コマンダー塚本の統率者最前線! vol.32 -イソノー!1v1 Commanderやろうぜー!-

塚本 樹詩

 Magic Online (以下MO) で1v1 Commanderなるものが実装され、世間は賑わいをみせていますね。晴れる屋でもルーカス・ブローン / Lukas Blohon氏が記事を上げて称賛するほどで、普段統率者戦を遊んでいない人の反応も多いように感じています。

 この反応は統率者戦プレイヤーとして非常に嬉しく、これを機にもっともっと人口が増えればと思い、今回の記事では1v1 Commanderがどういったフォーマットなのか紹介していこうと思います!

 1v1 Commanderはライフ30で1対1の統率者戦を行うというもので、過去にあったデュエルコマンダーがルール整備された印象を受けます。

 禁止カードが統率者戦と異なるので、まずはその違いを比べてみましょう。


統率者・1v1 Commander両方で禁止のカード
(2017年6月19日現在)

《Ancestral Recall》
《Time Walk》
《Black Lotus》
《Mox Pearl》
《Mox Sapphire》
《Mox Jet》
《Mox Ruby》
《Mox Emerald》
《Library of Alexandria》
《天秤》
《上位の空民、エラヨウ》
《修繕》
《企業秘密》
《けちな贈り物》
《陰謀団の先手ブレイズ》
《グリセルブランド》
《ヨーグモスの取り引き》
《ラノワールの使者ロフェロス》
《Fastbond》
《チャネル》
《生命の律動》
《限りある資源》
《絵描きの召使い》
《Time Vault》
《カラカス》
《トレイリアのアカデミー》

 こちらの26種類となっています。いつもの面々ですね。続いては、1v1 Commander限定の禁止カードを見てみましょう。


1v1 Commander限定の禁止カード
(2017年6月19日現在)

《セラの高位僧》
《謙虚》
《Moat》
《アーカム・ダグソン》
《Mana Drain》
《基本に帰れ》
《宝船の巡航》
《時を越えた探索》
《納墓》
《精神錯乱》
《最後の審判》
《ネクロポーテンス》
《放浪の吟遊詩人、イーサーン》
《変幻の大男》
《ドルイドの誓い》
《食物連鎖》
《トレストの密偵長、エドリック》
《浄火の戦術家、デリーヴィー》
《結界師ズアー》
《魔力の墓所》
《太陽の指輪》
《魔力の櫃》
《師範の占い独楽》
《露天鉱床》
《Mishra's Workshop》
《ガイアの揺籃の地》
《Bazaar of Baghdad》
《The Tabernacle at Pendrell Vale》

 上記28種類となっています。

魔力の墓所ガイアの揺籃の地

 大まかに分類すると4つのタイプに分かれていて、1つ目の分類となるのは《魔力の墓所》《太陽の指輪》《魔力の櫃》といった統率者ではお馴染みのマナ加速アーティファクト《Mishra's Workshop》《ガイアの揺籃の地》といった1枚で複数のマナを生みだせる強力な土地。

 これらのカードが禁止されているため序盤の展開に差が付きにくく、アーティファクトだけを破壊する呪文や《不毛の大地》の効果も多人数戦に比べて効果的とは言えなくなっています。そもそもマナ基盤を縛る系のカードからも《露天鉱床》《基本に帰れ》といった禁止カードが出ているので、統率者戦とは違ったゲーム展開のフォーマットとなっています。

浄火の戦術家、デリーヴィー結界師ズアー

 続いて2つ目のグループ。1v1 Commanderでは、統率者戦で威圧的な統率者と称され禁止されている《ラノワールの使者ロフェロス》《陰謀団の先手ブレイズ》といった危険な面々に何名かの伝説のクリーチャーも加えられています。

 デュエルコマンダーで猛威を振るった《浄火の戦術家、デリーヴィー》を筆頭に、《結界師ズアー》《アーカム・ダグソン》《浄火の戦術家、デリーヴィー》《トレストの密偵長、エドリック》《放浪の吟遊詩人、イーサーン》と、統率者戦では現役バリバリで暴れているクリーチャーたちが禁止となっています。

 1対1の対戦では出すだけで試合展開が大きく傾くようなクリーチャーが常に統率者として設定されているとゲームバランスが崩れてしまうので、上記のように最低限の制限はありますが、このことから統率者の存在がかなりゲーム展開に響くフォーマットだということがわかりますね!

最後の審判食物連鎖

 3つ目のグループでは、1枚でお手軽コンボを生み出せる《最後の審判》《食物連鎖》といったカード1枚で容易にアドバンテージを得ることができる《Bazaar of Baghdad》《宝船の巡航》といったカードが。統率者と同様に1枚でゲームが傾くのを嫌うような傾向の禁止となっています。この中で特筆すべきは《師範の占い独楽》の存在!!

師範の占い独楽

 このカードが禁止となっているだけでスムーズに試合が進行しそうでよいですね!!

謙虚基本に帰れ

 最後となる4つ目のグループでは、相手の行動を著しく制限するカードが名を連ねます。今までの禁止カードの傾向を見ると、展開力にある程度のブレーキがかけられ派手すぎるコンボも決められなくなっているので、相手の足元を掬い過ぎてしまうカードも禁止にすることよってバランスを取っているようです。

一体どんなカードが強いの?

 多人数戦では許されていたようなカードが大幅に禁止され、個人戦のフォーマットでも使えないようなカードももちろん禁止にされているので、単体で高いカードパワーを持つものが活躍しやすいフォーマットとなっています。

 そして勝っているデッキの傾向を見る限りでは、安定性の高い1対1交換できるカードと、禁止に引っかからない程度のアドバンテージを得るカードが強いという印象を受けました。

 わかりやすく言えばレガシーやモダンなどの個人フォーマットで見かけるようなパワーカードは強い!ということですね。逆に個人戦になったとは言え、1種類のカードは1枚しかデッキに入れることのできないハイランダー戦ではシナジーを形成するようなカードでデッキを組むのは難しいように思えます。

対抗呪文思考囲い

 このフォーマットに興味があるけど、最初はどうしたらいいのかわからないというプレイヤーは、デッキ構築に困ったら《対抗呪文》《思考囲い》といった呪文や、この2枚に似た役割を持つカードをたくさんデッキに入れるのがおススメです。

 MOで勝っているリストや他の記事のリストを見た感じでは青が最強色といっても過言ではないくらい真っ青でしたので、そういったデッキにどう対抗していくかを意識してゲームをプレイするのが上達のコツとなっています。

ずばり、このフォーマットの魅力を探ろう!!

 初めてのフォーマットをプレイするにあたって、みなさんは何を重要視しますか?僕はいつもそのフォーマット内でのみ活躍できそうなカードがどれくらいあるのか?にフォーカスをあててデッキを組んでいます。

 というのも僕が統率者戦にのめり込んだ理由の内の1つに《Timetwister》が使えるというのがありまして、普段使えないカードが使えるのはそのフォーマットをプレイするにあたって最大の魅力と感じられる大事な要素ではないでしょうか?

Timetwister

 ということで統率者戦では禁止されているが1v1 Commanderでは解禁されているカードを1枚ずつ考察していこうと思うので、この中からビビっと感じたカードを元にデッキを組んでみると1v1 Commanderというフォーマットをより味わい尽くせるのではないでしょうか?デッキを組む指針になれたら嬉しいです!

《合同勝利》

合同勝利

 多人数戦では1枚で即勝利となるカードは危険なので使えなくなっているこの呪文ですが、マナコストも重く勝利条件も厳しいため1対1の戦いでは大した脅威ではないということで解禁されています。

 基本土地のタイプを揃えることは簡単なのですが、全ての色のクリーチャーをコントロールする方は難しそうですね。《衝合》でキーカードをかき集めながら《全知》《輝く根本原理》《ドリーム・ホール》《苔汁の橋》といった踏み倒しカードで何とか《大祖始》と一緒にプレイすれば勝てますが、これらの手段を使うならば別の勝ち手段を探した方が早そうなので、追加の踏み倒し要素としてサブプラン程度に考えておくのが良さそうですね。

《トレストの使者、レオヴォルド》

トレストの使者、レオヴォルド

 名立たるレジェンドたちが軒並み禁止になっている中でなぜか!1対1の戦いでも閉鎖感の強いこのクリーチャーが使用可能となっています!!《Timetwister》《意外な授かり物》のようなお互いに大量ドローするカードと相性抜群となっていますが、《秘儀の否定》などのカードを美味しく使うことができるのもいいですね。

意外な授かり物秘儀の否定

 タイマンの戦いでは最初から相手の関心が自分にしか向かないので、強い統率者を使うのはそれだけで単純なメリットとなります。大人数から狙われることもありません!まさに使い得とはこのこと!!僕は常にこういったただ強カードに虐げられてきたので、1v1 Commanderでは常に《突然の死》のような対抗手段を携えて挑みたいと思っています!

《クルフィックスの預言者》

クルフィックスの預言者

 対戦相手の数だけ手数が増やせる多人数戦ならではの強さを持ったクリーチャーですが、1対1の戦いでは相手のターンは一度しかこないので大した恩恵も受けられないことから解禁されています。

 しかし、いざ出てしまえば実質相手のターンも自分のターンのように動けてしまうので、相手を圧倒することも簡単そうに思えますね!!伝説のクリーチャーではないので統率者に設定できないため、安定して運用するためのカードも併せて使うことになりますが《覚醒》《予期の力線》といった類似カードも多々あるので、コンセプトとして成り立たせることができそうですね!

覚醒予期の力線

 相手のターンにクリーチャーが全てアンタップする状態が実現しやすいのであれば《対立》が火を噴きそうですね!!

《星の揺らぎ》

星の揺らぎ

 これまた1対1においてはマナコストも重く、呪文の効果を受けるプレイヤーも2人しかいないので解禁されたカード。唱えられたとしても自分のパーマネントもなくなってしまうので、このカードを唱えた後にどうすればよいのかと疑問に思う人も多いのではないでしょうか?

 このカードによって手札とライフが7となるので、手札の分ダメージを与えるカードと組み合わせれば勝てます!!その中で一番使いやすそうなカードは《ルーン炎の罠》!!《星の揺らぎ》に加えて(赤)マナだけで唱えることができるのです!!

ルーン炎の罠

 一番の問題は《星の揺らぎ》の効果の処理中に山札がシャッフルされてしまうので、山札操作ができずに《ルーン炎の罠》を引き入れるのが難しいという点ですが、決まると気持ちいいのは間違いなさそうですね!!確実に決めるためには《ルーン炎の罠》でなく《大いなるガルガドン》のような「待機」クリーチャーと併用するのがよさそうなのでは!?

《激動》

激動

 今までの解禁カードで何となく傾向がわかってきたプレイヤーも多いのでは?と思わせる次のカードは《激動》。歴史に倣えば《サイカトグ》《ゾンビの横行》のようなカードと組み合わせるのが黄金パターンです。しかしその2枚だけだと少ないので、追加の相方として《歪んだ愛着》《ヴリンの神童、ジェイス》といったカードも追加するとより旨味を味わえそうですね!!

サイカトグゾンビの横行歪んだ愛着ヴリンの神童、ジェイス

 土地以外のパーマネントをなるべく使わないような構成にして、自分だけ《マナ結合》で即リカバリー!なんてのも面白そうです。

《世界火》

世界火

 待っていました!《世界火》が使える世界線がきた!!《メムナイト》《ドライアドの東屋》を山札の上に仕込んで《世界火》を打てば勝ち!!

メムナイトドライアドの東屋

 《はらわた撃ち》を唱え、それに対して《否定の契約》を打って、更にその《否定の契約》に対して《呪文変容》を打ち山札の上が《世界火》だったらあああああああああああああああ!!!!カカオさああああああああん!!!!!

《原始のタイタン》

原始のタイタン

 多人数戦では序盤に出てしまうだけで他のプレイヤーと圧倒的な差がついてしまうということで禁止されたこのカードですが、1v1 Commanderの性質上、脅威とはならないため解禁となっていますね。

 対戦相手は1人しかいないので《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》の他にも《ケッシグの狼の地》《闘技場》などを持ってきて盤面での優位を築くのが強そうですね。長期戦に備えて《ウギンの目》なんかもおススメ!!

《森林の始源体》

森林の始源体

 《原始のタイタン》と同じく多人数戦ならでは強さを持ったカードですが、1対1では脅威とみなされず解禁されています。

 こういった緑の巨大生物にすぐアクセスできるカードとして《騙し討ち》《劇的な入場》《獣の統率者、ガラク》といったカードがあるので、《原始のタイタン》《森林の始源体》の他にもデカブツをたくさんデッキに入れて使うと高い爽快感を得ることができるのではないでしょうか!?

騙し討ち劇的な入場獣の統率者、ガラク

 打ち消し呪文が横行する環境ならば《ザンティッドの大群》《すべてを護るもの、母聖樹》《召喚の罠》のような対抗手段も併せて採用するのを忘れずに!!

《隔離するタイタン》

隔離するタイタン

 多人数戦での影響が強いとはいえ、上記のカードに比べて1対1においても十分な脅威となるであろうこのカードが解禁されています。アーティファクトであることから出せる手段も豊富なので、多色デッキに対しては相当なキラーカードとなること間違いなしでしょう。

 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》《広がりゆく海》と併せることによって壊せる土地の枚数を増やすと更に気持ちいいですよ!

《繰り返す悪夢》

繰り返す悪夢

 1v1 Commanderでは《納墓》は禁止とされているものの、他に《生き埋め》《適者生存》といったクリーチャーを墓地に送る手段はあるので《繰り返す悪夢》が使えるのであれば《明けの星、陽星》《影武者》を交互に復活させるだけでお手軽ロックができそうですね!!

明けの星、陽星影武者

 青が強い環境ならば《エメリアの盾、イオナ》を一本釣りするだけでそのまま勝てそうなところもいいですね!!他にも《巨大鯨》《パリンクロン》といったフリースペルのクリーチャーや《ギックスの僧侶》《黒玉の大メダル》と組みせることで無限マナを生みだすことができるので、解禁されたカードの中では最も遊び方の広い楽しいカードなのではないでしょうか!?

巨大鯨パリンクロンギックスの僧侶黒玉の大メダル

 従来こういったリアニメイト呪文はインスタントやソーサリーに多いのですが、《繰り返す悪夢》はエンチャントであるため《悟りの教示者》《アカデミーの学長》といった白のカードでサーチできます。そのため黒を主体としてサブカラーに白を含む場合は、こういったカードの力を借りるとよりスムーズにデッキが動くようになりますね。

《一望の鏡》

一望の鏡

 統率者戦で禁止されていて他のフォーマットでもあまり見かけないこのカード。簡単に説明するならば、《時間のねじれ》を「刻印」するだけで無限ターンが実現するアーティファクトです。おそらく組み合わせて一番強いであろう《アーカム・ダグソン》が禁止とされていて、「刻印」してから発動までのラグもあるので1v1 Commanderで使いこなすには難しそうなカードですね。

 しかし無限ターンには夢が詰まっているので《時の篩》《時間の熟達》《Transmute Artifact》《財宝発掘》といったカードを使って無理やり実現するのも面白そうですね!「刻印」する呪文は《時間のねじれ》だけでなく《祖先の幻視》のような0マナの呪文を使うのも楽しそうなので、とにかく未知の可能性を秘めた《一望の鏡》を一度試してみてはいかがでしょうか!?

《引き裂かれし永劫、エムラクール》

引き裂かれし永劫、エムラクール

 そして最後は説明不要のラスボス!《引き裂かれし永劫、エムラクール》!!

 1v1 Commanderなのでターンを得て「滅殺」ができれば簡単に勝つことができるでしょう。通常プレイでなく踏み倒して使っても強いので《変身》と組み合わせたコンボが既に実績をあげているようです。

 が、せっかくなら打ち消し呪文を構えている相手に叩き付けてやりたいので、自分が使うならマナ加速からドーン!!と出すようなデッキを組むと思います。統率者を《引き裂かれし永劫、エムラクール》にして後はマナ加速に徹する!といったデッキも面白そうですね!!

まとめ

 MOで実装されたフォーマットではありますが、1対1のフォーマットなのでラウンドの合間に2人だけでササッと遊べそうですし、統率者フリークのみなさんは実際にデッキを作って遊んでみてはいかがでしょうか?

 禁止・解除のカードが異なるので、統率者戦に精通されているプレイヤーでも新鮮さを感じられると思います!!現実世界で素晴らしいデッキができたのであれば、それはMOで勝ち散らかしてウハウハできるチャンスにも繋がるのでは!?今後のグランプリのサイドイベントで開催されるようになり、もっと普及したら人口が増えてさらに楽しくなりそうですね!!1v1 Commanderの未来に期待しつつ、今回はここまでとなります!

 それでは、また来月!!

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