プロツアー・マーベル17位!リミテッドの攻略とネオブランドの選択【スポットライト&プロツアー2連戦レポート】

平山 怜

はじめに

こんにちは。Hareruya Prosの平山(@sannbaix3)です。

今回はアメリカのラスベガスで6月27日-28日に開催された『Magic Spotlight: Marvel Super Heroes』と、オランダのアムステルダムで7月17日-19日に開催されたプロツアー『マジック:ザ・ギャザリング | マーベル スーパー・ヒーローズ』の参加レポートになります。

『Magic Spotlight: Marvel Super Heroes』

プロツアー参加を目指すにあたって、テーブルトップの権利獲得方法は年3回の『チャンピオンズカップファイナル』と、『マジック・スポットライト・シリーズ』でのトップ8しか方法がありません。

国内のスポットライト・シリーズは年1回であるため、プロツアー権利を獲得するチャンスは合計年4回ということになります。

ただ、もう少し積極的にチャンスを増やしたいと思ったので、今年は海外のスポットライト・シリーズに参加することにしました。

とはいえ、500人以上参加する大会でトップ8に入ることは当然相応に難しく、国外に遠征する場合は航空券や宿泊費を考えると期待値は非常に低いです。

そこで目をつけたのが、ラスベガスで開催される『Magic Spotlight: Marvel Super Heroes』です。

フォーマットは「チームリミテッド」。

古来より技術介入度が非常に高いフォーマットとして有名です。

過去の国内で開催されたチームリミテッドのグランプリの結果を見れば、それは明らかでしょう。

つまり、個人戦では厳しくても、優秀なチームメイトを見つけられれば夢があるということです。

ミッドガルの傭兵、クラウド

そしてなにより、「ユニバースビヨンド」セットのスポットライト・シリーズ。昨年開催された日本のスポットライトでの《ミッドガルの傭兵、クラウド》ドリームを思い出させてくれます。

私自身は馴染みがあまりないとはいえ、マーベルは大人気IP。キャプテン・アメリカやアイアンマンなど、きっとプロモにも期待できるはずです(※)。

(※航空券の予約など準備段階ではプロモはわからず。最終的にプロモは《ザ・ハンドのくノ一、エレクトラ》に。これがどうなのかは言及しません)

というわけで、チームリミテッドに最も必要なのは一緒に出るチームメイト。ラスベガスに旅立つ同士を、普段からマジックで遊んでいるチーム「常勝集団MSD(@winningmsd)」内で募集します。

わざわざラスベガスに行くのですから、私をキャリーしてくれるくらいの気概を持つ仲間が求められています。

最終的に捕まえたのはこの2人。

殿堂プレイヤー。常にラスベガスにポーカーをしに行く言い訳を探しているので、誘ったら来てくれることは確実。

リミテッドの腕も国内屈指、チームリミテッドのグランプリで多数入賞経験ありと、チームメイトとしてこれ以上ない頼もしさです。誘えば必ず来てくれる確信もあり、修平さんがいたことが、このスポットライトへの参加を決意した一番の要因です。

元マジック・プロリーグ(MPL)の強豪。プロツアー予選が開催されるMagicConや海外のスポットライトにも積極的に遠征するプレイヤーです。「行くよね?」と何度か押したら首を縦に振ってくれました

というわけで、私より強そうな2人を無事確保できたのでラスベガスへ。さすがにもらったか……。

事前準備

今回の大会の開催日は、なんと『マジック:ザ・ギャザリング | マーベル スーパー・ヒーローズ』の発売日。プレリリースから練習できるとはいえ、実質的な練習期間は1週間しかありません。

MTGアリーナやMagic Onlineでの実装は水曜日からで、1日は移動でつぶれるので練習時間は非常に限られています。

チームリミテッドは、12パックから3人分のデッキを作成するフォーマットです。12パック使えるため、基本的に通常の6パックを使用する個人シールドよりはデッキが強くなり、完成するデッキはドラフトデッキくらいの強さになりやすいといわれています。

なので、オンラインのドラフトでリミテッド環境を把握しつつ、12パックからどういうデッキを組むかを主に練習しました。

そして、デッキはだいたい以下の3~4種類のデッキから選ぶことになると結論づけました。

1. 白系デッキ

修行中のヒーローS.H.I.E.L.D.のエージェントワカンダのドローン部隊

プレリリースの段階から、このセットでは白が飛びぬけて強いことがわかっていました。白は優秀なコモンの数が圧倒的で、練習したすべてのプールで白を軸にしたデッキが作成できました。

2. 黒系デッキ

ヒドラの支配者、バロン・ストラッカーマダム・マスク邪悪なる行い

悪人を主体にした黒+1色のデッキ。《マダム・マスク》のような優秀なシステムやレアがいないと黒のクリーチャー群は貧弱に見えたので、出た場合は使い、出なかった場合は除去を白系のデッキに入れる想定でした。

3. 緑系デッキ

潜伏スクラルペット・アベンジャーズハジけたるでぇ!

《潜伏スクラル》から《ペット・アベンジャーズ》などの4マナ域につなげるデッキ。緑はクリーチャーサイズが優秀なうえに、《ハジけたるでぇ!》のような優秀な除去もそろっています。

高コストクリーチャーはコモンからレアまで選択肢が豊富なものの、欠点は《潜伏スクラル》の依存度が非常に高いことです。プールに何枚《潜伏スクラル》が出るかが、デッキの完成度に大きく影響すると結論づけました。

4. 青赤アーティファクト

油圧式お助けロボマシンマスター、アイアンマンS.H.I.E.L.D.展開ドローン

青赤のテーマであるアーティファクト・クリーチャーを主軸にしたデッキ。理想的な流れは《油圧式お助けロボ》から《マシンマスター、アイアンマン》のような4マナクリーチャーにつなげることで、それ以外でも《S.H.I.E.L.D.展開ドローン》などを用いた飛行ビートダウンも有力です。

デッキは熊谷さんが白いデッキを使用、中村さんがおおむね緑、私が黒か青赤のデッキを使用する想定でした。

初日

中村 – 緑青

熊谷 – 赤白

平山 – 青黒タッチ赤

初日は7-1でフィニッシュ。

初日は写真の通りのデッキに。《地球の守護者、キャプテン・マーベル》のようなボムがありつつも、そこまで強力なプールではないと思っていましたが、修平さんが個人7-1したこともあり好成績に。

ザ・ハンドのくノ一、エレクトラ

上位入賞の《ザ・ハンドのくノ一、エレクトラ》のFoilは確定、トップ8もかなり狙えるポジションです。わざわざアメリカまで来た我々は“覚悟”が違いますからねぇ。

2日目

中村 – 緑青

熊谷 – 白黒

平山 – 青赤タッチ白

2日目は0-5、あれ?

トップ8どころか追加の賞金も獲得できず、涙の敗走です。

負けの要因になったのが白黒と青赤。

白黒は入っているカードの点数こそ高いものが多いものの、ゲームを決めきる力が低かったです。

金色の守護者、セントリー

最終的に《金色の守護者、セントリー》に頼らざるを得ない状況が多発するものの、デッキが強い傾向にあるチームシールドでは、相手のデッキにも的確な除去が入っていることがほとんどで逆に負け目になることも。

今では《金色の守護者、セントリー》は対処手段が豊富なため、相手に合わせてサイドインする程度のカードという認識ですが、当時は《金色の守護者、セントリー》が対処されなかったときのイメージに引っ張られすぎました

キャプテン・アメリカの盾

青赤は単純にデッキのバランスが悪く、《キャプテン・アメリカの盾》でごまかそうとするもうまくいかず。

黒赤

白青

緑青タッチ赤

終了後に検討した結果、このようなデッキ構成がよかったという結論になりました。

マダム・マスクアベンジャーズ:アンダー・シージ

キーとなったのは黒赤。本番中も似た構成を並べはしましたが、ドローの少なさから《マダム・マスク》を誘発させづらく、《アベンジャーズ:アンダー・シージ》も過小評価していました。

愛のヴィジョンロキ・ラウフェイソンアベンジャーズ:アンダー・シージヒドラの戦闘員

実際は《愛のヴィジョン》を入れることで《マダム・マスク》問題はある程度解決(《ロキ・ラウフェイソン》のコピー先が増えるメリットもあり)。《アベンジャーズ:アンダー・シージ》もかなり強力なレアです。

それに加え、黒はコモンでは殴り勝てないと思い込んでいましたが、《ヒドラの戦闘員》はうまく墓地にクリーチャーを溜め込めれば十分ゲームに勝てるスペックでした。

翼を持つ戦士、ファルコン成長中の魔術師、ウィッカンヴィジョン・クエスト

そして、白系のビートダウンに青の飛行クリーチャーを入れることで白も勝てるデッキに。余った青赤の強力なレアである《ヴィジョン・クエスト》は緑にタッチすることで緑も強化。

こうすることで、全員のデッキが強くなるはずでしたが、盛大に組み間違えてしまいました。納得の敗北です。

反省点は、練習時間が短く、練習を主にデッキの色のパターン決めなどに費やしていたため、各カードの評価をファーストインプレッションから変えられなかったことです。

対戦は主にMTGアリーナのドラフトで行ったため、完成度の高いデッキのイメージはある程度できたものの、コモンなどをうまく使ったデッキのイメージが作れませんでした。

プロツアー『マジック:ザ・ギャザリング | マーベル スーパー・ヒーローズ』

5月の『チャンピオンズカップファイナル シーズン4ラウンド3』で17位だったことで、繰り下がりによる奇跡の権利獲得ができたため参加。2025年2月の『霊気走破』ぶりのプロツアーです。

練習は森山真秀さんをリーダーとするチーム「森山ジャパン」で行いました。今回は森山ジャパンの関係者が多く、総勢15人の大所帯です。

プロツアーのフォーマットは「ドラフト」と「モダン」です。

それぞれについて、自分の結論を記します。あくまで私個人のドラフトやモダンに対する所感であり、チーム全体の考えではないです。

事前準備:ドラフト編

スポットライトと同じく『マジック:ザ・ギャザリング | マーベル スーパー・ヒーローズ』でのリミテッド環境です。

練習は「森山ジャパン」でのドラフト合宿と、世界中のプロツアー参加者が集まることで有名なMagic Onlineの「Single Elimination Draft」で行いました。

MTGアリーナのラダーと違い、ドラフトをピックした卓内でBo3で対戦するため、より本番に近い状態で練習できます。

それゆえにプロツアー参加者が集まりやすく、ドラフトのレベルも高い状態になりやすいです。プロツアーに参加する人には、おすすめの練習場所ですね。

いろいろやった結果、以下の通りに。

色の強弱は以下のような感じだと思っています。

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白が圧倒的に強く、赤が最も弱い色です。それ以外の色は一長一短で、それほどの差はありません。

こういった環境のとき、今までの経験上だと本番では人気が白に殺到します。そのため、白以外でもしっかり戦略を立てられるようにしなければなりません。

私的にこのセットは、赤を除く4色は単色でデッキの指針を決めることができるため、まずメインとなる1色を確定させ、そのあとふんわり2色目を決めるようにしました。

今回は弱カラーの赤を含む組み合わせもすべて許容できたので、切り捨てる色の組み合わせはなしです。自由に2色目を選択できます。

各色の感想とやりたい戦略は大まかに以下の通り。

1. 白

白は英雄を中心とした色で、器用な上にカードパワーの高い色です。レアの総数もほかの色より多い優遇っぷり。白にいけるのが基本的には一番嬉しいです。

デッキリストページ

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組み合わせ自体は比較的何色でもいいですが、なかでも装備品シナジーが強力な白黒と、色が弱いがゆえにレアや除去が流れてきやすい赤白が好みです。

白をやるプレイヤーは、ほぼ確実に卓内に複数人います。避けられない以上、大事なのはポジション取りです。

仮に上の席が白をピックしていても、自分で白いカードを取りきって下のプレイヤーを白からおろせれば、2パック目の返しのパックで十分白いカードをとることができます。

卓内で白いデッキのプレイヤーが連続する場合でも、その端に座ることが、白いデッキをピックする上でのコツです。

しかし、基本的にはこれほど強力な色は決め打ちを敢行するプレイヤーも多いので、ボムレアを引くか流れてきたらやるくらいの感覚です。

2. 黒

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悪人を中心とした色です。スポットライトでの反省を活かして、《ヒドラの戦闘員》でアグロする構成を多く練習しました。

ヒドラの戦闘員

《ヒドラの戦闘員》は非常に安いカードで、よく1周を期待できるカードです。それで勝ち筋を確保できるならば、レアの出に振り回されることも減りますし、強力なカードをピックできる序盤の手順を除去に費やすことができるため、バランスのいいデッキが組みやすいです。

白が英雄を中心としているため、少しかみ合いが悪いですが、それ以外のどの色でもこの戦略が狙えるのも魅力です。

3. 青

氷漬けS.H.I.E.L.D.展開ドローン未来主義者の鍛冶場

《氷漬け》のような除去、《S.H.I.E.L.D.展開ドローン》などの優秀な飛行クリーチャーに加え、《未来主義者の鍛冶場》のようなドローソースもそろっている万能な色です。

とはいえ、質は白ほど高くなく、環境最強の色の組み合わせが「白青」なことも相まって、過剰に人気な色である印象です。なので、ほかの色よりはやる機会が少なく感じます。

ジャスティス、ヴァンス・アストロビク巨大な飛行蟻

青が主軸のデッキは、《ジャスティス、ヴァンス・アストロビク》《巨大な飛行蟻》を活かした飛行ビートか、青赤のアーティファクトデッキになる印象です。

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4. 緑

潜伏スクラルハジけたるでぇ!ペット・アベンジャーズ

《潜伏スクラル》《ハジけたるでぇ!》の超強力なコモン2種と、《ペット・アベンジャーズ》のようなスタッツのいいクリーチャーの組み合わせで戦う戦略です。

《潜伏スクラル》をしっかり取れれば、2色目は何色でもこの戦略はとれますし、他色のレアもタッチしやすいです。

欠点は相変わらず《潜伏スクラル》に大きく依存している点で、《潜伏スクラル》が取れないパターンでは低マナ域を埋めづらいです。緑白であれば、白の優秀な2~3マナ域で序盤を埋めることができるため安心です。

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5. 赤

このセットで最弱の色で、ほかの色と違い、赤を主体にデッキを作ることが難しいです。

私立探偵、ジェシカ・ジョーンズ稲妻の一撃リパルサー・ブラスト

実際赤をとらない戦略をとるプレイヤーもそれなりにいそうですが、アンコモン以上には《私立探偵、ジェシカ・ジョーンズ》のような強力なカードも多いですし、除去を遅い手番で確保できる色なので、完全に捨てるのはもったいないと感じています。

赤をデッキの主軸にはできないため、赤いカードからピックを始めた場合は2色目の見極めが大事です。

アトラスのエージェントS.H.I.E.L.D.のエージェント

赤に致命的に足りていないのは2,3マナ域のクリーチャーなので、本当に赤いカードしかとれず迷子になった場合は、白に突っ込んで《アトラスのエージェント》《S.H.I.E.L.D.のエージェント》などでマナカーブさえ埋められれば及第点のデッキになります。

総合するとこんな感じでしょうか?

・白はいけたらいく(決め打つほどの覚悟はない、つまり基本いけない)。

・理想は赤以外の色を主軸に取りたい。

・「絶対にやらない色」や「絶対にやらない色の組み合わせ」はなし。

練習期間中のMagic Onlineでのドラフトの合計戦績は27勝6敗、勝率約80%でした。

シングルエリミネーションであるため、勝てるデッキは3-0するが、0-3デッキは0-1で終了するため、勝率は通常より高く出やすいものの、かなり自信がありました。

事前準備:モダン編

オパールのモックスピナクルの特使河童の砲手

《火の怒りのタイタン、フレージ》《睡蓮の原野》禁止以降、最強デッキと目されていたのは「イゼット親和」です。

親和は、爆発力が高いものの、明確なメタカードが多いデッキです。「シミック律動」「イゼット果敢」のように、最近のプロツアーでは環境筆頭デッキは過剰に対策される傾向にあります。

実際プロツアー直前は親和に有利な「繫殖鱗コンボ」が人気を増していました。

私自身のデッキ使用候補は以下の3つでした。

エスパー御霊

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ここ1年くらい、モダンで一番気に入っているデッキです。

超能力蛙量子の謎かけ屋

一見するとコンボデッキに見えますが、実際は《超能力蛙》《量子の謎かけ屋》を主軸としたフェアデッキです。

思考囲い致命的な一押し御霊の復讐

《思考囲い》や除去で相手に干渉する手段が豊富であり、《御霊の復讐》コンボで押しつける力も相応にあります。

欠点は目下最強の親和に不利なことで、それ以外はあまり問題に感じることはありませんでした。

長く使っていることもありデッキに慣れているとはいえ、以下の理由から最終的に断念しました。

・当日の親和の数が予想しづらく、大外れデッキになる危険性がある。

・Magic Onlineで主流のエスパー御霊は《ファラジの考古学者》を採用したミラーに強い型であり、自分が使いたい《量子の謎かけ屋》型だとミラーで遅れをとりやすい。

八百長エルドラージ

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「プロツアーで初めて見た」という方もいるかもしれませんが、元デッキは海外の有名配信者aspiringspikeさんが作成したデッキです。

使用率が確実に少ないにもかかわらず、Magic Onlineの大会でそれなりに結果を残していたため注目していました。

まどろみのトラッジ八百長試合ロナスの狂信者約束された終末、エムラクール

《まどろみのトラッジ》+《八百長試合》の高速コンボと、《ロナスの狂信者》やエルドラージ要素を合わせたランプ戦略の2軸で戦えるデッキです。

《運命を貪るもの》を抜くなど、デッキの改善も進みいいリストになりましたが、以下の理由で後述する「ネオブランド」にデッキを決定しました。

・マナベースが非常に弱い。

・親和に有利な繫殖鱗コンボなどにそこまで強いわけではなく、想定するメタゲーム的にネオブランドのほうが優れていると感じた。

ネオブランド

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チームメンバーの市川さんのお気に入りデッキで、メタゲーム上の立ち位置が良いとのこと。

実際メタゲーム上位の「ボロスエネルギー」「イゼット親和」に対して相性がよく、これらに有利で増えそうな「繫殖鱗コンボ」系デッキにも大きく有利です。

否定の力思考囲い

《否定の力》《思考囲い》の入った「エスパー御霊」のようなデッキが特に苦手ですが、前述の通り親和が厳しいデッキなのでそこまで数がいなさそうだと判断しました。

初日

ドラフト

初日のドラフト卓はこちら。上家はプロツアー『ローウィンの昏明』準優勝などで有名なToniさん、下家は同じ森山ジャパンのチームメイトでプロツアー優勝経験のある黒田さんです。“プロツアーに来た”という感じがしていいですね。

フィン・ファン・フームフォトン・ブラスト一斉射稲妻の一撃

1パック目の初手(1-1)は《フィン・ファン・フーム》。赤いカードのなかでも強力なシステムクリーチャーです。

そのまま1-4あたりで《フォトン・ブラスト一斉射》、1-6あたりで《稲妻の一撃》ととれたので、赤に着席。

できれば赤白がいいと思いつつも、残り9枚くらいのパックから白いカードが全然見えず。やはり、白の人気がうかがえる流れです。

ワンダゴアの騎士

残り数枚のところで《ワンダゴアの騎士》が連続で流れてきたことから、2色目は緑に目星をつけます。

ティ・チャラ王ハジけたるでぇ!ガンマ線の巨人、ハルク

2-1で《ティ・チャラ王》を唇を噛みしめながら流しつつも《ハジけたるでぇ!》2枚や《ガンマ線の巨人、ハルク》など優秀なカードをピック。《潜伏スクラル》がいないため2マナ域に不安が残りますが、比較的順調です。

1パック目の流れ的に3パック目は赤も緑も期待できそうだと思っていましたが、大したカードをとれずそのまま終了。

ペット・アベンジャーズ

2パック目の《ハジけたるでぇ!》を取ったパックで《ペット・アベンジャーズ》などの優秀な緑のカードを流していたので、色を決めかねていた上のプレイヤーが緑を取り始めてしまったのかもしれません。

というわけでデッキはこちら。除去こそ十分にとれているものの、クリーチャーに不安があります。おそらく0-3することはないでしょうが、2-1はチャレンジングなデッキです。

ラウンド 対戦相手 結果
R1 Kuroda Masashiro 0-2
R2 Ryan Mullens 2-0
R3 Aidan Mirabelli 2-0

結果は2-1。開幕チームメンバー同士の対決をボコられ格の違いを見せられたものの、つづく2試合は勝利することができて2-1で終われました。

スーパーソルジャー、レッド・ガーディアン

3戦目で3マナ構えている相手の《スーパーソルジャー、レッド・ガーディアン》をうまくいなした自分を褒めたいですね。

モダン

ラウンド 対戦相手 結果
R4 Jesse Piland
(アミュレットタイタン)
2-0
R5 Jordan Selesnick
(ドメインズー)
2-1
R6 Maxime Rayvich
(リビングエンド)
2-0
R7 Tristan Wylde-LaRue
(アミュレットタイタン)
2-1
R8 Seth Manfield
(ルビーストーム)
2-1

5-0!!!

初日は7-1の好ポジションでフィニッシュです。

ネオブランドが戦いやすいアミュレットタイタンに2回マッチする、幸運なあたりでした。

死せる生否定の力緻密

リビングエンドは《否定の力》だけでなく、《緻密》まで入ったこのデッキにとってかなり最悪に近い相手です。

迷路庭園偉大なる統一者、アトラクサ

1本目は魂の《迷路庭園》《偉大なる統一者、アトラクサ》を墓地に落とすことで《死せる生》を乗り越えて勝利。

アロサウルス乗り夏の帳

2本目は相手が積極的に《アロサウルス乗り》にピッチスペルを唱えてきたので、うまく交換しつつ、最終的に《夏の帳》でこちらのアクションを通すことに成功しました。

これで2日目5-3すればトップ8、最低3-5でも次回のプロツアーの参加権利を手に入れることができます。

2日目

ドラフト

初日の最終順位が9位だったので、2番ポッドでのドラフトです。今度の上家はチームメイトの岡井さんです。

アベンジャーズの始まりマインド・ストーン

1-1は白いカードが7枚あるパックで、《アベンジャーズの始まり》をピック。白の大渋滞が予想されることから、できればほかの色のカードを取りたいところですが、初手に取る価値のある別色のカードがありませんでした。

レアが2枚入っているパックで、《マインド・ストーン》もありましたが、さすがにカードの点数から《アベンジャーズの始まり》をピック。

無慈悲な同盟敗北の時ヒドラの戦闘員

そのあとは《無慈悲な同盟》《敗北の時》から黒を中心にピック。そして、後半のパックで《ヒドラの戦闘員》を複数枚ピック

上家の岡井さんは私がこのカードを好きなことは知っているので、明らかに挑発されています。その挑発に素直にのって、黒を確定させることにしました。

一周してきた自分のパックですが、残りの白いカードが1枚に。7枚あったはずですが……初手以外で白いカードが取れていなかったこともあり白は断念。どうせ使わないなら《マインド・ストーン》とればよかった……。

サーペント・ソサエティハジけたるでぇ!迅速な救助

2-1は《サーペント・ソサエティ》、流れてきた《ハジけたるでぇ!》から緑黒に。緑は《迅速な救助》《ヒドラの戦闘員》のサポートがしやすく相性が良いです。

ザ・ハンドのくノ一、エレクトラ邪悪なる行い

3-1では《ザ・ハンドのくノ一、エレクトラ》をピック、自身の色にあったレアを剝いてこそ一流のプレイヤーです。初日のドラフトと違い、3パック目でも《邪悪なる行い》のような優秀なカードがピックできました。

最終的にできたデッキがこちら。攻め手段と除去が豊富な良いデッキで、調子がよければ3-0が狙えるスペックだと思います。

ラウンド 対戦相手 結果
R9 Jesse Hampton 2-0
R10 Steve Gan 2-0
R11 Eduardo Sajgalik 1-2

残念ながら最終戦の3本目でダブルマリガンしてしまい敗北するも、ほかの試合では優秀な除去で相手の攻め手をうまく対処でき2-1。

これで合計9-2、次のプロツアーの権利は全敗しなければ獲得、トップ8には3-2で入れそうです。

モダン

ラウンド 対戦相手 結果
R12 Alex Rohan
(繁殖鱗コンボ)
2-1
R13 Hosokawa Yuya
(コスモゴイフシュート)
1-2
R14 Yukuhiro Ken
(八百長エルドラージ)
1-2
R15 Kelvin Chew
(エスパー御霊)
2-0
R16 Mattia Oneto
(ボロスエネルギー)
0-2

2-3。

勝てばトップ8の最終戦で、悪いプレイをしてしまい敗北

合計11-5の17位でフィニッシュ。2日間通して運がよかったので、できればあと1勝したかったですね。悔いの残るプレイをしてしまったことが残念です。

最低限、次回開催のプロツアー権利を獲得できました。プロツアー開始前に11勝5敗になる成績固定ボタンがあれば間違いなく押していたでしょうし、今まで参加したプロレベルのトーナメントで最上位の結果ではあったので、成績に文句は言えません。

それでも、プロツアーチェインした嬉しさよりも、トップ8にあと一歩届かなかった悔しさが勝ります

今回、森山ジャパンからは行弘さんと優勝者の市川さんがトップ8に入っており、彼らと並びたかったです。

フィーチャーマッチを振り返る

今回は序盤の成績がよかったことも相まって、3回もフィーチャーマッチに映ることができました。そこでの自分のプレイで、気になった点を振り返ります。

5回戦:vs. Jordan Selesnick/ドメインズー

ドメインズーとの2ゲーム目の試合です。

召喚士の契約フレイアリーズの信奉者呪文嵌め神秘の論争

《わめき騒ぐマンドリル》《新生化》で仕掛けたターン、《召喚士の契約》《フレイアリーズの信奉者》を持ってきて土地として置けば、相手の《呪文嵌め》《神秘の論争》で打ち消すことができました。

量子の謎かけ屋超能力蛙偉大なる統一者、アトラクサ

しかしその場合、次の相手のターンで《量子の謎かけ屋》が出てくる→《超能力蛙》《偉大なる統一者、アトラクサ》が相討ちする→盤面は相手の《量子の謎かけ屋》のみで、こちらは《召喚士の契約》の支払いで次のターン動けない状態になり、どちらにせよ負けそうだと思ったので打ち消しを割り切りました。

《呪文嵌め》がなければ《偉大なる統一者、アトラクサ》で加えた土地から《神秘の論争》《量子の謎かけ屋》を打ち消すことができ、《召喚士の契約》を保持できるため後続も確保できるので大きく有利です。

11回戦:vs. Eduardo Sajgalik

ドラフトの3-0をかけた試合です。

1、2本目は結構いい試合でしたがフィーチャーに映らず、3本目はこちらがダブマリして特にいいところなく終了。リソース勝負で平山さんがボコられている様を見たい人にオススメの試合です。

16回戦:vs. Mattia Oneto/ボロスエネルギー

トップ8をかけた予選最終戦、相手はボロスエネルギー。

1本目はダブルマリガンから土地が止まり負け、どうしようもないゲームで敗北。

問題は2本目です。このゲームもこちらはダブルマリガン。キープした手札は以下。

アロサウルス乗り新生化召喚士の契約
迷路庭園橋仕掛けの戦い

ダブルマリガンながらも、《アロサウルス乗り》《新生化》がそろった最高の手札です。相手は7枚キープ。

迷路庭園記憶への放逐

1ターン目に置いた《迷路庭園》の諜報で《記憶への放逐》が見えました。

ネオブランドは、2ターン目に動く場合は6枚のカードが必要、つまりダブルマリガンするとコンボパーツ以外1枚も余裕がないです。

この《記憶への放逐》を上にすると、次のターンコンボが決められないことが確定してしまいます。

苛立たしいガラクタ記憶への放逐

選択したプレイは《記憶への放逐》を上のままに。相手のデッキには、こちらのコンボを1ターン目から妨害できるカードが《苛立たしいガラクタ》のみであり、7枚キープの相手がこれを引いている可能性があるからです。

《記憶への放逐》を上に置いたことは、そこまで悪いプレイではなかったと思います。すぐにコンボが決まらなくなるとはいえ、《記憶への放逐》があれば《苛立たしいガラクタ》の打ち消し誘発を打ち消せるので、それに対する対策として機能するからです(※)。

(※:1ターン目に《アロサウルス乗り》を出しておくことで《苛立たしいガラクタ》を回避することも可能ですが、《橋仕掛けの戦い》を追放しなければならないためデッキトップが土地要求になります。そもそも《電気放出》があるので、ボロスエネルギー相手はできるだけ出したくないです)

問題は、自身の手札枚数を勘違いして、コンボパーツは足りていると思って上に置いていたことです。勘違いに気づいたのは相手にターンを渡したあと。

上述した通り、《記憶への放逐》を上に置いたこと自体は、一応筋の通ったプレイです。ただし勘違いで動揺してしまい、次で致命的なミスを犯してしまいます。それは《橋仕掛けの戦い》を置いてしまったことです。

橋仕掛けの戦い

置いたことで、次のトップが土地ではコンボにいけなくなってしまいました。実際試合ではそこから緑色のカードが引けず、1回《忌まわしき眼魔》を引いたあとに《島》を引いてしまい、動けなくなってしまいました。

おわりに

というわけで、両イベントとも初日7-1から、2日目失速で上位入賞プロモがもらえるくらいの順位で終了です。

両イベントとも最高に楽しかったです。来年もチームリミテッドのスポットライトがあれば積極的に参加したいですし、プロツアーは次回で必ず今回の雪辱を晴らします

自分の感触だと「平山選手は結構やれている」とは思うので、もう少し頑張ってみようと思います。

次のプロツアーは来年の2月なので、それまでは8月開催の『Summer Sun’s Zenith』などを楽しもうと思います。

ではまた。

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平山 怜 プロツアー『ドミナリア』への出場を皮切りに若くして競技シーンへと飛び込む。 一線を画すプレイスキルと高いマジックIQにより、『The Finals 2019』『プレイヤーズツアー・オンライン3』で準優勝、『チャンピオンズカップファイナル サイクル1』では念願の優勝を果たすとともにマジック最高峰の舞台・世界選手権への出場を決める。また、晴れる屋が行う『神決定戦』では、ユーモア溢れるワードセンスと忌憚のない解説が人気。 平山 怜の記事はこちら