『イニストラード:真夜中の狩り』リミテッドの基礎

Marcio Carvalho

はじめに

やぁ、みんな。今日は『イニストラード:真夜中の狩り』リミテッドの第一印象を紹介しよう(今回のリミテッドもすでにたくさん遊んでいるよ)。

これまでのリミテッド環境のなかでも、イニストラードのセットはみんなの心に強く残っているだろうと思う。だからイニストラードの新セットが出るとなれば、当然期待は高まる。みんなが好きな狼男もいるしね。『真夜中』を迎えればその評価が変わってしまう可能性もあるけど、それはあとあと触れることにしよう。

メカニズムの評価

「降霊」と「フラッシュバック」

これまでのイニストラードのセットと同じく、今回のセットも墓地が大きなテーマになっている。「フラッシュバック」がまたまた再録され、そのうえ「降霊」という新キーワード能力も登場した。これは両面カードでありながら、クリーチャーに「フラッシュバック」を付けたようなデザインになっている。

哀悼の巡回兵哀悼の巡回兵

「降霊」クリーチャー(スピリットクリーチャー)の多くは強い印象を残すようなものではなく、必ずしも表面よりもステータスが高く設定されているわけでもない(これは『アモンケット』ブロックにあったメカニズムとは違う点だね)。

影野獣の目撃

「フラッシュバック」もコストがやや高く設定されている。だけど、誤解はしちゃいけない。「降霊」も「フラッシュバック」もカードアドバンテージを生むメカニズムだ。自分が使う側に回るか、相手の墓地から追放する手段を備えておく必要がある

「腐乱」

今回のセットで驚きだったのは「腐乱」だ。最初にテキストを読んだときは、かなり弱い効果に思えた。トークンはブロックできないし、攻撃すれば死亡してしまう。だけど、これは見誤っていたね。

ゾンビトークン

「腐乱」のポイントは戦闘フェイズに参加させることではなく、そのトークンを活用する手段を見つけられるかどうかにある。この環境には生け贄コストを要求するカードが多く、そこで「腐乱」トークンを生け贄に捧げれば大きなアドバンテージを獲得できる。

踊り食い病的な日和見主義者

それに加えて、クリーチャーの死亡も非常に重要な環境だ。たとえば、今回のベストアンコモンである《病的な日和見主義者》がその代表例だね。

色の概要

この環境はすでに結構プレイしてきたけど、今のところは青と黒がベストカラーだ。その大きな理由は、「腐乱」と「切削」が使える色だからだ(「切削」は「フラッシュバック」や「降霊」を使いやすくしてくれる)。

異形の隼戦墓の大群食糧庫のゾンビ戦慄の猟犬

ほかの色に比べて多少強いと感じる色があるのが普通だけど、今回の青と黒に関してはちょっと度を超えているかもしれない。ほかの3色がプレイアブルじゃないと言うつもりはないけど、青と黒にはプレイアブルなカードが多く、ドラフトの序盤からどちらの色もピックしないのはなかなか肯定しづらい

忘却の儀式肉削ぎ屋

白はその2色から少し遅れをとっての3位だ。黒か青と組み合わせる色として相性が良い(エスパーにする手もある)。白青や白黒なら「切削」であったり、《忘却の儀式》《肉削ぎ屋》などの「腐乱」トークンを活かす手段があるんだ。

不屈の運び屋不屈の運び屋銀弾

さて、我らが狼男に話を移そう。狼男に割り当てられたメカニズムは「昼」と「夜」だ。結論から言ってしまえば、印象は良くない。環境にはたくさんの除去があり、無色にすら狼男を除去するカードがあるくらいだ(《銀弾》を持たずに外に出てはいけないよ)。だから狼男が日の光(月の光)を目にするまで生きながらえることは難しいんだ。

色のパワーランキング

簡単に色を順位付けしてみよう。各色のベストコモン/アンコモンも紹介し、その理由も軽く触れていく。

1位:青

さっきも言ったように、セット内の強い要素を全て揃えている青がベストカラーだと思っている。カードアドバンテージを稼げるし、盤面の構築にも長けているし、セットのメカニズムを活用しているんだ。

ベストコモン

臓器の貯め込み屋

《サルーフの群友》を彷彿とさせる。4マナ3/2で、ライブラリートップの3枚のうちのベストカードを手札に加えながら、墓地から再利用できるカードを2枚落とすことができる。

ベストアンコモン

スカーブの世話人

青には「腐乱」ゾンビトークンを生成する方法がたくさんあり、《スカーブの世話人》はそのトークンを活かして盤面のコントロールに一役買ってくれる。

2位:黒

黒は優秀な除去がいくつかあり、「腐乱」トークンを並べる手段もある。黒が2位だ!

ベストコモン

戦墓の大群

このカードはハンパじゃない!墓地が重要だと言ったけど、《戦墓の大群》なら相手の墓地から2枚のカードを追放しつつ、「腐乱」トークンが2体出る。トークンを活かせばさらなるアドバンテージを生み出せるだろう。

ベストアンコモン

病的な日和見主義者

「腐乱」トークンで攻撃するたびに1ドロー。相手のクリーチャーを除去するたびに1ドロー。発生させるアドバンテージは莫大だ。

3位:白

白は「降霊」や「フラッシュバック」を持つ強力なカードが何枚かあり、黒や青とのかみ合わせが良い。

ベストコモン

捜索隊の隊長

基本的には3マナ2/2のキャントリップ付きクリーチャーとして運用できる。さらにコストを低くできれば、それはもう最高だ。

ベストアンコモン

野心的な農場労働者

カードアドバンテージをもたらす手堅い2マナ域であり、3/3の絆魂クリーチャーに変身させるのも難しくない。

4位:緑

緑を使うなら、「切削」して、トークンを出す「フラッシュバック」カードを使い倒すのが一番良いプランだ。

ベストコモン

風変わりな農夫

緑の《臓器の貯め込み屋》だ。”ドロー効果”が外れることもあるし、好きにカードを選べるわけでもないから《臓器の貯め込み屋》には多少劣る。それでも、それより1マナ軽くて、良いサイズを備えている。

ベストアンコモン

直接射撃

強い除去で、戦闘中に使えば3マナで2体のクリーチャーを一気に倒せる可能性がある。格闘呪文ではなく、インスタントであることがこのカードのすごいところだ。

5位:赤

赤は青や黒のサポートカラーに向いている。赤の2マナ域は進んでプレイしたいものがないが、除去は強いからね。

ベストコモン

献身的な精霊術士

《電撃の啓示》《月の憤怒獣の切りつけ》《献身的な精霊術士》。赤には優秀なコモンが3枚あって選ぶのに悩んだけど、《献身的な精霊術士》をベストコモンとした。除去を回収しながら2/1のサイズのクリーチャーがついてくるし、「切削」との相性も良い。

ベストアンコモン

安堵の火葬

2マナの除去としても強いし、マナフラッドしたときは余分な土地を入れ替えることができる。呪文の比重が大きいデッキなら《嵐の捕縛》のほうが上になることもあるだろう。


以上が『イニストラード:真夜中の狩り』リミテッドの第一印象だ。みんなにもこの環境を存分に楽しんでもらえたらと思う。青や黒のデッキになることが多いかもしれないけど、このセットはまだまだ楽しめる遊びが詰まっているはずだ。

それじゃあ健康には気をつけて!良いゲームを!

マルシオ・カルヴァリョ(Twitter)

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Marcio Carvalho ポルトガル出身のプレイヤーで、Hareruya Latinの一員。 優れた技能と環境分析能力の高さからリミテッドフォーマットのスペシャリストとして知られており、2015-2016シーズンには "ドラフトマスター" の称号を獲得した。 Magic Onlineで287枚もの《掴み掛かる水流》をピックした逸話はあまりにも有名で、どんな環境であれ研究を怠ることなく日々研鑽を詰んでいる。 Marcio Carvalhoの記事はこちら