MTG Just Now! vol.49 -意志の力 etc.-

晴れる屋メディアチーム



 情報を制す者はマジックを制す。

 特にSNSによる情報交換が盛んな現代、口コミがその後のメタゲームに与える影響は計り知れない。

 すなわち、バズってる(話題になっている)カードを知ることは、メタゲームの把握と予測の大いなる助けとなることだろう。

 当企画では、そんな「今、バズってるカード」を週刊で追っていきたいと思う。


 カードの紹介に入る前に、先週行われたイベントやマジック関連の主な出来事を簡単におさらいしよう。



【『第6期神決定戦』が開催される】

 先週末、6月12日()には『第6期神決定戦』が開催された。見事タイトル防衛・奪取に成功したプレイヤーはこちらの4名!




 スタンダード、モダン、レガシー、ヴィンテージと4フォーマットでの試合を実況・解説付きでライブ中継。この記事をご覧になっている方の中には、「この中継を見ていたら1日が終わっていた」という方もいらっしゃるかもしれない。

 どのフォーマットも手に汗握る大熱戦の連続で、『第6期神決定戦』は神シリーズ史上最大級の盛り上がりを見せた。「見逃した!」という方にとっても、「また見たい!」という方にとっても、当日の模様を記録した【カバレージ】は必見! ぜひご覧いただきたい。



 主要な出来事はこのくらいだろうか。

 さて、それでは今大きな話題を呼んでいるカードたちを紹介しよう。



1. 《意志の力》

 先週末、チェコ共和国・プラハで開催された【グランプリ・プラハ2016】は「青白奇跡」「各種デルバー系」のオンパレードだった。


意志の力


 トップ32までを見渡すと、使用されていた《意志の力》の総枚数はなんと90枚にも及ぶ。

 「《意志の力》はレガシーの嗜み」と言われるほど広く使用されている1枚である。先週発売された『エターナルマスターズ』でも再録され、このたびめでたく日本語名が与えられた。

 トップ32までの枚数も圧巻だが、さらにトップ64まで数えるとその総枚数は174枚。使用者は44名にのぼるため、上位64名のうちの約68.8%《意志の力》を採用していたことになる。これは日本におけるスマートフォン普及率である67.4%(※)に匹敵する数値(※ソースは内閣府が公開している【消費動向調査(3月)】)

 スマートフォンは便利なだけだが、《意志の力》は対戦相手の《むかつき》《ゴブリンの放火砲》といった致命的な呪文を打ち消すことができる。マジックプレイヤーにとってどちらの方が有用かは自明の理であろう。(両方持っているとかなり便利!)




 ちなみに、Terese Nielesen女史が新たに書き下ろした美麗なアートの制作過程は、女史本人によってYouTube上に公開されている。

 見る見るうちにアートが完成していくその様子はまさに圧巻である。ぜひご覧あれ。






2. 《リシャーダの港》

 『エターナルマスターズ』に収録されなかったカードの中でも、特に今多くの注目を集めているカードがある。


リシャーダの港


 先に述べた【グランプリ・プラハ2016】でトップ8に入賞した「土地単」と、同日にアメリカ・オハイオ州コロンバスで開催された【グランプリ・コロンバス2016】のトップ8に入賞した「デス&タックス」でともに4枚採用されていた土地、《リシャーダの港》だ。


不毛の大地


 このカードの強さに関してはもはや多くを語るまでもないだろうが、《不毛の大地》と組み合わせて使用するなどして対戦相手のマナを拘束する動きは非常に強力で、レガシーではよく見られる光景となっている。

 そんなことをしたら自分も展開しにくいのでは?と思う方もいらっしゃるかもしれないが、「土地単」であれば対戦相手のゲームスピードを遅れさせて自分が土地をプレイできる回数を増やすことが実質的な勝ち筋に繋がるし、「デス&タックス」であれば自分は《霊気の薬瓶》からクリーチャーを展開できるため問題はない。

 冒頭で述べた通り、『エターナルマスターズ』に収録されなかったことからすでに各地で売り切れが続出しており、日を追うごとに入手が困難になりつつある。まだお持ちでないという方は、なるべく早く入手したいところだ。



3. 《突然の衰微》

 2マナでクリーチャーを破壊できるカードは多くデザインされている。《恐怖》《破滅の刃》といった黒の除去が代表的だろう。同様に、エンチャントやアーティファクトに触ることが可能なカードも相応の数がある。

 では、これがプレインズウォーカー相手ではどうだろう。さらには、それらすべてに対応できるとしたら?


突然の衰微


 そんな贅沢な要求にも応えてくれる1枚、それこそが“成長と腐敗”“死と再生”を掲げるギルド「ゴルガリ団」が世に送り出した《突然の衰微》である。


 『ラヴニカへの回帰』の「打ち消されない多色カードサイクル」のひとつとしてデザインされたこのカード。3マナ以下という条件はあるものの、わずか2マナで土地以外のパーマネントに対応できる除去はそうそうお目にかかれるものではない。

 その高い融通性は、多くの黒緑愛好家のハートを射止めた。意図的に強力なデザインが施される対抗色においても《突然の衰微》がもたらしたインパクトは強烈なもので、特にマナ域が低くなりがちなレガシーでは環境に少なからぬインパクトを与えることになった。

 もちろん、「突然の衰微は呪文や能力によっては打ち消されない。」の一文も重要であったことは言うに及ばない。

 この《突然の衰微》が今夏、プロモーションカードとして装いも新たに配布される。




 プロモーション版《突然の衰微》が配布されるのは、マジック最強国を決める祭典「ワールド・マジック・カップ2016」の予選大会である【ワールド・マジック・カップ予選】(WMCQ)。

 今週には【大阪予選】が、そして来月には晴れる屋トーナメントセンターにて【東京予選】が開催される。【東京予選の参加予約】は本日より開始されたので、日本代表の一員を目指すプレイヤー諸氏は早めに予約を済ませ、当日の闘いに備えよう。


ニヴィックスのサイクロプス


 余談だが、『ラヴニカへの回帰』版の《突然の衰微》で今まさに崩れ去ろうとしているクリーチャーについてご存じだろうか。憐れ破壊の憂き目にあっているのは《ニヴィックスのサイクロプス》

 「イゼット団」に籍を置く一つ目の巨人、当時のスタンダードでは【ニヴィックス・シュート】という一風変わったデッキでの採用実績もあったりするのだが、イラストの通りに《突然の衰微》は天敵であった。せっかく強化した《ニヴィックスのサイクロプス》に飛んでくる無慈悲な《突然の衰微》。今となってはいい思い出だ。

 この黒緑の除去呪文を目にしたときには、赤青のサイクロプスのことも思い出してほしい。






 いかがだっただろうか?

 今週もまた多くのカードがプレイされ、注目され、議論を呼ぶのだろう。

 次回の記事も楽しみにしていただけたら幸いである。



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