眠り》 2 《石のような静寂》 1 《エイヴンの思考検閲者》 1 《弁論の幻霊》 1 《天界の粛清》 1 《未達への旅》 1 《忘却の輪》 1 《法の定め》 1 《真髄の針》 -サイドボード(15)- |
《スレイベンの守護者、サリア》などのヘイトベアーで相手の行動を制限しつつクロックをかけていくDeath and Taxesのモダン版です。
レガシーとは異なり《不毛の大地》、《リシャーダの港》、《ルーンの母》、《石鍛冶の神秘家》などの強力なカードは使えないものの、相手の除去からクリーチャーを守る《無私の霊魂》やフェッチランドの起動やマナを縛る《レオニンの裁き人》、《幽霊街》、《地盤の際》があり、カードアドバンテージ獲得手段である《変位エルドラージ》、《スレイベンの検査官》、《台所の嫌がらせ屋》なども使用できるのでモダンでも白いアグロコントロールを組むことが可能になっています。
レガシーと同様にクリーチャーをインスタントスピードで展開する《霊気の薬瓶》は極めて重要なカードで、このデッキの1ターン目の最高のアクションです。モダンはAffinityなどの影響で多くのデッキにアーティファクト対策が採用されていますが、このカードのためだけにアーティファクト対策をサイドインするのは得策でなく、相手にとっては厄介となります。
☆注目ポイント
《スレイベンの守護者、サリア》はUR Gift Stormなどスペル中心のコンボデッキが多い現環境では最高のクリーチャーで、2/1先制攻撃というスペックはクリーチャーデッキとのマッチアップでも悪くありません。
《レオニンの裁き人》はそれ単体では2マナ2/2と極めて平凡なサイズのクリーチャーですが、サーチを制限する能力はフェッチランドが溢れかえったモダン環境では非常に強力な能力です。このデッキに採用されている《流刑への道》と《幽霊街》とのシナジーもあるらめ、多くの場合マスト除去となります。
スタンダードのMardu Vehiclesでも使われていた《スレイベンの検査官》は《ちらつき鬼火》や《修復の天使》によってさらにアドバンテージが取れるクリーチャーとして採用されています。スタンダードで禁止カードに指定された《密輸人の回転翼機》とのタッグはモダンでも通用する強さです。
Death’s Shadow系デッキに対して除去されにくいフィニッシャーとなる《ミラディンの十字軍》、AffinityやLantern Control、Tronなどアーティファクトを多用するデッキ対策の《石のような静寂》、ストームなどスペル中心のコンボデッキ対策の《法の定め》や《弁論の幻霊》、墓地対策の《安らかなる眠り》、バーンとのマッチアップ用の《コーの火歩き》といったサイドの選択肢の幅の広さも白というカラーの特徴です。
Counters Company
3 《森》 1 《平地》 2 《繁殖池》 1 《神聖なる泉》 1 《寺院の庭》 4 《霧深い雨林》 4 《吹きさらしの荒野》 3 《剃刀境の茂み》 2 《植物の聖域》 1 《ガヴォニーの居住区》 -土地(22)- 1 《歩行バリスタ》 4 《貴族の教主》 3 《極楽鳥》 4 《献身のドルイド》 3 《薄暮見の徴募兵》 3 《療治の侍臣》 1 《ヴリンの神童、ジェイス》 1 《漁る軟泥》 3 《永遠の証人》 1 《反射魔道士》 4 《呪文捕らえ》 1 《不屈の追跡者》 1 《クルフィックスの狩猟者》 -クリーチャー(30)- |
4 《召喚の調べ》 4 《集合した中隊》 -呪文(8)- |
3 《ブレンタンの炉の世話人》 3 《聖トラフトの霊》 3 《流刑への道》 3 《統一された意思》 2 《クァーサルの群れ魔道士》 1 《歩行バリスタ》 -サイドボード(15)- |
最後にご紹介するデッキは、惜しくもプレイオフ進出は逃したものの数名のプレイヤーをトップ32以内に送り込んだBant Companyになります。
ミシガンの強豪プレイヤーのKyle Boggemesと彼のチームメイトが選択したBant CompanyはAbzan Counters Companyに黒の代わりに《呪文捕らえ》のために青を足したバージョンで、デッキテクでも紹介されていました。
他のCounters Companyと同様に《療治の侍臣》+《献身のドルイド》のコンボから無限マナを得て《薄暮見の徴募兵》を起動し、《歩行バリスタ》をサーチして無限ダメージによって勝利を目指します。黒を使用していない都合上《臓物の予見者》と《台所の嫌がらせ屋》のコンボは不採用で、ソーサリースピードのコンボとなります。
コンボによる勝ち手段の他にも《呪文捕らえ》で妨害しつつ《集合した中隊》でアドバンテージを取りつつクリーチャーでビートしていくミッドレンジ戦略も取ることができ、環境の多くのデッキに強いデッキです。ただしハンデスなど妨害要素が少なめなのでUR Gift Stormに対しては不利が付きます。
☆注目ポイント
他のCounters Companyでは見られないカードに《ヴリンの神童、ジェイス》が挙げられます。《ヴリンの神童、ジェイス》のルーター能力はコンボに必要なカードを探し出し変身させることで《集合した中隊》を疑似「フラッシュバック」してアドバンテージも得ることが可能です。
コンボ以外のミッドレンジ戦略が取り易くなると同時に除去の避雷針的な役割も果たすので、コンボパーツである《療治の侍臣》や《献身のドルイド》が生き残りやすくなります。《召喚の調べ》 も勿論《ヴリンの神童、ジェイス》で疑似「フラッシュバック」することが可能で、コストを支払う際には「召集」もできます。
《呪文捕らえ》以外に青を足すメリットは《反射魔道士》が挙げられます。メインにわずかに1枚だけ採用されている理由は3マナ域の枚数のバランスと、クリーチャーが少数であるコンボデッキやコントロールとのマッチアップを考慮したものだと思われます。《反射魔道士》 のバウンス能力は特に「探査」クリーチャーを使うGrixis Death’s Shadowに高い効果が期待できるので、青を使う場合は採用しておきたいクリーチャーです。
デッキリストを見ていて最も印象に残ったのはサイドの《聖トラフトの霊》でした。Jeskai Tempoで採用されているのをよく見かけますが、このデッキではマナクリーチャーを利用することで2ターン目から展開することが可能です。《貴族の教主》や《ガヴォニーの居住区》による強化のおかげで相手にブロッカーがいても積極的に攻撃することができます。Jeskai、Jund、Abzanといった除去を多用するフェアデッキに対して特に強く、サイド後の追加の勝ち手段となります。軽いスペルを多用するデッキが多いモダンでは《呪文捕らえ》が強く、個人的にお気に入りのデッキの一つでデッキパワーも高く攻めも多彩なのでお勧めです。
総括
『イクサラン』がモダンに与えた影響は思ったよりも大きく、HumansやUG Merfolkなどの新しいデッキが続々と登場しています。特にSCGO Cincinnati で優勝を果たしたHumansは先週末に開催されたClassicsでも優勝しているデッキなので要注目です。
『イクサラン』リリースからまだそれほど時間が経過していないので、まだ注目されていないカードもありそうです。個人的に注目しているカードはスタンダードですでにお馴染みの《アズカンタの探索》で、墓地を肥やす能力は《瞬唱の魔道士》との相性も良好です。軽いスペルを多用するモダンでは変身させやすく、青白コントロールやJeskaiの新戦力となりそうです。
以上USA Modern Express vol.8でした。それでは次回の連載でまた会いましょう、楽しいモダンライフを!
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