情報を制す者はマジックを制す。
特にSNSによる情報交換が盛んな現代、口コミがその後のメタゲームに与える影響は計り知れない。
すなわち、バズってる(話題になっている)カードを知ることは、メタゲームの把握と予測の大いなる助けとなることだろう。
当企画では、そんな「今、バズってるカード」を週刊で追っていきたいと思う。
カードの紹介に入る前に、先週行われたイベントやマジック関連の主な出来事を簡単におさらいしよう。
【『イニストラードを覆う影』がリリースされる】
4月8日(金)、ついに待望の新セット『イニストラードを覆う影』がリリースされた。
狂気に堕ちた《大天使アヴァシン》、新プレインズウォーカーの《アーリン・コード》、《石の宣告》の術者でもある“三人組/The Three”が一人、ナヒリの暗躍など、ストーリーからもカードからも目が離せない。
晴れる屋でも【シングルカード】と【BOX・パック】を店頭および通販にてお買い求めいただくことができる。
【SCGO Baltimoreが開催される】
アメリカ・メリーランド州ボルチモアにて、大型トーナメント【SCGO Baltimore】が開催された。
『イニストラードを覆う影』リリース直後のトーナメントを見事に制したのは、StarCityGamesのプレミアライターでもあるJim Davis!
環境初期ということもあり、世界的にも非常に注目度の高かった本大会。デッキリストは【こちら】から見ることができる。ぜひ各々方、気になるアーキタイプをチェックしていただきたい。
主要な出来事はこのくらいだろうか。
さて、それでは今大きな話題を呼んでいるカードたちを紹介しよう。
1. 《大天使アヴァシン》
『イニストラードを覆う影』リリース後、最初の大型トーナメントとなった【SCGO Baltimore】では、トップ8の内7名が白いデッキを持ち込んでいた。
この白いアグロミッドレンジ隆盛の立役者はずばり《大天使アヴァシン》だろう。
6 《平地》 2 《沼》 4 《戦場の鍛冶場》 4 《コイロスの洞窟》 4 《乱脈な気孔》 3 《放棄された聖域》 2 《荒廃した湿原》 1 《領事の鋳造所》 -土地(26)- 4 《白蘭の騎士》 3 《面晶体の這行器》 2 《永代巡礼者、アイリ》 4 《変位エルドラージ》 1 《作り変えるもの》 4 《難題の予見者》 4 《大天使アヴァシン》 -クリーチャー(22)- |
4 《石の宣告》 2 《究極の価格》 2 《苦渋の破棄》 2 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》 2 《死の宿敵、ソリン》 -呪文(12)- |
3 《強迫》 3 《悲劇的な傲慢》 2 《現実を砕くもの》 2 《骨読み》 2 《悪性の疫病》 1 《永代巡礼者、アイリ》 1 《苦渋の破棄》 1 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》 -サイドボード(15)- |
このデッキでは《変位エルドラージ》と《大天使アヴァシン》のコンボも搭載されており、《大天使アヴァシン》の「変身」を助けるカードとして《永代巡礼者、アイリ》までもが採用されている。「白黒エルドラージ」もとい「《大天使アヴァシン》と愉快な仲間たち」といった名前がしっくりきそうなデッキリストだ。
さて、もはや言うまでもないだろうが、《浄化の天使、アヴァシン》の「変身」後の誘発能力がスタックに乗っている間に《変位エルドラージ》で《浄化の天使、アヴァシン》をブリンクすると、第1面で戦場に戻ってくるためそのETB能力によって自軍を守りつつ対戦相手だけに被害を与えることができる。
さらに《永代巡礼者、アイリ》で任意のタイミングで「変身」させることが可能になれば、もはや正攻法で打破することはほぼ不可能な護身が完成する。《大天使アヴァシン》を最もうまく使えるデッキは、現時点でこのデッキをおいて他にあるまい。
白黒には《乱脈な気孔》をはじめとして《死の宿敵、ソリン》や《苦渋の破棄》といった強力なカードが多く、グッドスタッフ的な要素も強いこのデッキ。まだどのデッキを組むか決めあぐねているという方には間違いなくオススメだ。
2. 《集合した中隊》
そして前環境から引き続いて、このデッキもまた先日の【SCGO Baltimore】で見事に優勝を収めていた。
『タルキール龍紀伝』でリリースされて以来、スタンダードおよびモダンでも大活躍の「《集合した中隊》デッキ」である。
3 《森》 3 《平地》 2 《島》 4 《進化する未開地》 4 《大草原の川》 3 《梢の眺望》 4 《伐採地の滝》 1 《要塞化した村》 1 《港町》 -土地(25)- 4 《薄暮見の徴募兵》 4 《ヴリンの神童、ジェイス》 4 《森の代言者》 1 《棲み家の防御者》 1 《隠れたる龍殺し》 4 《跳ねる混成体》 4 《反射魔道士》 2 《不屈の追跡者》 1 《巨森の予見者、ニッサ》 2 《大天使アヴァシン》 -クリーチャー(27)- |
3 《ドロモカの命令》 4 《集合した中隊》 1 《オジュタイの命令》 -呪文(8)- |
3 《否認》 2 《ランタンの斥候》 2 《翼切り》 2 《石の宣告》 2 《聖トラフトの祈祷》 1 《棲み家の防御者》 1 《隠れたる龍殺し》 1 《不屈の追跡者》 1 《オジュタイの命令》 -サイドボード(15)- |
《集合した中隊》から飛び出す《反射魔道士》の凶悪さはローテーション後も健在で、新戦力の《薄暮見の徴募兵》や《不屈の追跡者》といったアドバンテージ源となるクリーチャーも獲得している。
また、《集合した中隊》から出すことは叶わないものの、このデッキにも《大天使アヴァシン》が採用されている。クリーチャーが横並びするこのデッキでは第1面のETB能力がより一層強力に運用でき、《集合した中隊》と《大天使アヴァシン》の二段構えは対戦相手からすれば恐怖だろう。
デッキの地力の高さは疑う余地もなく、4月22日(金)~4月24日(日)、スペイン・マドリードにて開催される【プロツアー『イニストラードを覆う影』】での活躍にも期待が高まるアーキタイプである。
3. 《紅蓮術師のゴーグル》
ここまでざっと“新環境で指針とすべき強力なデッキ”をご紹介してきた。《大天使アヴァシン》強し、《集合した中隊》強しである。しかし、この記事の読者の方の中には『他人と違うデッキが使いたい』というフロンティア精神の強い方が多いことも理解しているつもりだ。
そこで、トリを飾る3枚目に満を持してご紹介させていただくのは《紅蓮術師のゴーグル》である。
7 《山》 3 《島》 4 《シヴの浅瀬》 4 《さまよう噴気孔》 3 《高地の湖》 1 《ヤヴィマヤの沿岸》 4 《溺墓の寺院》 -土地(26)- 4 《ヴリンの神童、ジェイス》 4 《氷の中の存在》 2 《遺跡潜り、ジョリー・エン》 -クリーチャー(10)- |
4 《稲妻の斧》 3 《マグマの洞察力》 2 《巨人の陥落》 4 《苦しめる声》 1 《予期》 4 《癇しゃく》 1 《コジレックの帰還》 3 《紅蓮術師のゴーグル》 2 《炎呼び、チャンドラ》 -呪文(24)- |
4 《エルドラージの寸借者》 4 《熱病の幻視》 3 《否認》 2 《虚空の粉砕》 1 《コジレックの帰還》 1 《炎呼び、チャンドラ》 -サイドボード(15)- |
除去でお茶を濁しつつ土地を伸ばし、《紅蓮術師のゴーグル》+《巨人の陥落》、あるいは《炎呼び、チャンドラ》などで速やかにゲームを決めるデッキだ。
「マッドネス」を持った期待の火力呪文《癇しゃく》はこのデッキにおいてはほとんど《稲妻》に近い使用感である。また、《苦しめる声》や《マグマの洞察力》は一度に2枚墓地が肥えるため、《ヴリンの神童、ジェイス》が3ターン目に「変身」することもザラだ。
他にも《氷の中の存在》は《稲妻の斧》+《癇しゃく》のコンボで一気に2つカウンターが取り除かれる。
一つだけ注意していただきたいのは、《癇しゃく》を「マッドネス」で唱えた際にカウンターが0個になると呪文の解決前に《氷の中の存在》が「変身」し、《目覚めた恐怖》の誘発型能力が先にスタックに積まれる。もしクリーチャーを対象に《癇しゃく》を唱えていた場合は火力が立ち消えて損をするので、この場合は《癇しゃく》はプレイヤーを対象にプレイしよう。
とにかくギミックが多くて楽しいデッキなので、こだわりのデッキを使いたい方にはオススメだ。
いかがだっただろうか?
今週もまた多くのカードがプレイされ、注目され、議論を呼ぶのだろう。
次回の記事も楽しみにしていただけたら幸いである。
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