情報を制す者はマジックを制す。
特にSNSによる情報交換が盛んな現代、口コミがその後のメタゲームに与える影響は計り知れない。
すなわち、バズってる(話題になっている)カードを知ることは、メタゲームの把握と予測の大いなる助けとなることだろう。
当企画では、そんな「今、バズってるカード」を週刊で追っていきたいと思う。
カードの紹介に入る前に、先週行われたイベントやマジック関連の主な出来事を簡単におさらいしよう。
【プロツアー『イニストラードを覆う影』が開催される】
先週末には【プロツアー『イニストラードを覆う影』】が開催された。
【トップ8に残ったデッキは全てが異なるアーキタイプ】となっており、プレイヤーも殿堂顕彰者であるJon Finkel、Louis Scott-Vargas、八十岡翔太や【ワールド・マジック・カップ2016】で優勝を果たしたイタリア代表の一員であるAndrea Mengucci、2010年度プレイヤー・オブ・ザ・イヤー顕彰者のBrad Nelsonといった強豪の中を見事に駆け抜け、スターの一員へと仲間入りを果たしたのはSteve Rubin(アメリカ)!
ドラフトとスタンダードの2種目で競われた白熱のスイスラウンドや、上述のとおり“銀河系最強”と呼んでも過言ではない最強のトップ8の激戦の数々などは【カバレージ】から振り返ることができる。ぜひご覧あれ!
【2017年以降のプロツアーフォーマットに関する変更】
2016年4月24日(日)、2017年からプロツアーのフォーマットとしてモダンを使用しなくなることが発表された。
今回の変更に関して、主な理由としては――
・「モダンプロツアーはプロツアー本来の趣旨にそぐわない点がある」
・「環境の変化が早まることでプロツアーの結果が禁止改定に及ぼす影響は大きい」
という2点が大きいようだ。
プロツアーという大舞台で強豪プレイヤーたちの鮮やかなモダンのゲームが見られなくなることは残念だが、今後はより様々なコミュニティ(あるいはプレイヤー)が主導となってメタゲームの中心となっていくのであろう。
「MTG Just Now!」でもこれまでと変わらずモダンの話題があればお伝えしていくので、ぜひ楽しみにしていただきたい。
主要な出来事はこのくらいだろうか。
さて、それでは今大きな話題を呼んでいるカードたちを紹介しよう。
1. 《闇の誓願》
【プロツアー『イニストラードを覆う影』】トップ8の中で一際異彩を放っていたデッキリストがある。
《闇の誓願》4枚に、《過ぎ去った季節》2枚が採用されたJon Finkelの「緑黒コントロール」だ。
「魔巧」を達成していれば疑似的に《Demonic Tutor》のような役割を果たすこのカードと《過ぎ去った季節》を組み合わせると、何ともおもしろい相乗効果が発生する。
《過ぎ去った季節》は解決時に墓地に落ちることなくライブラリーの一番下へと戻るため、《闇の誓願》でサーチすることで再利用が可能となる。その後、《過ぎ去った季節》で《闇の誓願》を手札に戻し、再び《闇の誓願》で《過ぎ去った季節》を探す……といった循環によって延々とアドバンテージを稼ぎ続けることができるのだ。
レガシーやヴィンテージでもお呼びのかかる強力なサーチ呪文。まだ揃えていないという方は、お早めに入手を!
2. 《紅蓮術師のゴーグル》
一度使ったらもう病みつき? 驚異的なアドバンテージを稼ぎ出す、今話題沸騰中のあのカードをご紹介させていただこう。
【vol.41】でもご紹介したが、《紅蓮術師のゴーグル》は【プロツアー『イニストラードを覆う影』】でも人気のあるカードの1枚となっていたようだ。
特に顕著に活躍が見られたのは『Team EUreka』が持ち込んだ「赤緑ゴーグル・ランプ」と『DEX Army』が持ち込んだ「赤白エルドラージ・ゴーグル」だ。この2つのゴーグルデッキはどちらもトップ8に進出しており、デッキの地力の高さと《紅蓮術師のゴーグル》のカードとしての確固たる強さを裏付けている。
他にも《突沸の器》を用いて最速で《紅蓮術師のゴーグル》の着地を目指す『赤単ゴーグル』や従来型の「青赤ゴーグル」など、実に4種類のゴーグルデッキが姿を見せていた。このあたりは【公式記事「4通りの『紅蓮術師のゴーグル」』】でもインタビューが掲載されている。
まだまだ《紅蓮術師のゴーグル》でコピーしたら夢が広がりそうなカードは多い。以下に筆者オススメの4枚ご紹介しよう。もしかすると、ここから新しいカラーリングでのゴーグルデッキや新たなフィニッシャーが登場することがあるかもしれない……
3. 《ウェストヴェイルの修道院》
スタンダードを賑わせているカードの中で、筆者が個人的に最も注目しているカードはこれだ。
《ウェストヴェイルの修道院》。ひとたび変身すればスタンダードにあるまじきオーバースペックな性能を有すこのカードを最大限有効に活用することができれば、スタンダード環境の攻略に一歩近づくのではと考える次第である。
第1面のトークン生成のコストは5マナとライフ1点とたしかに決して軽くはないが、そもそもトークンを生み出す土地というものは、これまでのマジックの歴史の中にも何度か登場し、その多くが構築シーンで活躍を見せてきた。
そして、第2面の《不敬の皇子、オーメンダール》。“ぼくのかんがえたさいきょうのデーモン”といったすさまじい能力。正直これだけでゲームに勝つことも容易ではあるが、私はこれを以下のカードと組み合わせることでさらなるフロンティアへと導きたい。
最強クリーチャーが1体いたら強い。そんなことは当たり前だ。では、たくさんいたら? 答えは簡単だ。めっちゃ強い。
圧倒的な“個の力”と、それをバックアップする“チームの力”。この二つが組み合わされることで“マジック界のアルゼンチン代表”が誕生するのである。
問題はどうやって悪魔への供物を用意するかだが、幸いにも現スタンダード環境には《ゼンディカーの代弁者、ニッサ》や《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》といったトークンを生み出すプレインズウォーカーに加えて《搭載歩行機械》や《空中生成エルドラージ》、《ピア・ナラーとキラン・ナラー》、《異端の癒し手、リリアナ》と各色でより取り見取りの選択肢が存在する。
今週末には【ゲームデー】も開催される。《不敬の皇子、オーメンダール》+《月皇の司令官、オドリック》コンボでゲームを決めたなら、会場のヒーローとなること請け合いである。
いかがだっただろうか?
今週もまた多くのカードがプレイされ、注目され、議論を呼ぶのだろう。
次回の記事も楽しみにしていただけたら幸いである。
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