MTG Just Now! vol.51 -集合した中隊 etc.-

晴れる屋メディアチーム



 情報を制す者はマジックを制す。

 特にSNSによる情報交換が盛んな現代、口コミがその後のメタゲームに与える影響は計り知れない。

 すなわち、バズってる(話題になっている)カードを知ることは、メタゲームの把握と予測の大いなる助けとなることだろう。

 当企画では、そんな「今、バズってるカード」を週刊で追っていきたいと思う。


 カードの紹介に入る前に、先週行われたイベントやマジック関連の主な出来事を簡単におさらいしよう。



【『異界月』のプレビューウィークが開始される】

 昨日から『異界月』のプレビューウィークが開始された。




 この『Access Magic 第2話』で公開されたのはなんと2枚のカードの裏面同士をくっつける「合体」メカニズム!




 そして『アヴァシンの帰還』でも活躍していたギセラとブルーナが……




 ……合体。

 驚異の新メカニズムも発表され、ますます情報が待ち遠しい『異界月』! 他にも「現出」や「増呪」といったキーワード能力も【こちら】で紹介されているので、ぜひチェックを!

 ちなみに「合体」を持ったカードは3種類のみとのことである。(※ソースは【こちら】のページの最後のあたり)



【グランプリ・台北2016が開催される】

 先週末には【グランプリ・台北2016】が開催された。比較的日本から近い立地でのグランプリ開催ということもあって、日本からも267名ものプレイヤーが参加したようだ。

 【グランプリ・マンチェスター2016】【グランプリ・ミネアポリス2016】【グランプリ・コスタリカ2016】と3大会連続で「緑白トークン」が勝利を収めてきた中、今大会で見事に優勝を飾ったのは「バントカンパニー」操る市川 ユウキ!




 これまでの市川の経歴をざっと並べるだけでも【プロツアー『ニクスへの旅』】トップ4進出、【プロツアー『マジック2015』】トップ8進出とプロツアーで2連続上位入賞を果たし、その1年後には【グランプリ・上海2015】で優勝。そして今回の優勝である。

 なおも市川の底は知れない。このままどこまで勝利を積み重ねていくのか、今最も注目すべきプレイヤーと言えるだろう。



 主要な出来事はこのくらいだろうか。

 さて、それでは今大きな話題を呼んでいるカードたちを紹介しよう。



1. 《集合した中隊》

 『戦乱のゼンディカー』~『イニストラードを覆う影』環境の総決算とも呼べるスタンダードグランプリが幕を閉じた。


集合した中隊


 環境初期にはバントカンパニーが暴れまわり、【プロツアー『イニストラードを覆う影』】以降は《ゼンディカーの代弁者、ニッサ》《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》といった強力なプレインズウォーカーを多数擁する緑白トークンが長らく隆盛していたが、《集合した中隊》から始まった現環境を締めくくったのは《集合した中隊》だった。



市川 ユウキ「バントカンパニー」
グランプリ・台北2016(優勝)

4 《森》
3 《平地》
1 《島》
1 《荒地》
4 《進化する未開地》
4 《大草原の川》
3 《梢の眺望》
4 《ヤヴィマヤの沿岸》
2 《伐採地の滝》

-土地 (26)-

4 《薄暮見の徴募兵》
4 《森の代言者》
4 《ヴリンの神童、ジェイス》
4 《反射魔道士》
4 《不屈の追跡者》
3 《変位エルドラージ》
2 《巨森の予見者、ニッサ》

-クリーチャー (25)-
4 《ドロモカの命令》
4 《集合した中隊》
1 《オジュタイの命令》

-呪文 (9)-
4 《ラムホルトの平和主義者》
3 《否認》
3 《悲劇的な傲慢》
2 《石の宣告》
2 《オジュタイの命令》
1 《巨森の予見者、ニッサ》

-サイドボード (15)-
hareruya



 Channel Fireball所属のプロプレイヤーであるBrian, Braun-Duinが【コラムで解説】していたバントカンパニーと75枚寸分違わず同じデッキで、【優勝者インタビュー】ではMagic Onlineで28連勝という驚異的な記録を叩きだしたと語っている。28連勝といったら2回グランプリトップ8に進出できそうな成績だ。

 デッキのほとんどのカードが4枚採用されており、安定した挙動に期待できるこのデッキは環境のベストデッキと言えるだろう。また、1色多い分緑白トークン以上にサイドボードに幅を持たせることができる。


否認オジュタイの命令


 特にサイドボードに控える《否認》3枚、《オジュタイの命令》2枚はコントロールに対しても有効で、《衰滅》を弾いたり消耗戦で《ヴリンの神童、ジェイス》をリアニメイトしたりと隙のない戦いが可能となる。

 非常に強固な軸を持ったバントカンパニーは『異界月』リリース後も環境の中心として君臨し続ける可能性が高い。スタンダードのカードが軒並み手に入りやすくなっている今のうちにパーツを集めておくというのも賢い選択かもしれない。



2. 《保護者、リンヴァーラ》

 【グランプリ・台北 2016】では惜しくも優勝を逃してしまったが、準優勝という成績を収めた緑白トークン。


保護者、リンヴァーラ


 この緑白トークンのサイドボードで頻繁に見かけるカードが《保護者、リンヴァーラ》である。

 《大天使アヴァシン》にすら臆せず立ち向かうことができるサイズに加え、プレイヤーの窮地を救うべくデザインされた能力はライフゲインと増援の天使トークン生成。状況によってボーナスの有無が左右される能力ではあるが、そもそも優勢な状況ではあれば5/5飛行のスペックがそのまま勝負を決めてくれるだろう。

 そして劣勢な状況であればこそ、《保護者、リンヴァーラ》はその真価を発揮する。リソースの交換が激化するサイドボード後にこそ、このような「逆転の一手」があると心強い。


進化の飛躍


 ちなみに、クリーチャー数が絶妙に拮抗しているような状況であれば、《進化の飛躍》を用いてこちらのクリーチャー数を調整しつつ《保護者、リンヴァーラ》を探しにいくことができる。

 盤面が膠着したときこそ、積極的に狙っていこう。



3. 《末永く》

 『異界月』のプレビューウィークが開始され、「合体」メカニズムが発表された。インパクト絶大なそのビジュアルは非常にエキサイティングだが、特定のカード2枚を戦場に並べるというのはなかなか難しいようにも思える。2枚コンボだってそうそう毎回決まるようなものではないのだから……


末永く


 否。環境にはこのカードがある。たった1枚で容易に「合体」を達成させてくれる実質1枚コンボ、《末永く》だ。


血統の観察者変位エルドラージ


 『イニストラードを覆う影』環境初期の《血統の観察者》《変位エルドラージ》コンボデッキに入っており、【週刊デッキウォッチング vol.63】でも取り上げられたことがあるこのカード。


ゾンビ化


 テキストは今さら説明する必要もないかもしれないが、簡単に説明するならば2倍《ゾンビ化》といったところ。むしろ点数で見たマナコストは《ゾンビ化》×2よりも2マナ軽くなっている。




 ギセラとブルーナの2枚を釣り上げることでお手軽に「合体」。まさに「合体」のために生み出されたようなカードである。

 元々リアニメイトという戦略は黎明期から存在する非常に強力なコンボで熱狂的なファンも多く、いつの時代もスタンダード環境には釣り針と呼ばれるリアニメイト呪文があった。


堀葬の儀式オブゼダートの救済エレボスの鞭


 『異界月』で《悪夢の声、ブリセラ》という最強のフィニッシャーが登場したことで、これからは《末永く》が末永く環境に君臨するようになるかもしれない。






 いかがだっただろうか?

 今週もまた多くのカードがプレイされ、注目され、議論を呼ぶのだろう。

 次回の記事も楽しみにしていただけたら幸いである。



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