・part1 (青赤・青黒) は【こちら】
・part2 (黒緑・赤緑・収斂多色) は【こちら】
予告通り今回は白系のアーキタイプについて解説したい。白系のアーキタイプでは白黒、白赤、白青が有力な選択肢になる。
各アーキタイプの大まかな特徴としては《カラストリアの癒し手》を最大限に活かした中期戦での強さが魅力の白黒、とにかく供給が安定して贅沢にマナカーブデザインに余力を割ける白赤、シナジーにあまり頼らない構成で、豊富な飛行生物により中速以下の相手に対して安定した強さを発揮する青白、と言った形で分類ができる。
アーキタイプの優先度としては三者を単純に比較するのは危険だが、完成時の強さの最高値で考えれば白黒、カード供給の安定度で考えれば白赤と思ってもらえればいい。白青に関してはアーキタイプ色が薄いがゆえのメリットとデメリットがあり、2-1がしやすい反面、やはりシナジーの強いアーキタイプの完成形にはどれも及ばないため3-0が難しい点で白黒、白赤の後塵を拝むこととなる。
白系の代表格、白黒と白赤は共に同盟者シナジーを追及するアーキタイプとなる。二者に共通するメリットは最強色の青の奪い合いを回避することで、位置取りのために敢えてカードの質を下げるようなことをせずに済むという点と、除去色同士の組み合わせであるため必要枚数 (4~5枚) の除去の確保が比較的容易であるという点である。
目指すゲーム展開は全く違いつつもドラフト段階ではこのような共通点がある二者であるが、では相違点はなんだろうか?
■ 《カラストリアの癒し手》の重要性
それは白赤が様々な同盟者シナジーの累積でテンポビートをバックアップする勝ち筋を目指すのに対し、白黒は《カラストリアの癒し手》に大きく勝ち筋を依存するという点だ。
「単体のカードへの依存度が高い」というとあまり印象が良くないと思うが、逆に考えると「そのシナジーに一極集中するだけの価値がある」ということでもある。幸いにも青黒や黒緑には《カラストリアの癒し手》の需要がないため、卓内の《カラストリアの癒し手》は自然と白黒の席に集まってくることになる。
つまり白黒をドラフトする上での最大のカギは卓内に同業者がいるかいないかの判断になるのだが、上下の動きだけでなく卓全体の分布に関する把握は、現在のランダムソート条件下のドラフトではセオリーが確定的なものではなく、ある程度のファジーさを伴ったものになる。まぁ端的に言ってしまうと白黒はギャンブル性が他のアーキタイプより高いのだ。
そういった前提で筆者が採用している白黒に飛び込む判断の目安は、
この三つが揃った場合がGOサインだ。
このとき、白から入るならばその後の流れで白赤へのシフトチェンジを、黒から入る場合は《カラストリアの癒し手》が1体の状態で青が空いていることが分かった際に青黒へのシフトチェンジを意識することを忘れてはいけない。
悩ましいのは1パック目の中盤までに《カラストリアの癒し手》が2体以上取れてしまっているケースだが、この場合、多少雲行きが怪しくても強引に主張した方がいいだろう。もちろん競合相手が最後まで退かずに卓に二人の白黒になる可能性はあるが、それを考慮した上で (経験則上) オッズは釣り合っている。
圧倒的3-0デッキになるか上振れて1-2の失敗デッキになるかの極端な二択だが、ここで踏み込めないなら最初から白黒に手を出さない方が賢明だ。損切りする場合、2色目の色替えのタイムリミットはギリギリで考えても1パック目6手目までには見切りたい。
博打を打つ上で本当に重要なのは、プッシュのタイミングではない。降りるタイミングこそが最も差がつくポイントである。上手く負けるプレイヤーこそが真に最強なのだ。肝に銘じよう。 (余談だが個人的には博打も嫌いではないが、一日も早くランダムソートを廃止してドラフトの競技性を上げて欲しいと切に願う次第だ)
白赤のドラフトは白黒に比べて随分とシンプルで、目当ての色 (往々にして青) に行けなかった場合の安全な避難先という認識でいいだろう。
二色ともに除去色なので、除去から入って位置取りの結果収まるといったパターンは多い。ポイントとしては白赤の場合生物を多めに採用した上でテンポ的な問題でコンバットスペルもぜひ欲しいので、はっきりとしたビジョンなしに惰性で取れるだけ除去を取っていると、勝てる白赤の完成形から遠ざかってしまうので注意が必要だ。
上記のような差が白黒と白赤にある前提で、次は具体的なカードの優先度について言及したい。
■ 白黒 コモン優先度
1位 《カラストリアの癒し手》
このカードについてはもう十分に語ったが、白黒というアーキタイプの軸であり無限に回収すべき最重要カード。勢いあまって1位~3位まで全部《カラストリアの癒し手》でも良いくらいの重要度だ。
2位 《完全無視》
インスタント除去は偉いのだ。白には同じくインスタント除去である《ギデオンの叱責》もあるが、自分が《完全無視》を優先してピックすることで《カラストリアの癒し手》の生存率がナチュラルに上がるという点は地味に無視できない。
3位 《カラストリアの夜警》
ナイスサイズ。『ギルド門侵犯』環境の「強請」を思い出してもらうと良いのだが、ドレインで20点吸いきるのはあまりに悠長なので、やはり軸をずらしたビートと並行してライフを攻めるのが現実的なプランになる。そういった点で《カラストリアの夜警》はサイズ面だけでなく、貴重な軸ズレ同盟者としてもデッキに大きく貢献している。
4位 《ギデオンの叱責》
同盟者は基本的にそこまで優先度を上げずとも頭数は揃うので、除去の優先度を高めに設定することが肯定される。
同率5位 《悪魔の掌握》《真っ逆さま》
同上。ビート戦略と違いコンバットトリックの需要が低い点も除去の採用枠拡大の一因である。
7位 《幽霊の歩哨》
コモンに4マナの同盟者がいないためマナカーブデザインの観点から《グリフィンの急使》を優先する場合もありはするが、白黒はビート戦略ではないため、ある程度マナカーブよりもカードクオリティを優先できる。
8位 《グリフィンの急使》
《物静かな使用人》がいる場合は《幽霊の歩哨》よりも優先してよい。
9位 《大物潰し》
2枚目からは大きく優先度を落とす。
10位 《マキンディの巡回兵》
標準スペック。無理に取ろうとせずとも回ってくるはず。基本的に同盟者はアンコモンの優良カードもある程度まわってくるので、このレベルのカードは自然と後回しになる。《カラストリアの癒し手》の枚数が4枚を超えるような場合は、上方修正してその他飛行生物よりも優先してよい。
11位 《影の滑空者》
通常であれば飛行生物はデッキ内にあればあるだけ良いはずなのだが、白黒においては同盟者の頭数をそろえるために非同盟者生物はある程度以上に厳選すべきであるという観点から、少し大胆に優先度を落としてこの位置で評価。
目安として白黒における理想のデッキバランスを提示しておくと、23枚中、同盟者14枚、除去4枚の18枚が固定枠となり、残り5枚がフリースロットとして追加の同盟者、除去、飛行生物、18枚目の土地で埋めることになると思ってもらえればよいだろう。
同率12位 《亡骸のぬかるみ》《コーの懲罰者》
昇華者を使いまわせる青黒よりは優先度が落ちるが、白黒でも《亡骸のぬかるみ》は需要がある。同じタップイン土地の《砂岩の橋》よりはこちらを優先してよい。
白赤での活躍を考えると《コーの懲罰者》をこの順位で評価することに違和感を覚える人もいるかと思うが、白黒は基本的にビート戦略が取れないためあまりマナカーブを下に寄せるよりもカードの質を上げたい。
14位 《進化する未開地》
同盟者自体が基本的に不人気なのも相まって、白黒は3色目の受け入れを若干考慮してあげて良い。注意するのはタッチしたいカードが取れた場合でなく、あくまでマナベースに負担をかけずに3色化が可能な目途がついたときに、タッチの3色目を視野に入れるということだ。
よくあるパターンとしては、無理のない巡目でレア土地が取れた場合に、《進化する未開地》とタッチカラーの基本地形を各1枚を採用することで、メインカラーの土地を1枚減らすだけで3枚分タッチカラーへのアクセスを確保できた際に3色化に踏み切るケースが多い。
2パック目までならこの位置で評価するが、3パック目で特にタッチカラーの可能性がない場合は優先度を落とす。ドラフト中盤までにレア土地が取れた場合は9位タイまで優先度を上げても良い。
15位 《ニルカーナの暗殺者》
黙っていても取れるはず。
16位 《岩屋の衛生兵》
《血の絆の吸血鬼》や《物静かな使用人》が取れた場合は一気に優先度を上げて1枚目を7位タイで評価する。そうでない場合はゲインライフシナジーの枚数が2枚以上でぎりぎりプレイアブル評価。
同率17位 《二人戦術》《砂岩の橋》
《二人戦術》は基本的に《岩屋の衛生兵》と同じで、サイズの上がるゲインライフシナジーが搭載されている場合は採用したいがその他の場合では白赤のときほどの活躍は見込めないので、往々にして適当な同盟者を優先して構わない。
19位 《絶壁の見張り》
白黒は素のサイズが一回り小さいのでパンプしても殴れない展開が多く、通常は採用を見送るカードだが、4体以上飛行生物がいたり、3色で複数枚《統一戦線》が採用されていたりした場合にプレイアブルに格上げされる。同盟者である分《鼓舞する突撃》よりも優先して採用していいだろう。
■ 《カラストリアの癒し手》よりも優先するカード
1位 《物静かな使用人》
白黒の弱点であるサイズのなさをカバーするナイスカード。このカードが確保できた場合、すべてのライフゲインカードが上方修正される。
2位 《血の絆の吸血鬼》
《物静かな使用人》と同じく白黒のサイズのなさを補完するカード。マナがかからない代わりにサイズアップするのが自分だけであるが、それでも十分すぎる性能である。
■ 《物静かな使用人》よりも優先するカード
・《灯の再覚醒、オブ・ニクシリス》
・《マラキールの解放者、ドラーナ》
・《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》
・《次元の激高》
・《隔離の場》
白黒のぶっ壊れカードの皆さんです。上記のカードについて何か言うよりもここで挙げなかったレアについて言及した方が建設的だと思われるので、以下に補足しておく。
・《エメリアの番人》
白黒はサイズのなさから相打ちによる消耗戦が不得意なので、《エメリアの番人》による暴力的なゴリ押しがそこまで期待できず、ただの4/4飛行で終わるパターンが多い。また、《カラストリアの夜警》などサイズがある生物を確保できていても、青白などの土地18枚で運用されるアーキタイプに比べて土地17が基本の白黒では、8枚目以降のセットランドがどこまで滞るか不安が残る。
・《フェリダーの君主》
相手のアタッカーを止める分には十分なサイズだが、フィニッシャーとして評価した場合、戦線が伸びやすい白黒では往々にしてアタックしても2対1交換で終わりがちなので、シナジーの軸となって序盤からプレッシャーをかけられる《物静かな使用人》には及ばない。
・《ゴーマ・ファーダの英雄》
やはりこのカードも白黒の平均サイズの小ささでは本領が発揮できない。
・《破滅の道》
優秀な除去であることは間違いないが、白黒はコモンに除去が豊富に用意されているので、例え下位互換でも互換性のあるカードより替えの利かないカードを優先するべきだ。
■ 白黒 サンプルデッキ
8 《平地》 7 《沼》 1 《進化する未開地》 1 《亡骸のぬかるみ》 -土地(17)- 4 《カラストリアの癒し手》 1 《岩屋の衛生兵》 1 《物静かな使用人》 2 《ニルカーナの暗殺者》 1 《マラキールの使い魔》 1 《ハグラの名射手》 1 《ドラーナの使者》 1 《グリフィンの急使》 1 《血の絆の吸血鬼》 2 《カラストリアの夜警》 1 《回生の天使》 -クリーチャー(16)- |
2 《ギデオンの叱責》 1 《真っ逆さま》 1 《大物潰し》 1 《墓所からの行進》 1 《エメリアへの撤退》 1 《突き抜けの矢》 -呪文(7)- |
※白黒は接死生物の工面がつくので《突き抜けの矢》の採用を検討してよい。
※あまりマナカーブを下に寄せるよりも、少し重くてもサイズのある同盟者の確保を重視しよう。
■ 白赤 コモンランキング
白赤はある程度供給が安定しているので、マナカーブデザインを第一に考えてカードを贅沢に取捨選択することが可能だ。
このため通常のランキング形式でカードを評価すると、「マナカーブ次第で優先度は乱高下する」というエクスキューズがすべてのカードにつく実用度の低いものにどうしてもなってしまう。これを避けるため、今回はアーキタイプ内でマナカーブや除去など役割別にさらに細分化したカテゴリを設け、それぞれにランキングを用意した。
どの枠から優先的に埋めるべきかについては、単純に必要枚数の多さを基準に考えてもらってよい。
それではまずはスペルから。
・スペルランキング (必要枚数5~7枚)
1位 《虚空の接触》
白の除去はアタッカーを捌くことを主眼にしているため、ブロッカーを除去できる赤除去の中でも一番便利に使えるこのカードをトップに。
2位 《ギデオンの叱責》
ブロッカーを退かすことこそできないが、コンバットトリックとこのカードで《髑髏砕きの補充兵》のビートをバックアップするのは白赤の勝ちパターンの一つだ。
3位 《多勢》
ちゃんと機能する場であればこれ以上なくテンポの良いカードなのだが、仕込みが必要なため腐るシチュエーションが存在するので、2枚目以降は大きく優先度を落としていい。
4位 《石の怒り》
5マナという重さがネックだが、インスタントでもありエルドラージにも対応できるので1~2枚は採用したい。
5位 《大物潰し》
1枚目はこの位置で評価。2枚目からはサイド要員と考えて良い。
6位 《二人戦術》
白赤におけるコンバットトリックの適正枚数は2~4枚だ。絶え間なくアタックを繰り返して常にこちらからプレッシャーをかけ続ける白赤において、ブロック宣言後に打てないソーサリー除去よりも、コンバットトリックの方が有用な場面は少なくない。《物静かな使用人》がいる場合は3位まで上方修正。
7位 《石術師の焦点》
こちらの展開を阻害せずに、コンバットを有利に進められるナイスカード。また、相手からしてみると白赤が同盟者をキャストしてトランプル、警戒、先制攻撃などの能力をトリガーさせてからアタックすると、1マナ余っていても何も持ってない前提で動くことが多く、2マナのカードよりも裏をかきやすいというメリットもある。
8位 《真っ逆さま》
白青では素晴らしい働きを見せるが、白赤の勝ちパターンの中では並以下のカードとしか評価できない。
9位 《確実な一撃》
《真っ逆さま》と違い白赤の勝ちパターンには合致したカードではあるが、コンバットトリックは必要枚数が少ないので、大抵の場合《石術師の焦点》《二人戦術》で枠が埋まってしまいお呼びがかからない。
レアケースではあるが、《面晶体の掘削者、ザダ》が取れた場合は《二人戦術》の優先度を下げて《石術師の焦点》とこのカードの優先度を上げる。
10位 《沸き立つ大地》
対黒緑のサイドボード要員として1枚は確保しておきたい。
・1~2マナ生物ランキング (必要枚数5~6枚)
1位 《コーの懲罰者》
能力についてはあまり気にしないでいいが、バニラとして評価しても悪くないカードだ。白黒でも需要があるのである程度意識して取る必要がある。
2位 《命知らずの群勢》
マナカーブ穴埋め要員。贅沢を言うと《コーの懲罰者》とアンコモンの同盟者で2マナ以下の必要枚数を埋めたいのだが、毎回そう上手くもいかないだろう。
3位 《絶壁の見張り》
《命知らずの群勢》ができれば採用したくないのに対して、このカードは1枚目に関しては積極的に採用していきたいのだが、いかんせん頑張らなくても取れてしまう点と複数枚いらないという点で優先度としてはこの位置で評価する。2枚目は基本的に採用しない。
4位 《フェリダーの仔》
同盟者ではないが、マナカーブを埋めるためには妥協も必要。
5位 《マキンディの滑り駆け》
同上。
・3マナ生物ランキング (必要枚数3~5枚)
1位 《影の滑空者》
シナジーはないが序盤に用意できる安定したクロックとしてまずまずの仕事をする。
2位 《マキンディの巡回兵》
警戒を付けるのが強いというよりは、他の同盟者の能力をトリガーさせることができるということが重要。
3位 《ヴァラクートの発動者》
5マナまでスムーズに土地を伸ばしたいため、白赤はビートではあるが土地18枚が肯定される。それに伴い、このカードも能力起動を視野に入れることができる。
4位 《ヴァラクートの捕食者》
できれば採用したくない。マナカーブの関係でしぶしぶ採用せざるを得ない場合は、後手の際にサイドからコンバットトリックなど他の枠のカードと入れ替えて良い。このとき、3マナ域が基準枚数を満たせなくなったとしてもそれは問題ない。 (問題はあるのだが言ってもしょうがない)
・4マナ生物ランキング (必要枚数3~5枚)
1位 《オンドゥの勇者》
《完全無視》されないサイズが頼もしい。《髑髏砕きの補充兵》と合わせて相手に継続的にプレッシャーをかけることで、コンバットトリックの価値が上がる。
2位 《グリフィンの急使》
優秀なカードなのだが、《オンドゥの勇者》が安いので白青や白黒に比べて実質的な優先度が下がってしまいがちな1枚。回ってきてもスルーして他のマナ域を埋めた方が良いことの方が多い。
3位 《オンドゥの大角》
安さ爆発。セットランドさえ止まらなければ《オンドゥの勇者》よりも強いのだが。
・5マナ以上生物ランキング (必要枚数3~5枚)
1位 《髑髏砕きの補充兵》
このカードの枚数+1枚を基準にコンバットトリックを採用したい。コンバットトリックの枚数が増えすぎるのが不安な場合は、《ギデオンの叱責》で代用も可能。
2位 《幽霊の歩哨》
《グリフィンの急使》と同じく、《髑髏砕きの補充兵》が安いのでスルーしがち。他にも5マナはアンコモン、レアの強力な同盟者も多く《グリフィンの急使》よりも採用率は低い。
・土地 (必要枚数0~4枚)
1位 《そびえる尖頂》
パーツ供給過多になりがちな白赤では、カードスロットを圧迫せずにデッキのポテンシャルを上げることのできる特殊地形は他のアーキタイプよりも重要になる。白と赤どちらの土地を優先するかは、能力の差というよりも同様の境遇である赤緑と取り合うことになるという点を考えて《そびえる尖頂》を優先する。
2位 《砂岩の橋》
白黒での需要が低いので、比較的楽に回収できる。
■ 《虚空の接触》よりも優先するアンコモン
1位 《とどろく雷鳴》
どんなアーキタイプで運用されても強いカードだが、赤青などのコントロール寄りのデッキよりも白赤のようなライフプレッシャーをかけるアーキタイプの方がより暴力的な強さを見せる。
2位 《物静かな使用人》
このカードが確保できたらライフゲインカードを上方修正しよう。白黒のときほど恒常的にトリガーできないが、白赤で2回トリガーすればおおむね勝ててしまう。
同率3位 《コーの刃振り》《炎套の魔道士》
2マナ生物のクオリティアップは果てしなく重要。除去の代用はある程度楽なので、白赤が既定路線になってからはコモンのどの除去よりもこちらを優先していい。《炎套の魔道士》は過小評価されがちだが、白赤に入るきっかけとして最も適したカード。これ1枚でイージーウィンとまではいかないが、単体除去以上の勝利貢献度は間違いなくある。
5位 《敵対》
赤青の路線が残されているなら3位まで上方修正してよいが、白赤が既定路線ならマナカーブを優先してこの位置で評価。
6位 《停滞の罠》
単純に除去できる範囲が広がってインスタントタイミングで動けるので、当然こちらを優先。特にコメントする必要もないだろう。
■ 《とどろく雷鳴》よりも優先するレア
《竜使いののけ者》
すごく強い。生き残ると勝ち。
《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》
過剰に強い。資産価値的にも勝ち。
《隔離の場》
容赦なく強い。X=2以上で打つと勝ち。
■ 白赤 サンプルデッキ
8 《平地》 7 《山》 2 《そびえる尖頂》 1 《砂岩の橋》 -土地(18)- 1 《絶壁の見張り》 2 《コーの懲罰者》 1 《コーの刃振り》 1 《命知らずの群勢》 2 《マキンディの巡回兵》 1 《炎套の魔道士》 2 《オンドゥの勇者》 1 《アクームの火の鳥》 2 《髑髏砕きの補充兵》 1 《ゴーマ・ファーダの英雄》 1 《毅然たる刃の達人》 -クリーチャー(15)- |
1 《多勢》 1 《石術師の焦点》 1 《二人戦術》 2 《虚空の接触》 1 《大物潰し》 1 《石の怒り》 -呪文(7)- |
■ 青白について
青白はベーシックな飛行ビートのタイプと、《ハリマーの潮呼び》が取れた上で優秀な「覚醒」スペルを固め取りできた場合の「覚醒」コントロール型の2種類の形が存在する。
ベーシックな飛行ビート型は2-1を目指す分には魅力的な安定度を誇るのだが、卓内のどこかに最低二人はいるシナジーの濃いアーキタイプの充分形に勝ち切ることが難しく、スペシャルな「覚醒」コントロールは兎に角引きと席に恵まれないといけないので、最初から狙うものではないという事情がある。
また、青白は前提として青ができる位置にいる必要があるのだが、そうした場合白と組むよりもまず青黒、青赤を窺うべきであり、黒赤がアーキタイプとして3番手以下のポテンシャルしかないため、黒と赤のどちらも空いていないということが考えにくいという点から、正しい卓内分布の把握ができていれば青白という選択がベストになるケースはごくまれだ。
以上のような要因から現環境では青白を選択する必然性が低いと判断し、ここでは青白についてはサンプルデッキを提示して要点をまとめるにとどめたい。
■ 青白 サンプルデッキ
8 《島》 8 《平地》 1 《天空の滝》 1 《砂岩の橋》 -土地(18)- 2 《城砦化した塁壁》 2 《影の滑空者》 1 《ハリマーの潮呼び》 1 《空中生成エルドラージ》 2 《グリフィンの急使》 2 《雲マンタ》 1 《幽霊の歩哨》 1 《風乗りの巡回兵》 -クリーチャー(12)- |
2 《掴み掛かる水流》 1 《ギデオンの叱責》 1 《オンドゥの蜂起》 2 《真っ逆さま》 1 《水の帳の分離》 2 《巻き締め付け》 1 《鈍化する脈動》 -呪文(10)- |
※2マナは《城砦化した塁壁》と《巻き締め付け》で埋めてビート要員を採用しない。
※マナカーブを整理するときは単純にスペルのコストで判断せずに「覚醒」込みのコストで全体像を把握するように。
※土地は最低18枚。《荒廃した瀑布》を初めとした生け贄に捧げる土地が2枚取れた場合は土地19枚も視野に入れる。
※土地を多めに取る場合はマナカーブをさらに後ろに寄せるよう微調整する。追加する重めのカードだが、エルドラージはあまり適さないので、ほとんどの場合安さも相まって《波翼の精霊》に白羽の矢が立つことになる。
以上、これで白系のアーキタイプについて解説を終えたいと思う。
ここまで3回に分けて代表的なアーキタイプについて言及してきたが、どうだっただろうか?あなたの環境理解の一助にしてもらえればと思う。
そろそろ新エキスパンションの情報も出てくる時期だし、月末にはこの『戦乱のゼンディカー』に新エキスパンションが足された新環境でのグランプリが開催される。
新環境のセオリーをいち早く読み解くには、ベースとなる現環境のセオリーへの理解が必須になるはずだ。この記事を読んでくれたプレイヤーのグランプリでの活躍に、この記事が少しでも貢献できていれば幸いだ。それでは、良いリミテッドライフを。
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