情報を制す者はマジックを制す。
特にSNSによる情報交換が盛んな現代、口コミがその後のメタゲームに与える影響は計り知れない。
すなわち、バズってる(話題になっている)カードを知ることは、メタゲームの把握と予測の大いなる助けとなることだろう。
当企画では、そんな「今、バズってるカード」を週刊で追っていきたいと思う。
カードの紹介に入る前に、先週行われたイベントやマジック関連の主な出来事を簡単におさらいしよう。
【第6期レガシー神挑戦者決定戦が開催される】
3月27日(日)、【第6期レガシー神挑戦者決定戦】が開催された。
【大会情報】エルドラージの進撃はついにレガシー環境にまで!圧倒的な力を持つエルドラージ軍団と共に300人の頂点に立ち、最強最古の神・レガシー神に挑むのは、加茂 里樹!おめでとう! #神決定戦 pic.twitter.com/durO7Tnb12
— 晴れる屋 (@hareruya_mtg) 2016年3月27日
満員御礼・300名の参加者の頂点に立ったのは「無色エルドラージ」を操る加茂 里樹(東京)! 【第6期モダン神挑戦者決定戦】でも「青赤エルドラージ」を駆使してトップ8に進出したエルドラージマスターは無敗の神・川北を破ることができるのか!?
当日の様子は【カバレージ】にて動画およびテキストカバレージで公開されている。強豪たちの激戦を見逃すな!
【2016 Asia Vintage Championshipが開催される】
3月27日(日)、水道橋のカードショップ【東京MTG】にて国内最高峰の完全招待制ヴィンテージトーナメントである【2016 Asia Vintage Championship】が開催された。
Hareruya Pros・八十岡 翔太や【ヴィンテージ神】・森田 侑、「ヴィンテージ選手権09」優勝・伊藤 裕道をはじめ、国外からも「ヴィンテージ選手権07」優勝・Stephen Menendianといった強豪が集まりしのぎを削った本大会で頂点に立ったのはマジック・プロツアー殿堂顕彰者・中村 修平!
Hareruya Pros・高橋 優太に託されたという「オース」デッキを乗りこなし、見事に優勝を収めた。
アジアヴィンテージチャンピオンシップの優勝は、殿堂プレイヤーのなかしゅ選手です!おめでとうございます#mtg #mtgjp #mtgavc @Nakashu_ #invintage @wizards_magic pic.twitter.com/RlBBfEGKln
— 東京MTG – TokyoMTG.com (@TokyoMTG) 2016年3月27日
【臨場感ある白熱のカバレージ】はたとえヴィンテージへの造詣が浅くとも十分に楽しめる内容となっている。お時間のある方はぜひご覧いただきたい。
主要な出来事はこのくらいだろうか。
さて、それでは今大きな話題を呼んでいるカードたちを紹介しよう。
1. 《虚空の杯》
「無色エルドラージ」が【第6期レガシー神挑戦者決定戦】で優勝。ついにレガシーでもエルドラージが覇権を握った。
ということで今回は「無色エルドラージ」のカギを握る1枚、《虚空の杯》のご紹介だ。
【プロツアー『ゲートウォッチの誓い』】での大活躍も記憶に新しいエルドラージは、モダン環境にして(厳しい条件付きのウルザランドにしか許されなかった)掟破りの2マナ土地8枚体制の構築が可能という強みがあったが、より広範なカードプールを使用できるレガシーではさらに凶悪さを増し、《古えの墳墓》と《裏切り者の都》による空前絶後の2マナ土地(最大)16枚体制が可能というすさまじいデッキとなっている。
元々《古えの墳墓》や《裏切り者の都》を大量に採用したデッキの先輩としては「MUD」があったが、「無色エルドラージ」もまたそれを踏襲して《虚空の杯》や《アメジストのとげ》、《抵抗の宝球》といったプリズン系のカードが採用されているのだ。
さて、ここから先は筆者の妄想だが、ここまでくると期待せずにはいられないのは私だけだろうか? 古の凶悪カードが飛び交うヴィンテージでエルドラージが勝つ姿を……
《太陽の指輪》や《Mana Crypt》、《魔力の櫃》の援護の下に高速召喚され、瞬く間にライフを奪い去っていく《難題の予見者》や《現実を砕くもの》の姿をヴィンテージに夢想してしまうのは、私だけだろうか!?
4月29日(金・祝)には晴れる屋で【第6期ヴィンテージ神挑戦者決定戦】が開催されるが、もしかすると本当にエルドラージデッキが活躍する……あるいは、この記事を読んでいるあなたが「ヴィンテージ界のエルドラージマスター」と呼ばれるようになるかもしれない。
2. 《ドルイドの誓い》
【2016 Asia Vintage Championship】で見事に優勝を収めたのは「オース」操る中村 修平だった。
その名を冠するデッキのキーカードである《ドルイドの誓い》(レガシーで禁止カード)というカードをあなたはご存じだろうか?
2 《Tropical Island》 2 《Tundra》 2 《Volcanic Island》 4 《溢れかえる岸辺》 3 《汚染された三角州》 4 《禁忌の果樹園》 1 《Library of Alexandria》 -土地(18)- 1 《オーリオックの廃品回収者》 1 《グリセルブランド》 -クリーチャー(2)- 1 《Ancestral Recall》 1 《Time Walk》 1 《Black Lotus》 1 《Mox Emerald》 1 《Mox Jet》 1 《Mox Pearl》 1 《Mox Ruby》 1 《Mox Sapphire》 -パワー9(8)- | 4 《精神的つまづき》 4 《定業》 2 《狼狽の嵐》 1 《渦まく知識》 1 《思案》 1 《古えの遺恨》 4 《Force of Will》 1 《時を越えた探索》 1 《宝船の巡航》 2 《仕組まれた爆薬》 1 《黄鉄の呪文爆弾》 1 《太陽の指輪》 4 《ドルイドの誓い》 2 《ダク・フェイデン》 3 《精神を刻む者、ジェイス》 -呪文(32)- | 3 《トーモッドの墓所》 3 《精神壊しの罠》 2 《鋼の妨害》 2 《紅蓮破》 2 《貪欲な罠》 1 《古えの遺恨》 1 《天秤》 1 《天啓の光》 -サイドボード(15)- |
デッキの基本的な動きは【高橋優太のヴィンテージのすゝめ 後編】で詳しく解説されているが、ここで簡単に説明すると《禁忌の果樹園》によって対戦相手にトークンを送り付け、自分は《ドルイドの誓い》で巨大クリーチャーを戦場に出すというデッキである。
「これぞヴィンテージ!」といったアンフェアな勝ち手段を武器にしたこのデッキ。中村 修平のリストでは《グリセルブランド》に加えて追加の勝ち手段である《オーリオックの廃品回収者》+《Black Lotus》の無限コンボも搭載されている。
“一度デッキを組めば一生遊べる”とも言われる深遠なるフォーマット。マジック好きなら、ぜひ一度体験していただきたい。
3. 《龍王オジュタイ》
最後に登場するのはヴィンテージ級のスタンダードカードだ。
というわけで、《僧院の導師》……ではなく、《龍王オジュタイ》をご紹介させていただこう。
1 《島》 2 《Tropical Island》 2 《Tundra》 2 《Volcanic Island》 3 《溢れかえる岸辺》 2 《霧深い雨林》 2 《沸騰する小湖》 1 《Library of Alexandria》 1 《露天鉱床》 -土地(16)- 1 《瞬唱の魔道士》 3 《僧院の導師》 1 《龍王オジュタイ》 -クリーチャー(5)- 1 《Ancestral Recall》 1 《Time Walk》 1 《Black Lotus》 1 《Mox Emerald》 1 《Mox Jet》 1 《Mox Pearl》 1 《Mox Ruby》 1 《Mox Sapphire》 -パワー9(8)- | 3 《精神的つまづき》 3 《定業》 3 《剣を鍬に》 1 《渦まく知識》 1 《狼狽の嵐》 1 《思案》 1 《紅蓮破》 1 《撤廃》 1 《解呪》 1 《Mana Drain》 4 《Force of Will》 4 《噴出》 1 《時を越えた探索》 1 《宝船の巡航》 1 《Fastbond》 2 《森の知恵》 1 《ダク・フェイデン》 1 《精神を刻む者、ジェイス》 -呪文(31)- | 2 《狼狽の嵐》 2 《自然の要求》 2 《古えの遺恨》 2 《封じ込める僧侶》 1 《墓掘りの檻》 1 《鋼の妨害》 1 《突然の衰微》 1 《神々の神盾》 1 《無のロッド》 1 《安らかなる眠り》 1 《至高の評決》 -サイドボード(15)- |
《僧院の導師》をメインの主戦力に据えたビートダウンデッキ「Mentor」の追加のフィニッシャーとして採用されていたこのカード。さすがに胡散臭いようにも思えるが、「墓荒らし」のようなデッキがメインに採用している《突然の衰微》に耐性があることは明確なメリットだ。
《Black Lotus》のような強力無比なマナアーティファクトのサポートを受けられることはもちろん、レガシー禁止のランドブースト《Fastbond》+同じくレガシー禁止のドローカード《噴出》で疑似的に(しかもアドバンテージを取りながら)マナ加速することで最速1ターン目にプレイすることも可能で、ひとたび着地してしまえば瞬く間にゲームを終わらせてくれる。
また、《龍王オジュタイ》は主戦場であるスタンダードでこれからも現役で活躍できるだけのパワーカードである。
スタンダードからヴィンテージまで幅広く活躍するエルダー・ドラゴン。まだ揃えていないという方は『イニストラードを覆う影』リリース後のスタンダード(あるいはヴィンテージ)に向けて揃えてみるのもいいかもしれない。
いかがだっただろうか?
今週もまた多くのカードがプレイされ、注目され、議論を呼ぶのだろう。
次回の記事も楽しみにしていただけたら幸いである。
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