MTG Just Now! vol.48 -ヴリンの神童、ジェイス etc.-

晴れる屋メディアチーム



 情報を制す者はマジックを制す。

 特にSNSによる情報交換が盛んな現代、口コミがその後のメタゲームに与える影響は計り知れない。

 すなわち、バズってる(話題になっている)カードを知ることは、メタゲームの把握と予測の大いなる助けとなることだろう。

 当企画では、そんな「今、バズってるカード」を週刊で追っていきたいと思う。


 カードの紹介に入る前に、先週行われたイベントやマジック関連の主な出来事を簡単におさらいしよう。



【緑白トークンがグランプリ3連覇】

 先週末開催された【グランプリ・コスタリカ2016】では【世界選手権2015】の覇者でもあるSeth Manfieldが緑白トークンを操り見事に優勝を収めていた。


※画像は【MAGIC: THE GATHERING英語公式ウェブサイト】より引用させていただきました。


 緑白トークンがグランプリを勝利するのは【グランプリ・マンチェスター2016】【グランプリ・ミネアポリス2016】に続いて3回目。トップ8まで見渡せば様々なアーキタイプが勝ち残ってはいるものの、やはり環境で頭一つ抜けて強いデッキということだろう。

 また、Seth Manfieldが今シーズンのグランプリを優勝したのも2回目。1回目はつい先月の【グランプリ・ニューヨーク2016】である。



 主要な出来事はこのくらいだろうか。

 さて、それでは今大きな話題を呼んでいるカードたちを紹介しよう。



1. 《ヴリンの神童、ジェイス》

 スタンダードグランプリでは3回連続で緑白トークンが優勝を収めたが、その裏でメタゲームは徐々に変化を見せてきている。


ヴリンの神童、ジェイス


 特に、一時の流行ぶりが嘘のように数を減らしていたバントカンパニーが復権してきたことは特筆に値するだろう。バントカンパニーのキーカードといえば数多いが、汎用性の塊である《ヴリンの神童、ジェイス》はその中でも上位に君臨するだろう。



Brian Braun-Duin「バントカンパニー」
SCG Modern Classic Atlanta(5位)

4 《森》
3 《平地》
1 《島》
1 《荒地》
4 《進化する未開地》
4 《大草原の川》
3 《梢の眺望》
4 《ヤヴィマヤの沿岸》
2 《伐採地の滝》

-土地 (26)-

4 《薄暮見の徴募兵》
4 《ヴリンの神童、ジェイス》
4 《森の代言者》
4 《反射魔道士》
4 《不屈の追跡者》
3 《変位エルドラージ》
2 《巨森の予見者、ニッサ》

-クリーチャー (25)-
4 《ドロモカの命令》
4 《集合した中隊》
1 《オジュタイの命令》

-呪文 (9)-
4 《ラムホルトの平和主義者》
3 《否認》
3 《悲劇的な傲慢》
2 《石の宣告》
2 《オジュタイの命令》
1 《巨森の予見者、ニッサ》

-サイドボード (15)-
hareruya



 アメリカのプロチーム「Channel Fireball」所属のBrian Braun-Duinは【グランプリ・コスタリカ2016】でバントカンパニーを駆使して見事にトップ8入賞を収めていた。過去のバントカンパニーと比べると《跳ねる混成体》《変位エルドラージ》に変更されているなど、メタゲームに合わせたチューンナップが施されている。


変位エルドラージ


 もはや《ヴリンの神童、ジェイス》が強力なカードであることは言うまでもないが、以前よりも緑白トークンやバント人間といった除去の薄いデッキが増えてきていることから《ヴリンの神童、ジェイス》は生き残りやすくなっている。

 バントカンパニーの中~長期戦の強さを支える《ヴリンの神童、ジェイス》は、このアーキタイプが再び環境に返り咲いたことで改めて評価が高まってきている。「強いことは知っていたし使いたかったが、なかなか手に入れられなかった」という方は、今のうちに集めておきたいところだ。



2. 《先駆ける者、ナヒリ》

 マジックにはいくつかの勝利手段が用意されている。最もメジャーなものは「対戦相手のライフを0にする」、次は「対戦相手のライブラリーを削り切る」などだろうか。しかし世の中には(ルールに則って)「対戦相手の心を折って勝利する」なんて勝ち方もある。

 そして、そんな禁断の勝利手段に魅了されている”いい性格をしたプレイヤー”は決して少なくない。


先駆ける者、ナヒリ


 ここでは《先駆ける者、ナヒリ》が採用された徹底的に対戦相手の心を折る白黒赤ジャンクをご紹介させていただこう。



George White「白黒赤ジャンク」
SCG Modern Classic Atlanta(15位)

2 《沼》
1 《山》
1 《平地》
2 《聖なる鋳造所》
1 《血の墓所》
1 《神無き祭殿》
4 《血染めのぬかるみ》
4 《湿地の干潟》
4 《乱脈な気孔》
3 《黒割れの崖》
1 《断崖の避難所》
1 《幽霊街》

-土地 (25)-

2 《ゲトの裏切り者、カリタス》
1 《引き裂かれし永劫、エムラクール》

-クリーチャー (3)-
4 《稲妻》
4 《流刑への道》
2 《思考囲い》
3 《稲妻のらせん》
1 《戦慄掘り》
1 《終止》
4 《コジレックの審問》
4 《未練ある魂》
2 《苦い真理》
1 《滅び》
4 《先駆ける者、ナヒリ》
2 《ヴェールのリリアナ》

-呪文 (32)-
3 《神聖の力線》
2 《神々の憤怒》
2 《塵への崩壊》
2 《石のような静寂》
1 《ゲトの裏切り者、カリタス》
1 《ヴィズコーパの血男爵》
1 《天界の粛清》
1 《摩耗+損耗》
1 《殺戮遊戯》
1 《大祖始の遺産》

-サイドボード (15)-
hareruya



 これでもかというほど詰め込まれた妨害カードたち。強迫的なまでの除去と手札破壊によって絶対にクリーチャーに殴らせないという強い意志が感じられる。


流刑への道思考囲いヴェールのリリアナ


 アドグレイスなどのクリーチャーを使わないコンボデッキやトロンのような軸をずらして戦うデッキ相手には厳しい戦いが強いられそうだが、そこは完全に割り切ってサイドボードから勝負をする構えだ。

 この手のデッキの弱点である“相手のやりたいことを全て妨害したはいいが勝ちきれない”という弱点を補うのが《先駆ける者、ナヒリ》だ。極端な話だがデッキ内の勝利手段は「《先駆ける者、ナヒリ》《引き裂かれし永劫、エムラクール》パッケージ」だけでもいいので、他のカードは全て妨害カードにすることも可能なのである。


先駆ける者、ナヒリ引き裂かれし永劫、エムラクール


 長らく“モダンでは対応すべきアーキタイプが多すぎてコントロールデッキは成立しない”と言われていたが、《先駆ける者、ナヒリ》という軽くて強力なフィニッシャーの登場と禁止改定による環境の変化で徐々にコントロールデッキも芽吹きつつある。対戦相手の心をバキバキに折りたい! というプレイヤーは、ぜひモダンを始めてみてはいかがだろうか?






 いかがだっただろうか?

 今週もまた多くのカードがプレイされ、注目され、議論を呼ぶのだろう。

 次回の記事も楽しみにしていただけたら幸いである。



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