コマンダー塚本の統率者最前線! vol.25 -逃れられぬもの-

塚本 樹詩

 いきなりですが、日常生活で欠如しているもの……ありませんか?

 マジックをプレイしているとき、無意識に欠けている何かを補う行為をしていませんか?

 自分の主義・思考とは関係なく、ある行為に没頭していることはありませんか?

■ 気付き・兆候

◆ ケース1: スタンダード

ピア・ナラー異端聖戦士、サリア

 あなたはスタンダードの大会に出ていて、あなたの使うデッキはマルドゥ「機体」だ。そして迎えた3ターン目、あなたの手札には《ピア・ナラー》《異端聖戦士、サリア》という良質な3マナ圏の選択肢があり、喜んでいることだろう。

◆ ケース2: 少し前のスタンダード

大天使アヴァシン集合した中隊

 あなたが少し前のスタンダードで相手のターン終わりに《集合した中隊》を唱えようと身構えていた。が、相手の行動により自分のクリーチャーが破壊されてしまうため、《大天使アヴァシン》を召喚することにした。これによって相手には損害が生まれ、自分はクリーチャーを守れただけなく、さらに強大なクロックまでも用意することができた。

◆ ケース3: かなり前のとあるフォーマット

エメリアの盾、イオナゴルガリの墓トロール戦慄の復活

 あなたはかなり前のとあるフォーマットにおいて、早いターンの段階で《ゴルガリの墓トロール》の「発掘6」を行える状況になる。そこから2枚目の《ゴルガリの墓トロール》の「発掘6」が連鎖して《ナルコメーバ》やら《黄泉からの橋》やら《陰謀団式療法》が墓地に落ち、最終的には《戦慄の復活》をフラッシュバックして《エメリアの盾、イオナ》を釣り上げるビックアクションに辿り着くことができた。

◆ ケース4: レガシー

ルーンの母スレイベンの守護者、サリア

 あなたはレガシーの大会に出ている。対戦相手のデッキは未だにわからないが、先攻でオープンハンドを見ると《ルーンの母》《スレイベンの守護者、サリア》という1~2ターン目としては絶好のアクションが取れるカードが揃っていた。あなたは1ターン目に《ルーンの母》を召喚して、返しの相手のターンにこのクリーチャーが対処されないことを祈った。そして相手は大した動きもなくターンを終了させた。あなたが「カードを引いても大丈夫ですか?」と対戦相手に伺うと了承され、《ルーンの母》の召喚酔いが解けたことに喜んだ。さらに《スレイベンの守護者、サリア》の召喚にも成功し、こうしてあなたはこのゲームの主導権を握ることに成功した。

 この全てのケース、一見すべて自分の理想の展開でゲームが進みマジックの喜びを体験している記述に見えますが、このケースに共感した人たちは潜在的に別の要素に満たされているのです。

 もうおわかりですね?あなたの満たされた心は、母性によるものなのです!!

 あなたはマジックという趣味、あるいは競技に身を投じている間にも、無意識に母なる愛の恩恵を受け、いつも以上の充実感に満たされていたのです!

 ねだるな、勝ち取れ、さすれば与えられん!ということで今回はマジックをしながらも母性に触れられる、そんな素敵なセラピーのようなデッキを模索してきます。

■ “ママ”に”バブみ”を感じていけ!!

 デッキに沢山の“ママ”を入れて“バブみ”を満たすためには、まずあなたの理想のママ像を確立させる必要があります。あなたの懇意にしていた女優や歌手、声優が『大事なお知らせがあります』『皆さんに報告することがあります』といった不穏なブログや書面を発信したとき、失意と絶望を感じたほかにも、パンドラの箱の中に最後に残されていた希望のごとく、「人妻……これはこれでアリじゃないか!?」という気持ちがあったはず (?) です。

 このような例に則り、あなたの好みの女性カードが人妻、ないし自分の母親だという想定の下に自分だけの”ママ”を見つけ、デッキに沢山入れましょう。そうすればデッキは玉手箱ならぬ「ママ手箱」になるのです!!

ルーンの母ピア・ナラードラゴンの大母

 ”バブみ”という概念が全く分からない人はまず訓練として、最初からカード名に『母』と付いている女性を選ぶか、《ピア・ナラー》などの設定上母であるクリーチャーのことを思い浮かべた上で、「《ルーンの母》はお年を召していそうで動きもワンテンポ遅いから駄目。」「《ピア・ナラー》はネグレクトが激しそう。」「《ドラゴンの大母》は出産ペースが早すぎて無理。」といった消去法を使っていくと良いでしょう。

静寂の守り手、リンヴァーラ黎明をもたらす者レイヤ

 あるいは母性の象徴として描かれている天使も”ママ”としては最適解でしょう。

スレイベンの守護者、サリア

 カード名に『守護』と書かれていると守護まもって!という気持ちになるので良いですよね。《スレイベンの守護者、サリア》自体は登場してから今に至るまで、僕が言うまでもなく多くのプレイヤーの”ママ”になっているのを感じています。

 そんな中で今回、僕が最も”バブみ”を感じたクリーチャーを今回の統率者にしたいと思います。”ママ”の登場ですよ!

保護者、リンヴァーラ

 伝説のクリーチャーであり天使であり、しかも保護者!!『大丈夫?クリーチャー出してあげようか?』と『大丈夫?ライフ回復してあげようか?』の二種類の甘やかしモードがあるのも素晴らしいですね!これにはもうママーーーーー!!と叫ぶしかないほどです!!統率者に設定することで、統率者戦においては常に視界のどこかに”ママ”がいることになるので、満たされながら遊べるようになります。

■ ママ手箱の完成!

 統率者も《保護者、リンヴァーラ》に決まったので、デッキ構築開始。デッキに沢山”ママ”を入れられるぞ!とワクワクしながら作ったリストがこちら!!


《保護者、リンヴァーラ》

《保護者、リンヴァーラ》

-統率者 (1)-

30 《冠雪の平地》
《空の遺跡、エメリア》
《永岩城》
《すべてを護るもの、母聖樹》
《地形形成装置》
《さびれた寺院》
《占術の岩床》
《魂の洞窟》

-土地 (37)-

《ルーンの母》
《コーリスの子》
《雨ざらしの旅人》
《白蘭の騎士》
《無私の霊魂》
《石鍛冶の神秘家》
《スレイベンの守護者、サリア》
《ちらつき鬼火》
《護衛募集員》
《聖域の僧院長》
《エイヴンの思考検閲者》
《異端聖戦士、サリア》
《生真面目な君、昌子》
《サマイトの癒し手オアリム》
《果敢な勇士リン・シヴィー》
《修復の天使》
《サマイトを総べる者アタリア》
《静寂の守り手、リンヴァーラ》
《守護フェリダー》
《キンズベイルの勇士、ブリジッド》
《真実を求める者、今田魅知子》
《ジョーヴァルの女王》
《極上の大天使》
《白金の天使》
《希望の天使アヴァシン》
《エメリアの盾、イオナ》
《黎明をもたらす者レイヤ》
《怒りの天使アクローマ》
《約束された終末、エムラクール》

-クリーチャー (28)-
《税収》
《流刑への道》
《剣を鍬に》
《悟りの教示者》
《神々の思し召し》
《土地の寄進》
《霊の通り路》
《土地税》
《霊体の正義》
《静寂の捕縛》
《沈黙のオーラ》
《魔力の墓所》
《太陽の指輪》
《霊気の薬瓶》
《創意工夫の傑作》
《師範の占い独楽》
《梅澤の十手》
《ルーン刻みの鍾乳石》
《英雄の刃》
《火と氷の剣》
《光と影の剣》
《伍堂の大槌、天鎖》
《ウルザの保育器》
《英雄の演壇》
《流転の護符》
《魂の鋳造所》
《ベルベイの門》
《謎めいた門》
《魔力の篭手》
《殴打頭蓋》
《かごの中の太陽》
《遍歴の騎士、エルズペス》
《石術師、ナヒリ》
《太陽の勇者、エルズペス》

-呪文 (34)-
hareruya

ルーンの母ちらつき鬼火守護フェリダー

 あれ?

霊気の薬瓶流転の護符魂の鋳造所

 ”ママ”を守るためのこのパーマネントたちと……

スレイベンの守護者、サリア聖域の僧院長エイヴンの思考検閲者

 対戦相手の行動を制限するクリーチャー……

石鍛冶の神秘家梅澤の十手

 そして《石鍛冶の神秘家》+装備品のパッケージ。これ”デス&タックス”じゃねーか!!

 デッキの中身を”ママ”成分で埋め尽くすことはさすがに難しかったので図らずも“ママ&タックス”となってしまいました。略してママタク。まるで”ママ”と”タクヤ (仮名)”の家族愛を示したような名前ですね。

ベルベイの門謎めいた門

 今回は”ママ”という自分だけの種族、ではなく『天使』という種族がデッキに沢山入る形となったので、《ベルベイの門》を採用しています。このカードは『天使』の他にも『ドラゴン』や『ワーム』『エルドラージ』といった高マナ域に多く存在する種族のサポートとしてこの上ない1枚なのです!

 さらにそんな《ベルベイの門》を超えるエキサイティングなカードが《謎めいた門》!!このカードのために《ルーン刻みの鍾乳石》というマニアックな装備品も入っていますので、装備したクリーチャーと統率者の《保護者、リンヴァーラ》をコストに”ママ”友を増やしましょう!!

鱗粉の変わり身変わり谷

 《謎めいた門》は「多相」と相性が良いので、どの色にも存在する「多相」クリーチャーと組み合わせればマイナー種族でも活躍の場を与えることができます!!

■ 春の”ママ”コレ2017

 最後にデッキに入っている素敵な”ママ”たちを紹介していきます。

ルーンの母ルーンの母

 旧枠の絵はもうすでに”ママ”というよりは”ママ”の”ママ”ですね!新枠の”ママ”は子供に霊的な施しをしそうなので、怖いですね。デッキの全ての”ママ”を守ってくれるまさに”ママ”界の”ママ”的存在。

スレイベンの守護者、サリア異端聖戦士、サリア

 最初に登場した2マナの”ママ”は当初から疑問に思っていたのですが、ジーパンを履いていませんか?かなりファンキーな”ママ”に見えます。そして新しく登場した3マナの”ママ”は激務に疲れ、顔が相当歪んでいますね?そのプレッシャーからか統率者戦においては無双の影響力を見せています。白いデッキで入れるカードに迷ったらまず3マナの”ママ”を入れるのがオススメです。それくらい強力な”ママ”です。

生真面目な君、昌子

 こ……怖すぎる!本当に”ママ”なの?子供のわがままに対して『ダメよ~ダメダメ』と言ってきそうですね。というか瞬速が付いているのも不気味すぎる……。デッキに入れなきゃよかった……トラウマレベルです!

サマイトの癒し手オアリム

 《生真面目な君、昌子》を見た後だと”ママ”感たっぷりで相当癒されます!”バブみ”こそ感じませんが能力も優しくていいですね!

果敢な勇士リン・シヴィージョーヴァルの女王

 《果敢な勇士リン・シヴィー》“ママ”は”ママ”友である《ジョーヴァルの女王》を家に連れてきては延々と主婦トークを繰り返し、挙句の果てには子供に《静寂の捕縛》を付けて身動きを取れなくする、そんな厄介な”ママ”なのだ!でも昔はすごく有名で活躍したとたまに子供に自慢してきます。

サマイトを総べる者アタリア

 Rebbeca先生の描く”ママ”こそ至高の”バブみ”……。

キンズベイルの勇士、ブリジッド

 キスキンは今、静かなブームとなっている所謂“亜人系ママ”なのでは!?僕は”バブみ”を感じませんがある層にはたまらないのかもしれないですね。でも弓を持っているので相当威圧感ありますね。

真実を求める者、今田魅知子

 いかにも名家の”ママ”という感じなので”バブみ”を感じなくとも子供になりたいですね。早いターンに戦場に出すことによって序盤から攻めるようなデッキに対して結構抑止力になりそうなのがちょっと笑えます!

修復の天使静寂の守り手、リンヴァーラ極上の大天使希望の天使アヴァシン
エメリアの盾、イオナ黎明をもたらす者レイヤ怒りの天使アクローマ

 天使には無条件に”バブみ”を感じますよね?《怒りの天使アクローマ》だけむっちゃ怒っていますが。感じますよね?

約束された終末、エムラクール

 彼女に”バブみ”を感じているプレイヤーがいるならSAN値チェックを忘れずに。

すべてを護るもの、母聖樹

 土地にも”バブみ”感じていけ!(※このデッキのインスタント・ソーサリーで《すべてを護るもの、母聖樹》の恩恵を受けるのは《土地の寄進》《霊の通り路》とたった2枚だけですが気にしない気にしない)


 このように皆さんも自分の思い入れのある種族をフィーチャーしたデッキを組んでみては如何でしょうか!?戦場や手札を自分の好きな種族で埋め尽くす快感を是非とも味わってみてください!!それではまた次回!!

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