MTG Just Now! vol.45 -太陽と月の輪 etc.-

晴れる屋メディアチーム





 情報を制す者はマジックを制す。

 特にSNSによる情報交換が盛んな現代、口コミがその後のメタゲームに与える影響は計り知れない。

 すなわち、バズってる(話題になっている)カードを知ることは、メタゲームの把握と予測の大いなる助けとなることだろう。

 当企画では、そんな「今、バズってるカード」を週刊で追っていきたいと思う。


 カードの紹介に入る前に、先週行われたイベントやマジック関連の主な出来事を簡単におさらいしよう。



【新セット情報が一挙に公開される】

 2016年5月16日(月)、今年発売予定の新セットの情報が一挙に公開された。



 要点をまとめると


■ 『カラデシュ』発表



 2016年9月30日発売予定の新セット『カラデシュ』が発表された。物語の舞台は『マジック・オリジン』でも描かれたチャンドラの故郷の次元、カラデシュ。

 また、キーアートに描かれている女性は新プレインズウォーカーの「サヒーリ・ライ」とのこと。一体どのような能力を持っているのか? 色は何色なのか? 謎は尽きない。


■ 『カラデシュ』ブロックの第2セット『霊気紛争』発表


 『カラデシュ』ブロックの第2セットであり、2017年1月20日発売予定の『霊気紛争』についても発表された。


■ 『プレインズウォーカーデッキ』と『バンドル』発表


 エントリーセットに代わる新たな構築済みデッキ、『プレインズウォーカーデッキ』が発表された。この構築済みデッキにはプレインズウォーカー(神話レア)1枚と、他にもコンセプトに沿った多数のカードが収録されるそうだ。

 また、これまで発売されてきた『ファットパック』は名称が『(セット名)バンドル』に変更され、収録されるパック数が9→10パックになるそうだ。たとえば次の『カラデシュ』発売時にリリースされるものは『カラデシュバンドル』と呼ばれることとなる。



■ 『デュエルデッキ:ニッサ vs オブ・ニクシリス』発表


 2016年9月2日発売予定の『デュエルデッキ:ニッサ vs オブ・ニクシリス』が発表された。

 【公式記事「ニッサの決断」】でも描かれたニッサとオブ・ニクシリスの戦いがデュエルデッキ上で再現される!


■ 『統率者(2016年版)』発表


 2016年11月11日発売予定の特殊セット『統率者(2016年版)』が発表された。

 全統率者プレイヤーが待ち焦がれた(?)4色の統率者にフィーチャーされた内容になっているそうだ。ちなみに、過去に刷られた4色のカードは【ネフィリム】のサイクルのみである。どのような能力を持った統率者たちが出てくるのか、非常に楽しみである。


■ 『Planechase Anthology』発表


 2016年11月25日発売予定の特殊セット『Planechase Anthology』が発表された。

 これまでに発売された『プレインチェイス』製品がまとまっており、“これまで登場したすべての次元カードが扱えるようになる”(※【公式記事「公式発表」】より引用)とのことである。普段はなかなか遊ぶ機会がない『プレインチェイス戦』をこれ一つで網羅できるようになるのだろうか? 今から期待が高まる。



 主要な出来事はこのくらいだろうか。

 さて、それでは今大きな話題を呼んでいるカードたちを紹介しよう。



1. 《太陽と月の輪》

 モダン環境では《弱者の剣》解禁によるソプターコンボの台頭や、【先週】お伝えしたドレッジ系のデッキが活躍を見せる中、それらに対抗すべく墓地対策カードが今まで以上にサイドボードに散見されるようになってきている。


大祖始の遺産安らかなる眠り


 だが、《大祖始の遺産》《安らかなる眠り》では互いの墓地がなくなってしまう。今挙げたソプターコンボやドレッジ、あるいは《聖遺の騎士》《瞬唱の魔道士》を採用しているようなデッキでも使用できるような、対戦相手の墓地だけを封じ込めて自分だけ墓地を使えるカードがあれば……

太陽と月の輪


 《太陽と月の輪》はそんなワガママなニーズに応えられる数少ないカードとして、現在注目を集めている。



David Buccelli「Jeskai Thopter Foundry」
SCG Columbus Modern Classic(6位)

2 《島》
1 《山》
1 《平地》
2 《神聖なる泉》
2 《蒸気孔》
1 《聖なる鋳造所》
4 《溢れかえる岸辺》
4 《沸騰する小湖》
4 《天界の列柱》
2 《幽霊街》
1 《アカデミーの廃墟》

-土地 (24)-

4 《瞬唱の魔道士》
1 《ヴェンディリオン三人衆》

-クリーチャー (5)-
4 《祖先の幻視》
4 《稲妻》
4 《流刑への道》
1 《呪文嵌め》
2 《稲妻のらせん》
2 《差し戻し》
1 《スフィンクスの啓示》
2 《謎めいた命令》
1 《至高の評決》
3 《飛行機械の鋳造所》
2 《仕組まれた爆薬》
2 《弱者の剣》
1 《世界のるつぼ》
1 《復讐のアジャニ》
1 《ギデオン・ジュラ》

-呪文 (31)-
2 《汚損破》
2 《天界のほとばしり》
2 《否認》
2 《太陽と月の輪》
2 《ヴィダルケンの枷》
1 《イゼットの静電術師》
1 《払拭》
1 《摩耗+損耗》
1 《斑岩の節》
1 《思考を築く者、ジェイス》

-サイドボード (15)-
hareruya



 たとえばこのデッキでは、メインボードに《瞬唱の魔道士》4枚に加えて勝ち手段として《飛行機械の鋳造所》《弱者の剣》を採用している性質上、墓地対策として《安らかなる眠り》を採用してしまうと自身の勝ち手段と噛み合いが悪い関係から《太陽と月の輪》がサイドボードに入っている。


瞬唱の魔道士飛行機械の鋳造所弱者の剣


 すでに墓地に落ちているカードには効果がない点がネックだが、2マナと非常に軽いため最速でプレイすることができれば効果は十分で、一度設置すれば恒久的に墓地対策として機能する。また、状況によっては《太陽と月の輪》を自分にエンチャントすることでライブラリーアウト対策もできる。


 『シャドウムーア』で収録されて以来『モダンマスターズ』および『モダンマスターズ(2015年版)』でも再録が漏れていたカードなのでやや入手困難になりつつあるが、唯一無二の能力を持っているので、ぜひとも揃えておきたいところだ。



2. 《ウギンの聖域》

 『ゲートウォッチの誓い』以降のモダン環境におけるエルドラージデッキの大暴れと、それに由来する《ウギンの目》禁止は記憶に新しい。


ウギンの聖域


 そんなエルドラージデッキの煽りを食らった形のウルザトロンデッキだったが、《ウギンの目》の枠を《ウギンの聖域》で代用して見事な勝利を収めていた。



Austin Lekan「GR Tron」
SCG Invitational Qualifier Roanoke(1位)

1 《森》
4 《燃え柳の木立ち》
4 《ウルザの鉱山》
4 《ウルザの魔力炉》
4 《ウルザの塔》
2 《ウギンの聖域》
1 《幽霊街》

-土地 (20)-

1 《呪文滑り》
1 《終末を招くもの》
3 《世界を壊すもの》
2 《絶え間ない飢餓、ウラモグ》

-クリーチャー (7)-
4 《古きものの活性》
4 《森の占術》
3 《コジレックの帰還》
4 《彩色の宝球》
4 《彩色の星》
4 《探検の地図》
3 《忘却石》
1 《世界のるつぼ》
4 《解放された者、カーン》
2 《精霊龍、ウギン》

-呪文 (33)-
4 《自然の要求》
3 《ワームとぐろエンジン》
2 《白金の天使》
2 《防御の光網》
2 《倦怠の宝珠》
1 《終末を招くもの》
1 《大いなる歪み、コジレック》

-サイドボード (15)-
hareruya



 3ターン目に《解放された者、カーン》を叩きつける、という基本コンセプト(?)はそのままだが、細部には様々な変化が見て取れる。かつての赤緑トロンで多く見られた《紅蓮地獄》《コジレックの帰還》に替わっており、これと相性のいい《世界を壊すもの》も採用されている。


コジレックの帰還世界を壊すもの


 性質上、《ウギンの目》は「《ウギンの目》を起動するターン」と「サーチしてきたクリーチャーを展開するターン」を合わせて2ターン以上を用していたが、《ウギンの聖域》はそのラグを解消してくれる。


絶え間ない飢餓、ウラモグ


 これまでのようにゲームが長引きマナが伸びた中盤以降に《引き裂かれし永劫、エムラクール》で一気に勝利する、というよりは《世界を壊すもの》《絶え間ない飢餓、ウラモグ》を次々に叩きつける、より攻撃的なデッキになっている。まだまだトロンは一線級の活躍を見せてくれそうだ。



3. 《天界の列柱》

 長らく「対応すべきアーキタイプが多すぎてコントロールデッキは成立しない」などと言われてきたモダンだったが、《祖先の幻視》解禁などによって環境が整備されてきたことで、いよいよ古き良き青いコントロールデッキも台頭してきている。


天界の列柱


 青白系のミッドレンジ(コントロール)デッキにおいて、ただでさえ圧迫されがちな呪文のスロットを割くことなくマナベースの安定化とフィニッシャーを兼ねる《天界の列柱》は、今がまさに我が世の春といった活躍を見せている。

 クリーチャー化コストの(3)(白)(青)は一見膨大に見えるものの、青と白という妨害に長けたカラーリングであれば案外と支払うことができる。フェッチランド+ギルドランドでライフの消耗が速いモダン環境であれば3~4回も攻撃すれば大抵の対戦相手はひとたまりもない。


流刑への道


 さらにミシュラランドでありながら警戒を持っている点が非常に強力で、《天界の列柱》で攻撃しながら自身からマナを出し、《流刑への道》で道を開けるなどの芸当も可能である。

 青白の2色だけでも構築の幅は非常に広く、《けちな贈り物》《堀葬の儀式》を採用したコンボ型や、《聖トラフトの霊》《修復の天使》を組み込んだアグレッシブな型、《飛行機械の鋳造所》《弱者の剣》を搭載したソプターコンボ内蔵型などバリエーションも豊富である。

 どのデッキも強いモダンだからこそ、臨機応変にデッキタイプを変えられるのは明確な強みだ。これからモダンを始めるという方がいれば、ぜひ青白の2色から入ってみてはいかがだろうか?






 いかがだっただろうか?

 今週もまた多くのカードがプレイされ、注目され、議論を呼ぶのだろう。

 次回の記事も楽しみにしていただけたら幸いである。



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