第28回でこんなことを書いていました。わりと何気なく。
……またしてもやられた。
こんにちは若月です。オリジン盛り上がってますか?
思えばこの連載は4年前、『基本セット2012』合わせでギデオンから始まったのでした。プレインズウォーカーの背景ストーリーについての解説記事ということで、「第一回はギデオン」という指定だったんです、私の好みでというわけではなく。ええそれはもう喜んで書きましたけど!
今回はぼちぼち情報の出始めた『戦乱のゼンディカー』へと目を向けつつ、私の大好きなギデオンに再び向き合いますよー!
1. ギデオン復習
さてこの連載でギデオンを扱うのも久しぶりですので、まずはちょっとおさらいから入りましょうか。
最近の公式記事「Gideon 360」で《ギデオン・ジュラ》のアート指定が公開されていまして、これがギデオンというキャラクターをとてもわかりやすく表現していました。訳しましょう。
場所:自然環境かそのような場所
様子:英雄的な人間のプレインズウォーカー、ギデオンを前面に出すこと。三十歳程。筋骨逞しく、引き締まった身体、武骨というよりも優雅。長めの黒髪。白か灰色の絹と固めた革とその上にチェインメイルを纏う(完全装備ではない)。「ウルミ」、古代インドの格闘武器である剣のような鋭い刃を持つしなやかな金属製の鞭(※)を振るう。自信に満ち、不屈、誠実、そして非常に優れた戦士である。
中心となるもの:プレインズウォーカー・ギデオン
雰囲気:正しい行いを躊躇わない、信念の高い英雄戦士。
(※今はギデオンの武器はスーラ/Suralと呼ばれています)
「自信に満ち、不屈、誠実」。高い忠誠値で敵の攻撃を受け止め、自ら臆することなく戦場に切り込む。カードとして使用してor使用されてその通りの性格を実感したプレイヤーも多いかと思います。白単のプレインズウォーカーは2015年7月現在4人存在しますが、ギデオンはその中でも屈指の武闘派、逞しくも頼れる大人の男です。
第1回にも書きましたが、ギデオンがマジックに初めて登場したのはチャンドラを主人公とした小説『The Purifying Fire』。これの発売は2009年7月。『エルドラージ覚醒』の発売は2010年4月ですので、カードよりもずいぶん早くの登場でした。「小説出身」のギデオン。コミック出身の《ダク・フェイデン》、DotPシリーズ出身の《ニッサ・レヴェイン》《ラル・ザレック》《荒ぶる波濤、キオーラ》。他媒体で登場したプレインズウォーカーが満を持してカード化されるというのはすっかり珍しくなくなりましたよね。同じ『エルドラージ覚醒』のプレインズウォーカー《狂乱のサルカン》にはプラス能力がありませんでしたが、一方のギデオンには奥義がなく、更に自らクリーチャー化して戦う。どちらもなかなかに異質な存在でした。
ギデオンは任務の一環でチャンドラと出会い、共に苦難を乗り越えながらも苦々しい別れをしますがそれでも彼女の力になりたいと思い、その軌跡を追いかけてゼンディカーへと辿り着きます。ですが彼はそこで常軌を逸した怪物、エルドラージに蹂躙される世界とその人々を目の当たりにしました。そして落とし子の凄まじい群れを片付けるも、《引き裂かれし永劫、エムラクール》の前には敵わないと悟り、助力を求めてラヴニカへと向かいました。
そしてラヴニカでのギデオンについては第19回に書きました。『ラヴニカへの回帰』ブロックの本筋である暗黙の迷路には特に関わらなかったようで、ボロス軍のギルドマスターである《戦導者オレリア》の願いに応えてボロス軍に身を寄せ、ラヴニカの平和に尽力していたようです。そして《ギルドとの縁切り》のフレイバーテキストでは喧嘩別れしたようにも見えましたが、公式記事「第九地区の戦い」を読む限りそんなことはなかったようです。ねえ何だったの。
しっかしチャンドラにオレリア。ギデオンは赤い女性と縁がありますね。と思っていたら次項目で書きますが今回オリジンで何だか納得の設定が出てきたじゃないですか。
そんな感じに、ラヴニカを離れたと思しき所でギデオンの物語は中断していました。これまでは。
2. テーロスのギデオン
※WARNING!
この先には「デュエルズ・オリジン」のネタバレが含まれています。まだプレイしていないor途中なので知りたくない、という方は戻ることをおすすめします。
2015年3月初め、海外のゲーム情報サイト「TheSixthAxis.com」にて「デュエルズ・オリジン」の情報が掲載されました。当時既に『マジック・オリジン』の白プレインズウォーカーはギデオンだとは発表済みでした。その記事に添えられていたスクリーンショットには、何やらテーロス的な街並みに立つ生意気そうな男の子の姿が。そして小さな文字を頑張って読んでみると。
「テーロス次元、都市国家アクロスのスラムに住む13歳の少年、キテオン・イオラ」
……えーーーーー。すぐに《捨て身の抵抗》の記事を思い出しました。いや当時訳しながら「なんか日本語表記だとギデオンっぽいなあ、まぎらわしいなあ」と思ってましたけど伏線かよ!!!
確かにアクロスは《勝利の神、イロアス》を主神とするメインカラー赤白の都市国家。なるほどここ出身のギデオンが同じ色のボロスに馴染むのも納得です。
この設定がいつ決まったのかはわかりませんが「後付け設定」だとしても上手いですよね。
前述の通り、ギデオンは小説『The Purifying Fire』にて初登場したのですが、その時に自身の過去についても多少言及していました。そして今回公式記事「ギデオンの『オリジン』:アクロスのキテオン・イオラ」及び『デュエルズ・オリジン』にて詳しい話が明らかになりましたが、その内容は割と一致していました(矛盾している点も多少ありましたが、ここでは一致している所のみお話します)。
テーロス次元、都市国家アクロスの貧民街に生まれ育った13歳の少年キテオン。彼は「不正規軍」として知られる仲間とともに、治安の維持と慈善活動を行っていました。とはいえ食物を盗んで分け与えるという彼らの活動はアクロス衛兵の注意を引き、やがてキテオンは窃盗の罪で逮捕されてしまいました。
投獄されて早々に他の囚人とも揉め事を起こすも、牢獄の看守ヒクサスは少年の内に真摯な正義を見て、その神聖術を教授したいと提案します。キテオンは当初反抗しますが、すぐにその教えは自身の力を、長所を伸ばし強くしてくれることを理解しました。キテオンはヒクサスを師として学び始め、心技体を鍛えていきました。
後にギデオンがその頃について振り返った述懐が小説にあります。
「そうだ」 ギデオンは言った。「あの人が予想したよりも容易かったと思う。最初の抵抗と、逃げ出そうとした試みの後、私は熱心で一生懸命な弟子になった」
「その力が気に入ったのね」 チャンドラは言った。自分自身の持つ力がわかり始めた頃、他の誰も理解できない、容赦もしない力をわかり始め、夢中になり始めた頃を思い出しながら。
「ああ、その力が気に入った。それを伸ばし、研鑽するのを。だが何よりも……」 ギデオンは思わしげに言葉を切った。「何よりも、私の師は初めて、私が求めていたものを探す力になってくれた人だと実感した」
「それは?」
「導き。関心の的。人生の道」
本当に良き師に巡り合ったのですね。そして何でも、ヒクサス自身の師匠もまたプレインズウォーカーであり、そのため彼は弟子にその素質を見たのだそうです……誰でしょうね?「かつてテーロス次元を訪れた」「たぶん白絡みの」「法魔術を使う」プレインズウォーカー。既出の白絡みのプレインズウォーカーは年齢・能力的に当てはまらなそうですが……?
さて4年が経ち、そんな修行の日々は突然終わりを告げます。ある時、アクロスをハーピーの群れとサイクロプスが襲撃しました。牢獄の囚人達も兵士して戦うことと引き換えに釈放され、勿論キテオンは率先して戦いへと飛び出して行きました。彼はヒクサスから教わった神聖術を駆使し、そして不正規軍とともに巨大なサイクロプスを倒し、アクロスを護りました。
その戦いぶりと功績が神の目に留まりました。再び怪物の襲撃が無いかアクロス山中を見回りするキテオンの前にテーロス世界の主神、《太陽の神、ヘリオッド》が顕現します。そして彼はその手に持つ槍の複製をキテオンに手渡し、「太陽の勇者」となるための試練を言い渡しました。それは《エレボスのタイタン》を倒すこと。死の国から脱走した「蘇りし者」を捕えるべく、死者の神によって放たれたそれを。
そして再び怪物との戦いへと赴き、キテオンは苦戦するも不正規軍の協力を得てその槍でタイタンを仕留めることに成功します。「不正規軍と共にいれば、神々の諍いですら物の数でもない。」そして彼はその勝利への喜びのまま、地平線へと姿を現したエレボスへとその槍を放ちました。ですが死の国の神は物憂げな表情ひとつ変えることなく、その鞭さばきで槍を弾き返します。太陽神の槍はまっすぐに彼らへと向かい、キテオンは防護の魔法を呼び起こしてそれを受け止めます……が、その衝突に弾けた光と衝撃が収まって彼が見たものは、自分の周囲に命なく横たわる仲間達の姿でした。
自身の傲慢からの行動が仲間を殺してしまった。その衝撃は彼の「プレインズウォーカーの灯」を点火させるに十分でした。何が起こったのかもわからぬままに世界が揺らぎ、回転し……やがて見知らぬ場所にて、見たこともない獣と騎士に見つめられている自分に気づきました。キテオンは知ります、自分は故郷の世界とは違う場所へやって来たのだと。
そしてキテオンがギデオンとなった理由は誰もが気になっていた所ですが、ここでその真相が明かされました。公式記事から抜粋します。
「私はムーキル、巡礼の道の騎士長だ。君はここ、バントのヴァレロン国で迷ったようだ。体調がすぐれないようだな」 その騎士が喋る中、キテオンは彼女が一人でないことに気付いた。片手ほどの騎士が その隊長の背後に並んでいた。「放浪者よ、名前はなんと言う?」
「キテオン」 彼は息を詰まらせて言った。
「ギデオン?」 ムーキルは確認しようとした。
……声がかすれていたので聞き間違えたのか、それともバント式の発音だとギデオンになるのか。予想していたよりもわりと些細な理由でした。まあほら、番外編1でも書きましたがあの《練達の魔術師バリン》も「名前を書こうとしたらインクが足りなかった」という理由で名前を改めたじゃないですか。
新たな世界で新たな名前を。あえて訂正せずにいたのですから、それは彼にとっての新たな出発の標になったのだと思います。
3. バントのギデオン
そのように、『オリジン』での物語はギデオンがバントに渡り、自身の状況を察した所で終わっています。ですが数枚のカードからバントでの彼の様子を見ることができます。
《迅速な報い》にはバントの猫科乗騎レオトーに跨るギデオンの姿が。そして《巡礼者の道の騎士》のフレイバーテキストでは、騎士の女性がギデオンに教えを語っています。ギデオンがバントへと渡ったのはアラーラブロックの物語よりも以前。他の次元との衝合とそれに伴う騒乱が起こる前のことです。秩序と高潔さが支配するこの断片世界でギデオンは青年期を過ごし、現在の礼儀正しく献身的な戦士へと成長したのでしょう。
さてバントに到着してすぐ、ギデオンは初めて天使というものを目にして(テーロスに天使はいないので初めてですよね)、その美と静謐さに圧倒されました。天使は白を体現する種族、ギデオンが心を奪われるのも納得です。思えば、ギデオンがラヴニカを訪れたばかりの頃の記事「より善きこと」にはこんな記述がありました。
なるほどバントで過ごしたのであれば「多くの天使達の傍にいた」のも納得です。更にバントに赤白の天使は確かにいませんね。
……ところで、気になるというか引っかかることがあります。
『オリジン』の物語でキテオンは、アクロス山中のヘリオッド神殿へ赴き、そこで件の槍を手渡され、「太陽の勇者」になるための試練を言い渡されました。そしてプレインズウォーカーとして覚醒した行き先はバントのヴァレロン。この二か所、順番こそ違えどちらもエルズペスも行っていたんですよね……何かあるのでしょうか、この符合は。
エルズペスは結構長い間バントにいました。もしかしたら二人が会っていた可能性もあるのでしょうか? ギデオンは(上で訳したアート指示からは)実年齢30歳ちょい、プレインズウォーカーに覚醒したのが17歳、つまり13年程前にバントへ辿り着いた。一方エルズペスは24歳、覚醒したのは13歳でしたがすぐにバントへ辿り着いたというわけでもないですし、確かなのはギデオンが先にバントに来ていたということくらいです。時系列的には「ギデオンが通ってきた道をエルズペスが遡った」になるのか。全ては推測止まりですが、もしもそんな二人が出会っていたとしたら相当熱いと思いません? ※個人の感想です
それとテーロス期から微妙に疑問だったことが解決しました。「太陽の勇者」って別に女性限定じゃなかったんですね。ほら、フレイバーテキストで語られる物語「テーリアス」に登場している「太陽の勇者」は全員女性だから……もしかして詩人が性別を改変しているという可能性もありますけれど。
4. 両面ギデオン
そんなこんなで通算三枚目のギデオン。今回は「初の1マナプレインズウォーカー」としても話題になりましたね。公式記事「両面プレインズウォーカーのデベロップ」にはオリジンのギデオンが1マナになったちょっと面白い理由が説明されていました。
「アートが子供だったので小さくなった」とは驚き。いやあ、でも凄く生意気そうで可愛いじゃないですか。『マジック・オリジン』では覚醒前ギデオンが二種類の姿で見られます。クリーチャー面と《抑制する縛め》が13歳、《秘儀術師の掌握》《悲劇的な傲慢》及び広告で槍を構えているのが17歳。何が良いって、どちらもテーロスらしい衣装なのがね! プレインズウォーカーは新しいカードが出ても衣装は変わらないことが多いので(その点毎回衣装が違うサルカンはすごい)とても新鮮です。
そして変身条件を見た時多くの人が思ったかと思います、「大隊じゃん!」。仲間を率いるカリスマを現しつつ、後のラヴニカでのボロス軍との関わりを仄めかしているようでニヤリとさせられるじゃないですか。
また、キャラクターが「破壊不能」能力を持つ時、その背後にはしばしばフレイバーが存在します。当時「ダークスティールでもないのに?」と多くのプレイヤーが驚いた《永岩城の君主、今田》の破壊不能能力は、《奪われし御物》の神性カウンターが本当に乗っているため。《軍勢の刃、タージク》の場合は《ボロスの魔除け》にあるようなボロスの戦闘魔法でしょう。そしてテーロス世界で破壊不能といえば神ですが、物語を読むにキテオンは元々自前の才能としてその破壊不能能力を持っていたのでしょうか。キテオンのなけなしの信心ですら覚醒すると無くなりますし、そもそも「不良少年」だったので信仰深くはない気もしますし。
プレインズウォーカー面はとてもわかりやすく、初代ギデオンを一回り軽く&小さくしたような能力になっていますよね。バントを背景に、ギデオン・ジュラの起源。まさにこの世界でギデオンは今の姿の基礎となる全てを身に着けたのでしょう。クリーチャー面では自分自身しか破壊不能を得られませんが、プレインズウォーカー面では他のクリーチャーへと破壊不能を与えられます。この変化に、かつて自身の傲慢から仲間を殺してしまったことへの贖罪を求めた彼の成長がわかります。
このプレインズウォーカー面、ギデオンの鞭状武器の刃がどこか《エレボスの鞭》を思わせるような渦巻きを描いています。オリジンストーリーでこの武器の由来は語られておらず、つまりバントに渡って以降に手に入れたものと思われます。そんな武器を振るうのは、仲間を殺すことになってしまった過ちを忘れないためのもの、なのでしょうか。
ところで話は変わりますが、『マジック・オリジン』では広告やパッケージ絵に、5人それぞれの「覚醒前」「覚醒後」の姿が合わせて描かれているじゃないですか。そしてプレインズウォーカーの特徴といえば「光る目」、なのですがオリジン5人のうちギデオンだけ「目が光っていない」ことに気付いた人は多いかと思います。これ一体何なんでしょうね? 確かにギデオンはプレインズウォーカーになってもクリーチャーであり続けますけれど、それとは別に何かの伏線なんですかね?
プロツアー『マジック・オリジン』のプレイマットより。目の光っている他の4人と並ぶとやっぱり何だか妙な感じ。マローまでネタにしていました。「なぜ誰も目を光らせるように言ってくれなかったんだ?」
5. 『戦乱のゼンディカー』へ
『マジック・オリジン』ではプレインズウォーカー5人の「故郷の次元」と「覚醒して初めて訪れた次元」がフィーチャーされています。カードでも、故郷にいる頃の様子と覚醒先での様子とが描かれています。ですがギデオンはその二つ、テーロスとバントだけでなく更にもう一つの次元で活躍しているカードが存在します。
そうラヴニカ。ジェイスが初めて次元を渡った先ということで『マジック・オリジン』には結構ラヴニカ世界が描かれているのですが、まるで『ギルド門侵犯』~『ドラゴンの迷路』の頃なのかなと思うような、ボロスの軍勢を率いるギデオンの姿。『マジック・オリジン』の週が終わり、物語はラヴニカ世界を経由しながら『戦乱のゼンディカー』へと向かっています。
ゼンディカーではエルドラージによる破壊、ラヴニカではギルド無所属民の抗争。ギデオンは二つの世界を忙しく往復しながら戦っていました、どちらかを見捨てることはできず……。ですがエルドラージに対抗する為には面晶体の「力線の謎」が鍵かもしれないと知ります。力線。そう、つい最近ラヴニカでまた別の「力線の謎」を解いた人物がいるじゃないですか。ギルドパクトの体現にしてプレインズウォーカー。ギデオンは元カノとデート中のジェイスを訪ね、ゼンディカーの危機を伝えました。
それにしてもこのツーショットである。元は「DotP2012」のローディング画面の一つです。
ジェイスにも、知らなかったとはいえエルドラージの解放に加担したという自責の念がありました。そして面晶体の謎が解けるかもしれないという好奇心を刺激されたこともあり、彼はゼンディカーへと向かうことに同意します。一方、こちらはこちらでジェイスの助力を求めてきたリリアナは横取りをされた形となり、怒って去っていってしまいました。
友好色同士のギデオンとジェイス、ジェイスとリリアナ。対抗色同士のギデオンとリリアナ。公式記事「鴉の無情」でリリアナはギデオンを「あの男は天使並みにたちが悪い」と毛嫌いしていました。ここにも如実に現れる色の相性。そして生けるギルドパクトとはつまりラヴニカにおける法の体現。公平さと正義をもってギルド間の紛争解決に尽力するジェイスはすっかり白寄りになったように思います。第20.5回にも書いた通り、実際「白青ジェイス」も検討されたそうですし。
いやーしかし遂にファン待望のジェイスとの対面が叶いました。ていうか私が待望してました。いやほら、『エルドラージ覚醒』の時点でギデオンがラヴニカへ向かったのはわかっていまして、そして『ラヴニカへの回帰』が来て『ギルド門侵犯』が来て、その宣伝画像にババーンってギデオンが出ていて、トレイラーのラザーヴ「この世界に私を止められる者などいない」(背景ギデオン)と来たからいよいよジェイスと対面だ!!って期待していたので時は流れて近頃の展開に私がどれほど興奮したかお察しください。
ところで何故ギデオンはジェイスがプレインズウォーカーだと知っていたのか。少し前の公式記事「電光虫プロジェクト」にて「妙に規則的にラヴニカを訪れている謎のプレインズウォーカー」が登場していまして、ラルとジェイスが警戒するとともに我々の間ではこれは誰なのだろうと話題になっていました。「人間の男性」「逞しい体格」「鋭い目つき」「ボロスに接触している模様」。その記事では謎のままでしたが、順当?にギデオンでした。ちなみにこの話、生まれ故郷の記憶のほとんどを失ったジェイスがいかにラヴニカへと愛着を持っているか、そしてプレインズウォーカーという正体を隠しながらラヴニカに暮らす者同士、ラルとの奇妙な友情が語られていて非常に面白い回となっています。読んでいない人はぜひ。
6. サンディエゴ・コミコン発表画像から
先日、アメリカで行われたイベント「San Diego Comic-Con 2015」にて『戦乱のゼンディカー』のアートが多数公開されました。その幾つかについて考察してみます。
Everyone's favorite hieromancer is back to face the Eldrazi alongside the residents of Zendikar. #MTGBFZ pic.twitter.com/HqPtpVz4TZ
— Magic: The Gathering (@wizards_magic) 2015, 7月 12
ギデオンの背後にいるのは左からコー、吸血鬼、人間でしょうか。旧ゼンディカーでは種族や勢力ごとの対立が(全く無いわけではないにしても)特に強調されていたわけではありませんが、様々な種族が互いの立場や利害を超えて力を合わせ巨悪に立ち向かうという図式が予想できます。さながらインベイジョンブロックを彷彿とさせる「世界の総力戦」にわくわくしないプレイヤーなんていませんよ!
Cohesion in storytelling means connecting plotlines in ways we haven't before. Look who teams up in #MTGBFZ! pic.twitter.com/n7N0nLJjz4
— Magic: The Gathering (@wizards_magic) 2015, 7月 12
ギデオンとニッサ!この原稿を書いている2015年7月末現在まだこの二人は出会ってはいませんが、最もゼンディカー世界を気にかけるプレインズウォーカー二人が共闘しなきゃおかしいでしょ!
そしてもう一つ気になるのが、アート左側に見える落とし子の破片。この黒く長い板のような組織はコジレックの血統に特徴的なものです。昨年の記事によればゼンディカーに残っているのはウラモグだけのようですが……?
Here's an example of a pivotal event from Battle for Zendikar! Three key words: Gate. Slaughter. Sea. #MTGBFZ pic.twitter.com/YWE7QvLEn7
— Magic: The Gathering (@wizards_magic) 2015, 7月 12
こちらもギデオンとニッサ。引用元ツイートでは「Gate」「Slaughter」「Sea」というキーワードが挙げられていました。公式記事では海門/Sea Gate(《海門の伝承師》《海門の神官》といったカード名に登場)がエルドラージの攻撃で陥落してしまいました。それを指しているのか、それともまた別のものなのか。
Here's another look at some of the allies we'll see in #MTGBFZ… what's that in Kiora's hand? pic.twitter.com/4vTrqQjUKa
— Magic: The Gathering (@wizards_magic) 2015, 7月 12
ゼンディカー生まれのプレインズウォーカーはニッサだけじゃない! ギデオンはキオーラとも会うようですね。ここもまた友好色だ。そしてキオーラが手に持っているのは……そう、《タッサの二叉槍》! 少し前の公式記事「海を落ちて」にて、神とプレインズウォーカーのもう一つの戦いの顛末が明かされていました。キオーラはタッサと戦い、敵わなかったもののその神器を奪ってプレインズウォークして逃げることに成功しました。テーロス出身のギデオンはキオーラが持つ武器の正体に気付くのでしょうか? アクロスは山国なのでタッサへの馴染みは薄いかもしれませんが。でもこの二人の出会いも待ち遠しいなあ!!
Ob Nixilis has a plan. #MTGBFZ #SDCC2015 pic.twitter.com/J1CcpwAWCm
— Magic: The Gathering (@wizards_magic) 2015, 7月 12
こちらはオブ・ニクシリス! イケメン悪魔!!「オブ・ニクシリスには一つの計画がある」。ここに描かれている落とし子もコジレックの血統らしき特徴があります。そしてこのアート、横長ということは彼はまだ少なくともプレインズウォーカーではない?(メタ読み)
Tying up loose ends means allowing new and fascinating interactions to happen. #MTGBFZ pic.twitter.com/SLBiDjSnq6
— Magic: The Gathering (@wizards_magic) 2015, 7月 12
ジェ、ジェーーイス! ウギーーーーン!!! 何てこったこの二人も会うのか!!
ジェイス&ウギンといえば、なんと《ジェイスの聖域》にはウギンのスケッチが置いてあるのでした。
画像中央やや右です。特徴的な角のある龍の頭部のスケッチがわかりますか? 出会った後に描かれたものなのか、それともジェイスは既に何らかの手段でウギンについて知っていたのか。ジェイスとチャンドラとサルカンが《ウギンの目》に集合したことによりエルドラージ封印の鍵が開いた、という歴史は『運命再編』を経ても変化はないのですがウギンは今や生きています。エルドラージを封じたウギンと、意図的ではないながらその解放に加担してしまったジェイス。どんな出会いになるのでしょうね。
こんなに沢山プレインズウォーカー出しちゃって大丈夫なの? わくわくしながら不安にもなっちゃいます。今のところ「主役格」的に画像に登場しているギデオンはどんな活躍をするのか。エルドラージはどうなるのか。新キャラはいるのか。更に言えば登場キャラは全員生還できるのか。『戦乱のゼンディカー』の物語も、タルキールブロックに引き続き全てウェブで公開されるとのことです。楽しみが多すぎる!
それではまた次回。
(終)
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