ついにリリースされた最後の基本セット、『マジック・オリジン』。
今回もファーストインプレッションという形で環境のコモン、アンコモンのトップ3をピックアップして行きたいと思うので、Magic Onlineのプレリリースイベントなどで参考にしてもらえると嬉しい。
それでは早速白から。
■ 白
☆ コモントップ3
1位 《トーパの自由刃》
攻守に渡ってコモンとは思えない活躍をする1枚。
単体でも十二分な性能だが、《秘儀術師の掌握》との組み合わせは特に強力。
2位 《抑制する縛め》
大まかに言ってコストが倍増した《平和な心》。
現環境は「高名」の達成をサポートする意味でオーラ戦略が通常の環境よりも肯定されるので、コストの増大を加味してもオーラ戦略のもろい部分につけ込むことができるカードは重要。
レアケースではあるがプレインズウォーカーに対処できるのも良い。
3位 《確固たるエイヴン》
他のカードのサポートを必要としないお手軽「高名」生物。
《包み込む霧》の対象としてはベストな1枚。
☆ アンコモントップ3
1位 《永遠警備の歩哨》
全アンコモンの中でもトップ。
出た瞬間から召喚酔い関係なしに場を支配する。警戒までついているのはやりすぎの感しかない。
なぜかシングルシンボルなので、色があっていなくても3色目にタッチしていい。
2位 《領事補佐官》
白のアンコモンは高性能なものが多く状況ごとにフレキシブルに優先度を変える必要がある。
色もマナカーブもまだどうなるか決まっていないドラフト最序盤では2マナ圏のエースである《領事補佐官》を最優先にするのが手堅い。
3位 《勇者の守護神》
ほぼ同率2位と言っていいかもしれない。基本的な考え方はマナカーブを揃えるよりもカードパワーが欲しい場合にこちらを優先する。
また、赤白になる場合は他のアーキタイプよりも2マナが埋めやすいので最初からこちらを優先していい。
■ 青
☆ コモントップ3
1位 《分離主義者の虚空魔道士》
テンポの塊。コストが1重くなってもやはり優先度はトップ。
2位 《閉所恐怖症》
《抑制する縛め》と同様に相手のオーライージーウィンを咎めるパーツは普段より高めに評価していい。
同率3位《狩漁者》《分散》
サイズ面でタレントに困らない青緑と、優秀な生物が3マナに集中している青赤の場合は《分散》を。
それ以外の色では《狩漁者》を優先する。
☆ アンコモントップ3
1位 《つむじ風のならず者》
全色のアンコモンの中でも2位。
使いやすいコストのフィニッシャーであり、除去られたとしても残したお土産が馬鹿に出来ないプレッシャーなので、相手からしてみたら詐欺のような1枚。
《永遠警備の歩哨》は詐欺そのものなので勝てなくてもしょうがない。
2位 《印章持ちのヒトデ》
青は2マナの比較対象があまりに弱いので単純な性能以上に評価を高めざるを得ない。
3位 《ジェスの盗人》
果敢がついた《巻物泥棒》。相手にしてみれば、何かしらのバックアップがあるのが明らかでも目をつぶってブロックをせざるを得ないいやらしいカード。
《ならず者の道》と合わせて使いたい。
■ 黒
☆ コモントップ3
1位 《魂裂き》
先行押切が推奨される環境なので相手の初速をゆるめるカードはいつも以上に重要になる。
もちろん《巨大化》系で避けることが出来たり、ひとたび「高名」が達成されてしまった生物は基本的に除去できないなど隙は多大にあるのだが、それを込みで考えてもコスト分の働きはする。
2位 《不浄な飢え》
《魂裂き》とは逆に、テンポの悪さにさえ目をつぶればほとんどのボムへの回答にもなる。
《永遠警備の歩哨》が捌ける数少ないカード。
3位 《ナントゥーコの鞘虫》
「環境が速い→《反逆の行動》が単体で活躍するシーンがいつもより多い→《反逆の行動》の優先度が上がる→《反逆の行動》をバックアップするカードも優先度が上がる」
大枠でいうと上記のような理由でこの位置で評価しているのだが、やはり黒の生物の質の低下が影響が大きいということも言及しておかなくてはいけないだろう。とは言え由緒正しい「《脅しつけ》+《投げ飛ばし》」系のコモンシナジーは今環境でも有効なアプローチであることは事実なので、自前のボムに恵まれないときは意識して寄せよう。
☆ アンコモントップ3
同率1位 《荒廃唱え》《残酷な蘇生》
《伝染性渇血症》の登場で白黒だけでなく赤黒でも《荒廃唱え》が有効に運用できるようになったのは朗報。
《残酷な蘇生》は何のひねりもなく優秀な万能除去。
大したゾンビがいないのでデメリットは気にならないが、オマケもあまりうれしくない……。
つくづく《取り憑かれたスカーブ》が墓地に落ちないのが悔やまれる。
3位 《眼腐りの虐殺》
白黒、黒赤では自身の被害も相当なものになるはずなのでぜひ黒緑で運用したい。
青黒でも同様に素晴らしい活躍をするが、青黒のポテンシャルがそもそも低いためこのカードから切り込む選択はリスキーだ。
■ 赤
☆ コモントップ3
1位 《焦熱の衝動》
全色通してコモン1位。
特にコメントする必要もなく強い。
2位 《ギラプールの歯車造り》
《アクロスの兵長》《ボガートの粗暴者》の2枚と比較したとき、単体では明確な性能差はないが、赤青の場合には明確に《ギラプールの歯車造り》が優先されるため微差で2位にランクイン。
同率3位 《アクロスの兵長》《ボガートの粗暴者》
赤の3マナ域の充実ぶりは目を見張るものがある。どれも他色の3マナ域を圧倒する性能と言える。
☆ アンコモントップ3
1位 《地震の精霊》
2ターン目からマナカーブに沿って展開してこのカードにつなげるだけでゲームに勝てる。
《つむじ風のならず者》と同率で全アンコモン2位。
2位 《業火の侍祭》
複数ブロックが効かないため驚くほど止まらない優秀なアタッカーだが、赤は3マナの生物の層が厚いため、デッキ全体の完成度を上げるために《焦熱の衝動》などのパーツを優先することも珍しくない。
3位 《満月の呼び声》
赤白の場合は《秘儀術師の掌握》と役割が被るため少し優先度を下げて《残虐無道の猛火》などを先に取った方がいいが、それ以外のアーキタイプではこちらを優先する。
■ 緑
☆ コモントップ3
1位 《葉光らせ》
オンリーワンの存在感。繰り返しになるが替えが利かないカードは優先度を高く見積もろう。
2位 《野性の本能》
《平和な心》や《火葬》と同じく今回コストが倍になった元《凶暴な殴打》。
一連の除去のコストデザインは今回のセットのサブコンセプトであることは明らかだが、コストが倍になってもリミテッドではどれも十分に仕事をするので概ねこの調整は成功だろう。しかしなぜ《ショック》だけ1マナなのか。
ともかく《永遠警備の歩哨》が処理できる(かもしれない)カードは重要だ。
同率3位 《ロウクスのやっかいもの》《ファリカの信奉者》
どちらを優先するかはデッキのマナカーブを考えて決めることになるが、多くの場合《ロウクスのやっかいもの》を優先することになる。
☆ アンコモントップ3
1位 《ソンバーワルドの頭目》
どのアーキタイプでも強烈な一枚だが特に白緑で猛威を振るう。
2位 《地底街のトロール》
青緑の場合は、2マナの層の薄さと地上をこじ開けなくとも飛行でクロックを刻めることから《ソンバーワルドの頭目》よりも優先していい。
同率3位《ヴァレロンの管理人》《空網蜘蛛》
環境の高速化がどれくらい加速するかで評価が変わるところではあるが、現状では白緑では《ヴァレロンの管理人》を、それ以外のアーキタイプでは基本的に《空網蜘蛛》を優先していいだろう。
■ 多色
☆ アンコモントップ3
1位 《城塞の主》
鉄壁。先手3ターン目に出すと大抵そのまま勝ってしまう。雑に強いとは正にこのこと。
白緑は警戒付の生物を4種ある《巨大化》系スペルでバックアップすることで、除去が薄くても十分相手を押し切ることが出来る。
白のアンコモンと比較した場合、《勇者の守護神》の次点で評価する。
緑のアンコモンと比較した場合は、二色が決まっている状態なら《ソンバーワルドの頭目》の次点で評価していい。
最初手で《勇者の守護神》、《地底街のトロール》などと同居した場合はこれら単色の優良カードを取る方が硬い選択と言える。
同率2位 《雷鳴のワイヴァーン》《隠棲した工匠》
単純な性能でいうと《雷鳴のワイヴァーン》がわずかに優っているが、白青は4マナ域が太りやすい反面、赤青は4マナ域が比較的空いているので、トータルで考えると評価は拮抗している。
どちらも色がすでに2色確定していてマナ域の問題がクリアできているなら《印章持ちのヒトデ》よりも優先していい。
《隠棲した工匠》と赤のアンコモンを比較する場合、《業火の侍祭》とほぼ拮抗した優先度として扱う。両者が同居した場合は、最初手ならば《業火の侍祭》が硬い選択だが、上から流れてきた場合は《隠棲した工匠》で一気に切り込んだ方が3-0率は高い。
《雷鳴のワイヴァーン》と白のアンコモンを比較した場合は《勇者の守護神》の次点で考えて良い。
以上、全色のコモン・アンコモンベスト3をピックアップして解説してみた。
今回の環境は2色の組み合わせがすべて肯定されているデザインになっているので、いつもと比べてもアーキタイプの幅が広い環境だと言える。
環境最初期の所感では白緑、白赤、赤青、青白のビート戦略が単純に強力だが、これからの研究次第で黒ベースのコントロールや青緑の《眠りへの誘い》を軸にしたテンポなど掘り下げるべき可能性は無数に残っているので、この記事を参考にドラフトに励んでもらえれば幸いだ。
それではよいリミテッドライフを。
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